…………??(総合評価3000超え)
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………………!?!?(日間ランキング11位(5月11日16時時点))
お、おかしいな、こんな高みに筆者なんかの作品がある訳が……(無言のスクショ連打)
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さて、めでたく陸八魔からアウトロー認定を下されたあなただったが───
「ほ、本当にもう大丈夫だから!」
ちょっとこれまでに無い位の勢いで彼女に対して土下座謝罪を敢行していた。
数々の強敵を幾千の死を乗り越えて打ち倒し、大ルーンを集め、黄金律ラダゴンを、そしてエルデの獣さえも打ち倒したあなたは、現在一人の少女に土下座して赦しを乞うていた。
…己を王と呼び、信じてくれていた狭間の地の彼らには、ちょっと見せられない光景だ。
「銃で撃たれるくらいどうって事無いし、別にそこまで謝る必要は…」
…と、額に角をもう一本生やした陸八魔は告げる。どうやら彼女はあなたを赦してくれた様だ。余りの慈悲深さにキヴォトス中がスタンディングオベーション不可避である。
「と、所で、名前を教えてくれないかしら?あなた達個人の名前じゃなくて、組織とか、チーム名とか、あるでしょ?正式な名前じゃなくていいから…!この日の記憶を、深く刻んでおく為に…!」
「なるほど!おっしゃることは、よーく分かりました!私達は、人呼んで───覆面水着団!」
「……覆面水着団!?や、ヤバい…!超クール!カッコよすぎるわ!」
……?
あなたは もちまえの ちりょくをいかし かのじょの せんすを りかいしようとした!
しかし けいもうが たりない!
ダメだ。あなたの知力を以てしても、この名前のどこがクールでどの辺りが格好いいのかが分からない。
或いはキヴォトスでは、こうした物が『格好いい』と呼ばれるのかも知れな───いや、セリカの覆面から僅かに覗く顔を見るに、そのような事は無いようだ。
「うへ〜、本来スクール水着に覆面が正装なんだけどね、ちょっと緊急だったもんで、今日は覆面だけだったんだ〜」
「そ、そうだったの!?じ、じゃあ彼は…?人間の男性がスクール水着って多分絵面が地獄になるんじゃ…?あとさっき角が生えた馬に乗ってた様な…?」
「ああ、彼はねぇ〜…えっと、今日だけ協力してもらった、一般通過騎士と一般通過馬だね。彼らも今日初めて出会ったみたいだよ〜。馬の方はもう先に帰っちゃったけどね〜」
「そ、そうだったのね!通りすがりの人を即座に引き入れて仲間にするその手腕!素晴らしいわ!」
……彼女は少し純粋過ぎやしないだろうか。パッチの様な人種に出会った時が心配だ。鬼方や浅黄、伊草にはそうした人種と陸八魔が一人で出会ってしまわないようにどうか気をつけてほしい。
それと一般通過騎士と一般通過馬とは何だ。
何とか誤魔化そうとしたのは分かるが、もう少し他に無かったのか。何故これで誤魔化せられるんだ陸八魔。
「はい!ありがとうございます!私達、普段はアイドルとして活動してて、夜になると悪人を倒す正義の怪盗に変身するんです!そして私は───クリスティーナだお♧」
………ついでに私は円卓の騎士、ヴァイクである。あなたは彼女にそう言って恭しい一礼をとる。
「『だお♧』…き、キャラも立ってる…!しかもヴァイクさんの今のお辞儀、凄く格好いい!今度私もやってみていいかしら!」
「い、いいんじゃないかしら…」
「うへ、目には目を、歯には歯を。無慈悲に、孤高に、我が道の如く魔境を行く。これが私達のモットーだよ!」
「な、なんですってー!?」
陸八魔に別れを告げ、銀行強盗により入手した集金書類について話し合った、その翌日の午前。あなたは柴関ラーメンでアルバイトに励んでいた。
話し合いで分かったことと言えば、銀行はあなた達から回収した金をヘルメット団に提供していた事───つまり、ヘルメット団の背後にはカイザーローン、或いはカイザーコーポレーションそのものがついていたことだ。
なぜ銀行はアビドスを潰すためにわざわざ資金提供をしていたのか。借金が回収出来なくなる筈だが。
謎は深まっていく。
………考察は後にして、ひとまず行動あるのみだ。まずは、来月の返済金を稼がなければならない。
…そういうわけで、あなたは現在労働に励んでいるのだ。
ちなみに、今日からあなたは接客の研修を受けている。入店して来た客に、恭しい一礼を取り───
「おっと、そいつは少し丁寧過ぎるな。もっとカジュアルに「そのお辞儀、どこかで…?あーーっ!その一礼!やっぱりあなたがヴァイクさんだったのね!」ゔ、ヴァイク?」
何と言う事だろう。便利屋の社員達を連れてやって来た陸八魔に円卓の騎士、ヴァイクの正体がバレてしまった様だ。
非常にまずい事になった。何故なら昨日彼女の額に
一応昨日の彼女からは赦しは貰っているが、今のあなたにとっては残念な事に、彼女はアウトローを目指している。
『昨日は昨日、今日は今日!よくも私を撃ってくれたわね!報復よ!』とならない保証は無いのだ。
ひとまず、今は接客の仕事を完遂させなければならない。あなたは内心である種の覚悟を決め、便利屋達を空いていたテーブル席へと案内した。
「ほ、星見?何、ヴァイクって。あとどうしたのその冷や汗」
と、あなたやセリカ以外にここに務めている従業員───ロボットの男性で、今日は大将と彼とあなたの三人体制だ───があなたに尋ねる。
ちょっと訳があって訳があったので訳があったのだ。特に問題は無いので余り気にしないでほしい。
「う、うーん…?まあ、君がそう言うなら……」
喜ばしい事に、あなたは彼と友好的な関係を築く事に成功していた。少なくともモモトーク───スマートフォンの機能の一つ、遠く離れた人間と文字での会話を可能とするまさに魔法の様な代物だ───を交換する位には。
なお、アビドスの生徒達と先生とは既に交換済みだ。記念すべき交換相手第一号は初期設定を手伝ってくれたセリカである。
「ちょっ、ちょっとムツキ!話が違うじゃないの!バイトちゃんは午後から入るって…!あれ?バイト、ちゃん…?」
「クフフ!アルちゃん、気づいちゃったね!『バイトちゃん』は来ないけど『バイトくん』は来たみたいだね!」
「〜ッ!」
「…はぁ」
何やら便利屋達が声を潜めて何やら話し合っている。もしや『いかにしてあなたに報復するか』についてでも話し合っているのだろうか。
「な、なあ、星見…?その、注文決まったみたいだし、オーダーをだな…。へ?『代わってくれないか』?うーん……行ってらっしゃい!」
…逝ってらっしゃい、の間違いでは無いだろうか。
決死の覚悟を決めたあなたは、ゆっくりと彼女らの座る席へと歩みを進める。
いらっしゃいませ、ご注文お決まりでしょうか。
慣れない敬語で話しかけ、彼女らの注文を伺う。
「えっと…柴関ラーメンを4つ」
「え、えへへ…ひ、一人につき一つです…。ああ、私なんかには勿体ないくらいの贅沢……」
喜ばしい事に、彼女らはあなたに対して特に攻撃性を示す事は無かった。……陸八魔のあなたを見る目が、何故かあなたに対して複雑な感情を秘めている様に見えるのだが。
「ね、ねぇ、星見君、だったかしら?その、あなたさえ良ければ、さっきのお辞儀をもう一度見せて欲しいんだけど……。その、もう少しで所作を覚えられそうなの」
…さっきのお辞儀とは、恭しい一礼の事だろうか。言われた通り、あなたはそのジェスチャーを取る。
「そう!それよ!…フッフッフ、その優雅な一礼、便利屋68の社長を務める私にこそふさわしいわね!…その、今度使ってみてもいいかしら…?」
どうやら陸八魔は恭しい一礼を大層気に入った様だ。別にあなたがこのジェスチャーに対して何らかの権利を所有している訳でも無いし、勝手に使ってくれて構わない。
そもそもあなたはある人物の礼を勝手に真似して使っているだけなのだ。
「や、やった!じ、じゃあさっそく…」
「アルちゃんアルちゃん、そーいうのは『ここぞ!』って時までとっておいたほうがかっこいいと思うなー」
「!そ、そうね!確かにその方が良いわよね!」
「…星見くん?今、仕事中でしょう。二人は放って置いていいから、早く仕事に戻った方が」
と、鬼方から言われ、あなたは仕事へと戻って行く。
「…そうだ。一つ大将からの伝言だ。『替え玉が欲しいなら言ってくれ』だそうだ」
「…分かった。ありがとう」
暫く後。便利屋達の机に完成したラーメンを配膳したあなたは、窓拭きの業務に取り掛かっていた。
他の客も居ないので、便利屋達の会話がきれいに聞き取れる。
「わかった!わかったわ!」
…と、何かを閃いたらしき陸八魔の声が。一体何が分かったのだろう。
「私、ずっと引っかかってたの!問題はこの店よ!」
「えっ!?何が!?」
「私達は仕事しにこの街に来てるのよ!ハードボイルドに!アウトローっぽく!なのに───なのに、なんなのよこの店は!?お腹いっぱい食べられるし!あったかくて親切で!話しかけてくれて、和気あいあいで、ほんわかしたこの雰囲気!ここに居ると、皆仲良しになっちゃう気がするのよ!」
「…それに何か問題でも?」
「大有りよ!私が一人前の悪党になる為には、こんな店は要らないのよ!私に必要なのは冷酷さと無慈悲さと冷酷さなの!こんなほっこり感じゃないの!」
ショックだ。まさか『いい奴しかいない』と言われるカニ好きに一人前の悪党を目指すものが現れるとは。
「……。」
……?何故だろう、凄く嫌な予感がする。
「それって……こんなお店はぶっ壊してしまおう、ということですよね、アル様…?」
「…へ?」
「良かった、遂にアル様の力になれます…!」
そう言った伊草の手には、何かのスイッチが。
あなたの感覚が告げる。『あれは、マズイ。喰らえば死ぬぞ』、と。
慈悲の短剣を取り出し、付与した戦技『猟犬のステップ』で距離を詰める。
「えっ…」
少し離れた所から、姿が一瞬消える程の高速移動で近づいたあなたに驚いたのだろう、伊草は一瞬の隙を晒し───それを逃さず、速度を乗せた刺突…じゃなかった、スイッチを奪い取る。
「あっ…」
待って欲しい。少し待って欲しい。どうしてよりにもよってあなたの勤める店を爆破しようとするのだろうか。
あなたはヘイローを持ってはいないし、生命力も並以下だ。少なくとも狭間の地基準では。だからこの場所が爆破などされてしまえば正直な所あなたが死ぬ。
死んだ後どうなるかが未だ不明な今、あなたは死ぬわけにはいかない。今のあなたには大切な仲間が、同志たる先生がいる。仮に死んだら狭間の地で蘇生として、ここでいきなりサヨウナラとは、あんまりにもあんまりじゃあないか。……『爛れた血指』でキヴォトスに侵入出来れば良いのだが。
…それに。
「…それに君とて、───殺人の罪を、背負いたくはあるまい?命の重い、キヴォトスにおいてね。だから君、仕掛けた爆弾を回収したまえよ……」
「「「「すみませんでした…」」」」
「…まあ、いいさ。爆破は、免れた訳だしな」
便利屋一同の謝罪を受け入れた大将は、もしや聖人なのだろうか。
「それから、あなたにも。謝って済むとは思わないわ。じつは、その……あなた達の学校、もう一度おそ」
陸八魔達がアビドスに何をするのか。残念ながらあなたはそれを聞き取ることが出来なかった。
耳をつんざく、爆音によって。
それに対して、あなたは反射的に身構える事しか出来なかった。次の瞬間、あなたは衝撃と痛みに襲われる。かつてどこかで受けた『拒絶』や『黄金の怒り』、それらの祈祷とは比べ物にならない程の衝撃に、あなたは甚大な負傷と共に吹き飛ばされた。
地面を、或いは天井か?上も下も分からない。
とにかくゴロゴロと転がって、あなたは上下感覚を取り戻した。
攻撃。誰から。どこから。直ちに回復、いやそれよりも安全の確保を。
何だこの攻撃は。どうやって躱す。猟犬のステップか、それとも無敵か霧の猛禽でやり過ごすか。
柴関ラーメンの店は、完全に廃墟の様になっていた。
彼らは何処だ。あなたに良くしてくれた、大将は。あなたと仲良くなってくれたロボットの彼は。
呼びかけようと声を出そうとしたあなただったが、しかし喉から溢れたのはごぼごぼというまるで溺死寸前の様な音。どうやら喉がイカれた様だ。
見回せば、視界がおかしい事に気付く。左目の視界が完全に無くなっている。目が潰れたか、それか───いや、考えるのはよそう。
と、あなたは瓦礫の下敷きになり気を失った大将とロボットの彼を発見する。
…良かった。生きている。
とにかく早く回復の祈祷を。生きてさえいれば間に合うから───
しかし。ひとまず瓦礫を退かさなければ。回復の祈祷は隙が大きい。安全な場所に移動しなければならない。
だが、残念なことに今のあなたの腕ではこの瓦礫を退かせそうに無い。筋力不足はいつもの事だが、何せ左手の手首から先が完全に無くなっている。これでは余り力が込められない。
さて、どうしよう。『拒絶』のようなこの状況で役立ちそうな祈祷は、生憎今は記憶していない。
そうだ。便利屋に手伝って貰おう。キヴォトスの住人であり、ヘイローを持つ彼女達ならば、今の攻撃に耐えられた筈だし、この瓦礫を退かせる程の膂力もあるだろう。…依頼料は、足りるだろうか。
そして、便利屋の方を振り返ったあなたは目にした。
陸八魔も、伊草も、鬼方も、浅黄も。
「え…なによ、それ……、」
皆揃って、顔を死人のごとく青褪めさせ、恐怖に歪んだ表情であなたを見つめているのを。
もしも主人公がやって来たのが、原作開始前(アビドス編が始まる前)のゲヘナだったら?
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