韓国が上で、日本が下
統一教会は、表立って反日的な教義を振りかざして布教活動をしているわけではない。しかし、韓国人の日本に対する恨みや憎しみ、それと同時に憧れやコンプレックスといった複雑な感情をうまく利用しつつ、嫁をあてがうという極めて世俗的な利益を提供して信者を獲得している現実があるのだ。
「韓国を『アダム国家』、日本を『エヴァ国家』として位置づけ、日本を下に見るという統一教会の教えは、多くの韓国人にとって、受け入れやすい言説だったと思います」(『コリア・レポート』編集長の辺真一氏)
朝鮮半島には伝統的に「自分たちは中国の王朝に次ぐ二番目の小中華であり、日本は周辺にある野蛮な『夷狄』である」という国家観がある。文鮮明の教理はそのような思想と親和性が高い。
「日本は歴史的に慰安婦問題や徴用工の問題で、戦争犯罪を行っているのだから、その罪を償うためにも日本人は献金すべきだ」という独特のロジックも、教団内でしばしば唱えられてきた。北海道大学大学院の櫻井義秀教授(宗教社会学)が解説する。
「統一教会は布教の際に、反日的な教義を強調することはありません。しかし、文鮮明は教団の幹部に向けて『日本や日本の信者から搾取してもいいんだ』という趣旨の発言をしています。
そのような発言をするようになった大きなきっかけは'97年のアジア通貨危機です。このとき外貨の急速な流出に直面した韓国では企業の倒産が相次ぎ、統一教会系の企業も経営に行き詰まった。そこで韓国の教団幹部が次々と日本に送り込まれ、日本人の教団関係者に対して『カネを稼げ』と号令をかけたのです」