つまり、注意が必要だ
…え?同じ作者名の人が、2月下旬辺りで似たような作品を投稿してた?
……ワタシノログニハナニモナイナ
プロローグ
背中に衝撃を感じたあなたは、その意識を覚醒させた。
ざらざらとした、砂の感触。何処かの海岸か、それともケイリッドの慟哭砂丘か。
波の打ち寄せる音は聞こえない。ならば後者か。
そう予想して目を開けたあなたの目に飛び込んで来たのは、雲ひとつ無い青空だった。
朱い腐敗にまみれたケイリッドの地では、決して見られない光景。
ここは何処なのだろうか。なぜ自分はここに居るのか。
記憶を辿ろうとしたあなたの思考は、しかし激しい頭痛により阻まれる。
暫くして、頭痛が治まった後、あなたは記憶を手繰る事に成功した。
ラダゴンを打ち倒し、エルデの獣を滅ぼした後…その後の記憶が、ぷっつりと途切れている。
困り果てたあなたが周囲を見回すと、遠くの方に何らかの建造物が見えた。
あなたはそれをもっとよく見てみようと、遠眼鏡を取り出してそれを覗き込む。
それは、町…の様なものだった。
『様な』と言ったのは、それがあなたの知る町と大きくかけ離れた姿をしていたからだ。
神授塔もかくや、といった背の高い建物が所狭しと建ち並び、恐らく民家であろう建造物は、見たことも聞いたことも無いような建材が使われている。
その光景に探索欲を刺激されてしまったあなたは、霊馬の指笛を使い、トレントと共に(推定)町の方向へと駆け出した。
(推定)町の内部に入ったばかりのあなたは、トレントから降りて、とてもワクワクした気分で探索をしていた。
具体的には、新しい武器、自分のまだ知らない魔術や祈祷、アイテムの類に非常に惹かれていたのだ。
しかし、その気持ちは二十分後には冷めきってしまう事になる。
何せ、魔法どころか武器、アイテム、素材の一つすら落ちていなかったのだ。
つい先程迄とは真逆に、あなたはとても落ち込んだ気分になった。
具体的には────角待ちへの警戒を忘れ果ててしまう程に。
十字路に差し掛かったあなたは、角の先から歩いてくる存在に気付くことが出来ず、思い切り衝突してしまう。
「痛ったぁ!?」
そこからは反射の域だった。
あなたは即座に距離を取り、取り出した杖を、相手に向けて構える。
「っ!?」
自分への攻撃を察知したのか、相手───人間の女に近い見た目で、頭には猫の物らしき耳を、その上には謎のリングが輝いている───は、自分の武器であろう、何か筒状の物をあなたに向けた。
見たことも無い武器。あなたは確かにそれを望んではいたが、出会う状況とタイミングが最悪であった。
ともかく、先手必勝。攻撃の魔術を唱えようとしたあなたは、しかし気付きたくもない事に気付いてしまう。
先程の頭痛の影響だろうか、あなたの記憶スロットから、魔法が綺麗サッパリ消えてしまっているのだ。
背筋をつめたい汗が伝う。
武器を構えた敵に対して、今のあなたはただの棒切れを持っているに等しい状況。
武器を切り替えるにしても、その隙を突かれたらお終いだ。相手の武器の性能がどれ程の物かは解らないが、生憎生命力には自信がない。
ああ、死ぬ。
そんないつもの覚悟を抱いたあなたを、しかし彼女は怪訝な顔で見つめていた。
「…何よそれ。まさかそれで戦うつもり?」
発言の意図が掴めない。武器の変更をさせてくれる、ということだろうか?
「違うわよ!……というか、あんた誰?見た感じヘルメット団でも無さそうだし…っていうか、あんたヘイローが無いじゃない!性別も男だし…まさか、キヴォトスの外からきたの?」
ヘルメット団。ヘイロー。キヴォトス。謎の単語の三連撃に、あなたの頭脳は悲鳴をあげる……こともなく。情報の洪水は狭間の地で既に慣れ切った事であり、皮肉なことに今のあなたの記憶スロットには余裕があるのだ。
…キヴォトス。この町の名前だろうか。
「違う、この町はアビドスよ」
彼女(黒見セリカと言う名前らしい)の話によると、ここはキヴォトス───自治権を持つ複数の学校が集まってできた、巨大な学園都市───の中に存在する、アビドスと言う学校の自治区らしい。
「…それで?一体あなたは何者なの?どこから来たの?」
あなたは彼女に対して、自分は狭間の地と呼ばれる場所から来たこと、気付いたら近くの砂漠で倒れていた事を伝えた。
「狭間の地?…ごめんなさい、聞いたことも無いわ。…でも……先輩たちなら、なにか知ってるかも知れない。私が通ってる、アビドス高校の先輩。……どうしてもっていうなら、あんたを連れてってあげるけど」
「ただし」
「少しでも変な真似したら…許さないから」
黒見セリカに連れられ、アビドス高等学校にやって来たあなたは、『対策委員会』と書かれた部屋に通されようとしていた。
「…おはようございます」
「あっセリカちゃん!おはよ…う?」
「誰?その人」
黒見セリカの後ろに立っていたあなたに、四対の視線が突き刺さる。
「この人は…外から来た人。十字路でぶつかって、困ってるみたいだから連れてきたわ」
「十字路でぶつかった!?俗に言う『転校生ムーブ』ってやつじゃないですか〜☆」
「う、うるさいっ!とにかくあんた!さっさと用件を言いなさい!」
理不尽にもキレられたあなたは、その場にいた五人に質問した。
狭間の地と呼ばれる場所を、知っているか、と。
「狭間の地?う〜ん、おじさん、聞いたことないなぁ〜」
「すみません、私も聞いたことがないです…」
続けてあなたは問いかける。狭間の地を知る者ならば確実に知っているであろう単語、即ち『エルデンリング』『黄金律』を知っているか、と。
「…ん、聞いたこと無い」
「…ところで、おじさんからも一ついい?」
その時、あなたは確かに感じ取った。目の前にいる桃色の長い髪を持つ少女から明確な警戒心を。
「君、誰?名前を教えてほしいな〜。正体不明の相手にアレコレ聞かれるってのも、中々いい気分じゃあないからね〜」
その少女からの質問に、…普通の人間であれば間髪入れずに答えられるであろう質問に、しかしあなたは答えることができなかった。
理由は単純。
あなたは、とっくの昔に、それを亡くしてしまったからだ。
まずい。早く質問に答えなければ。これ以上警戒されるのは本当にマズイ。
魔術と祈祷が使えない今のあなたにとって、この状況は致命的であった。
何故なら貧弱な生命力と余り自信のない筋力で、五対一に勝たなければならないからだ。
戦闘の経験が豊富なあなたは、もしそうなったら絶対に自身が死ぬであろうことを知っている。
だからこそ、彼女の質問に答えなければならない…のだが。しかし先程述べた様に、あなたはこの質問に対する答えを持ち合わせていないのだ。
「…どうしたの〜?自分の名前でしょ〜?」
警戒心は敵対心に移り変わって行く。あなたの目の前の少女は、もはやあなたにいつ攻撃を開始してもおかしくない状態だった。
どうする。偽名を使うか。正直に『名前を喪った』と言うか。
いくら
ならば、道は一つだけ。
「…え?名前がわからない?年齢も?…どういうこと?…おじさんたちのこと、煙に巻こうって訳?」
違う。本当の事だ。以前、大きな怪我を負って、その後遺症で記憶の一部を喪ってしまったのだ。
流れる冷や汗を何とか隠しつつ、あなたはそう誤魔化した。
大怪我、と言うのは嘘ではない。実際、自分は何度も致命傷を───いや、それ以上の怪我を負ってきたしそのまま死んで来た。
具体的には竜に焼かれたり、落下して潰れた果実の様になったり、シンプルに捕食されたり、呪われたり、溺れたり、刺されたり刺さったり。
とにかく、あなたはあらゆる死に方を経験しているのである。
「なるほど…嘘を言ってる訳では無さそう…?謎の説得力も感じるし…うん、わかった。その、変な事聞いてごめんね?」
別に構いはしない。まともな受け答えができるだけ、あなたにとっては嬉しい事だ。あなたの出身地である狭間の地では、殆どの人は狂うかあなたを見るなり殺そうとして来たからだ。
「そっか。ありがとね〜。…う〜ん、でもなぁ〜。何か、君の呼び方とか、決めておきたいなぁ〜」
呼び方。なぜそのようなものを決めるのだろう。『貴公』やら『君』やら、二人称を使えば済む筈だが。
「うん。呼び名が無いといろいろと不便だからね〜。……私達と一緒に、この学校に通うにはさ」
「「「「えっ!?」」」」
あなたを含めて、五人分の驚愕。
「ちょっと待って下さい!そんなの、私は反対です!言い方は悪いですけど、その…名前も年齢も分かんない、住所も戸籍もない!そんな人、私は信用できない!」
「…私も、セリカちゃんに賛成です。彼には、悪いのですが…」
「うんうん。確かに、ごもっともだねぇ〜。…けどね。けど、少なくとも名前に関しては、今すぐにでも決まっちゃうよ〜?それに、戸籍はここの生徒になっちゃえばいいし、住所は…うん、空いてる教室が有るし、彼がもし『そこで良い』って言えば決まっちゃうし…(まぁ、流石に嫌がるだろうけど。そうなったら適当な空き家に……)…それに、今は一人でも多くの人手が欲しいって事、皆も分かってると思うな〜」
「っでも!」
しかし、その反論は、あなたによって阻まれる。
「…?どうしたの?」
あなたは驚愕した。何故なら彼女は、あなたに『住む場所を与える』と発言したからだ。
「うへ!?まさか君、ホントに空き教室なんかでい…え?定住の許されぬ身分?ちょっと待って!?どういう事なの!?」
…しまった。あまりの衝撃につい口を滑らせてしまった。
「えっと…どういう事かな〜…?『定住の許されぬ身分』って」
言葉通りの意味である。あなたは狭間の地の全ての存在から敵意を買う様な種族なのだ。
「…なによ、それ……」
…しかし、あなた達褪せ人について、どう説明したものか。
先の質問への返答を聞く限り、キヴォトスにはエルデンリングやそれにまつわる伝説や常識も伝わっていない。つまり、褪せ人についての説明が、限りなくややこしく難解な事になるのだ。
故に、あなたはこう説明した。
宗教(黄金律)的な理由である、と。
「宗教…?その、教義が危険なものを含んでいたりだとか…例えば、生け贄を捧げるような風習があったり……。無い?そう、ですか………」
あなたの被差別発言により重く沈んだ空気は、桃色の長髪の少女により霧散させられる。
「皆!早く呼び方考えよ〜!」
「!!ええ、そうですね!」
「ところであんた、狭間の地?では、なんて呼ばれていたのよ?」
そう聞かれて、あなたはかつて自分がどう呼ばれていたかを思い出した。
「ふむふむ…『褪せ人』、『貴公』、『君』、『お主』、『貴様』…し、種族名と二人称だけ…!」
「そ、そうね…。他には何かないわけ?あだ名とかそんな感じの…『ない』!?嘘でしょ!?それだけ!!?」
「…そっかぁ」
「………そうだ!」
「どうしたの?アヤネちゃん」
「一つ聞きたいのですが、ここに来る前、あなたは何をしていましたか?例えば、お仕事とか!」
「何よ?そんな事聞いてどうするつも……っそうか!それを元にすれば、少しはマシな名前が思い付くかも!」
仕事と言えるかは分からないが、あなたは星見と呼ばれる素性であったことを伝える。
「星見?…あぁ、天体観測のお仕事ですか?」
正確には違う。
狭間の地における星見とは、星に運命を見出そうとした者の事だ。夜空の上、遥か彼方を煌めくそれらに、確かな未来を、或いは運命を見い出す者。あなたもその一人であった。
…既に運命は夜空から奪われてしまったのだが。
「なるほど…星に、運命を…」
「うーん、とってもロマンチックですね☆」
「…つまり、星占い?」
どうやら彼女達は『星見』という言葉を気に入った様だ。彼女達さえ良ければ、これからは星見と名乗るが。
「はい!では、よろしくお願いします、星見さん!…お仕事の名前をそのままって、正直どうなのかとは思いますが…」
「それじゃあ「…って待ってください!ホシノ先輩!」うへ、どうしたのさ」
「今思い出しました…!」
「な、なにを…?」
「私達、まだ自己紹介していません!」
「「「「…あっ」」」」
室内に、間抜けな声が響く。
「それじゃ、まずは私から…私の名前は───」
「コホン、それじゃあ、さっきの話の続きを…」
ここに住ませてもらう為の対価の話だろうか?
「うん、そうだね~。…実は私達の学校、2つの問題点を抱えててね。星見君には、それらの解決に向けた協力をしてもらおうかな〜って」
「まずひとつは〜…約9億円の借金だね」
9億。9億…?
しろがね人の大量虐殺を趣味とするあなたをして、聞いたことが無い単位が出てきた。
一体どれ程の額なのか。黒見に聞いてみるとしよう。
これは断じて現実からの逃避ではない。イイネ?
「えっと…9億円っていうのは…人が二・三人、一生遊んで暮らせるくらいの額よ」
なるほど。完璧に理解できた。
主に『一体どうやったらただの学校がそんな額の借金をするのかさっぱり分からない』と言うことが。
しかし、金なら何とかなるだろう。
手持ちの武器や装備の類に、いくつか高値で売れそうな物がある。
今の話を聞くに、ここでは通貨としてルーンではなく『円』が使われている様だ。今の手持ちの70万ルーンと溜めに溜め込んだ『黄金のルーン』が産廃と化した訳だが、まあそれらの武器類を売り払えば『円』を手に入れられるだろう。
「えっ、本当!?でも…」
あなたは高値で売れそうなタリスマン───『黄金樹の恩寵』を取り出し、皆に見える様に机の上に置いた。
「えっナニコレ!?!?」
素っ頓狂な声をあげたセリカの質問に答える為、あなたは説明を始めた。
黄金樹の、特別な恩寵の象り
黄金樹の時代、そのはじまりにおいて
女王マリカは手ずからそれを与えたという
「ちょっ、ちょっ、ちょっ、女王が手ずから!?なんであんたそんなもの持ってるのよ!?」
「……、うへぇ〜…。もしかして、星見君って実は凄い人だったり…?」
「うわぁー…これ、まさか純金…!?」
「それに、女王様が云々って話が本当なら、その価値も含めてこんな借金なんか一発で返せるんじゃ?」
「ひえぇ…」
良かった。ひとまず、あなたが定住権を得るための条件の半分は、これでクリア出来るようだ。
あなたがそんな事を考えてホッとしていると、小鳥遊が机の上のソレを、ハンカチ越しに取り上げてしまう。
「折角だけど、ごめん、おじさん、流石にこれは受け取れないかな。さっきの話が本当なら、これは、女王様が星見君に直接与えたものなんだよね〜?…それなら、これは君にとってとても大切なもののはず。だから、おじさんにはこれを売り払って借金の返済に充てるなんてことできないな」
「そっか…たしかに、そうですよね…」
「ん、私もそう思う。」
「あと…」
「「「「あと?」」」」
「ちちちちょっとそんなものおお恐れ多くて受け取れななななななななな」
「わあ!見たことが無いくらいに先輩が震えてます☆」
「…と、言う訳で、これは星見君に返却します…女王様の贈り物を売り払って借金返済の足しにするなんておじさんにはとてもとても…」
なるほど。
あなたとしては、このタリスマンの完全上位互換を二つも持っている上に、そもそもこれは拾ったものなので、別に売り払ってしまって良かったのだが。
……まぁ、黙っておこう。
ところで、問題点は二つあった筈だが。あと一つは何だろうか。
「うん、そうだね〜。…でも、これは君には任せられないかも知れないな〜」
あなたには任せられない。
その理由について尋ねようとしたあなたは───瞬間、大きな爆発音を耳にする。
「ん、今日も来た」
「それじゃあ、この件については私が説明するわ。私達アビドス高校は、毎日の様にあいつら…『ヘルメット団』から襲撃を受けているの。あんたには、あいつ等を追い払うのを手伝って欲しい…んだけど…。でも、あんたはヘイローないし、見た所武器も持ってない。だから、あんたには借金返済の方を手伝って欲しいんだけど…」
あなたに問題について説明した黒見に、あなたは問題ないと告げる。
自分は戦闘の経験が豊富であり、今だって武器を持っている、と。
ちなみに、原作って知ってます…?
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エルデンもブルアカも知ってる
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エルデンリングだけ知ってる
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ブルアカだけ知ってる(ダクソとかは解る)
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フロム?エルデン?何それ美味しいの?