青空の下、猟犬は求め流浪する   作:灰ネズミ

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●ミー「ボスぅ(運営)、見ててくださいよぉ?この無敵のラミ●(初投稿筆者)客人(読者)をオモテナシしてやりますんでえ。」
ラ●ー「おっ、俺のマッドスタ●プ(小説)がぁーっ!?」(撃墜)

閲覧、お気に入り、評価や何とご感想まで頂き、誠にありがとうございます。
傭兵もとい筆者の一人として精進して行きます。

コヒュッ(息を飲む音)
何かすごい閲覧数増えているのですが一体何が…!?
余りの感激にノルマをQBでこなせたので、投下します。

3/15追記:誤字報告頂き感謝です。修正しました。


4.初めての交戦。なお初陣なのは歴戦の犬

戦闘が一段落した所で室内に戻って来た面々と顔合わせを行う。

ホシノさんを朝方に起こしに来てくれた方が、会計担当でもあるらしい黒見(くろみ)セリカさん。

先生と同室でオペレータをしていた女性は書記も兼任している奥空(おくそら)アヤネさん。

橙色の瞳に赤いフレームのメガネをかけ、制服の上着の下にセーターらしき服を着こんでいる。

解放戦線の戦士が熱く語っていたエルフのように耳が尖っており、黒のショートヘアーの上には赤いヘイローが浮かんでいる。

二人はアビドス高等学校の1年目の学徒との事。

ガトリングを軽々持ち歩いていた女性は十六夜(いざよい)ノノミさん。

緑色の瞳で薄い茶色の真っすぐな長い髪は一部を丸くまとめている。

シャツの上にはだけたセーターを羽織っており、緑のヘイローの下には優し気な笑みをたたえている。

彼女なら大豊(ダーフォン)の理念(樹大枝細)にもピッタリであろう。

ホシノさんと共に前線を駆けていた、アサルトライフルを携える女性は砂狼(すなおおかみ)シロコさん。

水色の瞳は左右で瞳孔の色が白黒と違っており、灰色で胸元まである髪の上には十字のヘアピンと狼耳が生えている。

彼女はあまり表情が変わらないらしく、今も昔も表情など何一つなかった身としては少し親近感が湧く。

 

「オン」

「ん」

 

何かが通じた気がした。拳を握り、親指だけ立てていたので同じように返してみる。

その横ではセリカさんが何をしているのかと呆れていた。

ノノミさんとシロコさんは2年目の学徒だとか。

そして私を拾ってくれたホシノさんは3年目の学徒で、対策委員会の委員長をしているとの事。

今は眠そうに机の上でくつろいでいる。

 

「それでシロコちゃんが拾ってきたのはシャーレの先生でー。おじさんが拾ってきた子だけれども名前がわからないんだよね~」

 

先生はアビドスに来る途中、遭難していた所を学校へ向かっていたシロコさんに拾われたらしい。

ホシノさんが私を紹介しようとして困ったように頬をかいていた。

私には色んな呼ばれ方があった。621、レイヴン、G13(ガンズサーティーン)、野良犬、駄犬、戦友…猟犬何て言うのもあったっけ。

キヴォトスでは最初に合った部隊員達には包帯と呼ばれていた。

一回だけワン公と呼ばれたが、その隊員は周囲から何故か叩かれまくっていた。

 

「名前がわからないのも困るよね。うへ~、どうしよっか」

「私達で愛称を考えるのはどうでしょー?」

 

私へ伺う様にノノミさんが提案するのを受けて、頷いて肯定する。

呼び名が増えるのは純粋に嬉しい。私の存在を認識してくれるから。

先生も交えて色んな候補が上がるが、やはりわかりやすいものが一番ということで。

 

「えっと、本当にオンちゃんで良いの?」

「オンッ」

 

今あげた鳴き声のように、吠え声からオンちゃんという事になった。また一つ、私を示す言葉が増えて嬉しい。

その後、アビドス廃校対策委員会の話…砂漠に飲まれかけているアビドスを蘇らす為に集った集団との事。

尤も、移住などで住民が居なくなり、今この場にいる5名のみが構成員らしい。

人手不足もあり、先程交戦したカタカタヘルメット団も含めたならず者に頭を悩ませているのだとか。

そこまで聞いて私はあの言葉を思い出し、一鳴きして注目を集めてから人差し指を立てて見せる。

 

ミシガン(歩く地獄)も言っていた。泣きを入れたらもう一発って。

 

 

 

一度撤退したカタカタヘルメット団に対し、追撃して再構成させる暇を与えない作戦。

幸いアビドスの面々もカタカタヘルメット団の前哨基地を補足していたらしく、すぐに準備に取り掛かれた。

シャーレから届いた補給物資も受け取り、物資不足も解消して準備万端。

 

”本当に大丈夫?無理しないでね”

「オン」

 

借りたインカム越しの通信で聞こえてくる先生の心配そうな声へ向けて一鳴きする。

正面から突っ込む対策委員会メンバーとは別で、私は別方向から奇襲を仕掛けて更に混乱を招く作戦を提案した。

追撃はともかく、皆さんは私の単独行動に反対気味だった…そもそも重症と勘違いされていた誤解もあったが。

しかし、すでに息の合っているメンバー内に私が混ざるには少々時間が足りない。

下手に足を引っ張るよりはと思い話し合った結果、狙撃に集中するように約束させられた。

 

フルオートのアサルトライフルで狙撃。流石に難しいのではないだろうか?

 

ネストと呼ばれるAC乗り達が集うアリーナの亜種では、エイムアシストなしで当ててくる極まった強者もいると耳にしたこともあるが。

私はその人達や、戦友ほど狙撃には自信がない。もし万が一やるなら外す度に自決して繰り返すしかないし、最初からは流石にしたくない。

なので、今まで通りの傭兵業に倣う事とする。

 

対策委員会メンバーの準備を待ち、作戦開始と共に私は地面へ四つん這いとなる。

四肢にグッと力を籠めると、そこから獣のように走り出した。

アサルトブースト、獣脚バージョンとでも仮称しようか。

 

「あ?なんでこんなところに犬が…って、銃!?敵しゅ」

 

背中に背負い込んだ銃に気付いたようだが遅い。大きく跳躍し、空中で銃を構えると打ち下ろしながら発砲する。

一発、二発、三発。うん、やはり狙撃は無理だ。三発目でようやっと当たったのを見て私は諦める。

何故か一発でよろめいた敵に対し、着地と共にパルスブレードを起動させようとして腕を振りかぶろうとする。

 

…いくら頑丈なキヴォトスの住人とはいえ、鉄すら溶断する武器を生身に向けるのはまずいのでは?

 

命を奪う事自体、キヴォトスでは避けられているのを思い出す。

瞬時に攻撃手段を切り替え、ここは解放戦線の戦士に聞いた技術を試す事にする。

拳を握り込み、腰だめから放つように側頭部へパンチを叩きこむ。

思ったよりこの身体はパンチ力があるようで、敵はそのまま倒れ込んで気絶した。

どうやらルビコン神拳はキヴォトスでも有効らしい。弾薬が切れても安心できる。

身をひるがえすと銃口を次の敵へ向けて発砲する。地上というのもあって今度は二発で当たった。

どうやらカタカタヘルメット団は軽MT(軽量型マッスルトレーサー…ACの前身のようなもの)程度の実力らしい。

ヘッドショットさえ取れれば簡単にスタッガー状態、もとい体勢が崩れるので私でも畳みかける事ができる。

その上何故かACS機能が働いてるようで、少しなら被弾しても全身を覆う体毛で銃弾をそらせた。

 

銃弾を受け流せる体毛とは一体。これが噂で聞いたリアクティブアーマーという奴だろうか?

 

立ち止まらないように横へステップを混ぜつつ走り続けていると、警戒音が鳴り響く。

うっかりACに乗っている時の癖で回避機能、クイックブーストの操作を頭の中で行ってしまう。

その時、グンッと身体ごと引かれて後ろに下がったと同時、目の前を赤い照準光と共にグレネードが通過する。

どうやら腰から生えていたぼろぼろの翼が動き、回避行動となったようだ。

クイックブースト、翼コアバージョン?翼腕バージョンだろうか。空力最高と幻聴が聞こえた気がする。

スキャンを起動すれば、今しがた遮蔽物に隠れた射手も半透明で少しの間見えたので、お礼とばかりに強襲をかけた。

 

時間を掛けてはいられない。見た目通りボロボロな私の身体はミシミシ言っており、後どれくらい持つかわからないのだ。

 

◆◇◆◇◆

 

身振り手振りで横から揺さぶりをかけると提案しているオンちゃんに、私達は難色を示す。

ホシノ先輩が私のように拾ってきたと言うその人は、全身を包帯に巻かれ明らかに重症に見えた。

腰から生えた翼もズタボロだし、どう見ても戦闘に参加できるとは思えない。

しかも手に携えたアサルトライフルは長大なのにストックもなく、片手だけで扱うと思われる形状をしている。

あれでは発砲しただけで手首にすべての負担がかかり、まともに連射できそうもない。

逆側の手には用を為すかもわからない小楯があり、まともに使えそうなのは肩に背負った小型ミサイルだけに思える。

それでも何かしら役立ちたいと思ったのか、過去の経験から思わざるを得ないのか。

オンちゃんは譲る様子はないようだし、だけど即席で私達と組むにはどれだけ動けるかもわからない。

考え込む私達に先生がそれならと、妥協案として狙撃に徹することを提案して私達は許諾した。

オンちゃんは不服そうだが、それに同意するように頷く。

因みに他のみんなは表情の違いは今一つわからないみたい。私は雰囲気だけど、何となくわかる気がする。

犬っぽいオンちゃんだから、狼な私とは何かしら共通する所があるのかもしれないと思った。

 

 

 

カタカタヘルメット団の前哨基地周辺にたどり着き、突入を待っていると通信から先生がオンちゃんを心配しているのが聞こえる。

 

「ケガ人を働かせる訳にはいかないもの。さっさと片付けるわよ」

 

セリカがアサルトライフルの調子を見ながら言うと、私達は同調する。

注意を引く程度ができれば良いって、全員が考えてたと思う。

 

“それじゃ、作戦開始…っ!?”

 

先生の合図と共に、私達と離れた所から突撃する影。

まるで荒野を駆ける動物のように四つん這いで基地へと突っ込んでいく。

私達と同様に驚くヘルメット団に対して、近付いたオンちゃんは大きく跳躍したと思ったらあの長大な銃を構えた。

あんな不安定な空中と体勢、グリップで当たるはずがないと思ってた。

ぐらりと傾く敵に、着地と共に拳を振り抜いて叩きのめす。

完全な奇襲を決めたと思えば、すぐに次の敵へ発砲して見せる。

片手でろくに構えもせず、不良とはいえヘルメットを被る相手。それをたった数発でよろめかせる程の火力が出る銃を軽々と扱っている。

力持ちというだけならノノミ先輩も大きなガトリングを持ち運べるし、ホシノ先輩も大盾で前線に立っているけれど。

 

オンちゃんは何かおかしい。

 

今も視線を向けず、翼を大きく羽ばたかせたと思ったら後ろに下がってグレネードを避けて見せた。

私が知らないだけかもしれないけど、少なくとも聞く限りでは三次元を駆使して銃弾を回避する生徒を他に知らない。

 

「…っは。み、皆さん突入してください!カタカタヘルメット団も浮足立って動揺しています!」

 

いち早く我に返ったらしいアヤネの通信越しの声で気が付き、私達は先生の指示も受けて突入する。

挟撃に近い形で突っ込んだ後、遮蔽物から覗くとオンちゃんは足を止めず、まるで踊っているように見えた。

敵陣の真っただ中で暴れまわっている上、いつの間にロックオンしたのか肩のミサイルを突然放つ。

誘導機能つきだったらしいミサイルは、慌てて散開した敵達に見事命中して吹き飛ばした。

敵が遮蔽物に隠れても、まるで見えているかのように回り込んで数発打ち込み、近付いて殴り倒している。

 

「すごーいですね。あっという間に敵が減っていっちゃってます」

 

後ろからノノミ先輩の驚く声が聞こえると、他の皆も同じように驚いているみたい。

それでも察知には漏れがあるのか何発か被弾していたし、通信越しに先生から何回か指示を受けて攻撃を避けていた。

完璧ではない様子にどこか安心したのか、私は人知れず安堵の息をついた。

 

◆◇◆◇◆

 

”オンちゃん。狙撃だけって約束したよね?”

 

戦闘終了後。散り散りにヘルメット団は逃げ出して安全になった元前哨基地内で、私は説教と言われ正座させられていた。

ホシノさんとセリカさんは基地内の調査と差し押さえ。アヤネさんは二人のサポートに付いている。

私の目の前にはガトリングを脇に置いたノノミさんが笑顔で待機しており、多少意図が通じるシロコさんはじっとりとした視線を向けている。

戦闘終了後に合流して今も怒っているらしい先生も含めて、言っては何だが再教育センターで行われたソレに比べたら優しすぎるので逆に戸惑ってしまう。

説教とは <ルビコン的過激指導> だった気がするのだが、キヴォトスでは違うのだろうか。

諭すように語られている内容はどれも私を心配するようで、何だかあの人を思い出す。

 

いや待った。スタンニードルを食らった時みたいに足が段々と痺れてきた。

これがキヴォトス式の説教か。

 

「全然反省してないし、何か勘違いしてそう」

 

私の内心を察したシロコさんが呆れた声色と表情を見せる。

それで先生もノノミさんも今は仕方ないと諦めたのか、困ったような顔をしながら説教を止めてくれた。

しばし足の痺れが取れずゴロゴロ転がっていると、ホシノさん達も戻ってきて撤収となった。

回収された保存食を帰り際に頂いていると、先生も含めてアビドスの面々の表情が柔らかくなっていたので任務成功と思ってよさそうだ。

 




オマケの話:
621の地の文は気付いた範囲ではありますが、なるべくシンプルな表現を用いる様にしてます。
それはあの人が自由にした結果であり、再教育センターを中退した弊害でもある。なんて。

筆者が素で間違えたりド忘れしてる時もある

ケモ621のルビコン時代の小説って需要在ります?

  • 1.本編で乗せれる一部で良いですよ☆
  • 2.ん。あるから全ルート書くべき
  • 3.うへ。まずは完結からじゃない?
  • 4.まだ指が回るようなら表現力を鍛えろ!
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