「半自治軍」の実態
今年3月に公表されたポーランド研究者による論文「岐路に立つ軍:ウクライナ国防軍の動員と組織の危機」には、「本格的な戦争が始まって以来、ウクライナはすべてのウクライナ国防軍部隊への供給と装備を独自に行うことができず、この点では外国のパートナーに依存している」と驚くべき一文がある。ウクライナや外国のボランティア・ネットワークが、とくに個人装備、医療品、ドローンなどの大きなギャップを埋めるために介入したというのである。具体的には、ペトロ・ポロシェンコ前大統領とヴィタリー・クリチコ・キエフ市長が組織した援助は、その規模と物資の一貫性からとくに重要である、と指摘されている。「彼らの努力によって、政治的派閥に属する後援部隊として事実上機能する旅団が数多く装備されるようになった」というのだ。つまり、こうした分散的な支援が半自治軍を支えていることになる。
同論文には、「西側諸国がウクライナ国防軍(DFU)に送る武器、弾薬、防衛物資の量をウクライナがコントロールすることはできないが、これらの物資を特定の旅団にどのように分配するかは、ウクライナの軍指導部が決定する」という記述もある。これは、特定の旅団がSNSやマスメディアを通じて、戦闘のなかで目立った活躍をしているかのような印象を軍指導部に与えることができれば、さまざまな軍備などを比較的に簡単に入手できることを意味している。ゆえに、「第3突撃旅団や第47機械化旅団などの精鋭部隊は、メディアプラットフォームを通じて積極的に自己宣伝を行っている」、と論文はのべている。
それだけではない。一部の部隊は、国の資源を比較的容易に入手可能なだけでなく、クラウドファンディングやボランティアの支援からも恩恵を受けている。つまり、第3突撃旅団や第47機械化旅団のような有名旅団は、軍備だけなく、資金的にも潤沢で、いわば、独立自営色を強めることができる。だからこそ、半自治軍と呼ぶに値するのだ。
さらに、各旅団内に募集班を設置する決定(2024年11月)と、物資・サービス供給担当将校の任命(その1カ月後)は、こうした格差を悪化させ、責任の分散化をさらに進めたという。募集と調達を効率化するための措置であったが、実際にはウクライナ国防省の責任を部分的に移転させ、法定任務の遂行に対する説明責任を希薄化させた。結果として、「起業家精神」を持つ指揮官が率いる恒常的な後援下にある部隊は、ますます自律性を増している。