Tarnished Archive   作:助動詞

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UAが一万の大台を突破したので初投稿です。

───初投稿は巡り、そして終わらない物だろう?


『日常』

翌日。無事に対策委員会with先生からのお説教を乗り越えたあなたは、セリカと共に昼間からアルバイトに励んでいた。

 

『学校はどうした』と言われそうだが、しかし今日は自由登校日。つまり、学校には行っても行かなくても良いのである。

 

「いらっしゃいませー!3名様ですね?こちらの席にどうぞー!」

 

「お待たせしましたー!こちら、ご注文頂いた柴関ラーメンです!」

 

…それにしても、セリカは随分と作業が早くなったように思える。順調に仕事に慣れてきた様で何よりだ。

 

あなた達がいつものように仕事をしていると、あなたのよく聞き慣れた声がした。

 

「あの〜☆五人なんですけど〜!」

 

「あ、あはは…。セリカちゃん、お疲れ…」

 

「お疲れ様」

 

なんと昨日のあなたに説教をしたメンバー、対策委員会with先生(セリカ抜き)のご登場である。

 

「み、みんな…どうしてここを…?」

 

「うへ〜、やっぱここだと思った」

 

「"どうも"」

 

「先生まで…!やっぱ、ストーカー?」

 

「うへ〜、セリカちゃん達のバイト先といえば、ここしか無いかなぁ〜って思ってね」

 

「ホシノ先輩か…っ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

セリカによって空いている席に案内されたアビドス高校の面々+先生は、和気あいあいといった感じで会話していた。

…あなた抜きで。

 

いや、確かにこれは仕方のない事である。あなたの仕事場は厨房であり、そこはテーブル席に居る彼らと談笑できる様な場所ではないからだ。

 

…頭では分かっている。だというのに、あなたは不思議と疎外感を抱かずにはいられなかった。

 

おかしい。一人で居るのには慣れている筈なのだが。

 

狭間の地では、あなたと共に旅をしていたのは遺灰で召喚した霊体とトレント(ある駿馬の霊)…と偶に祝福で現れるメリナ(霊体)だけだったし、彼らも何時でも呼べるという訳でも無かったからだ。

 

……霊体ばかりではないか。

 

もしかして、あなたはいわゆる『ぼっち』というやつだったのだろうか。いや、そんな事はないはずだ。共に旅をしていたという訳ではなかったが、あなたには数々の知り合いや戦友達がいる。

 

……そう言えば、彼は今どうしているのだろうか。

今でも、アルター高原の王都外廓付近の池でカニとエビ(ザリガニ)を茹でているのだろうか。

 

「すみませーん、塩二つ、味噌一つ、チャーシューラーメン一つ、特製味噌炙りチャーシュートッピング一つお願いしまーす!」

 

あなたが狭間の地に思いを寄せていると、セリカから注文が伝えられる。

 

さあ、仕事を始めよう。

 

あなたは気合いをいれると、いつものように超高速で調理を開始した。

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

「お待たせしました!こちらご注文頂いた…」

 

「"待って待って待って早い早い早いから!?三分だよ!?まだ三分しか経って無いんだよ!?"」

 

「ん、確かにラーメン5杯を三分は早すぎる…。まさか!?」

 

「店主さん、腕の良いバイトの方を雇ったのでしょうか…?まさか、星見さんだったr「大将、分身の術を覚えた…!?どうしてそうなったんですか!??

 

「……あれ〜?そういえば、セリカちゃん、随分と器用になったね〜」

 

「へ?…そ、そう?」

 

「ん、確かに。そう言えば、銃のリロードも何だか速くなってた」

 

「うへ~。後輩の成長を見れて、おじさん嬉しいよ〜」

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

(お疲れ様でしたー!)

 

「「お疲れ様でしたー!」」

 

あなたとセリカ以外のアビドスの面々が店を去ってから数時間後。

 

労働から開放されたあなた達は、いつものように二人で帰路についていた。

 

「はぁ…やっと終わった…。目まぐるしい一日だったわ…。皆で来るなんて…騒がしいったらありゃしない」

 

……。

 

「?何よ。……悪かったわね。あんた抜きで皆と楽しく喋ってて…って、全然楽しくなんか無かったから!」

 

あなたのじとっとした視線を浴びたセリカは、気まずそうに謝罪をすると、唐突にキレてしまった。

 

しかし今のあなたは、それが彼女なりの照れ隠しである事を知っている。

 

「…もう、何なのよその生暖かい目は!!」

 

…しばらく、互いの足音だけが響く時間が続く。

 

どれ程の時が経っただろうか、セリカが静寂に耐えかねた様にあなたに話しかけた。

 

「…その、昨日も言ったけど……心配かけて、本当にごめんなさい。……あと、探してくれてありがとう

 

と、あなたへの謝罪と感謝を伝えるセリカに、あなたは『大丈夫だ、問題ない』と伝える。

 

…それにしても、今思い返せば、あれは何とも不思議な体験であった。

 

不死の存在であるあなたが『もし死んだらどうするの?』などと説教をされるなど。あなたの正体を知っている者が見れば、その場面は何とも滑稽に映る事だろう。

 

しかし、彼女らはあなたが不死である事を知らないのである。だから、彼女達の言い分は正しいだろう。

 

…そう。あなたは、未だに自身が不死である事を明かしていないのである。それは何故か。それは───自らの不死性を、証明する事ができないからだ。

 

…あなたの言う不死は、『どんな攻撃を受けても死なない』という意味ではない。攻撃を受ければ普通に死ぬし、毒物などにも特に耐性は持ち合わせていない。

 

では、何故あなたは『不死』なのか。

それは、『死んでもすぐに生き返る』からだ。

 

狭間の地には、『祝福』という物がある。あなたを含めた一部の褪せ人は、死んでも最後に訪れたそれの近くから復活する事ができるのだ。

 

しかしここキヴォトスにおいて、あなたはまだその祝福を発見していないのである。つまり、『死亡時にどこで復活するかわからない』のである。

 

もしかしたら、死んだ場所の近くから復活するかも知れないし、最初にキヴォトスで目覚めたあの砂漠から復活するかも知れない。或いは───狭間の地に戻されるか。

 

あなたとしては、狭間の地にはまだ戻りたくは無かった。

昨日先生に伝えた豚骨ラーメンもそうだが、あなたは先日コンビニエンスストアで見かけたあの美味しそうなホットスナックをまだ試せていないのである。だから少なくとも、アルバイトの給料が支払われ、それらを買えるようになるまで───

 

───あなたは、死ぬ訳にはいかないのである。

 

それに、もしもあなたが不死の(いくら死んでも生き返る)存在であると知った彼女達に───『死んでも生き返る化け物』と、そう罵られようものなら。

 

恐らく、あなたはもう立ち直ることができないだろう。(まぁ、彼女達のその善性を考えれば、そのような事を言われる可能性は余り考えられないが)

 

だから、あなたは自身の不死性を証明する事ができないのである。

 

 

…それから。あなたは自身が修めている『輝石の魔術』や各種祈祷などの魔法についても、同様に話していないし使用してもいない。

 

キヴォトスに魔法は存在しない。ノノミ先輩とホシノ先輩による授業で、あなたはその事を知っていた。だから、あなたの使う魔法は、文字通りの初見殺し、つまり戦闘における大きなアドバンテージとなるだろう。けれども、あなたは未だに魔術も祈祷も使っていないのである。

 

使っていない理由については、先ほども言った通り、キヴォトスには祝福が存在しない───つまり、魔法の使用によって消耗したFPを、回復する手段が非常に限られているのである。即ち、青雫の聖杯瓶である。

 

一応、FPについては、以前(ホシノ先輩の指弾きを受けた時)試しに自分に割り当てられた教室で『性急な回復』の祈祷を使用した際、しっかりと眠る事で回復する事ができると判明しているが、戦闘中に眠る訳にもいかないだろう。となれば、FPを素早く回復できる、青雫の聖杯瓶に頼るしか無い。星光の欠片という、他の回復手段も無い訳では無いが、あれは余りにも貴重すぎるし、何よりも聖杯瓶程の即効性がないのである。

 

また、あなたの高い技量とタリスマンがあるとはいえ、詠唱に時間が掛かってしまうのもネックだ。

あなたが魔法を使う為には、触媒を構え、呪文や祈りを唱える必要があるが、対して銃は狙って撃つだけで良い。あなたが魔術一つを発動する間、敵はあなたの身体に何発もの(あなたが数回死ねる程の)銃弾を叩き込めるのである。

 

 

そして、魔法について話していない理由だが───単純に、あなたが皆から失望される事が怖かったからだ。

 

あなたが今在籍しているアビドス高校は、借金以外にも実にさまざまな問題を抱えている。

 

そこに、あなたが『実は私は魔法使いだ』と言えばどうなるか。

 

当然、彼女達はこう言うだろう。『では、お前の魔法でこの問題を何とかしてくれ』と。

 

しかしあなたは、砂漠化に浸食される街をどうにかする事などできない。

 

しかしあなたは、九億円を超える借金を返済する事などできない。

 

しかしあなたは、六人しかいない全校生徒を、増やす事など出来はしない。

 

あなたに魔法で出来るのは、精々が攻撃と回復、味方への支援くらいのものだ。

 

それを伝えた時、彼女達はどんな反応をするだろうか。『それなら仕方ない』と割り切るか。それとも───あなたに、失望の眼差しを向けるだろうか。十中八九、彼女達の反応は前者だろう。けれどもあなたは、どうしても彼女達を信用する事ができなかった。

いつも、裏切られてばかりだったから。

 

今のあなたにとって、何よりも大切な『仲間達』から向けられるそれは───あなたにとって、どんな強大な竜の咆哮よりも、恐ろしい物に感じられるのだ。

 

 

「…星見?どうしたの?何だか暗い顔をして…。問題ない?…そう。それじゃ、また明日ね」

 

現在、あなたが住まうアビドス高校の前で、いつものようにあなた達は別れた。明日、また会おうと言い合って。

 

実際、あなたは何も疑う事なく信じ切っていた。

 

キヴォトスの住人は、とても頑丈だから。

 

対策委員会の皆は、とても強いから。

 

何事もなく、明日も会えるものだと、いつの間にかあなたはそう思うようになっていた───分かりやすくいえば、あなたは油断していたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「…は?セリカが、攫われた?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




私は上手く小説を書けているでしょうか…?不安だ…!読者様…!

追記:誤字報告、ありがとうございます!

もしも主人公がやって来たのが、原作開始前(アビドス編が始まる前)のゲヘナだったら?

  • 給食部ルート
  • 美食研究会ルート
  • 温泉開発部ルート
  • 激長!便利屋ルート
  • やっぱり激長!風紀委員会ルート
  • 全部書いて♡
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