桁数の多い引き算でも、繰り下がりが発生しない場合は、比較的簡単に暗算ができるはずです。
しかし、今回はその逆、繰り下がりが多い引き算の暗算にチャレンジします。
さて、どのような工夫をすれば10秒以内に答えを出せるでしょうか。
問題
次の計算を暗算でしなさい。
4711−598
※制限時間は10秒です。
解答
正解は、「4113」です。
式に書かれた通り素直に計算しようとすると、繰り下がりの処理が面倒です。
どうやって計算すれば、暗算しやすくなるのでしょうか。
次の「ポイント」で、暗算方法を確認してみましょう。
ポイント
この問題のポイントは、「引く数を切りのよい数にすること」です。
引く数が598という切りの悪い数だと、繰り下がりが多発し、暗算がしづらいですね。そこで、598に近い600を代わりに引くことを考えてみましょう。
4711−598
→4711−600=4111
4711−600なら、繰り下がりは発生せず、4111という答えがすぐに求められます。
とはいえ、「4711−598」と「4711−600」の式は別物ですから、4111をこの問題の答えにはできません。
では、「4711−598」と「4711−600」の違いは何でしょうか?
600は598よりも2大きな数です。そのため−598の代わりに−600をすると、2余計に引いてしまうことになるのです。先ほど算出した4111は元の式の答えよりも2小さいということです。
つまり、4111に2を足した4113が元の式の答えだといえますね。
ここまで説明した計算の工夫を式の上で表すと、次のようになります。
4711−598
=4711−600+(600−598)
=4711−600+2
=4111+2
=4113
二行目に注目してください。引く数598を切りのよい600に変換し、この変換によって引きすぎてしまう分(600−598)を後から足しています。このような工夫をすることで、繰り下がりの多い引き算でも簡単に暗算ができるようになります。
なお、二行目の()を外すと、−600と+600が打ち消しあって、式が元の形に戻るのが分かりますよ。
4711−598
=4711−600+(600−598)
=4711−600+600−598←−600と+600が打ち消しあう
=4711−598
まとめ
引く数を一度切りのよい数に変えてから、引き算をすると暗算がしやすくなります。
ただし、引く数を変えてしまうと、式の答えも変わってしまうので、元の式とのイコール関係が変わらないよう調整を行うことが大事です。今回の問題であれば、−598を−600に変えたことで生じる差を+(600−598)の式で調整しました。
このような引き算のやり方はインド式計算法の一種です。インド式計算法には、一見複雑に見える計算を簡単にするさまざまな工夫がみられます。気になる人は、他のインド式計算法についても調べてみてくださいね。
※当メディアでご紹介する数学関連記事において、複数の解法をもつものもございます。あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。
文(編集):VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。
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