投資商品「みんなで大家さん成田」分配金3カ月連続遅れ 一部で訴訟
成田空港(千葉県)近くの開発用地への投資商品「みんなで大家さん成田」で、運用する会社が予定していた分配金の支払いが、3カ月続けてなされなかった。想定年利回り7%をうたって昨年9月時点で約1580億円を集めたが、出資金を返すよう求める訴訟が起きている。 【写真】投資商品「みんなで大家さん成田1号」に関する契約書。都市綜研インベストファンドと出資者との間で結ばれた この商品は、東京都千代田区の不動産会社「共生バンク」の子会社の「みんなで大家さん販売」が売り、大阪市にあるグループ会社「都市綜研インベストファンド」(ファンド社)が運用する。 共生バンクによると、商品は不動産特定共同事業法に基づき、1~18号がある。商品ごとに、奇数月か偶数月に分配金を支払うことになっていたが、複数の出資者によると、今年7月31日、8月29日に続き、9月30日も支払いがなかった。 ■代理人「1千人以上が訴訟の意向」 「みんなで大家さん成田」をめぐっては、出資者の男女5人がファンド社に対し、この商品などに出資した計6千万円の返還を求める訴訟を9月16日付で大阪地裁に起こした。代理人弁護士によると、他に1千人以上(出資額計100億円以上)が訴訟の意向を示している。 訴状などによると、ファンド社は事業プラン変更に関する出資者への説明が不十分だったなどとして、昨年6月に大阪府から行政処分を受けた。原告は、行政処分を受けた事実は同社の信用を失墜させ、同社と出資者との信頼関係も「根底から破壊された」と訴え、契約の解除が成立するとして出資金の返還を要求している。 他にも、同商品などへの出資者少なくとも46人が、計約7億円の出資金の返還をファンド社に求める訴訟を今年8月末以降、個別に大阪地裁に起こしている。 ■共生バンク「誠実に訴訟対応を行う」 共生バンクは取材に、遅延の理由について、行政処分以降に「風説・風評の拡散と報道等により影響を受け、グループにおける不動産資産の売却その他資金調達が予定よりも遅延」したことを挙げた。訴訟については「誠実に訴訟対応を行って参る所存」などと回答した。(小寺陽一郎、遠藤隆史)
朝日新聞社