青空の下、猟犬は求め流浪する   作:灰ネズミ

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アーキ坊や「独立傭兵(筆者)。これは当社系列企業、シュナイダー(空力バカ)からの依頼です」
アーキ坊や「配備されているMT部隊は応援として、貴下の投稿にお役立て下さい」

気付けばびっくりする程のアクセス数。皆さまご閲覧等頂きありがとうございます。また誤字報告もありがとうございます。投稿時に見直してはいるものの、見落とすことも多いため助かります。

今回はちょっと迷走気味…そのうち見直しを行うかもです。
621の認識がどの程度なのか、中々難しい。


8.これはお通しの初見殺しです

火と煙を噴き上げながら戦闘用ヘリコプターが墜落していく。

私は陣取ったローター近くから跳躍し、今回の協力者の傍へ降り立つ。

黄色い瞳と、赤みを帯びた桃色の長い髪から覗く黒い角。

髪と同色のヘイローを持ち、肩にかけたファー付きのコートがヘリの爆風でひらめく。

着込んだブラウスの首元には赤いリボン、スカートには機動性を確保できる切れ込みが入っている。

狙撃銃で肩を叩いて息をついている様子から、ヘリに同乗していた近接用兵士を片手で打ち抜く腕前からして物足りないのかもしれない。

そんな彼女、陸八魔(りくはちま)アルさんの後ろから楽しそうな声が聞こえてくる。

 

「アルちゃんもレイヴンちゃんもおつかれ~。楽勝だったね」

「ええ。あの程度で私達が引くと思ったら大間違いだわ」

 

白く長い髪を黒い大きなリボンで横に結び、紫の瞳は心底楽しそうに細められている。

赤いヘイローに短い裾の黒い上着、赤のスカートの裾がふわりと浮かぶ。

小柄な背丈ながらその手には機関銃が握られており、反対の手には大きなバッグがある。

先程見た限り、敵の集団に放り投げた時に大爆発を起こしていた事から、爆発物が詰まっているのだろう。

浅黄(あさぎ)ムツキさんは少女のような無邪気さで敵を吹き飛ばしていた。

その声色は戦闘が楽しいというよりも、いたずらの延長のように感じる。

…今回のミッションでは相手陣営を制圧後、依頼人のオートマタがヘリを持ち出して報酬を出し惜しみしたのだ。

その依頼人を縛り上げてメンチを切っていた女性がこちらに歩み寄る。

白いヘイローに白と黒の髪を後ろで結わえ、後頭部から黒い角が見える。

面倒そうに伏し目を浮かべる赤い瞳を持つ顔は、他人からすると怖いらしい。私から見たら綺麗と思うのだけれど。

黒いフード付きパーカーからは赤いスカートと、コウモリのような羽が覗いている。

 

「お疲れさま。依頼人にはしっかり話を付けておいたよ」

 

彼女、鬼方(おにかた)カヨコさんが拳銃をしまいながら、ため息と共に伝えてくれる。

アルさんと私でヘリを相手している間、ムツキさんも含めた三人で交渉を任せていたのだが、この様子だと撃墜するまでゴネていたようだ。

 

「カヨコもお疲れ様。…ハルカ、トドメはいいから落ち着きなさい」

 

アルさんがそう言って止める先には、依頼人の頭にショットガンの銃口を押し付けている女性の姿がある。

深い色合いをした紫色の髪と瞳、同色のヘイローにゲヘナと思われる制服と帽子。

顔には親愛するアルさんを裏切った依頼人への憎悪なのか、歪んだ笑顔を浮かべている。

 

「アル様をう、ううう裏切るなんて…あ、はい。わかりました」

 

それもアルさんの声で落ち着き、タタタッと走り寄ってくる。

どうも情緒不安定のようで、依頼人の周りにいた敵を片付ける時は狂信と高い耐久で突っ込んでいた。

普段は怯えているように見えるだけに、人は見かけによらないものだと思う。

彼女達、便利屋68はこの仕事の次は大きな商談が控えていると話していたので、これで資金も確保できただろう。

私もお疲れと伝えるように頷いて見せると、カヨコさんが労う様に頷き返してくれる。

 

「それじゃ私達は引き上げるわ。…次も同じ戦場に立てるといいわね、レイヴン」

 

コートをひるがえして立ち去るアルさんに対して、私は首を傾げて肩をすくめる。

残念ながら私はまだまだ売り出し中の独立傭兵。大手から指名もくる便利屋の皆さんとはよほどでなければ同じ仕事はないだろう。

今回がたまたま残念な依頼主だったから仕事にありつけただけのため、頑張ってはみるという意味を込めた仕草になってしまう。

そんな私をムツキさんとカヨコさんは暫くじっと見ていた。ハルカさんはすでに慌ててアルさんを追っていたが、付いていかなくて良いのだろうか。

二人を見つめ返しているとムツキさんは突然楽しそうに笑い、カヨコさんは大きなため息をついた後に立ち去った。

何か気になる事でもあったのかと思う私の腰に、メールの着信があったようで通信機が震える。

…アビドス関係の依頼が流れた時、すぐわかるようにしていたのが幸いした。

依頼の合間にカタカタヘルメット団の拠点を幾つか襲撃し、ブラックマーケットまで撤退させたので別な戦力を探しているようだ。

ザッとミッションの概要を見るとどうやら何かしらの理由で一人動いている、対策委員会メンバーを襲撃するための手勢を集めているらしい。

私はフードを深く被りなおすと、アビドス行きがある駅へと走り出した。

 

◆◇◆◇◆

-アルサイド-

 

「(何あれ強すぎー!でも恰好良かったわー!)」

 

事務所に帰る道のりで、先程まで肩を並べていた傭兵に思いを馳せる。

最初は服も靴もロクに買えない、カツカツの傭兵かと思っていた。

フードを深く被り、声をかけても一言も話さないサマで、皆は取り付く島もないと呆れていた。

それでも戦闘に入れば敵陣営のサイドを器用に陣取り、嫌な位置にいる敵を瞬く間に無力化していく。

不言実行を体現するような動きはクールで格好良かった。

 

依頼人が裏切ってヘリを持ち出した時には内心慌てていたけれど、レイヴンに目線を向ければ何故か頷いた。

視線で言葉を交わしたように感じたので、乗っかって頷いて見せると、すぐさま独特な形状の突撃銃を構えて敵陣の真っただ中に入り込む。

ヘリからしたら味方に誤射しかねない状況のため、攻撃の手を止めさせたまま敵陣も撹乱する。

私もハルカ達にお願いして正面からプレッシャーをかけて貰えば、それはもうあっという間に制圧して見せた。

建物の壁を利用してヘリに飛び乗った時も物凄い驚いたけれど、近接に備えた敵が見えていたから狙撃で叩き落とす。

その後ローターに銃弾を叩きこんでヘリを撃墜させ、私の傍に降り立った姿には痺れたわ。

何とか恰好付けて見せたけど、ああいう無言で仕事をこなすアウトローも良いわね。今度真似してみようかしら。

そう考えていると追い付いてきたカヨコ達から飛んでもない話が聞こえた。

 

「あれ、共闘するかは報酬次第って言ってそうだよね~。ヤバくない?」

「うちはいつもやりくり大変だからね。下手に雇ったら赤字かも」

 

…つ、次の依頼ではまとまったお金が入る予定だし!大丈夫よ大丈夫!

 

◆◇◆◇◆

 

メールの概要を確認した所、どうやら今夜が決行日らしくギリギリ間に合った。

目の前では私と違い仕事を請け負ったらしい傭兵達や、現地招集されたのか別なヘルメット集団もちらほら見える。

隠れて様子を見ていると、ターゲットがエリアに入ったのか動き出した。

気付かれないよう追っていくと、どうやらターゲットはセリカさんだったらしい。

何かを話していた後、交戦が始まったので後ろから奇襲をかける。

 

「なっ、何事だ!?…まさかレイヴン!?」

 

数人倒した辺りで奇襲に気付いた一人が声を上げる。

しまった。仕事が終わってそのまま来たから、偽装を解くのを忘れていた。

しかしブレードさえ使わなければ良いかと思い、そのまま声を上げた相手に発砲する。

被弾に構わず突っ込み、セリカさんの元へ合流すると彼女は複雑な表情を浮かべて何か言いたそうにしている。

とりあえずレイヴンとアビドスメンバーに交流があると知られると余り良くないので、人差し指を立てて私の口元…マズルの鼻先に当てる。

鼻に指が当たりむずむずしたが、何とか我慢しているとセリカさんは呆れた表情を浮かべて肩を落とした。

 

「また気が削がれちゃったわね。兎も角コイツらを片付けるわよ!」

 

何の事かはわからないが、そう言ってリロードを終えたセリカさんは残りの敵へ向かって発砲する。

私も突っ切った後に残った敵へと向き直ったが、その奥からヤバい奴らが来た。

遠くからキュラキュラと履帯を鳴らしている戦車。あれも危険だけど、それを守るように出てきた敵も危険だ。

ルビコン3ではよく見た、だけどキヴォトスでは初めて見た敵。

 

BAWS製四脚重MTMT-J-048 BAWS TETRAPOD MT。しかも実体シールド持ち。

 

キヴォトスに合わせてかリサイズされてはいるが、試しにと発射した小型ミサイルは盾に阻まれた。

パルスブレードを使わないと瞬時に貫けそうにないため、アサルトライフルで牽制しつつ間合いを詰めようと思い。

そこでブレードを使用した場合、ブレード使用者である私オンちゃんと独立傭兵レイヴンが同一人物と気付かれるのではと考えてしまった。

踏み出した状態で止まる私に対し、すでに補足していたらしい敵側から赤い照準光と共に警告音が頭の中で鳴り響く。

慌てて避けようと思い後ろに下がろうとした時、背中に衝撃が走る。

タイミング悪く後ろに回避してきたセリカさんとぶつかってしまったようだ。

 

しまった。ルビコン3とは違い今は一人じゃない僚機がいるんだった。

 

互いに焦って見合う内に、戦車の対空砲と重MTのバズーカがそれぞれ発射される。

対空砲に二人とも巻き込まれ、どうやらACS負荷限界を超えたようでピピピピピと警告音と共に身体が硬直する。

その隙にバズーカの一発目が私の腹部。二発目に肩口。そして三発目が見事に頭部に被弾して。

 

 

 

私の意識はそこで真っ暗になった爆散した

 




連戦による赤AP、リペアなし、ブレード非推奨という無理ゲー。
こんなリードプレイ(縛り)なんて誰がかけたんでしょうね。まぁ621のうっかりなんですけど。
三週済でこれはまさに駄犬 本作品の621は諸事情によりまだ制限があり、リトライ前提のため強さはかなり控えめで考えてます。


所でルビコンとルビコン3、どういうタイミングで言い分けしよう。
今の所621視点では3付にしてますが、もう略しても良いでしょうかね…?

ケモ621のルビコン時代の小説って需要在ります?

  • 1.本編で乗せれる一部で良いですよ☆
  • 2.ん。あるから全ルート書くべき
  • 3.うへ。まずは完結からじゃない?
  • 4.まだ指が回るようなら表現力を鍛えろ!
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