NHKスペシャル戦争特番、BPO申し立てへ 「総力戦研究所」元所長の孫
NHKが16、17日に放送した、戦時下の「総力戦研究所」を描いたドラマを巡り、所長の孫で元外交官の飯村豊さんが26日、東京都内で記者会見し「歴史がゆがめられ、祖父の人格を毀損するような描き方をされた」と抗議した。放送倫理・番組向上機構(BPO)へ申し立てる意向という。
ドラマは戦後80年関連のNHKスペシャル「シミュレーション 昭和16年夏の敗戦」。猪瀬直樹さんのノンフィクションが原案で、日米開戦直前に設立された首相直属の総力戦研究所が舞台となっている。研究所に集められた若きエリートたちが開戦に踏み切った場合の可能性をシミュレーションし、「圧倒的な敗北」に至ると結論づけるが、政府は聞き入れず戦争に突入するという史実に沿った物語だ。脚本・編集・演出は映画監督の石井裕也さん。
研究所の所長は、飯村さんの祖父で陸軍中将の飯村穣が務めた。自由な議論を後押ししたとされるが、ドラマの所長は結論を覆すよう圧力をかける人物として描かれていた。一方、ドラマに続くドキュメンタリーのパートでは飯村さんもインタビューを受け、その人物像が説明された。
番組では冒頭に「所長および関係者はフィクションとして描かれています」とのテロップを表示。だが、飯村さんは「ドラマのインパクトが大きく、どこまでが創作でどこまでが史実なのか分かりにくい」と話す。
NHKは「飯村穣氏の実像についてはドキュメンタリーパートで伝えており、ドラマの所長とは関係ないことも明示しています」としている。〔共同〕