しゅ……ら……(怨嗟の鬼)(増える咳の音)(減る形代)
お久しぶりです。所で原作のセリカとアヤネは地籍図をどこに取りに行ったのでしょうか。何か情報有りましたら是非教えてください。(筆者はロコツナカンソウカセギを唱えた!)
病院から出て、セリカ、アヤネ、そしてあなたの三人はアビドスの街を駆けていた。先刻、アヤネが『少し確認したい事がある』という事で学校へと帰還する前にある場所に用事が出来た為だ。
セリカとあなたはその付き添いだ。なお彼女の用事については全く把握していないし行き先も不明である。
「はぁ、はぁ……と、ところで……ア、ヤネ……どこ、行くつもりなの……?」
「ち、『地籍図』を取りに……!直前までの、取り引きが記録されている、アビドス自治区の、土地台帳です……!」
走りながら会話をしているせいだろうか、二人は息を切らしながら話していた。だが待って欲しい。特にアヤネ。足が速すぎるのだ。少し速度が速すぎる。あなたとセリカが置いていかれているのだ。*1
今は戦闘時では無いので持久力的な観点では全く問題ないのだが、悲しい事にあなたはそこまで高速で走れる訳では無い。かといってトレントを呼べば今度はあなたが彼女を追い越してしまう。それにトレントは一人乗りだ。セリカを乗せる事は出来ない。とにかく彼女は絶妙な速度で走っているのである。
目的地があなたには分からない以上、あなたは彼女に付いていく必要がある。だからこそ、アヤネには少しで良いので速度を落として欲しい所だ。
………所で話は変わるが、あなたは天雨行政官の強さに対して、一抹の疑問を抱いていた。というのも、先刻直接対面した際に感じられた雰囲気が、どうにも猛者のそれには感じられなかったのだ。
一体何故だろう。まさか彼女は膨大な経験により鍛えられたあなたの感覚や直感から自らの強さを隠す事が出来る程の圧倒的強者なのだろうか。そうでなくては説明が付かない。
仮に彼女が強者ではないとして、まさか特に理由もなくあの様な馬鹿げた服装をしている訳ではあるまい。もしもそうだとすれば彼女は意味もなくあの様な馬鹿げた服装をしている様子のおかしい人、という事になる。
………もしやあなたは彼女が猛者であると勘違いしてしまっているのだろうか。
ふと頭によぎった考えを、あなたは振り払った。
馬鹿馬鹿しい。特に理由も無くあの様な服装をするなど、余りにも馬鹿馬鹿しい。まさかそのような事はあり得ないだろう。エルデの獣の追憶を賭けたって良い。
『あれ』がキヴォトスでの一般的な服装、という訳でも無いだろう。少なくともあなたが今までに出会った人物は比較的まともな服装をしていた。最もあなたはキヴォトスの人物をアビドス生と一部のゲヘナ生、便利屋の社員達、それとトリニティ所属の阿慈谷位しか知らないのだが。
まあ、まさかあの様な服装が一般的な訳が無い。モーゴットの大ルーンを賭けたって良い。
「あっ、す、すみません…。もう着きましたので、もう大丈夫ですよ」
「あ、相変わらず足が速いわね……。ぜぇ………はぁ……、ところで、なんで地籍図なんて取りに来たのよ?」
「地籍図には、土地の所有者の記載がされています。もしもさっきの大将さんの言っていた事が正しいのなら、地籍図に何か手掛かりがあるのではないか、と……」
「っなるほど!」
それから、数分後。あなた達は無事に地籍図を手に入れる事に成功していた。それによれば、現在のアビドス高校の自治区の所有者は───
「………カイザー……コンストラクション……!?」
カイザー系列の、企業になっていた。
大将が言っていた事は、どうやら真実だったらしい。土地の所有権は、既にアビドス高校の手には無かった様だ。
「大変!これ見て!」
「アビドス自治区の関係書類を持って来ました!これを………?」
「……あれ?」
「「「…………」」」
なんだこの空気は。重い。重すぎる。いつぞや試しに持ってみた『巨人砕き』を彷彿とさせる重さだ。
かの将軍ラダーンに見習って、誰か重力の魔術を修めて欲しい物である。今にも空気に圧殺されそうだ。
「"あ、えーっと……。おかえり、三人とも"」
「………うん、ただいま?い、いや!それよりも!とんでもない事が分かったの!」
「この資料を見てください!これは『地籍図』、アビドス自治区の土地の取り引きの履歴が残されている資料です!」
「これは……!土地の所有者が、『カイザーコンストラクション』に!?」
その通りだ。アビドス自治区の土地はあなた達アビドス高校の手を離れ、カイザーコンストラクションの手に渡っていたのだ。
こうして公の資料に取り引きの記録が残されている以上、取り引き自体は恐らくは公式の物だったのだろう。土地の権利は、今や正しく彼らの物。力ずくで取り返そうとすれば、罪に問われるのはあなた達だ。
狭間の地の様に、全てを暴力で解決出来れば、どんなに良かっただろう。
いや、出来るのか?カイザーに連なる者を皆殺しにすれば………
駄目だ。殺しは、駄目だ。約束しただろう。キヴォトスでは殺人はしないと、皆と約束しただろう。恩人で、大切な仲間である、彼女らと。
小さく頭を振り、思考を切り替える。
「……?星見さん、どうしましたか?」
あなたに声をかけたアヤネになんでもないと返し、あなたは話し合いの続きを促した。
資料によれば、未だこの校舎と周辺の土地があなた達の手にある様だが。
「……どうして、こんな事に?学校の自治区の土地を取り引きなんて、普通できるはずが………」
「……一体誰が、こんな事を…」
「アビドスの生徒会、でしょ」
「……!」
その通りだ。かつて存在したアビドス高校の生徒会。彼らが借金を返済し切れなくなり、自治区の土地を売った───これが事の顛末である。
「そんな……アビドスの生徒会は、もう2年も前に無くなったはずでは……」
2年。2年前というと、現在3年生であるホシノ先輩は最後の生徒会を知っていてもおかしく無いが。
「うん、そうだね。知っているというか、その生徒会の副会長だったよ」
「えっ!?そ、そうだったの!?」
「うへ〜、そんなこともあったなぁ〜……」
先輩曰く。『入学した時には生徒会は殆ど居なくなっていた』『当時の生徒会は自分とあと一人のバカな先輩だけ』『当時の自分は嫌な性格の新入生だった』『何もかもめちゃくちゃだった』…だそうだ。
「校内随一のバカが生徒会長……?何よそれ、どんな生徒会よ……」
「成績と役回りは別だよ、セリカ」
「そうですよ。そもそもセリカちゃんだってそこまで成績は良くな「わ、分かってるってば!どうして急に私の成績の話になる訳!?一応ツッコんでおいただけじゃん!?」」
「いやいや、まさにその通りだよ。生徒会とは言っても、実際はおバカさん2人が集まっただけだったからね〜」
………。
所で、なぜ当時の生徒会はカイザーに大切な土地を売ったのだろうか。借金を返そうとしたのは分かるが、なぜ悪名高いカイザーに売ってしまったのだろう。
「……、裏で手を組んでたとか」
「いえ、それは違うと思います……」
「そうだね〜。私もしっかり関わった訳じゃ無いからただの推測になるんだけど、当時の生徒会、ちゃんと学校の事を思って、色々と頑張ってきた人たちだと思う」
ならば、なぜ土地を売ってしまったのだろうか。キヴォトスにおいては、学校にとって土地は重要な物だ。それを、何故手放してしまったのだろう。
「"そう言う手口も、あるよね。………アビドスは、悪質な罠に引っかかったのかも知れない"」
「……悪質な、罠?」
「あ〜、………」
「アビドスにお金を貸したのも、カイザーコーポレーション。カイザーローンが、学校の手に負えない位のお金を貸して、利子だけでも払って貰うため土地を売る様に仕向ける」
「はい。きっと最初は、要らない砂漠や荒廃した土地を売るよう提案したのでしょう。けれど、そうした土地が高値で売れるはずも無く………」
結果、あれらの土地を売ることになった、と。
狭間の地とは全く異なる、『相手を破滅に導く方法』。あなたの身体に戦慄が走る。
直接的な暴力に訴える分、狭間の地の方が幾分楽だ。その場で報復するか、或いはいつか復讐すれば良い。
だがこれは。キヴォトスは。報復しようものなら、最悪の場合自分達が罪を被る事になる。
やりようによっては、一方的に、それも合法的に相手を破滅させる事が出来る。
何と恐ろしきカイザーコーポレーションの策略よ。
「なにそれ!?ただただカイザーコーポレーションの奴らに弄ばれてるだけじゃん!?生徒会の奴ら、どれだけ無能なわけ!?こんな詐欺みたいなやり方に、騙されてさえいなければ……!」
「"セリカ、落ち着いて。悪いのは騙される事より、騙す事だと思うよ"」
そうだ。全くその通りだ。騙す方が悪い。当たり前だ。騙す方が悪いのだ。
「ほ、星見?どうしたのよ、なんか雰囲気がすごいけど………」
なに、昔を思い出しただけだ。
セリカ………だけではなく、先輩方やアヤネ、先生も。もしもこの先キヴォトスを出て、騙される様な事があれば、一つだけ為すべき事が有るので良く覚えておいて欲しい。
もしもその様な事があれば、迷わず報復をしてやるのだ。草の根分けても下手人を捜し出すのだ。
逆ギレしてこちらに襲いかかってくれば僥倖、落ち着いてパリィを取って好きな武器で致命の一撃を叩き込んでやれ。顔面に銃弾を撃ち込むのもまた趣があるだろう。
「………何だ?今寒気が……?ちくしょう、古傷が痛むぜ……。あいつ、絶対あんなに力を込めてハルバードを腹にぶっ刺す必要無かっただろ……」
もしも主人公がやって来たのが、原作開始前(アビドス編が始まる前)のゲヘナだったら?
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給食部ルート
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美食研究会ルート
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激長!便利屋ルート
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やっぱり激長!風紀委員会ルート
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全部書いて♡