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3期目の芳野連合会長 幅広い結集の軸作らねば

3期目に入ることが決まり、記者会見に臨む連合の芳野友子会長=東京都内で8日、塩田彩撮影 拡大
3期目に入ることが決まり、記者会見に臨む連合の芳野友子会長=東京都内で8日、塩田彩撮影

 物価高が働き手の暮らしを直撃している。労働組合の重要性が増しているにもかかわらず、影響力は弱まる一方だ。

 連合の芳野友子会長が3期目に入った。2021年に女性として初めて就任した。

 今春闘で2年続けて5%台の賃上げを勝ち取ったことなどが評価された。年金の「第3号被保険者制度」の将来的廃止を打ち出すなど、女性が力を発揮できる環境整備の提言にも尽力してきた。

 ただ、大幅な賃上げが実現したのは、政府が経済界に働きかけた効果も大きい。人手不足感が強まり、大企業を中心に従業員の待遇改善が進んでいることも追い風となった。

 とはいえ、物価上昇分を差し引けば十分な引き上げ幅とは言えない。暮らし向きが良くなったと多くの人が実感できる状況にはほど遠い。労使交渉を主導する中央組織としての役割を発揮できているのか、検証が必要だ。

 大企業と中小企業との賃金格差も残ったままだ。中小労組の交渉力を強化する戦略を練り上げなければならない。

 労働者のための政策を実現するには政治への働きかけも欠かせない。だが、傘下の産業別労組がそれぞれ支援する立憲民主党と国民民主党の溝は深い。股裂き状態が続き、求心力が低下している。

 一方で芳野会長は首相に直接要望を伝える「政労会見」に16年ぶりに臨んだ。経営側に近い自民党へ接近する姿勢には内部から不満の声が上がる。

 連合の存在感が衰えている背景には、組織の弱体化がある。全労働者のうち労組に加入している割合は16%にすぎない。連合には正社員の利益ばかり代弁しているとの批判がつきまとう。

 労働者の4割を占める非正規従業員の労組加入は進んでいない。雇用と同じような働き方をするフリーランスが増えているが、目配りは不十分だ。

 産業構造が変化し、働き方が多様化する中、労組は岐路に立っている。幅広く労働者が結集する軸を形成し、雇用環境の改善を進められるかが問われる局面だ。

 労働者が直面する課題をすくい上げ、解決へ導く。そのための体制強化が求められている。

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