海水温上昇、災害…「魚食文化」支える提言 山口で全国漁港漁場大会
全国漁港漁場協会(田中郁也会長)の第74回全国漁港漁場大会が15日、山口県下関市で開かれ、全国から漁協や政府関係者ら約1300人が参加した。海水温上昇や頻発する自然災害などに対応する国の対策予算を求めていく方針を決めた。 同市での開催は1952年以来、73年ぶり。大会は県漁港漁場協会長を務める前田晋太郎市長のあいさつで開会し、前田市長が議長に選出された。 議事では、海水温の上昇などで漁場が変化し、サケ、スルメイカなどの不漁が続いていることや、地震・津波・豪雨などが発生し、水産業への被害が相次いでいることを指摘。水産業と漁村を次世代に継承して日本の魚食文化を支えるために、(1)海洋環境の変化に対応した基盤整備、藻場干潟対策(2)漁港の生産・流通機能の強化、養殖拠点整備(3)漁港・漁村・海岸の強靱(きょうじん)化対策、長寿命化対策(4)全国展開を加速するための海業振興策の充実――を国に要請する提言を採択。次回開催地を東京都に決めた。 この日は市民の食の「魚離れ」に歯止めをかけ、水産業の持続的発展につなげる下関市の「魚食条例」が施行された。 水産物などの地産地消の推奨や、海の豊かさを守り、持続可能な生産消費形態を確保することなどが基本理念。「魚食の日」として、「ふくの日」(毎年2月9日)▽「くじらの日」(同9月4日)なども盛り込んだ。 市の2023年の調査では、魚を週に3日以上食べる人の割合は、大人が48・4%、子どもが56・2%だった。市が目標に掲げる80%を大きく下回った。(白石昌幸)
朝日新聞社