水姫七瀬 @mizuki17th を相手とする民事訴訟での勝訴のご報告
自分が原作者であると主張する水姫七瀬により著作権侵害訴訟を起こされた結果、「サキュバス♀に強制転職させられた俺♂」の販売が2021年4月頃より停止されており、さらに、購入していただいた方も閲覧が出来ないというご不便をおかけいたしておりました。
また、訴訟に加えて、訴訟提起以前より水姫七瀬やその同調者から根拠のない多数の誹謗中傷発言を繰り返された結果、精神的に疲労困憊しており、創作活動や即売会・交流会の運営に多大な悪影響を受けており、支障を来しておりました。大変申し訳ございません。
適切な手順を踏んで漫画制作を行っており、また、権利関係に関して明確な証拠を予め残していたため、水姫七瀬の主張は裁判所に採用されず、著作権侵害は認められないとの裁判所の判断が確定しました。よって、漫画の販売や配信を再開させていただきます。
判決の概要
2024年12月、東京地裁において勝訴し、2025年8月、知財高裁での控訴審においても判決が維持され、原告が最高裁へ上告を行わなかったため判決が確定しました。
水姫の提起した著作権侵害訴訟(本訴)に対する判決は、
・原告(水姫)による本件本訴の請求は棄却
となりました。
また、前述の誹謗中傷に関して、私が反訴を提起したことで、
・原告(水姫)による発言(投稿)は被告(私=F)の名誉を毀損する違法なものである
として、11万円の損害賠償請求を認めるものでした。
判決については、裁判所HPに掲載されています。
東京地裁:令和3年(ワ)第5411号、同4年(ワ)第9709号
https://www.courts.go.jp/hanrei/93656/detail7/index.html
知財高裁:令和7年(ネ)第10007号、同第10026号
https://www.courts.go.jp/hanrei/94604/detail8/index.html
訴訟の具体的内容
水姫の訴えてきた内容は、「サキュバス♀に強制転職させられた俺♂」の制作・販売は、水姫が制作した原作を私(F)が無断で漫画化したものであり著作権侵害にあたるというものでした。前述した通り、水姫の主張は棄却されています。
実際の流れは以下の通りです。
①FがCG集のシナリオの原作となるシナリオ案を制作した。
②水姫にシナリオ案を渡した上でCG集のシナリオ制作を依頼し、水姫はFの監修の元でシナリオを完成させ、Fは原稿料を支払った。
③Fが自身で制作した前述のシナリオ案に基づき、漫画原作を別途制作した。
④漫画制作を行う際には、念のため水姫にも許可を得ていた(証拠あり)。このため、仮にシナリオ案に加えて水姫のシナリオを利用していたとしても法的問題はない。
⑤漫画の発売時においても、水姫はFからの連絡に応じて、Fの宣伝TweetをRetweetするなど宣伝に協力していた。
⑥漫画を発売してから約9ヶ月後、関係上の摩擦や誤解が生じる行為が続いたため、水姫に対して絶縁を通告した。
⑦絶縁通告後、水姫が「自身が制作したシナリオをFに無断で漫画化された」「Fから未払いの原稿料がある」などの事実とは異なる内容を周囲に主張し始め、その内容に基づいて漫画の発売から約2年3ヶ月後に事前交渉を行うことなく訴えてきた。
要するに、水姫は、私の制作したシナリオ案を元にシナリオを制作し、原稿料を受け取った。そして、私が漫画原作を制作して漫画制作を依頼する際にも、明確に了解していたということです。
それにも関わらず、水姫がCG集のシナリオを独自に書き上げ、私がそのシナリオを元に無断で漫画を制作したとして周囲に主張し、さらに民事訴訟を提起してきたということになります。
判決文中でも真実性が否定されていますが、水姫が周囲に主張していた私に対する以下の発言は全て根拠がなく事実に反するものです。
・水姫の作品を勝手に漫画化した
・(著作権侵害による)被害総額が概算で400万オーバー
・私による未払金トータルが100万円超えている
・本来の制作費用よりも15万円も値下げした
・発注ミスのリカバリーで5000文字多く書かされた
裁判では、原告らによる事実とは異なる主張を合計約2000時間をかけて何度も何度も丁寧に反駁しなければなりませんでした。特に、後述するように事実と全く異なる陳述・証言を繰り返す原告側証人Aの論理を崩すのはとても骨が折れました。
水姫側の主張が僅かでも通ってしまうと、私が契約違反や法律違反をした事になってしまい、「法律関係の本業」「同人誌制作」「イベント運営」のどれもに悪影響が出て、最悪どれもできなくなる、という社会的評価への極めて多大な悪影響が懸念される状況であり、それが5年近く続いた訳です。
加えて、原告や原告に同調した者(主として原告側証人A)による罵詈雑言(「同人ゴロ以下」だの、「同人ゴミ」だの)を何度も読み返さなければならなかったのもつらかったです。
また、4年4ヶ月の長きに渡って販売不可能にされたことに伴う約100万円の見込み利益や約190万円の弁護士費用は返ってきません。水姫に依頼したシナリオもボツにする以外ありませんし、企画を再利用することも難しい状況です。
よって、たかだか11万円の損害賠償請求金しか認められなかったことは内心納得しておりませんが、とりあえず、長期の訴訟対応が終了したことでほっと一安心しております。
事案の補足
以下、判決文を読むときの補助線としてご参照ください。
まず、判決中で記載されている著作物の関係性について説明します。水姫七瀬には、平成30年頃にシナリオ制作を依頼していました。原稿料は当初合意していた額を支払っています。
2018年5月頃から8月頃にかけて、水姫は、私が制作したシナリオの原案・原作(判決文中では本件素案)に基づいて、私の監修の元でCG集用のシナリオを制作しました。
その後、CG集の制作が停滞したことなどを理由として、上記の本件素案に基づいて私自身が漫画のシナリオを別途制作し、星名めいとさんに漫画化を依頼しました。
その際、①2018年8月24日に念のため水姫から漫画化についてテキスト会話上で明確な了解を得ています。このDiscord DMは現在でも残存しており、水姫側からも確認可能なものでした。
また、②私は私自身が制作した上記「本件素案」に基づいて漫画原作を制作したのであって、水姫の制作したシナリオをそもそも私は利用していない、というのが私の主張です。裁判所は「台詞については具体的表現が異なるところが多いことが認められる」と判断しています。一方で水姫側の主張は、私が漫画原作を制作する際に水姫が制作したシナリオを利用したというものです。
裁判所は主として①に基づいて、「仮に本件漫画が原告シナリオの二次著作物であったとしても」著作権侵害は成立しないとして、水姫の訴訟を理由がないものとして退けたと言うことになります。(②についての判断は行われなかった)
訴訟に至った経緯ですが、水姫と私は周囲から見ても友人関係と呼べるものでしたが、2019年9月末に私が主催した泊まり込みのオフ会において、水姫が私のお世話になっている作家さんに対する非難を別の参加者に早朝から長時間吹き込んでいたことをきっかけとして絶縁するに至りました。
その後(あるいは上記のオフ会におけるトラブル以前から)、水姫は私に対する誹謗中傷発言を繰り返した挙げ句、事実とは異なる主張により民事訴訟を提起したということになります。
本件訴訟で一番難儀した部分であり、訴訟終結までに時間がかかった理由は、訴訟開始から1年以上経過してから、原告が①を否定するために2018年8月24日の音声通話(裁判所も信頼性を否定しています)の存在を主張し、さらに、原告側の証人Aがその音声通話が実在するような証言をしてきたところです(高裁判決12Pから13Pに記載) 。
Aによる証言に関する争点についても、裁判所は当方の主張に沿う判断を示しています。なお、高裁判決にも明記されているようにAは私の依頼で漫画作品を執筆したことがある漫画家です。
原告の請求により、2024年5月に審尋(裁判官の前で意見を述べたり互いに尋問をすること)を行うことになりました。審尋の一月前に原告とAの主張する内容が書面で送られてきたのですが、Aの主張が証拠付きで否定・反論可能なものでした。
Aには三話構成の漫画の執筆を依頼して2018年8月に第一話を販売しました。ですが、Aの主張では第一話を2017年8月に販売し、2018年8月に向けて制作していた第二話が私の約束破りにより制作・販売中止となったなどと書かれていました。このAに対する私の約束破りが2018年8月24日の音声通話の動機であったとするのが、原告側の主張です。
Aの主張のする時系列は実際の事実とは異なりますし、もちろん約束破りなど存在しません。そもそも第二話についてはAとの関係悪化により制作依頼をしていません。また、なぜか三話構成であるはずの漫画が七話構成と記載されているなど、その他の部分も整合性が大きく欠如していました。
このため、審尋の数日前に裁判所および原告に対して、Aの主張を否定・反論するA4用紙43枚の証拠付き資料を送りました。すると、Aは審尋当日に主張内容を変遷させつつ、音声通話が実在するような証言を行ってきました(判決文13P3行目から7行目近辺に記載)。変遷後の証言についても審尋中および審尋後に証拠付きで再び丁寧に否定・反論しました。
なお、原告の主張に対してもA4用紙47枚の証拠付き資料で審尋の前に予め反論しました。 仕事や同人誌即売会の主催をしつつ、数週間で合計90枚の資料を書くはめになり、たいそう疲れました。もちろん、審尋以外においても相手側の事実と全く異なる大量の主張に反論する必要があり、多くの時間(約2000時間)を無駄に使わされました。
原告を特定しての記事投稿
主として以下の3つの理由に基づき原告のペンネームを明記した上で本記事を投稿しています。
1.シナリオ協力=水姫であることが既に公知
本作品の販売において「水姫七瀬」を「シナリオ協力」として表示していた点と、判決文にも原告=シナリオ協力との記載がある点から、判決文との対応関係から、原告のペンネーム(水姫七瀬)が判別可能な状況にありました。実際に、私個人は知財高裁で判決が下されるまで原告の名前を公開しておりませんでしたが、以前から原告=水姫七瀬だと認識していた者を確認しております。
2.作品購入者に対する説明
既に記載したとおり、同人ダウンロードストアで作品を購入してくださった多くの方に、本作品を閲覧できないという不利益を与えてしまっております。(DLsite:2796本、FANZA:2287件)このため、事情を広く説明する必要があります。
3.原告による名誉毀損への回復措置
原告は、私の知人などに、上記の誹謗中傷発言を行っておりました。去年2024年12月の冬コミC105においても、イベント会場で私に関する否定的な説明を原告が複数名に対して行っていた旨の報告を受けています。明確な証拠の残っていた名誉毀損の他に、どれぐらいの者に対して誹謗中傷発言を行っていたか分からず、また、さらに噂が広まっている可能性も考えて、私の名誉を回復する目的で、原告を特定して記事を記載しております。
2025/10/14 追記
水姫七瀬側の代理人である大熊裕司弁護士から以下の通知が来たため一部の記載を削除・変更させていただきました。
水姫七瀬側の代理人である大熊裕司弁護士のご指摘に応じて、削除・変更を行った後の本記事は公開裁判の確定判決および一次資料に基づくものであり、公益性と真実性が認められる内容です。
現時点で法的に削除の必要はないと思量しており、表現の自由や名誉権および公益の観点から任意削除にも応じかねます。万一、法的手続が取られる場合には、正式な手続に従って適切に対応いたします。
本記事の内容は、上記裁判の公開判決および著者の体験に基づいて構成されています。
記事は CC BY-SA 4.0(表示–継承)ライセンスの下で公開され、他者による再利用・翻訳・研究目的での引用を自由に認めます。
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"datePublished": "2025-10-15",
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