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General Atomics、M777の射程を150kmに拡張する主翼付き砲弾が試射に成功

General Atomicsは2年前のAUSAで「ラムジェット砲弾と同じ射程距離150kmを実現する主翼付き155mm砲弾=LRMPを開発中だ」と明かしていたが、今年のAUSAで「LRMPの試射に成功した」「M777から発射されたLRMPは設計通り機能することが実証された」と発表した。

参考:General Atomics Advances Artillery Modernization with LRMP Testing

既に米海軍はLRMPに関心を示し、海上運用に向けたLRMPの開発契約をGA-EMSに授与している

General Atomics Electromagnetic Systemsは2023年のAUSAで「ラムジェット砲弾と同じ射程距離を実現する主翼付き155mm砲弾=Long Range Maneuvering Projectile(LRMP)を開発中だ」と、Sea Air Spaceでも「標準的な155mm砲弾は毎秒約200回転の速度で砲身から飛び出すが、LRMPは小型の制御フィンで猛烈なスピンを毎秒約20回転まで減速し、主翼を展開し、目標まで飛行コースを操縦することができる」と明かしたことがある。

BoeingとNammoが開発に取り組んでいるラムジェット砲弾(155MM HE-ExR)は52口径155mm榴弾砲と組み合わせると最大150kmの射程を実現できるが、LRMPは標準的な39口径155mm榴弾砲との組み合わせで155MM HE-ExRと同じ射程距離を実現でき、しかも静止目標だけでなく移動目標への攻撃にも対応しており、General Atomicsは13日に開幕したAUSAで「GA-EMSがユマ試験場でLRMPの試射に成功した」「M777から複数発射されたLRMPはサボ分離、高速スピンからの減速、主翼展開、降下制御が設計通り行われることを実証した」「今回の試射でシミュレーション結果と一致するデータが得られた」と発表した。

GA-EMSも「米陸軍が保有する全ての155mm榴弾砲にLRMPは統合できる」と述べているが、まだ米陸軍はLRMPに対して明確な関心を示しておらず、もしかしたらLRMPへの関心は次期自走砲の選定にリンクしてくるのかもしれない。

出典:General Atomics

因みにGeneral Atomicsは「標準的な艦艇砲=127mm砲に対応したLRMPも開発する」「155mm砲弾バージョンより主翼が短くなるため空中での操作性と射程(50km~100km)が劣る」と述べていたが、既に米海軍はLRMPに関心を示し、2024年12月に海上運用に向けたLRMP(恐らく127mm砲弾バージョン)の開発契約をGA-EMSに授与している。

追記:米海軍が授与した契約はLRMPを海上でテストするためのもので、LRMPを採用を保証しているものではない。

関連記事:主翼を備えた155mm砲弾が登場、標準的な39口径で150km先を攻撃可能

 

※アイキャッチ画像の出典:General Atomics

中止されたパトリオットシステムの次世代迎撃弾開発、米陸軍が再開に言及前のページ

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コメント

  • コメント (18)

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    • 無印
    • 2025年 10月 16日

    1発おいくら…

    16
      • たむごん
      • 2025年 10月 16日

      エクスカリバー弾1発1000万円以上なんて言われてましたが、この砲弾さらに長射程ですからね…

      (充分な数量が確保できないと)少ない販売数量に、生産コスト(研究開発・生産設備など)を配賦したうえに利益乗せるわけですから、1000万円を普通に超えるのかなあと妄想してました。

      6
    • たむごん
    • 2025年 10月 16日

    (もしも)コスパよければ、沿岸警備・ミサイル艇の代わりのように使えるんでしょうかね?

    通常艦ならば、お互い対艦ミサイルの射程に入りますし、使う場面どういった想定なのか興味深いですね。

    2
      • のー
      • 2025年 10月 16日

      事実上のミサイルでしょう。
      一般論になりますが、ロケット推進に比べて、砲の利点は
      初速が速くて着弾までの時間が短い。
      発射薬の効率が圧倒的に良い。たぶん1/10ぐらいの火薬量で飛ばせますから、兵站に優しい。
      あと分離装薬で、砲弾と共通に格納できるから、場所を取らないという利点も大きいと予想します。
      射程内に入れば、ミサイルよりこの砲弾の方が火力は圧倒的でしょう。

      10
        • のー
        • 2025年 10月 16日

        素人の簡単な試算です。
        だいたい40kmぐらい飛ばすとすると
        M795砲弾(155mm) 弾頭47kg/発射薬10kg
        M26ロケット弾:弾頭90kg//砲弾全体で300kg
        弾頭重量を同じとして換算すると、ロケット弾は砲弾の15倍発射薬+弾体が必要になります。
        恐らく保管時の体積もも1/10ぐらいだと思われます。ミサイルは非常に嵩張ります。

        4
        • kitty
        • 2025年 10月 16日

        標準的な現代の127mm艦載砲は速射砲ですが、こいつもその速度で撃ち出せるんですかね。
        それならミサイルとの使い分けができぞう。
        併用して飽和攻撃にも。

      • nachteule
      • 2025年 10月 16日

       メリットは既存砲と言うプラットフォームが使えるだけで海上目標に限って言うなら発射時のスピンが邪魔で発射時のG対策までするなら大人しく長距離攻撃用ロケットにして弾頭分離機能持たせた方がいい気がする。

      1
    • レプタリアン
    • 2025年 10月 16日

    砲から発射する必要無くない?

    1
      • バーナーキング
      • 2025年 10月 16日

      砲から撃たずにどうやってこのサイズパフォーマンス(ヘルファイアより小さくて射程100km以上)を実現するんでしょう?

      7
        • バーナーキング
        • 2025年 10月 16日

        失礼、装薬無視したサイズ比較はアンフェアか。
        とはいえ装薬込みでも「ヘルファイア以下」が「サイドワインダー並み」になる程度で話は変わらないでしょう。

        5
      • kitty
      • 2025年 10月 16日

      弾道学として長距離を飛ばすための初速度を得るに、航空機からの発射、ロケットでの加速以外になるとこれしかないのでしょう。
      しかし、155mmなり127mm内の口径に回転制御・フィン・GPSなどのメカニズムを詰め込んで、普通のミサイルよりどれだけ安くできるのかという疑問だけは付き纏う。

      6
        • VRTG
        • 2025年 10月 16日

        この方式は威力面でも不安がありますね。
        ・通常弾より空気抵抗が大きく、この種の弾が必要となる距離ではKE弾としての打撃力を期待しにくい。
        ・形状や各種機材の分だけ装薬が減るのでHE弾としての打撃力と危害半径が大幅に低下する。
        ・上記は砲弾サイズを長く伸ばせば対処可能だが、弾薬庫と給弾装置の都合から制約が大きい。特に艦砲や自走砲で。

        加えて、コストとサイズの関係で防空網突破の装備は追加困難なので、昨今の防空能力向上を考慮すれば目標到達すら困難でしょう。
        さほど安くない弾になるはずですが、どう使うつもりなんでしょう?

    • 黒丸
    • 2025年 10月 16日

    中国軍も同種製品を頑張って開発してそう。
    ミサイルと違って衛星画像からでは判別できなさそうなので、
    南沙諸島や沿岸部の対艦火力増強によさそうな気が

    1
    • dd4
    • 2025年 10月 16日

    アメリカや中国の強みは、この手の色々な実験な試みをあれこれ出来る事なんだろうなぁ

    • p-tra
    • 2025年 10月 16日

    これ続いてたんですね。
    誘導砲弾の強さは分かるけどあまりに精密誘導化しすぎると砲弾のメリットが
    失われると思います。
    砲弾は耐G要求が大きいから電子機器を載せるコストが高くつく。
    高価な電子機器を載せるならそれなりの弾頭重量を運んでくれないと割に合わない
    訳だからミサイルの方がいいし、大した電子機器を乗せないなら従来の砲弾で良い。
    廉価な電子機器で手頃な精密誘導兵器が欲しいならゲラニのようなドローン
    か滑空爆弾の方が良い気がします。

    6
      • SB
      • 2025年 10月 16日

      で、そのドローンと滑空爆弾とそれを発射するプラットフォームはどうやって運ぶんですか?って問題が出てくる訳ですね
      M777はヘリなりトラックで一度運べば、砲弾と装薬の方は最悪車の助手席にでも積めますからね

      2
    • ののの
    • 2025年 10月 16日

    多様なプラットフォームか長射程弾を撃てるようにするというのが基本コンセプトで、通常砲弾のように手数で勝負するとはまた意味が違うのでしょう。
    中身もお値段もHIMARSからGPS誘導ロケットをぶっぱなすのと大差ないようなものになると思いますが、「ヘリコプターで吊り下げ空輸できるほどの戦略機動性を持ったプラットフォーム」に、150km先の目標を攻撃できる性能を持たせるというのが1番の狙いのように思います。弾頭部に赤外線画像識別シーカーを持たせれば対艦攻撃も可能なわけで、艦砲の射程外から不意打ちできるようになれば敵の島嶼への接近を躊躇わせることができる。

    9
    • あい
    • 2025年 10月 16日

    これからの装備開発こういう
    「超高額の高性能兵器」と「超安価な簡易ドローン兵器」
    といった具合に二極化していくんだろうな

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