シンガポールの政府系ファンド、中国NIOが売上高水増しとNYで提訴
(ブルームバーグ): シンガポールの政府系ファンド(SWF)、GICは、中国の電気自動車(EV)メーカー、蔚来汽車(NIO)が証券法に違反し売上高を水増ししているとして、米国で同社を提訴した。
ニューヨーク州南部地区の連邦地裁に8月に提出された訴状では、NIOの李斌CEO(最高経営責任者)ら経営陣も被告となっている。NIOの株価は16日の香港市場で一時12%安、シンガポール市場では9.8%下落する場面もあった。
GICによる提訴は異例だ。中国メディアの財新は、海外上場の中国企業を相手取ったSWFによる初の訴訟だと報じた。かつて米テスラのライバルとなる可能性があると期待されたNIOにとって、国内での激しいEV値下げ競争に続く新たな打撃となった。
GICは、被告らがNIOと傘下のNIOバッテリー・アセットとの関係について「重大かつ虚偽または誤解を招く説明」を行い、事業や財務に関する重要な事実を開示しなかったと申し立てている。これらの虚偽説明でNIOの証券価値が不当に押し上げられ、GICは「多大な損失」を被ったという。
NIOはEV購入者がバッテリーを直接買い入れず、定期料金を支払うことで同社のバッテリー交換ステーション網を利用できる「バッテリーサブスクリプションモデル」を採用している。
GICによると、NIOバッテリーがNIOから前払いでバッテリーを購入し、NIOはその時点で売上高を全額計上していることが財務記録で示されている。
しかし、利用者がまだバッテリー代金を支払っていないため、本来は売上高を一括ではなく段階的に計上すべきだったとGICは訴えている。
NIOとGICはブルームバーグの取材に対しコメントを控えた。
原題:Singapore Wealth Fund Accuses EV Maker Nio of Inflating Revenue(抜粋)
--取材協力:David Ramli、Felix Tam.
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Linda Lew, Pearl Liu