本日リリース!ルロウズ4th album『THORN O' THE TIMES』はデジタルではBandcamp、サブスクでも聴けます。フィジカルではアナログを作っていて、USツアー初売りになるのですが日本にも持ち帰って販売予定です(レコード店に卸せるかどうかはツアー中の売れ行き次第)。もしアナログを確実に欲しい方はinfo@loolowningen.comまで連絡をいただけると嬉しいです。送料別で¥4,000予定。
さあ今回は少しでもプロモーションになればということもあり、アルバムに関するいろいろを書いていければと思ってます。でもこんなミクロなとこを読んでくれるあなたは既に私たちを結構気にしてくれてる人だと思うし、本来の意味のプロモツール足りえないね!!!!!
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今回の作品を作るきっかけは昨年3rd『PAREIDOLIAS』がツアー超序盤でアナログ完売して、前回のUSツアー中各地でアナログほしい、アナログほしいって言われまくったのでDeaf Touch Recordsから新しいアナログを作ろうと持ちかけられた話。直近作の『REMEMBER THIS IS NOW』というEPがとてもいい出来だったのにカセットでしかリリースをしていなかったので、それをあらためて10inchに落とし込む話もあったのですが、せっかくなら新作で出したいよね、というマインドになって4曲書き下ろして追加で録音しました。書き下ろした曲自体はまだたくさんあるんだけど、時間的制約とかアナログリリース前提だったので収録分数とか色々な部分を吟味してこういう形でリリースとなりました。
ウリにしてる、というか文字稿だけだと舐められそうな今作のキーワード「完全宅録」は自分たちでそうしたかったからそうしている、っていうわけではなく、スタジオ録音のバジェットに震えながら、第三者のプレッシャーに晒されながら、妥協やストレスを録音に持ち込みたくなかったため。なので、予算が無限にあったり、ワガママが無尽蔵にきくならば次作はスタジオ録音にしたいです(一発録りをやりたい曲もあるし)。ただしそのおかげでマスタリングまでの経費は私がプラグインを買ったり淳平さんがマイクを買ったりといった未来志向の設備投資くらいで、本レコーディングのみのバジェットという意味では電気代とネット代くらいです。でもだからこそ、アナログ化に予算を突っ込もうと思えたのかもしれません。
ジャケットは2024年ポートランドで演奏をしたBoathouseっていう川沿いのDIY会場付近の工場跡地。あの日は屋外ライブなのに設営時に土砂降りが降って、止んで、絵に描いたように綺麗な虹がかかって、夜は寒すぎてマジで死の危険を感じて(あれで半袖だった人々の代謝は凄すぎた)、でもライブは死ぬほど盛り上がって人も超たくさん集まって、あそこの劣悪な地面のせいで車がスローパンクになって、と思い出が盛りだくさんの場所。ホワイトヴァイナルにしたり、ステッカーつく仕様にしたりとフィジカル感もあげてるので是非アナログで手にとってほしいです。
マスタリングも奇しくも同じくポートランドのStereophonic Mastering総帥Timothy Stollenwerkによるもの。必要に駆られて、文脈次第ではある程度英語は喋れるようになったと思ってはいるのですが、音の繊細な部分の表現ってぱっと出てこなかったりしますよね。けどTimothyはニュアンスの部分をうまく共有してもらえるようなやり取りの上でプロダクションをしてもらえるので、言葉の壁を感じません。彼は非ミュージシャンですがアーティスティックな気質もあり、鬼のように攻めたマスタリングってリクエストすると鬼と龍があいまみえるようなマスタリングにしてくれます。これまでに彼が手がけた膨大(かつ激渋)なカタログも参考にしつつ、是非私の周りの人も使って欲しいなあと思ってます。
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B面の4曲は完全初出なのでメモを書いておきます。
「ねむり/めざめ」という曲はライブでもやり始めた曲で、もともとはMITOHOSに収録されていたオリジナルバージョンを超絶換骨奪胎して(オリジナル版と聴き比べるといかに変化したかわかりやすいです)仕上げたもの。対世間にはモータウンビートの拡張解釈なんて嘯いていますが、個人的には広末涼子のMajiでKoiする5秒前のBPMとTHE SMITHSのテイストを混ぜて落とし込んで、そこがボレロみたいにじょじょにクレッシェンドしていく構造になっていて、ベースとドラムのアレンジが決まった時はすごくうひょ〜〜〜ってなりましたし、かなり最後までギターのアプローチを悩みました(何をやっても不要とか蛇足って思ってしまっていた)。
「くぐれば」という曲はその当時ライブ演奏を前提としない曲ばかり作ってて、これじゃいかんと思ってかなりライブ演奏をイメージしながら作りました、が、録音では落ち着いたのですがライブだとまだ物足りないのであともう2アレンジくらい加えてからライブで演奏したいです。旋律に対しての日本語の置き方が気に入っていて歌っていて楽しいのとギターが脳を使う要素がなさすぎてそこが好き。かつて私以外の人間で元HABITの矢野さんしか好きな人間に出会ったことのないPearl JamのNO CODEというアルバムがあるのですが、そこに入ってるHail, Hailというシンコペーションまくりのかっこいい曲に想いを寄せつつもっとサイケぽいワンリフ感があります。途中でハーフになるところは、所謂Jロックのツッチーツッチーっていうアレをルロウズでやるとどうなるかっていう実験の要素もあったのですが、かっこよく使えてるかはわかりません。
「ブルー」という曲はもともとパーツでしか出来てなかった曲で、録音を通して幾多のトライ&エラーの果てに生まれたもの。スネアの啜るような(ロールっていいますか?フラムっていいますか?まったく違いますか?)フレーズ、それから終盤のギターソロの上昇する感じと歌詞の絶望的な感じ、狙ってないけどたぶんこれは私が好きな90年代のUKロック、それからトリップホップとかの要素かもしれません。私は自分の音楽の根源はずっと喜怒哀楽の哀と思ってて、そこを極めたいと思ってないしもっと色々やってみたいけど、いつまで経ってもそこから離れることができません。
「王冠」前半部はもともと自分がギターのウォームアップ用に作った手癖のアルペジオをブラッシュアップしたもの。自分のピッキングの負荷が高いだけなのは悔しいからベースは深い意味もなくダウンピッキングのみ、ドラムも割とフィジカル的にきついフレーズにしてもらいました。冒頭ではギターと異なる拍子のベース/ドラムのフレーズが時に逆転したりしながら途中からギターを飲み込んで最後まで続くっていう構造なんですが、これってやってる側からするとちょっとだけドヤ顔感のあるアレンジだけど、トリオでの演奏だとあまりそれのうまみが出ないかもしれません。USツアーからライブで試してみようと思ってます(だめそうだったらすぐやめる)。X JAPANのようなストリングスですがギターオルタナ的にはTrail of Deadのイメージ。でもどっちも好きだからどっちでもOKです。
本作で個人的に特に好き/アレンジや録音がいちばんうまくいったと思ったのは「ネガポジ」「これも夢」「プラセボ」「ねむり/めざめ」。素材単位で好きなのは「くぐれば」。いずれにせよ、8篇の時代の棘、どこかで、あるいは全体で良い意味で刺さってくれる方がいれば何よりです。よろしくお願いいたします。