Tarnished Archive   作:助動詞

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た、多分次回には………





私は最終回にはならないさ

「うっ……ぐぅっ、あっあっあっ……ヴアアアアアッ!!!……ルーンッ……!私の、70万ルーンッ………!」

 

「………それで、さっきから星見は何をうめいてるわけ?」

 

「さ、さあ……?」

 

ホシノ先輩を無事に連れ帰り、アビドスへと帰還した対策委員会with先生+梔子先輩だったが、しかしあなたはここに来てとんでもない事を思い出してしまったのだ。

 

あなたは不死だ。死んでもすぐに蘇る。死んだ場所に黄金の細枝として所持していたルーンを全て遺して。

 

細枝を回収すれば、ルーンを再び取り戻す事が出来る……が、何とあなたはその細枝の回収を忘れていたのだ。

その額なんと70万。茹でエビ換算で1166個分もの大金である。ちょっと無視出来る額ではない。こうしてはいられない、直ちに回収に向かわなければ……!と、窓から飛び出そうとしたあなたを梔子先輩は引き留めた。

 

『ち、ちょっと星見くん!?どこへ行くの!?……え?砂漠に落としたルーンを回収しに……?良く分からないけど、だめだよ!ちゃんと水とか食べ物とかコンパスとか準備しなきゃ!それに砂漠って結構昼と夜の寒暖差が激しいから身体壊しちゃうよ!?』

 

「モ°」

 

『ああっ、ホシノちゃん!?ごめん、そんなつもりじゃ!?』

 

何か分からないが彼女がホシノ先輩に気を取られた今が好機、あなたは開いていた窓から飛び出した!

空中に舞うのも束の間、あなたの両脚は地面を踏みしめる。

 

さて、砂漠までかなりの距離がある上にすぐにも追手が迫って来るだろう。トレントを喚んで、高速で駆け抜ける───!

 

いつも右手の人差し指に嵌めている金色の指輪、『霊馬の指笛』を吹けば、あなたの相棒、駿馬の霊、トレントがやって来ない。

 

…………なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?理解出来ぬ、理解出来ぬ、理解出来ぬ───!*1

 

『……ふむ?この気配、トレントは拗ねている様だぞ。何か心当たりは?』

 

そんなものは無い。全く持って………

 

───トレントよりもずっとはやーい!───

 

………あれか。

 

全くあの駄馬め、いつもいつも肝心な時(腐れ湖とエルデの獣戦)に来ない……!

 

「待ちなさーーーい!」

 

「ぐぇっ!?」

 

と、あなたと同様に窓から飛び下りたセリカに捕まってしまった。……が。各種能力値は元に戻ってしまったものの、記憶スロットと魔術・祈祷はそのままである。

 

咄嗟に左手に聖印を取り出し、ノーダメージで周囲の相手を吹き飛ばす祈祷、『拒絶』を放った。

 

「さあ、捕まえふぎゃっ!?」

 

さて、あなたの歩を妨害する存在はもう無い。自分の足で駆け出そうとしたその刹那。あなたの目の前に机が突き刺さった。

 

「……星見さん」

 

立ち上がって後ろを振り返れば、良い笑顔を浮かべたアヤネの姿が。

 

その笑顔は、かつて興味本位で『狂える三本指』に見えようとしたあなたを、祝福『狂い火の封印』辺りで渾身のグーにより撲殺して引き留める直前のメリナに酷似していた。

 

待ってほしい。少し待ってくれないか。自分を撲殺するのは別に構わないが、今だけはやめてほしい。今死んだらあの落としたルーンが完全に失われてしまうのだ。キヴォトスでルーンを確保するとなると、それこそ黄金のルーンその他諸々(各種貯金箱)を砕くしかない。狭間の地とこちらを行き来出来る保証は無いのだ。

 

それとも、エルデの獣の追憶でも砕けと言うのか。それは余りにもご無体、なんとも勿体ない、そして贅沢な使い方だ。

 

ラニ、貴女からも何か言ってほしい。

 

『……いや、出来るだろう。こちらと向こうを行き来する位は』

 

ラニ、その言葉は今だけは聞きたく無かった。

 

「……さっきからルーンやら追憶やらラニやら、訳の分からない単語を列挙して私を煙に巻こうとしている様ですが、残念でしたね。私、もう情報の洪水に慣れてしまいました。……お話なら、教室で、ゆっくり、じっくり、しましょうね?」

 

ひぇっ。

 

あなたの口から、なんとも情けない声が漏れた。ラニ、どうにかして自分を助けてくれないだろうか?

 

『ああ、勿論だよ我が王。私の身体に刻まれていた呪痕を、どうしたのかを聞かせてくれるのなら、な』

 

……だめだ。何も聞こえない。

 

『………おい』

 

 


 

 

 

「───………良いですか?分かりましたか?……はぁ、正直まだまだ言いたい事はありますが、今の所はこれで勘弁してあげましょう」

 

ひぃん。

 

そんな声が思わず漏れる程に、それは激しい攻撃……もとい口撃であった。

 

アヤネによるあなたへの静かな、しかし激しい詰問は、さながら朱い腐敗の様にあなたの精神を蝕んでいった。

 

もはや何も抵抗する気になれない。ラニ曰く、狭間の地とキヴォトスは行き来が出来る様だから、もうあのルーンは諦めてしまおうか。ルーンなど、しろがね共を屠殺して集めれば良い。

 

「……さて、星見さんへのO☆HA☆NA☆SHIも終わりましたし、次はホシノ先輩の番ですね」

 

「うへっ!?ま、待とうかアヤネちゃん!今おじさんにお説教したらちょ〜っと泣いちゃうかも〜!?だ、だからおじさんへのお説教はまた後日って事に……!」

 

『あれ〜?そういえば、ホシノちゃん喋り方変えたね!何だか雰囲気も柔らかくなったし!』

 

「ユメ先輩、それ今じゃなきゃ駄目ですか!?」

 

「あ、大丈夫ですよ。それなら物理で行きます」

 

「血も涙も無い!?あ、アヤネちゃん!おじさんとしては後輩にはもっと優しい子に育って欲しいなって思ったり……!「えいっ」痛っ……く無いっ、全っ然痛く無いねっ!」

 

「ええ。そうでしょうね。ですので、もうおしまいです。……先輩は、もう十分に罰は受けましたから」

 

そう言うと、アヤネは机に突っ伏しているあなたの方を一瞥した。確かに、親しい者を目の前で亡くすなど、罰としては十二分な苦痛であろう。ソースはあなたの経験だ。

 

「"……それにしても星見君、うっかりしちゃったね……。まさかお金をその場に落としちゃうなんて。あの金色の枝がそうなんでしょう?今日はもう遅いし、明日行こうか。……所で落としたお金って、確か70万ルーン、だったよね?それって、どのくらいの価値なの……?"」

 

その額のルーンとなると、円卓で売られていたロングソードが700振り買えるだろうか。

 

「……この中に、キヴォトスでのロングソードの相場が分かる人、いる?」

 

『「「「「「"………"」」」」」』

 

「いないわよね……?」

 

「……そうだ、砂漠に行くと言えば。……梔子先輩、一つ良い?……答えづらい、答えたくない事かも知れないけれど……」

 

『……うん、どうしたの?』

 

「先輩は……どうして、死んでしまったの?ヘイローを持つ私達は、普通には死なない。つまり、もし先輩が『殺された』としたら、普通では無い攻撃手段を取れる『何か』が、あの砂漠に居ることになる。……実は、この間星見が魔術に干渉を受けたそうで、彼曰く、『人間では無い何か』にしか、そうした事は出来ないらしい。……もしかしたら、星見の魔術に干渉した何かが、先輩を……死なせたんじゃ無いか、って」

 

その話を聞いて、あなたは思い当たる存在に心中で声を掛けた。

 

魔女ラニ、魔術の干渉の主犯だろう。

 

『なるほど、よく察したものだ。確かに、すべて私が、やったことだ』

 

『……なるほど、そっかぁ……』

 

「……先輩、答えたくないなら私が……」

 

『ううん、大丈夫。私が言うから。───シロコちゃん、だったよね。大丈夫、私は殺されたんじゃ無い。私の死因は……脱水による衰弱、だから……』

 

「分かった。……こんな事聞いて、ごめんなさい」

 

『ううん、大丈夫だよ〜!』

 

「……そう、……。じゃあ、何が魔術に干渉を……?」

 

「そうですね〜……。近くの砂漠に、そうした存在が居るとなると、少し怖いですね〜」

 

それなら問題ない。あなたは半ば投げやりになりつつ、机の上に『小さなラニ』を置いた。

 

「……えっと、何?この人形は。……は?『あの時魔術に干渉したのは彼女だ』?……な、なんて……?」

 

折角だ。この機会に、皆に紹介しよう。

 

自身の伴侶だ。

 

『「「「「「「(눈_눈)」」」」」」』

 

何だその目は。多分皆は何か勘違いを起こしているに違いない。この誤解を解く為に、是非ラニからも説明して欲しい。

 

『……』

 

……ラニ?

 

『…………』

 

……ねぇ、恩人にこんな事言うのもアレだけど、……星見くんって、いつもああなの?

……その、たまに故郷の価値観や常識が爆発する事は今までにもありましたが、あそこまではちょっと……

そ、そっか。……で、でも、趣味とかは人それぞれだもんね!受け入れてあげないと……!

 

……なるほど、あくまでも沈黙を貫くつもりか、魔女ラニよ。ならばこちらにも考えがある。

 

『………………………』

 

……魔女ラニ、ここに先刻撮ったお前の寝顔の写真が入ったスマートフォンが「ごきげんよう、アビドス高校の諸君、そして先生。私はラニ、紹介にあった様に、彼の伴侶だ。……彼の放った魔術に干渉したのは、この私だ。怖がらせた様なら、謝罪しておこう」

 

「に、人形が動いて喋った!?」

 

「えっと……、ラニ、さんでしたね?その、あなたは一体って伴侶!?

 

「"……その、結婚おめでとうございます……?"」

 

「ああ、祝いの言葉は受け取っておこうか。……さて、人形が喋ったついでに、お前達に言う事がある」

 

「は、はい……?」

 

「私は聞いていた。そして見ていた。無論全てでは無いが、な。……この意味が、分かるか?」

 

「え……あ、ああっ……!ほ、星見君にデコピンした挙げ句目の前で守れず死なせてしまってすみませんでした!」

 

「……待て、デコピンだと?おいお前、……いや、それについては良い」

 

「……え?」

 

「……この際だ、言ってしまおうか。───目の前で彼を死なせたのは良いだろう、守れなかったのは私とて同じ事だ」

 

「アヤネと言ったな?烈火の如き舌戦でもって彼を苦しめたのも良いだろう、正直私も色々とこいつに言いたい事があったからな」

 

「……だが」

 

「我が王を公然と侮辱し、あまつさえ『おかしい奴』だとか言ったそこの獣人───」

 

「わ、私……?」

 

「───貴様は、駆除すべき害獣だ!死んで平服しろ、私こそがカーリア王家のむぐっ!?」

 

暴走を始めた彼女を、あなたはむんずと取り上げて静止する。待ってほしい、少し待ってほしい。彼女を駆除されるのは嫌だ。それに自分は彼女からおかしな奴扱いされた事に関しては特になんとも思っていない。

 

……ホシノ先輩、聞きましたか?今彼女『カーリア王家』、『我が王』って……

ま、まさかあの人王族の方……?そ、そう言えば星見君、女王様が手ずから与えたっていう金色の像を持ってたけど、まさか……?

 

「……おい、そこの獣人。……セリカだったな?……我が王に免じて、赦してやろうでは無いか。彼の寛大な心に、感謝しておけ」

 

「は、はいっ!」

 

「良い返事だ。……すまない、少し眠くなって来た。この身体も、不便な物でな。いつか再び見えるとしよう。……我が王、いや、今は星見と呼ばれているのだったな。あの場所で待っている。それでは………」

 

と、小さなラニ人形から冷たさが失われてしまった。

 

「"……、えっと…………もう夜も遅いし、明日は砂漠に行くし、私達もそろそろ休もうか?"」

 

「ええ、そうしましょうか」

 

「……私、ちゃんと寝れるかしら……」

 

……?自分がどうかしたのだろうか?

 

「……なんでも無いわ」

 

「うへ〜……それじゃ、みんな、また明日ね〜」

 

『ねぇ、ホシノちゃん!よかったら一緒に寝ようよ!多分私、寝れると思うし!』

 

「えっ!?そ、その〜…じ、準備とか……その……色々と……その、部屋が汚いといいますか……」

 

『なら私も手伝ってあげるよ!2人でやった方が早く片付くし!……それに、色々とホシノちゃんに伝えたい事、言いたい事もあるし』

 

「……そう、ですか。……では、その、……お願い、します」

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

先刻死んだ際に訪れた、あの空間にて。土下座をするあなたに、ラニは告げる。

 

「………なるほど、呪痕はフィアと言う名の他の女に。………ハハッ、なるほど、これが私の王か。確かに、これこそ相応しいことだ。……一体何を期待していたのだ、私は……」

 

YOU DIED*2

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
黒いのか白いのかこれもう分かんねぇな

*2
精神的に

もしも主人公がやって来たのが、原作開始前(アビドス編が始まる前)のゲヘナだったら?

  • 給食部ルート
  • 美食研究会ルート
  • 温泉開発部ルート
  • 激長!便利屋ルート
  • やっぱり激長!風紀委員会ルート
  • 全部書いて♡
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