今回の「玉木首班指名」から分かったことは、玉木代表が安全保障政策についても底抜けに軽薄、かつ、国民国家よりも自分優先の政治家であり、玉木氏が代表である間は国民民主党と政権構想を共にするのは困難ということだ。
玉木代表は立憲民主党に「安保法制は合憲」と見解を変えろと述べたが、憲法は国民の生死を預かるものであり、国民の命が懸かった最高法規の見解を論拠もなく変えることは出来ないし、公党は絶対にしてはならない。
集団的自衛権は他国を守る武力行使であり、日本国民を外国の侵略から守る武力行使ではない。
(日本国民を守るのは個別的自衛権であり、それは合憲)
ところが、台湾海峡有事などで、安保法制の集団的自衛権を発動すれば日本は戦争に突入することになり、反撃を受けて必ず自衛官や市民が死傷する。
政府も安保法制の集団的自衛権の発動で大規模な被害が生じ得ると答弁している。
玉木代表は、違憲の戦争で自衛官や市民が死傷しても構わないと考えているのだろうか。
また、玉木代表は、安保法制を合憲と認めないとトランプ大統領と向き合えないと述べている。
そのような無能で意気地無しの政治家が総理になってもらっては困るが、そもそも玉木代表は日米同盟の本質を何ら理解もせずに、国民の生命と国益を米国に売り渡そうとしているのだろう。
まず、日米同盟とは、「米国にとっても他に並び立つもののない世界最重要の同盟関係」であり、そのことは日米両国が公言している。
日本では私が何度も政府に答弁させている。
これは地球儀を見れば一目瞭然だが、日米同盟に基づく在日米軍基地がなければ米国は超大国たり得ない、すなわち、アジア・インド洋域から中東域に至るまで軍事プレゼンスを保持できなくなる。
だからこそ、トランプ大統領は最初の訪日で、「米軍を駐留させてくれてありがとう」と述べているのだ。
つまり、日米同盟は米国にとって地上最大のグッドディールなのだ。
更に、そもそも、「日米安保第3条によって、日本は米国のために集団的自衛権を行使することを法的に免責」されている(政府答弁)。
この第3条は米国の上院決議により米国の全ての同盟条約にある条文だが、日米安保だけ、違憲の集団的自衛権等の日本の責務を免責するため特別の作りになっており、そのことは安保改定時の日米の国会で答弁され、岸信介総理の回顧録でも述べられている。
こうした、トランプ政権であっても変わることのない日米同盟の本質を踏まえ、トランプ大統領に向き合うのが日本国の総理の責務だ。
もし、米国が日米安保に基づく日本防衛の義務を果たさないのであれば、「あの日米同盟ですら反古にするのか」ということで、米国は全ての同盟国の信頼を失い致命的なまでに国際的地位を失うことになる。
安倍政権当時から政府は、「米国から9条の解釈変更を求められたことは一度もない」と答弁しているが、基地提供の日本が米国防衛まですれば完全な偏務条約になり、何よりも既存の安保条約3条に反するのだからこれは当然だ。
トランプ政権の国防大臣に「台湾海峡有事では自衛隊は最前線に立ってもらう」などと言われている今だからこそ、真に国民の生命と国益を守り、健全な日米同盟を維持する政治家の英知と胆力が求められている。
日米同盟の本質を踏まえた戦略的な外交を駆使し、適切な対処策によって、トランプ大統領と適切な関係構築を行うことは十分に可能なはずだ。
「対決よりも解決」などと自己中心的な主張をする前に、日本国民の生命と国益を一方的に売り渡してしまっている安保法制の現実に向き合い、その恐ろしい違憲と「対決」し、事態の「解決」のために行動するのが公党の代表の責務ではないか。
玉木代表の言動は、かつて私も所属した民進党から引き継いだ以下の国民民主党の綱領に背いていると言わざるを得ない。
「立憲主義と国民主権・基本的人権・平和主義を断固として守り」
「専守防衛を堅持し、現実的な安全保障を築きます」
最後に、かつて、冷戦下の米国とソ連の全面戦争の想定において、いわゆる限定的な集団的自衛権行使を違憲と退けた中曽根総理の答弁を玉木代表に送りたい。
「 憲法及びその憲法に基づいてできている日米安全保障条約、その重みというものは非常に重いものでありまして、その命ずるところに従って国政は行われるべきであり、防衛は行われるべきである、それを逸脱してはならない、これは鉄則であります。 」
同じ風見鶏政治家でも、自らの信念のための政治を行う総理と、自らの損得勘定のみで政治を行う「総理候補」の違いがこの答弁に表れている。
私は、玉木代表といつでも公開討論を受ける用意がある。
玉木代表は私との憲法改正のX公開討論の約束を途中で反古にして逃げ回っているが、本当に総理になる覚悟と気概があるのなら安全保障政策でも逃げないことを期待したい。
Quote
玉木雄一郎(国民民主党)
@tamakiyuichiro
【玉木首班指名を真剣に考えてみた。その結論は→今の立憲民主党と政権構想を共にすることはできない。】
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