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〈パの経営改善策(3)〉世界に広げた配信事業

2004年の球界再編当時にほぼなく、いま見込めるものと言えば「配信収入」だ。現在パ・リーグでは、6球団共同で立ち上げた「パシフィックリーグマーケティング(以下:PLM)」が「DAZN」「パ・リーグTV」(パテレ)などの配信を一括で管理し、各球団に協力金を分配している。

各プラットフォームを合わせた配信視聴者は、6年前の7倍以上に増加。PLMの経営面で見ても、07年には1.8 億円だった売上は2015年には16億円を越え、直近の23年12月期には売上約60億円、純利益2.2億円を計上。6球団への貢献とビジネスを、しっかり両立させているといえるだろう。

なかでも「パテレ」は、「野球ファン以外にも楽しめる野球」を提供した功績が大きい。2時間、3時間のゲーム視聴を好まない「タイパ重視」組にも、白熱した好プレーを1~2分サイズで提供。ゲームの楽しみ方や選手のストロングポイント(強み)を、手広く見せてくれる。

パテレでは試合の動画だけでなく、ファン感謝イベントや新人選手入団会見のもようも配信される
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例えば、野球を見ない方でも「すごい!」と分かる源田壮亮選手(西武)の動画を視聴すれば、「源田たまらん」とタイトルがついた関連動画への回遊が始まる。

いつしか今宮健太選手(ソフトバンク)の内野守備、万波中正選手(日本ハム)のバックホーム返球、はてはプレイ以外にも、男子高校生のようなオリックスベンチのワチャワチャ、吉井理人監督(ロッテ)が代走を告げるポーズが可愛い(59歳)、など…都合10~20分の視聴で、プロ野球の醍醐味やツウの楽しみ方を堪能できる。

ここからファンを育て、DAZNや各プラットフォーム契約に繋がれば、分配金を通じてパ・リーグ各球団が潤う。

こういった配信は、放映権料のしがらみがあるセ・リーグでは、なかなか話がまとまらない。いまでも「パテレ」のような「セテレ」(セ・リーグTV)はなく、既存の地上波中継局との絡みもあって、DAZNでのセ・リーグ全球団中継も実現していない。

一方でパ・リーグは配信視聴の客層を着実に取り込み、24年6月からはアメリカ「One Baseball Network」との提携で、中・南米40ヵ国(最大視聴世帯数約500万世帯)の配信を開始。

いまや日本の野球はWBC制覇、日本人選手の活躍などで世界に知られるようになっており、各国では「日本の野球=あの大谷翔平選手が在籍したパ・リーグ」と認識されていくのかもしれない。

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