試験生「やってやる…!俺だってストックはあるんだ!」
ご閲覧頂きありがとうございます。筆者がスタッガーを起こすほど感激したので早くお届けしたいと思い、ストック1本投稿させていただきます。
アビドス高等学校の一室、対策委員会の看板がある部屋に戻るとアヤネさんを除いて席に着く。
アヤネさんはホワイトボードを良く見える位置に移動する。
対策委員会メンバーが先生に改めてお礼を言った後、廃校対策としての話が始まった。
それはいいのだけれど何故私は机にうつ伏せにされて、皆さんに体中を撫でられているのだろうか。
疑問を視線に乗せてホシノさんへ向けると、気の抜けたような顔を浮かべている。
「うへー。おじさん達も疲れ気味でね。ちょっと癒しが欲しい所なんだよ」
「アニマルセラピーって奴ですね☆」
せらぴいが何の事かはわからないが、私を撫でる事で休憩になるらしい。
こんな事で良いなら好きにしてほしい。むしろ私を気遣うような柔らかな手つきな気もするけど。
ただ大事そうなミーティング中に良いのかとも思い、アヤネさんへ視線を向けると両手の甲を見せながら力強く頷かれた。
進行役の彼女に許可も頂いたので、目を細めて少し脱力する。
「…ちょっと可愛いかも…」
正面から手を伸ばしているセリカさんが、周りに聞こえない程の小声で言う。
先程のアヤネさんの行動だろうか。確かに
高めるとAC性能も上がるかと聞いたら、微妙そうな表情をしていた。
そんな事を思い出しながらミーティングを聞いていたが、この学校。中々大変であるらしい。
”借金返済って?どのくらいあるの?”
「えーと、実はこの学校借金があるんだ。大体8億くらいね」
「ホシノ先輩、9億ですよ。正確には9億6235万円です」
「あれ、そうだっけ?うへ、ごめんね。おじさんもう年だから~」
先生からの問いかけにホシノさんが答えるが、大幅に間違っていたようでアヤネさんが訂正している。
ホシノさんは慌てていたが、すぐに謝り年のせいとしていた。
皆さんと一、二年しか違わないと聞いていたが、その差は大きいのだろうか。
事情を更に聞くと、返済できない場合は廃校。学校がなくなってしまうとの事。
それなら返さないで新しく借りればいいのではと思う。ある金は活かすべきとルビコン3でも聞いたし。
「ん。借りた金はちゃんと返す。利息は大きいけど、それもきちんと毎回払う」
私の考えを感じ取ったのか、シロコさんが答えてくれる。
彼女に同調して先生含め皆さんが頷いているので、キヴォトスではそういうものと納得する。
しかし大金であるため返しきる見込みは殆どなく、ほとんどの住民は諦めて学校や街を捨てて去ってしまったとの事。
先生が借金の理由を尋ねると、昔の大きな砂嵐が原因で復興にお金を使ってしまったらしい。
その後何度も砂嵐にあい、その都度お金を借りて対処を繰り返した結果。アビドスは砂に埋もれ、残ったのは多額の借金と利息。
それでも対策委員会のメンバーは何とか利息を返していたが、更にヘルメット団など不良の襲撃が重なり、資材も尽き欠けていた。
「こんなに私達が頑張っても、大人も誰も殆ど手を貸してくれなかったわ。むしろ足を引っ張られた事だってある」
セリカさんが怒りを思い出し、それを抑えるためか手を握り締める。
恐らく悔しさもあるのだろう。表情も歯を食いしばるように硬めている。
ついでに撫でていた私の獣耳も潰れている。せめて耳の穴から指は抜いてほしい。
「それで先生にも何か案があればーって思うんです。ほらほらセリカちゃん、オンちゃんの耳取れちゃうよー?」
「あっ…。違うの!ごめんなさい!!」
ノノミさんがやんわりと注意してくれて、握りしめた力を抜いてくれた。
別に大丈夫なのだけれど、何でそんなに慌ててるのか。
獣耳をピコピコ動かして見せ、体勢を変えてさまよっている手に触らせる。
セリカさんはおずおずと触れて、ゆっくりと撫でる。
「本当にごめんなさい。…ありがとう」
再度謝った後、彼女は何故か感謝してくる。
耳が外れたわけでもないので気にせず良いのに。…
「オンちゃん。耳は取れないから大事にすべき」
「ワフ」
どうやら
何故分かったのか、何で外そうとしたのかという、多分両方の意味でセリカさんは呆れていた。
”なるほどね。それなら私も対策委員会の一人として、一緒に考えるよ。”
「わあ、ありがとうございます~☆」
先生が胸を叩きながら言うと、ノノミさんが両手を合わせて笑顔を浮かべる。
その後、借金をどう返していくかの話になった訳だが。
案その1:ブレスレットを売ってお金を稼ぐ
検討結果:マルチ商法のため却下。マルチロックなら多数に狙いがつけれて良いのでは…違う?そっかぁ。
案その2:他校の生徒をさらってアビドスに転校させる
検討結果:他校の風紀委員が出てくるので却下。敵なら倒せば…人手が足りない?なら無理か。
案その3:銀行を襲う。5分で1億は行ける
検討結果:犯罪のため却下。施設破壊なら得意…余計にお金がかかるからダメ?覆面も良い作りだったのに残念。
案その4:スクールアイドルとしてデビュー!
検討結果:危険な人が釣れそうなので却下。ホシノさんは素敵な人だからね。何故か怒って俯かれてしまった。
”中々良い案が思いつかないね。オンちゃんはどう?”
机をミシミシ鳴るほど握って怒るアヤネさんを心配そうに見て、先生が聞いてくる。
私ができる事は昔から決まっている。傭兵業だ。
身振り手振りで伝えると、シロコさんの察しもあって皆さん考えてくれる。
私が一人で動けば良いから学校の防衛力も落ちず、かつ失敗してもアビドスに被害はあんまりない。
報酬の振込先に関しても、先生が何とかしてくれるらしい。
「他に妙案がなければ、お願いしても良いでしょうか?オンちゃんには負担をかけてしまいますけれど…」
「オンッ」
「その前にまずは休んで怪我を治してからねー。私、そこは譲らないから」
意気込む私を押し止めるように、ホシノさんは頭を撫でてくる。
確かにあの人も休むのも仕事だと言っていたし、アビドスとの関係を探られないよう武装に細工も必要と思う。
了解の意を込めて周りを見渡すと、何故かホシノさん以外は不思議そうな表情をしていた。
◆◇◆◇◆
-セリカサイド-
頭を悩ませていたカタカタヘルメット団もようやく片付き、次に喫緊の問題として借金の話になった。
シャーレの先生という大人も一緒で、私は眉間にしわを寄せてしまう。
確かに不良を追い払うのに一役買ってくれたけれど、弱みを見せれば他の大人達みたいにつけ込んでくるかもしれない。
警戒しなきゃとは思うものの、目の前の光景に気がそがれる。
会議机の真ん中で寝そべる犬型の人…オンちゃんと呼ばれる人だ。
私達みたいにヘイローもないし、他の大人達のように見た目は異なるから恐らく大人…だと思う。
でも背丈も小さいし、非戦闘時の行動は何だか子供に見える。
それなのに包帯を変えた際に見えてしまった、痛々しい傷跡の数々と刻み込まれた白い鳥のタトゥー。
学校自体にも物珍しそうに見渡していたし、私達よりひどい環境に居たのかもしれないと思うと胸が詰まりそうに思う。
皆と一緒に労わるように手を伸ばして撫でると、気持ち良いのか尻尾を小さく振りだす。
ふとオンちゃんがアヤネに目を向けると、彼女も良いんです!と言わんばかりに頷いた。
それに安心したのか、目を細めた後に緊張気味だった身体をリラックスしたように投げ出す。
ちょっと申し訳ないけど、その姿はまるでようやく安らぎの場を見つけた子犬のように見えた。
「…ちょっと可愛いかも…」
聞こえないよう小さく私は呟く。まだ洗った後の水気が抜けない体毛を乾かすように、優しく指で毛をすいた。
その間にアビドスが抱える借金の話になり、ホシノ先輩が盛大に借金額を間違ってて慌てて言い訳をしている。
年って私達とそう変わらないじゃない…。
そう思って呆れて見ていると、オンちゃんが変な事を考えていたみたいでシロコ先輩からツッコミを貰ってる。
こういうズレた所のせいか、似た者同士なのかシロコ先輩は何となく察しているみたい。
兎も角、膨大な借金を昔に作ってしまったのと度重なる砂嵐で住民は皆逃げ出しちゃった。
アビドス在校生も大人も問題から目を背けて、助けを求めても誰も答えてくれない。それどころか。
「こんなに私達が頑張っても、大人も誰も殆ど手を貸してくれなかったわ。むしろ足を引っ張られた事だってある」
苛立ちと共に思い返す、苦い記憶。助ける、儲かると言って近づいてきた人達は皆目もかすむ様な借金額に逃げ出すか、詐欺とかをかけてきた。
なけなしの私財を騙されて何度もかすめ取られた事を思うと、憎しみすら湧いてくる。
私達が、どれだけ身を粉にして借金や利息を返してると思って…!
「それで先生にも何か案があればーって思うんです。ほらほらセリカちゃん、オンちゃんの耳取れちゃうよー?」
ノノミ先輩の声で我に返って手元を見る。そこにはオンちゃんが表情は変わらないけど、私を見ていた。
その目は何もかもを諦めているような瞳で、こう聞いている気がした。
貴女も私を傷つけるの?
怒りで頭に上っていた血の気が、一瞬で引いた。この子のせいじゃないし、悪い訳でもない。
それなのに八つ当たりするように力を込めて握り込んでしまった。しかも敏感だろう獣耳の中に指まで突っ込んでしまっている。
とんでもない事をしでかしてしまった。傷つける気はなかったと、私は貴方を痛めつける人ではないと謝罪する。
「あ。違うの!ごめんなさい!!」
慌ててしまい、言葉足らずだったがオンちゃんは許してくれたようだった。
行いを否定するため手を広げて突き出していた私に対し、体勢を変えて獣耳を触れさせてくれる。
こんな傷だらけでも人を信じているようなオンちゃんの、その優しさに申し訳なさで一杯になる。
「本当にごめんなさい。…ありがとう」
私は再度謝った後、信じてくれた事に対しても感謝の言葉を伝える。
今度こそ優しく、少しでもこの子が癒されてくれますようにと、ゆっくり撫でる。
しかしオンちゃんは別な変な事を考え出したのか、またシロコ先輩からツッコミを貰っていた。
何でシロコ先輩は考えがわかるのかしら。それに耳を外すなんて発想どこから思いついたのよ。
私は色んな意味で呆れて、そして安堵もしていた。
その後、借金をどう返していくかの話になったから挽回と意気込み、今度こそと自信満々に上げた案はやっぱり詐欺だった。
私は打ちひしがれたけど、他の皆もそれぞれの理由で案がボツになっていく。
アイドル何かは割と良い案に思えたけれど、ホシノ先輩が自身の身体が好きな奴は人としてダメだよねーと自嘲して否定する。
だけどオンちゃんが考えてたらしい事柄をシロコ先輩が伝えると、ホシノ先輩は赤面して俯いちゃった。
まぁ、それでも水着少女団はない。とてもダサい。
そう思っていると、一ミリも進まない議題にいら立つアヤネが机を掴んでいる。
ヤバい。そろそろ机をひっくり返しかねないと慌てていたが、先生がオンちゃんに水を向けると机から身体を起こす。
身振り手振りとシロコ先輩からの意訳からくみ取ると、傭兵業?を提案してくれた。
検討してみると意外とメリットが多かった。オンちゃん単独の方が都合が良いらしいから、アビドスの防衛は今まで通り。
それもローテーションで守れば良いから、私達も今まで以上にボランティア等に手が出せる。
依頼のやり取りで必須になる口座や、契約を読むための識字も怪我を治す間に準備すれば良い。
何故かアビドスとの関係性がバレたら大変と心配していたみたいだけれど、そっちはどうでも良い。
それで手を出すような奴が居たら私達全員で潰せばいいし、先生もモフモフを邪魔する奴は許さないって笑ってる何あれ怖っ。
デメリットはない訳じゃなかったけれど、許容できる範囲という事でGOサインが出た。
「他に妙案がなければ、お願いしても良いでしょうか?オンちゃんには負担をかけてしまいますけれど…」
「オンッ」
「その前にまずは休んで怪我を治してからねー。私、そこは譲らないから」
どことなくやる気満々なオンちゃんをいさめる様に、ホシノ先輩は頭を撫でている。
でもいつもと違い、自身の事をおじさんじゃなく私呼びだった事に、私達は怪訝に思った。
おじさんっていつも自称してたのに、何か珍しい。オンちゃんだったら一人称はどう認識してるのかな。
そういえばこの人、性別どっちなんだろ。
原作と少し流れが違いますが、621の力(アニマルセラピー)って奴です。
最後のセリカの疑問ですが、性別等に関しては読み手の皆さまの想像にお任せできるよう、直接的な表現は避けているつもりです。できてなかったらごめんなさい…!
一応身長と体重の設定はありますが、もし思いついても幕間などオマケにする予定です。
ただ性自認を持っていないので、聞かれても621は首を傾げて終わりですねきっと。
ケモ621のルビコン時代の小説って需要在ります?
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1.本編で乗せれる一部で良いですよ☆
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2.ん。あるから全ルート書くべき
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3.うへ。まずは完結からじゃない?
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4.まだ指が回るようなら表現力を鍛えろ!