Tarnished Archive   作:助動詞

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前回、とんでもないミスをしていた事が判明したので該当箇所を修正しました。
何か気になる点があれば、私に伝えて下さい。




食べ物への恨み

アビドス高等学校にめでたく入学したあなたは、現在、ホシノとノノミによる「『先輩』」…ホシノ先輩とノノミ先輩によるキヴォトスにおける社会常識についての授業を受けていた。

 

かつて不正に入手した鍵を使って学院に侵入し、強奪と殺戮を繰り広げた挙げ句、正気を失っていた学院の長兼カーリア王家の最後の女王をロングソードで滅多斬りにするという暴挙を行ったあなたにとって、こうして普通に学校に通って学ぶと言うのはなかなか新鮮な体験であった。

 

「これが、目上の人に対する話し方です☆しっかりと覚えて、使いこなしてくださいね〜!」

 

「ZZZ…」

 

二人の───正確には一人寝ているので、ノノミ先輩のお陰で、あなたは目上の人への接し方をマスターしようとしていた。

 

一体いつまで眠るつもりなのだろうか。既にホシノ先輩が寝息を立て始めてから、一時間が経過している。

 

彼女を叩き起こしてやろうと立ち上がったあなたを、しかしノノミ先輩が制止する。

 

「しーっ!かなり疲れていたみたいですし、このまま暫く休ませてあげましょう」

 

「えぇ、そうですね。…些か、休ませ過ぎの様な気もしますが

 

「そろそろ昼食の時間だし、先輩が起きたら星見の入学祝いも兼ねて皆で柴関に行こう」

 

「よーし、それじゃあ行こうか!」

 

「ホシノ先輩…」

 

…何ともまあ即物的な先輩である。

 

 

 

 


 

 

 

 

『学校に入学した』といえば、一つちょっとしたエピソードがある。

 

何を隠そう、あなたの制服についてだ。

 

現在、あなたはアビドス高校の女子用の制服を、自分自身の手で男子用の物に改造した物を着用している。

 

なぜわざわざそんな事をしたのかというと、キヴォトスにはあなた以外の人間の男性がいないからである。

 

人間の男性がいないということは、当然男性用の服も存在しないということ。

 

あなたとしては、化粧により服の方に自分の肉体を合わせても良かったのだが、セリカの

「あんたって女装の趣味あったの?……うわぁー…

という一言により泣く泣く断念した。

 

その時皆が浮かべていた苦笑いは、今尚あなたの脳裏にこびりついて離れないのである。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

「着いた。ここが『柴関ラーメン』だよ」

 

アビドス高校から歩いて数十分。

 

あなた達は『柴関ラーメン』という店に到着した。

何でもこの場所では、『ラーメン』なる食べ物を販売しているそうだ。

 

意外とグルメであるあなたは、初めて聞く食べ物についてあれこれと思索を巡らせ、期待を高めていた。

 

ところで、今のあなたはキヴォトスで使われている金を持っていないのだが。

 

「大丈夫!今日は星見君の入学祝いですし、私が奢ってあげます☆」

 

「すみませーん、六人なんですけどー」

 

「へいらっしゃい!…六人?新入生って時期でもないし、転校生かい?」

 

と、あなた達に親しげに話しかけるこの店の主人と思われる人物。

 

彼はふさふさとした尾を持っていた。

 

彼の全身はふわふわの体毛に覆われている。

 

彼の頭の上には、シロコ先輩の持つそれとよく似た、ぴん、と天をつく一対の耳。

 

犬。二足歩行の犬であった。

 

それを認識した瞬間。あなたの身体は反射的に動き出した。必死で彼から距離を取り、攻撃に備え身を守る。

 

「うへー、どうしたのー?…ちょっと!?その盾どこから出したの!?」

 

「もしかして、犬、苦手?」

 

「ちょっと!あんた何してんのよ!?店主さんに失礼でしょう!?すみません、ウチの転入生が…」

 

「ハハハ!気にしねぇよ!ヘイローがねぇってことはそいつ、外の世界から来たんだろ?あっちにゃ俺みたいなのは居ないって聞くし、大方ビビっちまったんだろうよ!」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

戦闘態勢に入りかけたあなたを対策委員会の面々が引き留めた(メッ☆した)後、あなた達は店主に六人掛けの席に通された。

 

「私は塩で」

 

「えっと…私は味噌で…」

 

あなた以外のアビドス生が慣れた様子で店主に注文をする中、あなたは机の上に置かれていたメニュー表に目を通していた。

 

柴関ラーメン───580円

 

塩ラーメン───◯◯◯円

 

豚骨ラーメン───◯◯◯円

 

醤油ラーメン───◯◯◯円

 

味噌ラーメン───◯◯◯円

 

既に注文を終えた皆と注文を待つ店主に注文が遅れてすまないと謝罪を入れつつ、あなたは初めて見る単語について考えていた。

 

即ち、『豚骨』『醤油』『味噌』について。

 

文中で、あなたもよく知る塩と同じ様な使われ方をしているということは、恐らくそれらはラーメンの味を示しているのだろうか。

 

しかし、仮にそうだとすると、『豚骨』というのがどうにも引っかかる。

 

豚骨。豚の骨。*1

 

豚の骨の味。何とも猟奇的な味付けである。

 

だとすると、醤油と味噌というのがどういうものなのか、非常に気になって来る。

 

「えっ?醤油と味噌について?そっか、狭間の地にはどっちも無かったんだ」

 

「それでは、私が説明しますね。醤油と味噌は、どちらも大豆という豆が原材料で…」

 

アヤネから説明を受けたあなたは、ある一つの結論を抱く。

 

……醤油と味噌の発明者は、大豆に対して随分と恨みを持っていたらしい、と。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

結局塩味のラーメンを注文したあなたは、目の前に出された『それ』に、ただ圧倒されるばかりであった。

 

大きな器に注がれた薄い色のスープに浮かぶ、分厚く切られた肉。

 

端の方に添えられた、恐らくは海藻であろう薄くぱりっとした黒色のそれ。

 

縦半分に切られた、完璧に茹で上げられた半熟の鶏卵。

 

これでもかと中央で自己を主張する、刻まれたネギ。

 

そして、これが、これこそが『ラーメン』の主役であると察せられる、細長く縮れた麺。

 

目前にある料理は、その大部分をあなたが知らない食材で構成されていたが。

 

それでも、あなたの鼻に届くその匂いが。あなたの目に映るその一種の芸術と表現出来る程のその素晴らしい見た目が。

 

あなたの胃袋を刺激してやまないのである。

 

「「「「「いただきます!」」」」」

 

と、五人の少女たちは一斉に手を合わせる。

 

ここでの食事の前の風習だろうか。

 

一拍遅れて、あなたも同じ様に『いただきます』と唱える。

 

直後、あなたはラーメンというものをどう食べれば良いのか分からないことに思い当たる。

 

周りを伺ってみれば、彼女達は二本の棒───『箸』を巧みに用いて麺を啜っている。

 

視線を机上に戻せば、あなたは恐らく自分の分であろう箸を見つけた。

 

それを手に取り、見様見真似で麺を啜る。

 

瞬間。あなたは良い意味で期待を裏切られる。

 

単純(シンプル)な塩味だと思っていたラーメンは、しかし塩のみでは決して出せない様な深みのある味わいだった。

 

縮れた麺は、スープを良く絡め取る働きをしているのだろう、スープとの相性が抜群に感じられる。

 

その余りの美味しさに、あなたは無心になってラーメンを食べ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

「「「「「ごちそうさまでした!」」」」」

 

ごちそうさまでした。

 

食事を終えたあなたは、非常に満ち足りた気分になっていた。

 

ここまで良い気分になったのは、長い時を過ごした狭間の地でも片手の指で足りる程だ。

 

しかし、人とは何と罪深い生き物なのだろうか。

 

あなたは心の内に、ある一つの欲望が芽生えるのを感じた。───この味を作り出す、レシピを識りたいという欲望が。

 

「何?ラーメンのレシピが知りたいって?……悪いが、コイツは他人には教えてやれねぇな。…なら雇ってくれって?ははっ、随分と思い切りのいい奴じゃねぇか!……気に入った。明日面接をするから、◯◯時にここに来てくれ」

 

……後日。無事に面接に合格したあなたは、あなたと同じように店長による面接を受けるセリカの姿を目撃するのだが、これはまた別の話である。

 

*1
奇妙な事だが、ここに来た時にキヴォトスで使われている文字が分かるようになっていた




『箸』

必要能力値:技量30 能力補正:筋力E 技量S

キヴォトスの地において広く使われている、食事の為の道具

二本一組の棒は、食べ物を摘んで持ち上げる他に、柔らかい物を切ることも可能にする

しかし物を突き刺す行為は、禁忌とされているようだ
人と食事をするならば、気をつけるが良いだろう

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(追記)
続きは明日投稿します。

もしも主人公がやって来たのが、原作開始前(アビドス編が始まる前)のゲヘナだったら?

  • 給食部ルート
  • 美食研究会ルート
  • 温泉開発部ルート
  • 激長!便利屋ルート
  • やっぱり激長!風紀委員会ルート
  • 全部書いて♡
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