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浜松の交差点5人死傷事故 同乗の夫が再び不起訴

2020年11月12日 05時00分 (11月12日 05時01分更新)
 浜松市中区鍛冶町のスクランブル交差点で二〇一五年五月、乗用車にはねられて一人が死亡、四人がけがをした事故で、重過失致死傷容疑で書類送検された男性(61)=同市東区=について、浜松検察審査会の「不起訴不当」の議決を受けて再捜査していた静岡地検浜松支部は十一日、再び男性を嫌疑不十分で不起訴としたと明らかにした。処分は十日付。この事故を巡る捜査は全て終結した。
 車にはねられて亡くなった主婦水鳥真希さん=当時(31)=の夫達也さん(36)は「あれだけの事故を起こしたにもかかわらず、誰も責任を負わないのはおかしい。被害者や遺族は泣き寝入りするしかないと感じた。気持ちのやり場がない」と嘆いた。
 男性は、この事故で殺人などの罪に問われ、一九年八月の東京高裁判決で心神喪失による逆転無罪が確定した中国籍の女性(37)=同=の車に同乗した夫。
 静岡地検の北薗信孝次席検事は定例会見で「被疑者の認識や客観的事実によると(女性が)当日の運転開始時から(事故を起こす直前に)交差点で停止するまでに、危険な運転行為をするという挙動はなかった。(男性の)予見可能性は認めにくい」と説明した。
 男性は持病に統合失調症のある女性の車に同乗し、事故を起こす恐れがあると知りながら運転を止めなかったとして書類送検され、一五年十二月に不起訴になった。処分を不服として、達也さんは一九年九月、浜松検察審査会に審査を申し立て、審査会は今年三月、女性が事故を起こして重大な結果を招く可能性を予見できたとし「不起訴不当」と議決した。

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