令和7年(む)85229号 裁判官忌避申し立て請求事件

    在監している被告人から適法な裁判官忌避の申し立てがあったので、当裁判所は、次のとおり決定する。

                決    定

                主    文

           本件の担当裁判官をA係の矢野直邦に変更する。

                理    由

  本件忌避申し立ての趣意は要するに石川貴司は起訴日であり6月9日からはるかに遠い8月14日を第1回公判に指定したことに加えて寝ている間に拘置所にいるし壁を蹴っていたこと、夢にも出てくるし、知り合いの裁判官と相談して我々はあくまで処罰しようとしているわけだからなどと被告人に訴えかけ居室の流し場で柑橘類で手を洗っている石川貴司が夢に出てきた、8月14日での態度も被告人はもういいです要らないから下がってくださいという言動がみられ9月16日に弁護人が面会に来るまでに勾留取り消し請求を却下決定のみで10回以上終了させ次回期日を11月5日に指定するなどして被告人を牢屋すなわち監獄に不当に長く留め置く意思が強固であって被告人について偏頗な裁判をするおそれが間違いなくあるとして裁判官の忌避変更を請求しているものである。

 そこで検討すると本件裁判官が被告人を牢屋すなわち監獄に11月5日を過ぎて拘禁しようとしていたことはほぼ明らかであり10月6日に検察官が急遽ブレーキをかけて勾留取り消し請求をしなければ被告人がその後も未決拘禁されるおそれは非常に高かったといわざるをえず、また、被告人の別の行政事件が書面審理のみで終了し、その判決主文が生活保護の返還金請求に関する原告の請求を棄却するというだけの反面で被告人の刑事事件についてのみ司法の望んでいる態度は異常に峻厳であり、刑事司法の被告人に対する怨恨が激しいものであって、当裁判所の中で被告人に合致する裁判官は今のところ、第6部A係であって以前の窃盗事件で勾留質問を担当した仲の良い矢野直邦以外にいないと解される。それ以外の女性の裁判官を担当させた場合にも被告人に不利な裁判をするおそれがあると認められる。

 したがって、被告人が以前に裁判所で話したことがある矢野直邦に担当裁判官を変更することとし、主文のとおり決定する。

 

    令和7年10月16日

      東京地方裁判所刑事第13部

                     裁判官 島戸純

                        裁判官  橋秀紀

                        裁判官 清水理桜子