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第4話

3. 戦々恐々
13
2025/10/16 07:44 更新
─────私達の耳に、夕焼けを知らせるチャイムの音が響いた。
ライム
あっ
その音はこの幸せを一気にかき消すかのように、残酷に一変した辺りを知らせていた。
私達はお互いに顔を見合わせた後、その後に起こりうるであろう最悪の事態・ ・ ・ ・ ・を頭に巡らせていた。
ライオン
ラ、ライムさん
ライオン
すみません、私が時間を気にすることなく行動してしまったせいで…
ライム
っちっちがいます
ライム
おねえたまは悪くありません…あたしも時間を見てなかったから…
ライオン
滅相もない!私がもっと時間に気をつかい行動しライムさんに知らせていれば…
嗚呼───
こんな事を言い合っても何も意味がないのに。
早く今後の事態を免れる方法を導き出さねばならないのに。
ライオン
(早く…)










この子を守るための"偽り"を作らなければならないのに─────





ライム
っ…















─────っ
貴方達はっ!!!
今の時刻をその目で確認してご覧なさい!
ライオン
(やはり、お母様がお怒りになられない訳がないですよね)
ライム
……
…身体が震えている…やはり、この子にとって母親は恐怖なのでしょう
ライオン
只今、しっかりとこの目で確認致しました
ライオン
本当に申し訳ございません。私が周囲に注意して行動していればこのような事は起こらなかったのです
私は深々と頭を下げた。
これが、いわゆる"土下座"というものだろうか。お母様の機嫌を少しでもとるためなら、何度だってできる。
ライム
っ!
ライム
おかあたま…
ライム
あ、あたしも…
ライオン
(っ!)
ライオン
いいえお母様。私が全て悪いのです。私の責任でありライムさんは一切関係ありません。
ライオンさん
ライオン
…はい、お母様
顔をお上げになりなさい
ライオン
私は瞼を少々閉じながら、ゆっくりと視線をもどした。
今から、貴方達二人に一つだけ問います
ライム
おかあた…
ただし
二人共別々の部屋で
回答して頂きます
ライオン
(─────何故)
ライム
へ…部屋を、移動するのですか…?
はい。その通りです
何か問題がありますか?
ライオン
…お母様。大変恐縮ですが私からも一つよろしいでしょうか
ええ。構いません
ライオン
恐れ入ります
ライム
…っ
ここで吉と出るか凶と出るか
試すことには変わりありませんね。
ライオン
─────
ライオン
その問は
ライオン
…その何かは、何ですか?
核心を突いたような、恐れているかのような声が私の喉から発せられた。
私な見逃さなかった。
お母様の眉が、ほんの少しだけぴくりと動いたことを。
"何か"とは、なんですか?
ライオン
(声色が少し違う)
ライオン
(やはり図星───)
ライオン
お母様。それを問いているのです
…ライオンさん。少しおふざけが過ぎますよ
どうしてそんな生意気な態度を…
ライオン
おふざけが過ぎるのは貴方の方でしょう?…
ライム
っ!
ライオン
お母様。
貴方っ!今なんとお言いになったの?!
ライオン
…聞こえませんでした?
ライオン
おふざけが過ぎているのは、お母様。貴方だと言ったんです
っ、!!
その達者な口、二度と使えなくしてほしいようで!?
ライオン
─────少し感情的になりすぎていませんか?
なんとお言いに…!?
ライオン
お父様に叱られますよ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
っ!
ライム
おねえたまっ!
今は、あの人は関係ないでしょう
まぁいいでしょう
ライオンさん。来なさい
ライム
おかあたま!
ライム
お二人共急にどうなされたんです?!ただ、ただ問いに答えればいいだけの話だったはずでしょう?
ライム
それなのにおねえたまはおかしな事をおっしゃって…
ライム
おかあたまも物騒な事をおっしゃらないでください!
ライオン
…ライムさん
やはりあの子は分かっていなかった。お母様が部屋に行き"何をするか"を。
ライオン
お母様は…
もういいです。やめなさい
ライオンさん?来なさいと言った筈です
ライム
おかあたま…やめてください…おねえたまは何も悪くないでしょう?…





ライオン
─────はい、お母様
ライム
っおねえたま!
…早くなさい
私は今にも涙が零れ落ちそうなあの子のことを見て見ぬふりをし、少し震える足をお母様の元へ運んだ。



ライムさん。
貴方の事は
この
絶対にお守りします─────

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