現預金の使い道、上場企業に説明責任 金融庁が統治指針改訂へ
金融庁はコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)を5年ぶりに改訂する。上場企業が現預金をため込みすぎず適切に活用しているか、説明を求める方向で検討する。企業に人材や成長分野への投資を促す狙いだ。
21日からの有識者会議で議論し、2026年半ばの改訂をめざす。新たな企業統治指針では、上場企業が現預金を投資に活用できているかなどを検証してもらい、株主への説明を求める。資金の配分先は設備投資だけでなく、研究開発投資や人的資本も重視する。
法人企業統計によると、資本金10億円以上の企業が保有する現預金は24年度に82兆円と、20年間で約2倍に積み上がった。株式市場では企業は余剰資金を保有し、有効に活用できていないとの見方がある。
金融庁と東京証券取引所は15年に企業統治指針を導入し、18年、21年に見直した。金融庁は今回の改訂で株主総会前の有価証券報告書の開示なども求める。
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(更新)- 山口利昭山口利昭法律事務所 代表弁護士分析・考察
「現預金の使い道の説明責任を果たす」ということは、企業と投資家とのエンゲージメントが、より深化するものになると考えます。まず、各企業における「保有すべき現預金」の水準を知ることができます。運転資金や成長性(急な資金需要)、キャッシュフローの変動率などを、企業別に知る糸口になります。 また、使い道がわかれば事業別の投資へのキャピタルアロケーションについても理解が深まり、中期経営計画の進捗についての意見交換にも有用ではないでしょうか。これまで、現預金の使い道を開示する企業は少なかったと思いますが、株主とのエンゲージメントの機会をさらに増やして、企業統治改革の実効性を高めることに寄与するのでしょう。
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(更新) - 井出真吾ニッセイ基礎研究所 主席研究員 チーフ株式ストラテジストひとこと解説
必要な現預金の水準は、景気や為替など外部環境の影響を受ける度合い等によって、企業ごとに異なります。だからこそ企業とステークホルダーの対話を促す取り組みは進めて欲しいと思います。 気になるのは、行政の主導が必要なほど日本の資本主義が保守的な点です。一方、アメリカ型のような「行き過ぎた資本主義」は頂けません。答えは日米の間にあるような気がしています(ハワイあたり?)。
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