ブルーアーカイブRTA 称号「崇高」獲得まで   作:ノートン68

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お久しぶりです。

ティアキンやってて2週間以上投稿が止まってました()
誠に申し訳ありません。

今回はミレニアムプライスまで。
ケイ視点ラストパートです。



約束された勝利

次の日、果たし状(?)に記された時刻通りに来たゲーム開発部一行と先生。

約束場所として指定されたミレニアム旧校舎は、朝の混雑する時間帯だと言うのに人の気配は全くしない。

 

正直ケイ以外はC&C、それもあのネルの呼び出しを素直に受けたくなかった。

遅刻の常習犯で粗暴な印象の多い不良であるという認識が強かったからだ。

 

実際の遅刻原因は、困ってる人を放っておけない世話焼き気質なのだが、今の彼女達は知る由もない。

目標の『鏡』を取られた今、彼女たちは従うしか無いのだ。

 

先生はと言うと、特に噂を気にしたような素振りもなく平常運転でモモイ達に着いてきた。

能天気なのかと言われると違い、その目付きは大真面目だ。

 

シャーレで彼女(ネル)の戦闘データを見た事がある。

感想としてはゲーム開発部が一丸になっても勝てるかどうか……。

そこにアスナ達が加わってしまえばどうなるか想像は難くない。

そうなった時どう対処すべきか、その事だけが今先生の脳内を駆け巡っていた。

 

ケイは他の4人とは少し違う。

確かに直接対峙せずとも恐怖を覚える程に彼女に対しての第1印象は凄まじかったが、今は純粋な興味もある。

ミレニアム最強と謳われるその力に。

なんでも依頼達成率が100%だと言うのだから、その力は推して知るべし。

 

噂通りであれば戦闘は避けられないだろう。

闘るときは闘るしかないと、いっそ開き直っていた。

 

ケイがそんな事を思っているとも知らない他3人は、一体何を要求されるのかとビクビクしながら指定場所で待っていると、9:45頃に奥から人影が向かって来るのが見えた。

 

徐々にその姿は鮮明になり、4人勢揃いのC&Cが現れた。

先頭にいたネルが口を開く。

 

「おう、逃げずによく来たな。」

 

ネルの視線がユズ、モモイ、ミドリ、先生、そしてケイの順番で流れる。

中でも先生とケイの顔を眺める時間は少し長かった。

 

「あんたやっぱり………いや、今気にする事じゃねぇな。」

・どういう要件?リベンジ?

「はっ!!そんなくだらねぇ理由で来るわけねぇだろ!!……アンタだ、アンタ!!」

「私ですか?」

 

鋭い視線はケイに向けられていた。

ケイが怯むことなく睨み返すとネルはフッと笑った。

 

「私の目的はアンタと戦う事だ。別に恨みなんてねぇが興味が湧いた、戦う理由なんてそんなもんだ。」

「何故こんな回りくどい事を?噂とは違うようですが。」

「……あの場で戦う大義名分が無かったからな、だから依頼を受けた今こうやって対面してるのさ。」

 

今はセミナーから受けた依頼に途中参加している形だ。

ならば、契約通り美甘ネルは任務を果たすだけ。

 

「戦ったとして、私達にメリットは?」

「そっちのメリットなんてこれに決まってるだろ?」

 

ヒラヒラと何かを掴んだ手を振るネル。

その物体はつい最近見た、ゲーム開発部が今最も欲している物だった。

 

「それってもしかして『鏡』!?」

 

ネルの手には『鏡』のデータの入ったディスクが握られていた。

それをアカネに引き渡す。

 

「ソレを手に入れるには貴方と戦うしかないという事ですか。」

「そういうこった。」

 

話は終わりだと言わんばかりにネルが1人で前へ出る。

こちらを見据えるその姿は、既に臨戦態勢をとっていた。

心配そうにミドリがケイの顔をのぞき込む。

 

「ケイちゃん……。」

「そう心配そうな顔をしないで下さい。相手のご指名は私1人、サクッと勝ちます。」

 

『スーパーノヴァ』を抜きケイも臨戦態勢をとった。

『鏡』奪還の時とは違い容赦なくぶっ飛ばせる。

最初から最大威力をお見舞するつもりのケイにネルが言い放った。

 

「先手は譲ってやる、よく狙え。」

「後悔しても知りませんよ。」

 

照準は真っ直ぐネルへと向いている。

エネルギーがドンドン蓄積される最中、ネルは宣言通りピクリとも動かない。

 

「電力充電100%──────────光よ!!!!」

 

青紫の極光がネルへと向かう。

発射されてもなお動かないネル目掛けて弾丸は進み続け、

眼前まで差し迫った瞬間派手な破壊音とともに砂埃が巻上がった。

 

「えぇっ、リーダーッ!?」

「完全に直撃しましたね、正直拍子抜けです。」

 

完全に当たった。

そう断言出来る感触が確かにあった。

C&Cの面々も直撃したのが見えたのか慌てふためいている。

まさかの結果にモモイ達も呆気に取られる。

 

 

 

砂埃が未だ残るこの周りの中で唯一、先生だけが真っ先に気づいた。

 

・まだだよ。

 

砂埃が薄まり、二本足で立つ人影が見える。

 

「確かにいい火力だな、当たればの話だが。」

「馬鹿な、完全に当たったはずでは……。」

 

ネルはピンピンしていた。

傷ひとつなく佇む姿に全員が絶句した。

よく見ると真横の床に『スーパーノヴァ』の余波が残っている。

本当に紙一重で避けたというのか。

 

「サービス期間は終わり、こっからはアタシのターンだ!!」

「ッ!?」

 

ネルの接近を許すケイ。

放たれた弾丸に対し反射的に『スーパーノヴァ』を盾にして被弾を避ける。

 

そこからは文字通り圧倒的であった。

ケイの周囲を高速で周り、断絶する事ないSMGの弾丸の嵐。

並の生徒であれば既に気絶してる量の弾丸がばら撒かれる。

 

「(早すぎて反撃するタイミングがない!!そもそも彼女に照準を合わせるのも困難!!)」

 

ケイが一般生徒よりも丈夫な体を持ち、体を隠せるほどの大きい銃を扱っているからこそ、ここまでもっている。

 

照準が合ったかと思えば既にそこにネルは存在しない。

多少の被弾を覚悟しなければ反撃すら許させない。

ケイは覚悟を決めて捨て身の放銃を敢行した。

 

「ぐうっ………このッ!!」

 

十分にチャージされないまま、初弾より弱い威力の弾丸が発射される。

しかし─────

 

「ヤケになってもアタシには当たらねぇぞ。」

「くぅッ!?」

 

苦し紛れの攻撃も虚しく外れ、ネルの攻撃は止むことはない。

徐々にケイが追い詰められていく。

 

「この間合いでアタシに勝てる奴なんざ、キヴォトス中でもそう多くは………いや、()()1()()を除いて居ねぇ!!」

「(不味いですね……。)」

 

正攻法では勝てない。

ケイは既にそう結論づけていた。

 

厄介なのは彼女のスピード。

それさえ何とかすれば勝機はまだある。

 

しかしモモイ達の手を借りることができない今、想定外の事態を引き起こすことは不可能に近い。

 

銃撃で少しずつ朦朧とする意識の中、一つだけ解決策を考えついた。

 

成功確率は10%未満、成功しても勝率はもっと低い。

失敗すればその瞬間に自分は敗北するだろう。

まさに蜘蛛の糸のようにか細い一手。

 

時間が過ぎるほど取り返しがつかなくなる。

もはや躊躇っている猶予は無かった。

 

「電力充電……100%!!」

「あん?どこを狙ってる!?」

 

狙うのはネルではなく天井。

それも最上階に届くまでの威力を床を支えとし、遠慮なく弾丸をぶっ放した!!

 

案の定、天井は破壊され上からネルとケイを巻き込む形で大量の瓦礫が降る。

とてつもない威力だったので、戦闘範囲外にいた先生達の方にも落ちてくる。

 

「上から大量の瓦礫が!!」

「あわわッ、危ない!?」

「凄ーい!!天井まで突き抜けちゃった!!」

「感心してる場合ですか!!下手するとこのフロアが崩壊しますよ!?」

 

周りが慌てふためく中、ネルはというと………。

 

 

 

「舐めてんのかァ、てめぇ?」

 

 

降り注ぐ瓦礫の雨を掻い潜り、ケイへと接近するネルの姿があった。

まるで瓦礫がネルを避けていくかのようにスルスルと隙間を縫って走ってくる。

ケイの瓦礫で動きを止める作戦は失敗した。

 

「えぇ、そうでしょうとも。貴方なら難なく突っ込んで来ると信じてました。」

「ッ!!」

 

そこでネルは気づく。奴の照準が自分を完璧に捉えている事に。

 

大量に降り注ぐ瓦礫は、障害物の欠けらも無いこの廊下を迷路へと変貌させていた。

ネルがケイの元へたどり着くには、瓦礫を避ける為に決まったルートを通らなければならない。

 

ケイは降り注ぐ瓦礫の軌道を計算し、常にネルの走行ルートを予測する事に成功していた。

 

ここが人通りの多い校舎であれば、

旧校舎の天井が老朽化していなければ失敗していただろう。

照準は依然ネルを捉え続ける。

 

「電力充電70%………」

「ちぃッ!!」ブンッ

「私の勝ちです───光よ!!」

 

引き金に指をかけ、今度こそネル目掛けて弾丸が発射された。

それと同時に視界がグンッとブレ、ネルの姿を見失うケイ。

 

何が起きたのか理解できなかった。

 

少しの浮遊感の後、背中から床へと激突した。

僅かな痛みに顔を顰めていると左足に違和感を覚える。

 

雁字搦めに鎖に足をとられていた。

鎖の先はネルへと繋がっている。

完全にしてやられた。

 

状況を把握した直後、額に銃口を突きつけられた。

ネルには傷一つ付いていない。

 

「(やるだけ、無駄でしたか……。)」

 

自分らしくない策を弄してまで足掻いたが、結果は敗北。

放たれるであろう弾丸に備えて目を瞑った。

 

 

……衝撃が来ない。

 

 

不審に思い目を開けると銃口は下ろされ、その手には『鏡』が握られていた。

 

「ほら、やるよ。」

「え、なっ……………何故?」

「別にアタシに勝ったらやるなんて一言も言ってねぇぞ。そもそも負けねぇし。

 

予想外すぎた事態にケイは思考が追いついていない。

諭すようにネルは言う。

 

「依頼は達成した、約束の時間通り10:00まで、なぁ?」

 

要は初めからそういう事(出来レース)だったのだ。

そうでなければ約束間際の時間帯に呼び出したりしない。

弄した策が功を奏した結果となった。

未だ尻もちをついたままのケイに双子が抱きつく。

 

「「ケイちゃあぁぁぁぁんッ!!」」

「うぶっ!?モモイにミドリ、邪魔です……。」

「あ、あれ?C&Cの人達は一体どこに?」

・もう帰ったみたい。

 

いつの間にか退散していたC&C。

『鏡』を手に入れたケイ達は、行きしなとは真逆の軽い足取りで部室へ戻るのだった。

 

──────────────────────

 

その後、マキから届けられたロック解除済みの『G.Bible』を開いたゲーム開発部。

最高のゲームを作る為の秘密が明らかになった。

ゲーム開発の真理、それは─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ゲームを愛しなさい』

 

 

たったこれだけ。

危険を掻い潜って手に入れた『G.Bible』はゴミだった。

 

「ふふっ、ふへへへへ、全部終わった!!おしまいだぁ!!!!」

 

ショックすぎて変な笑い声が漏れ出てるモモイ。

瞳のハイライトを失ったミドリ。

ロッカーに篭もりガタガタと震えるユズ。

 

「どうせこんな物だとは思っていましたが………立ちなさい3人とも。」

 

不貞腐れる3人に喝を入れたのはケイだった。

 

「知ってたよ!!そんな都合の良いものなんて無いって!!でも、期待ぐらいしたって良いじゃんッ!!」

「ごめんねケイちゃん、私達は『G.Bible』なしじゃ良いゲームは作れないの……」

「いいえ。言った筈です、あのゲームは面白かったと。」

 

確かに全てを手放しに褒められた物ではない。

それでも確かにそこにはゲームへの愛が込められていた。

 

「それに忘れてませんか?私という存在が居るということを。」

「ケイちゃん……。」

 

何でもは出来ないが、不可能なこともあんまりない。

『王女』のサポートAIが、ゲームの開発さえマトモにできない筈がない。

 

開発全てに手を出すつもりは無い、この4人で最高のゲームを作るのだ。

 

「私がついているのです、不甲斐ない結果なんて許しません。」

「………ミドリ、ミレニアムプライスまでの猶予は?」

「あと6日、今からならまだ間に合うよ。」

「わ、私も皆と一緒に……だから、頑張る。」

「よし!!ゲーム開発部、『テイルズ・サガ・クロニクル2』の開発、始めるよ!!」

 

──────────────────────

 

ミレニアムプライス当日。

 

既に作品の投稿は終了した。

あとは結果発表を待つのみだ。

緊張で眠れていないモモイの目はギラギラしていた。

 

「緊張しすぎて吐きそう……。」

「胸をはりなさい、必ず受賞していますから。」

 

そして、ミレニアムプライスが始まりテレビ画面に注目する4人。

今回の出品数は例年より多く3桁を超える。

その中から栄光の座を手にするのはたった7作品。

7位、6位、5位と順番に発表される。

 

「うぅ、心臓に悪い。」

「ま、まぁ私達の作品にこの順位は相応しくないから!!」

 

続いて4位、3位、2位と容赦なく時は流れる。

 

そして念願の1位の発表の時が訪れた。

 

 

 

「待望の1位は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新素材開発部─────ズドドドドドッ!!

 

遮るように銃声が鳴り響く。

モモイがディスプレイを撃った音だ。

 

「きゃあッ!!本当にディスプレイを撃ってどうするの!!?」

「どうせ全部持っていかれるんだし、もう関係ない!!うえぇぇぇぇん!!今度こそ終わりだァァァ。」

「…………。」

「ケイちゃん?」

 

無言で『スーパーノヴァ』を担ぐケイ。

電力は既に充電は100%だ。

 

「…………私が関与しておきながらこんな結末、納得いきません!!」

「やめてっ!!銃を持って暴れないでケイちゃん!!」

 

会場にカチコもうとするケイを何とか抑えるミドリ。

ユズは悲しみで俯いている。

ツッコミ役がミドリしか機能していない混沌と化した部室。

そこへ唐突な来訪者がやってきた。

 

「モモイ!!ミドリ!!ケイちゃん!!ユズ!!」

「ひぃっ、もうユウカが!!悪魔ッ、セミナーには人の心がない訳!?」

 

結果発表のあと直ぐ来るほど、自分たちが賞を取れなかったのが嬉しかったのかと、涙目でユウカを睨みつけるモモイ。

 

「何を馬鹿な事言ってるの……最後まで見なさい。スマホで見て走ってきたの。」

 

スマホにはこう記されていた。

 

『特別賞 ゲーム開発部 《テイルズ・サガ・クロニクル2》』

 

──────────────────────

 

「釈然としません。」

 

あくまで《臨時の猶予》だが、廃部の危機は一旦去った。

大いに喜んだモモイ達だが、ケイは不機嫌なままだ。

1位を取れなかったのが大分ショックだったらしい。

 

「『特別賞』だって凄いよ!!本当にありがとうケイちゃん!!!!」

「……はぁ、そうですか。」

 

呆れながら溜息をつくケイ。

納得いかないが契約は果たした。

ならば、次はこちらの番だ。

 

「では私の願いを叶えて貰いましょう。」

「え?」

「まさか、忘れたのですか?そちらに協力する代わりに私を手伝って欲しいと言った契約を……。」

「あ、そう言えばそうだった。」

 

既にあの日から2週間近くが経ってしまった。

一刻も早く彼女(AL-1S)を探し出さなければ。

 

そう、なるべく早く。

これ以上、情が移ってしまう前に。

 

「私のこの姿と同一の人物を探して欲しいのです。」

 

ヒントは意外とすぐ近くにある事をケイは知らない。

 

──────────────────────

 

ミレニアム学園から遠く離れた土地。

自治区の郊外には広大な都市が建設されていた。

 

その都市の名は『エリドゥ』。

キヴォトスの終焉を防ぐべく造られた要塞都市。

未だ工事は続いているが、既に殆どの施工が完了した。

 

本来(原作)なら既に造られていたが、資金不足という生々しい原因で中々計画が進まなかったのだ。

 

如何にセミナーの会長と言えど他の役員、特にユウカの目を盗み資金を横領するのは骨が折れる。

 

本来ならば黒崎コユキのイザコザ(船上のバニーチェイサー)で何とか横領に成功したが、そのようなイベントは起こらなかった。

 

ではどうやって資金を調達したのか?

それは協力者の力が大きい。

 

「演算装置の共同開発、工事資金の融通、その他諸々の協力に感謝するわ。おかげでエリドゥは完成間近まで進んだ。」

「問題ない、これらも全て私達それぞれの目的の為だ。」

 

現在、エリドゥで最も高いビルの部屋にセミナー会長リオと、スーツを着こなした骨の男ホモが対面していた。

 

皮肉にも、この縁を結んだのは黒崎コユキだった。

リオからすれば、わざわざ『廃墟』までAMASを送った甲斐があった。

 

「本当はヒマリもこの場にいて欲しかったのだけれど、対立は避けることはできなさそう。」

 

今回のミレニアムでの騒動は、全てリオとヒマリの掌の上にあった。

ヒマリが『鏡』という餌を用意し、リオが『C&C』という敵を作った。

 

全ては『Key』の力を確認するために。

 

結果的に上手く目論見は運んだ。

ヒマリは彼女をミレニアムの生徒として扱うらしい。

リオの出した結論は真逆で、「キヴォトスに終焉をもたらす敵」。

 

例え全員から人殺しだと罵られようとも、ミレニアム……延いてはキヴォトスの為に。

『Key』である依星ケイの()()()()()()()()()と決めたのだ。

 

「問題はない、君は君の道を進むといい。」

 

最終目標は違えど道のりを同じとする者もいる。

此度は大人の味方を手に入れた状態で『Key』に牙をむく。

 

「責任は取る、大人はその為に存在するのだから。」

 





次回からはRTAパートに戻ります。
多少投稿ペースはマシになるはず……。
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