東京オリンピックを機に運行開始したバス高速輸送システム「BRT」。しかし、日本ではもともと「地方のローカル線の代替交通機関」として導入された経緯があって…
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バスは、地域の人々の移動手段として重要な役割を果たす存在です。しかし、一般社団法人交通環境整備ネットワーク相談役の佐藤信之さんは、「近年、多くのバス会社で運行本数削減や路線の廃止が相次いでいる」と語ります。そこで今回は、佐藤さんの著書『日本のバス問題-高度成長期の隆盛から経営破綻、再生の時代へ』から抜粋してご紹介します。 【写真】2013年3月2日から岩手県交通が運行している大船渡BRT線 * * * * * * * ◆東京オリンピックに向けたBRTの構想 2020年(令和2年)東京オリンピックでは、臨海部の晴海地区に選手村が建設されることになり、東京都(当時舛添要一知事)は、その輸送手段として、2014年(平成26 年)8月にバス専用車線を整備したBRT(Bus Rapid Transit。バス高速輸送システム)を導入することを発表した。この時点では、東京駅や銀座など複数の地点から都道環状2号線(当時建設中)経由で晴海の選手村や有明の競技会場、お台場まで運行する構想であった。 東京都は、民間からの提案を募り基本計画を策定することを決定。2014年10月、京成バスと都交通局を事業協力者に選定した。基本計画が決定した段階で運行事業者を公募する予定とした。 2015年3月には基本計画の中間報告があり、案では、都心は東京駅や銀座、新橋駅から、さらに運行開始に間に合えば虎ノ門バスターミナルから、環状2号線を通り、勝どき、有明テニスの森などを経て、東京ビッグサイトやりんかい線の東京テレポート駅に停車するとした。通勤需要の高い都心と勝どきの間はシャトル輸送を行い、晴海地区では数ヵ所の停留所を巡るループとなるとした。 車両は、従来のディーゼルバスのほかに、燃料電池バスや、ハイブリッドのバスも導入。最終的に環状2号線区間ではピーク時に2分間隔で運転する。運行開始時の輸送力は1時間最大2600人。五輪後、選手村をマンション(晴海フラッグ)に再開発した後は、輸送力を1時間最大4400人ほどに高めるとした。 2015年、京成バスを運行事業者に選定、2017年春に官民出資により新会社を設立するとした。 しかし築地市場の豊洲への移転が遅れたため、市場跡地に計画していた環状2号線の建設が始められなかった。そのため新会社の設立を延期した。