〈パの経営改善策(1)〉ライバルは居酒屋&カラオケ!
巨人戦の地上波中継が行われていた頃の収益構造は、セ・リーグ球団は「入場料5割、放映権料2~3割」。パ・リーグは「入場料7割。放映権料1~2割」といったところだ(2004年8月8日、TBS「がっちりマンデー」より)。再編問題後のパ・リーグ6球団は、収入アップのカギを握る入場者の獲得に、真っ先に取り組む必要があった。
特徴的な施策を打ったのが、新規参入組の「東北楽天ゴールデンイーグルス」(以下:楽天イーグルス)だ。EC事業(ネット通販)の会社としてデータマーケティングのノウハウを持つ楽天は、平日夜に開催されるナイトゲームの集客のライバルとして、会社帰りにサラリーマンがワイワイと集まる居酒屋やカラオケを位置付けたという。
通常なら野球に興味がある層へのアプローチをかけるが、新規参入の球団、かつプロ野球に馴染みがない仙台市で、コアな客層は限られる。一方で、楽天イーグルスの関係者が夜の仙台でリサーチした限り、繁華街は仕事を終えたサラリーマンで賑わっていた。仙台のサラリーマンの“コト体験”ニーズは「退勤後に仕事仲間で集まって、賑やかに楽しむ」ことだったのだ。
そこで楽天イーグルスは、しゃべりづらい横一列の座席だけでなく、居酒屋のように楽しめるボックスシートを積極的に売り出す。野球に興味のない人は同僚との会話を楽しみ、試合が盛り上がったらみんなで観戦…気が付けば“みんなファンになっている”という仕掛けだ。
なお、セ・リーグの横浜DeNAベイスターズでもこういった客層を「アクティブサラリーマン」と位置付けて観戦需要を掘り起こし、大幅な集客増を達成している。