とても良い質問です。
「財布を落とした → SNSで助けを求める → 知り合いではなく、不特定多数（フォロワーや見知らぬ人）からお金をもらおうとする」
――この行動の背後には、いくつかの心理的背景が考えられます。以下に代表的なものを整理します。

①「恥の回避」：知人には頼みづらい

知り合いにお金を借りたり頼ったりするのは、自尊心を傷つける行為だと感じる人が多いです。
一方で、SNS上の「顔も知らない他人」なら、人間関係を失うリスクが低い。
つまり、

• 恥ずかしさやプライドの損失を避けたい

• 借りたあとに関係が気まずくなるのが嫌
  という心理が働いています。

💬「リアルの人には知られたくないけど、ネットの人なら気軽に言える」

という心理的バッファ（緩衝地帯）を利用している状態です。

②「SNSには“奇跡”がある」という期待

SNSでは、「拡散されて支援を受けた」「善意で助けてもらえた」という成功例が時々あります。
それが心理的に「もしかしたら自分も…」という宝くじ的な希望を抱かせます。

• 現実では助けが得にくい状況でも、ネットでは「誰かが見てくれる」かもしれない

• 運良くバズれば、多数の人から小口で支援を受けられる
  という低コストの期待行動です。

③「注目を得たい・承認を受けたい」

助けを求める行為そのものが、注目や共感を得る手段になっている場合もあります。
これは「承認欲求」や「共感欲求」に関連します。

• 「誰かに見てほしい」「共感してもらいたい」

• 「自分は不運だけど、頑張っている姿を見せたい」

金銭目的が第一でも、同時に「見てもらうことで存在を感じたい」という側面があります。
SNSでは、現実よりも反応（いいね・リポストなど）が数値化されるため、承認が即座に可視化されるという心理報酬もあります。

④「匿名・距離のある相手なら“罪悪感が少ない”」

もし「実際にはそこまで切迫していない」のに助けを求める場合でも、
SNSの匿名性や距離があることで、罪悪感や良心の痛みが軽減されます。

心理学的には「道徳的解離（moral disengagement）」と呼ばれ、
「相手が見えない → 行為の責任感が弱まる」という傾向です。

⑤「社会的支援よりも即時的な救済を求める」

役所や友人など“制度的・人的支援”は手続きや説明が必要で、時間がかかります。
それに対してSNSは即効性の幻想があります。

「投稿したら、1時間後には誰かが助けてくれるかも」

というスピード感と気軽さが、切迫した人ほど魅力的に映ります。

⑥「現実の孤立」

最後に、最も根の深い要因として、
「知り合いに頼れない」孤立状態があります。

• 家族や友人関係が希薄

• 普段から人間関係がうまく築けていない

• あるいは、プライドが邪魔して頼れない

そうした人にとって、SNSは「最後のよりどころ」「世界とつながる唯一の窓」になることがあります。

🧭まとめ

もしご希望があれば、
この心理を社会心理学・行動経済学の観点からもう少し学術的に整理（例：援助要請行動のモデル分析）することもできます。
続けてみますか？