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「うう…いったたた……」
もう!いきなりなんなのよ!?なんでいきなりお店が爆発したのよ!?爆弾はもう全部回収したわよね!?襲撃!?……まあ、キヴォトスじゃいつものことか。
「み…みんな…無事……?」
「うん、なんとかー…」
「こっちも無事」
「は、はい…無事です……」
よ、よかった…!とりあえず3人は無事ね、向こうの瓦礫の下には大将さんとロボットの従業員の人が───
びちゃっ。べちゃっ。
ズルッ……ズズッ………
な、なによこの余りにも不気味な音は!?怖っ!?
「………ぇ」
音のした方向を見た私は、『それ』を目にしてしまう。
『それ』は、おおよそ人の形をしていた。
全身は真っ赤で、ずたずたの布切れを身に纏い、身体のあちこちから全身と同じ色の液体を流している。
人であれば左の手があるべき箇所には、何も無い。白い色の硬そうな棒が、腕らしき場所からちらりと覗くだけ。
びちゃっ。べちゃっ。
ゴボッ…ゴボボ……
ズルッ……ズズッ………
『それ』は、ゴボゴボとまるで水中で喋ろうとした時の様な、苦しそうな音を発した。
両脚と思われる部位にはどちらも木片が突き刺さっていて、やはり白い硬そうな『ナニカ』が露出している。
『それ』はその両脚を引き摺るようにして、びちゃびちゃ、ずるずると音を立てながら、大将とロボットの従業員さんの所に近づいていく。
と、何やらそれは困ったような雰囲気を発して、私達の方を振り返った。
その顔は。左半分が、ぐしゃぐしゃになっていた。
「え…なによ、それ……、」
その余りにも不気味な姿に、血の気が引いていく。
びちゃっ。べちゃっ。
ズルッ……ズズッ………
『それ』は、私達の方へ近づいてくる。
ゴボッ…ゴボボ……
「ひっ…!?」
ハルカが、上擦った声で小さく悲鳴をあげる。
「こ、こないでっ!」
カヨコが、普段の冷静さからは想像もつかない程に、怯えきった声をあげ、『それ』に銃を構える。
「…………」
ムツキは、ただ震えていた。がちがちと歯を鳴らし、恐怖に染まった目を大きく見開いて『それ』を見つめながら。
そして。
私は、気づいてしまった。『それ』の───いや。『彼』の未だ健在な右眼に。夜空を思わせる、暗く深い青色の瞳に。『それ』が、丁度『彼』と同じくらいの背の高さをしている事に。
ついさっき、私にあのかっこいいお辞儀を見せてくれた彼。
ついさっき、ものすごい速さのステップでハルカからスイッチを取り上げてしまった彼。
ついさっきまで、私達と元気に会話していた彼。
紛れもなく、『それ』は『星見君』だった。
「え…なんで……?」
理解ができない。
どうして、ただの爆発で彼はこんな事になっているのだろう。
だって、爆発が起きたって、『痛い』で済む筈でしょう?
どうして、彼は───今にも、■にそうになっているの?
………───あ、そうか。
私はようやく理解出来た。
『普通』は……キヴォトスの外は、皆こうなんだ。
私達は、いともたやすく、たったの一撃で人をこんなふうに『壊せる』物で戦っていたんだ。
まるで頭を殴られた様な衝撃。
と、カヨコの構える銃が見えているのかいないのか───いえ、見えていないのでしょうね。もしも彼の目が右しか見えていないのだとしたら。
彼は焦ったように、ゴボゴボと私達に何かを伝えようとしてくる。
「こないでって言ったでしょ!?撃「待ちなさいカヨコ。彼は───彼は星見君よ」つ………え?社長、何を言っているの?」
私の発言に、彼は頷いた。やっぱり、『それ』は星見君だったようだ。
「な、なにか……私たちに、つ、伝えたい、の…?」
目の前で人が■にかけているという事実に、声が震える。うまく思考が回らない。
そ、そうだ!救急車!お医者さんなら、彼をまだ助けられるかも……!
彼はその右手で、瓦礫の下の大将とロボットの従業員を、その直後に建物の陰を指さした。
「あ……あそこに、二人を、運べばい、いいの…?」
『そうだ』と言わんばかりに、彼は頷く。
「み、皆!聞いていたわね!?早くやるわよ!ムツキは救急車を!」
「わ、わかった!」
私とカヨコで瓦礫を持ち上げて、ハルカに二人を引っ張り出して貰う。
彼は、一足先にさっき指した建物の陰に移動していた。
二人を担いで、星見君の元へと急ぐ。彼は、自分の両脚に刺さっていた木片を引っこ抜いていた。
近づくと彼はこちらに気付いたようで、担がれた二人を、その後に地面を指さした。
「寝かせれば、良いの?……わ、分かったわ」
言われた?通りにしたは良いものの……。
「あ、安心しなさい!言われた通りにしたわ、今ムツキが救急車を呼んでるから、そしたら手当てを受けられて───「……社長」…なに?」
「恐らく、彼はもう助からない」
「……え?」
「以前保健の授業でやった。『人は余りにも大量の血を流すと死ぬ』って。彼はもう血を流し過ぎた。今すぐに救急車が来たって、もう助からないかも知れない」
「でも…!それは…!」
「社長、こんな事言いたくは無いけど───覚悟を決めておいた方が、良いかも、知れない。なにか『奇跡』でも、起こらない限りは───」
べちゃり。
「「「っ!?」」」
再び、音がした。
見れば、彼は気を失っている二人の側でひざまずく様な姿勢を取っていた。そして、その右手は、顔の前で軽く握られ、淡い金色の光に包まれている。
まるで何かを祈るような姿勢だ。
…と。
「……え?」
祈りを捧げる彼の周囲に、唐突に金色の円が現れた。
それは彼を中心として広がり、気絶中の二人をその範囲に巻き込み、そして───一際明るく輝いた。
その金色の光に包まれ、彼らの身体の傷が癒えていく。
左手は再び生えて、全ての傷が塞がり、顔は元通りの形を取り戻した。
「えっ…!?今のなに!?」
「すまなかった。嫌なものを見せたな」
さっきの謎の光により、再び人の姿と声を取り戻した彼は、私達にそう言った。
「ほ、星見君!その、大丈夫なの!?なによさっきの!?怪我はもういいの…!?」
「ああ、完全に回復出来た。もう大丈夫だ」
「よ…よかった…ほんとに、よかったぁ…!」
「…ムツキ、もう救急車は要らないみたい」
「えっ!?わ、分かったけど…あっもしもし?もう大丈夫みたいです、それじゃ『ちょ、ちょっと!?ツー、ツー、ツー……』」
「えっと…本当に、もう大丈夫なのよね…?」
「ああ。この通りだ。君たちが彼らの救出に協力してくれたお陰だ。礼を言う」
「い、いいのよ別にあれくらい…」
「…ねえ、一つ聞いても良い?」
「どうした?」
「…その、さっきのあれは何…?あの、怪我を治したやつ」
「ああ、あれか。あれは『回復』、二本指を信じる者たちの祈祷の一つだ。周囲の味方を含め、怪我を癒やし生命力を回復させる事ができる。……まあ、所謂『魔法』だな」
な、なんですってぇー!?ま、魔法!?魔法使いって実在していたの!?っていうか二本指って何よ!?*1
「…その、私からも一ついいかしら?」
「構わん。何だ?」
「その…怪我を治す魔法が使えるなら、なんでさっさと使わなかったのよ?」
「それは状況が悪かったからだな。あの時は安全が確保できていなかったから、こうして安全な場所まで移動する必要があった。あの祈祷は、隙が大きいからな。…私からも、一ついいか?」
「え?良いわよ」
「……あの攻撃は、何だ?誰の攻撃だ?」
「それは…」
彼の問いかけに答えるため、私は建物の陰から顔を出して覗き込んだ。
見覚えのある制服。あれは確か───
「ゲヘナの、風紀委員会ね。多分、私達を追って……その、巻き込んでこんな事になってしまって、本当にごめんなさい」
「いや、問題ない。……奴らに、その『風紀委員会』とやらに、復讐すれば良いだけだ。違うか?」
「……ええ、そうね!」
「ああ。…少し、待っていてくれ」
そう言うと、彼は未だ気絶中の二人に近寄って。
「お二方……少しだけ、ここで待っていて下さい」
やさしく、そうささやいて。
「賓客が参りました───我らの、素晴らしいラーメン屋に!」
書いてて思ったこと。
コイツ生命力があるのか無いのかこれもう分かんねぇな。
もしも主人公がやって来たのが、原作開始前(アビドス編が始まる前)のゲヘナだったら?
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給食部ルート
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美食研究会ルート
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温泉開発部ルート
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激長!便利屋ルート
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やっぱり激長!風紀委員会ルート
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全部書いて♡