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年俸大幅アップ!結婚!ハワイ!夢の福岡 南海からダイエーへ 移転で人生変わった藤本監督

 34年前の光景を鮮明に覚えている。1989年1月19日午前。下ろしたてのエメラルドグリーンのブレザーに身を包み、藤本博史(現ソフトバンク監督)はダイエーの一員としてチャーター機から福岡空港に降り立った。「覚えているよ。派手な登場やったからね」。地元球団に沸く福岡市民の大歓迎を受けて、新天地での生活も始まった。

 藤本は南海最終年となった88年にブレークした。自己最多の108試合に出場。一気にレギュラーへと駆け上がろうとしていた。そんなタイミングでの球団身売り。大阪府出身で関西一筋だったが、「不安はなかったよ。平和台球場にも試合で行って、福岡はいい街って分かっていたから。福岡ならいいなあって」と身を任せていた。

 飛ぶ鳥を落とす勢いのダイエーは待遇面も手厚かった。88年オフにはダイエーとの契約更改交渉。「720万円ぐらいから1800万円になったからね。当時は1000万円もらったらレギュラー。今の1億円プレーヤーぐらいのイメージだった。ダイエーで契約してもらって、そういう意味ではびっくりした」

 そこには球団の“号令”もあった。「当時、落合(博満)さんが初めて1億円プレーヤーになったのかな。ダイエーの中内(㓛)オーナーも『このチームから1億円プレーヤーを出しなさい』と。ターゲットは佐々木誠だったと思うけど、僕らも1軍で試合に出るにつれて給料が上がる形だった。野球自体は(南海時代と)変わらないけど、やればやるだけもらえるのはすごくやりがいがあった」と振り返った。

 野球に取り組む環境面でも変化があった。バットなどの用具面でメーカーとの契約も増えた。南海時代は一流選手以外は自分で購入していたが、「1軍で試合に出ていたらある程度は契約してくれた。その辺はありがたかった」と懐かしんだ。

 初年度の春季キャンプ地は米ハワイ・カウアイ島。念願の温暖な地でのキャンプだった。南海時代は広島県の呉市。「他のチームはグアムやサイパンとかで気温が25度とかいっているのに南海は1度とかだったからね。2、3回は雪かきもあった。そこは雲泥の差やったよね。暖かい所でやらせてくれるのは良かった」と感謝していた。

 地元球団の誕生を待ちわびていた福岡のファンからも歓迎された。初年度は球団史上初めて観客動員数が100万人を超えた(125万人)。「(南海時代の)大阪球場でやっていたから、福岡に来て、熱狂ぶりはすごかったよね」。ただ、西鉄の流れを引く西武との試合だけは雰囲気が違った。「平和台でやっているときでも最初は7、8割が西武ファンだった。1年ずつ(ダイエーファンが)増えていって、4年目ぐらいから多くなった。(福岡の人が)ライオンズからホークスファンに変わってきたのかな」と眺めていたという。

 あれから34年。ダイエーからソフトバンクと変わったが、福岡にホークスは欠かせない存在となっている。常勝軍団と呼ばれ、藤本監督はその指揮を執っている。「ホークスは福岡に根付いた。あれだけのファンがいるわけだから。選手もやりがいがあると思う」と頼もしい選手を見つめた。

 最後に一つ、移転は人生の転機になった。「当時、身売りが決まって、『一緒に行くか』ということで結婚したからね」。大阪から福岡へ-。ホークスは大きな歴史の転換点を迎え、物語が進んでいく。(小畑大悟)1989年1月20日付の西日本スポーツ

 1面の見出しは「ダイエー雄飛」。記事では「鷹が福岡に飛んできた。大阪から西へ六百キロ。二百八十人乗りのジェット機をチャーターして福岡ダイエーは新しい巣へ」と書き出し、福岡空港で「球団と本拠地が完全にドッキングした瞬間」を詳しく伝えた。中内㓛オーナーは「私の役目は終わった。きょうから市民の皆さんがオーナーです」と話し、見出しでも大きく「オーナーは福岡市民」。ライオンズが埼玉・所沢に移転することが発表されたのが78年オフ。桑原敬一市長は「十一年間待ちに待ったプロ球団」と歓迎した。その後の地元の政官財界など約1800人を招いた豪華なパーティーも詳細に伝えた。

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小畑 大悟

小畑 大悟

記者

1982年生まれ。大分県中津市出身。 2007年入社。運動部、折尾支局、東京支社(西武担当)などを歴任。 2022年2月から再び「タカ番」を担当。 スポーツ経験はバスケットボール。趣味はランニング。

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