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5 of the World's Most Dangerous Chemicals(全1記事)

硫酸の1京倍強力な酸も 世界で最も危険な化学物質5選

世界には毒や酸など、危険な化学物質がたくさんあります。サイエンスチャンネル「SciShow」が今回解説するのは、びっくりするほど危険な5つの化学物質です。コンクリートやレンガすら燃やしてしまう三フッ化塩素。何もしなくても爆発してしまうアジ化アジト。ほんの僅かな量でも死に至るジメチルカドミウム。数百メートル先にも悪臭が届くチオアセトン。硫酸の1京倍の強度の酸、フルオモアンチモン酸。実際にお目にかかるのは遠慮したいですが、それぞれの解説を見てみましょう(SciShowより)。

ナチスさえも尻込みをした危険な物質

ハンク・グリーン氏:1993年、ドイツ・ポーランド国境にある秘密の地下壕の中で、ナチスのエージェントたちは先日発見されたばかりの化学物質“物質N”の製造の監督にあたっていました。

その物質は、空気に触れると沸騰し、水に触れると爆発を起こし、さらに人間に吸引されるとその人間を死に至らしめるという性質を持っていました。また、それは分解されると猛毒のフッ化水素酸になる物質でした。

火炎放射機でその物質を放射した場合、その温度は2400度にも達しました。当初、部隊にこの“物質N”を装備させ、連合国軍の地下壕をドロドロに溶かしてしまう作戦が立てられていましたが、物質の研究が進むうちに、現場の兵士達の間では次のような会話が交わされ始めました。

「うわっ、“物質N”の研究はもう中止すべきだ。この物質はあまりにも危険すぎる!」「我々が扱っているこれは、世界で最も危険な化学物質だ」

この物質は、触れただけで爆発を起こし、100万分の1グラムを吸い込むだけで人を死に至らしめます。また、その臭いをかいだだけで人は憔悴し動けなくなってしまいます。

そう、この化学物質は、そのあまりの威力に、あのナチスでさえもしり込みをしたという代物です。

コンクリートをも燃やす三フッ化塩素

では、ドイツ軍が秘密の軍事豪の中で密かに所有していたモノについて見ていきましょう。

当初、彼らはその物質を毎月90トンのペースで製造する予定でしたが、結局、終戦までにわずか30トンを製造するにとどまりました。

彼らが製造していたものは三フッ化塩素と呼ばれるものです。これは最も強力なフッ素化剤として知られています。フッ素化剤は他の分子をバラバラにし、水素原子と自身のフッ素を置き換えます。その結果、いわゆる重度発熱反応が起こるのですが、特にこの場合はフッ素火炎と呼ばれます。

これは化学の知識がある人にとっては当たり前のことですが、フッ素ガスよりも取り扱いに伴う危険度が高いのです。またこの物質は酸素よりも優れた酸化剤です。酸化剤とは、化学反応時に他の化学物資の電子を奪い取り、燃焼を可能にする化合物のことです。

三フッ化塩素はこの性質が非常に強く、一般の人なら燃えるはずがないと思うような物、例えばレンガや石綿のようなすでに一度焼かれている物も燃え上がらせることができます。

また、酸化剤はロケット燃料の点火にも使われています。アメリカのロケット科学者たちはこの物質をロケットの推進剤として使うことも考えていたようですが、すぐにその危険性に気付き取りやめになりました。

1950年代初め、アメリカの科学者たちが初めて大量の三フッ化塩素を輸送しようとしたとき、鉄製のタンクがひび割れ、1トンもの三フッ化塩素が流出するという事故が起きました。それは大変な高温で燃焼し、コンクリート製の床およびその下に敷き詰められた1メートルもの土砂と砂利にまで達するほどでした。

その流出事故の目撃者のひとりはこう言ったそうです。

「コンクリートが燃えている……!」

三フッ化塩素は今日でも製造されおり、半導体製造会社で施設を清掃するために使用されています。幸いなことに、気密性さえ保たれていれば、三フッ化塩素は鋼鉄製のドラム缶で安全に保管することができます。ただ、この物質は一瞬で貯蔵容器の内壁を焼き尽くし、非反応性金属フッ化物に変えてしまうので、慎重な取り扱いが要求されます。

最も爆発しやすい化学物質・アジ化アジト

「非反応性」という言葉は次に議論する化学物質アジ化アジトには無縁だと思われます。それは人類がこれまで生み出してきた中で最も爆発し易い化学物質です。この不安定な化合物は高窒素エネルギー物質として知られ、他の物質と融合することを嫌います。窒素原子と他の窒素原子との結び付きはとても安定しており、この地球上で最も安定している分子のひとつと考えられています。

彼らの電子は互いに三重結合で強固に結びついています。通常、自然界でこの結びつきが壊れるのは落雷の直撃を受けたときぐらいです。

結合の強固さは、2つの窒素原子の結びつきが解かれたとき、莫大な量のエネルギーが放出されることを意味します。もしあなたがAAの分子を観察していれば(アジ化アジトの発音は大変なので、これからはAAと呼ぶことにします)、どのようにそれが起こるか見ることができるでしょう。

AAは14個の窒素原子を持っています。分子は原子の組み合わせであるため、そこに三重結合は見られません。代わりに、それらは緩やかな結合で結び付いています。

そして、それらはエネルギーが高い状態からより低い状態へ移行しようと絶えず試みています。これは、このプロセスの過程で、抑圧されてきた莫大なエネルギーが放出されることを意味します。

結果的に、AAは高い反応性と極度の爆発性を併せ持つことになります。この物質の反応性がどれほど高いかは、反応性が高すぎてその反応性を測定すること自体が困難であるという事実からも分かります。

2010年、ドイツの化学者チームが、より強力なエネルギー化合物を求めていたアメリカ陸軍の協力の元、AAを開発しました。開発当初の彼らのレポートにはこう書かれています。「この物質C2N14の反応性は我々の測定能力を遥かに超えている」「最小限のショックや摩擦でもすぐに爆発的分解に直結してしまう」

下記は、どれ程AAの反応性が高いかを示すための「AAの爆発を引き起こす行動リスト」です。

・動かす・触れる・溶液の中に混ぜ込む・ガラス板の上に放置する・明るい光にさらす・エックス線にさらす・分光計の中に入れる・分光計のスイッチを入れる(私のお気に入りです)・何もしない

この物質は温度調節機能付きの暗室で耐衝撃性の爆発物保管箱に入れられ管理されていましたが、それでも爆発しました。この物質を合成した化学者チームのリーダーはAAを「胸躍る発見」と呼んでいました。AAを取扱っている期間、朝起きるたびに自分の指が全て揃っているのを発見して、そう思っていたそうです。

重量あたりの毒性が強いジメチルカドミウム

次にジメチルカドミウムについて見てみましょう。これは有機金属化合物の一種です。つまり、この物質は鉄と結び付きのある炭素を含む分子を持っているのです。ただ、この場合はカドミウムという極めて強い毒性を持つ金属ですが……。

これまで、私たちは、爆発性もしくは燃焼性の強い化学物質を見てきました。ここでその流れが変わったわけではありません。そう、このジメチルカドミウムも同じような特徴を持っています。しかし、そのことがこの物質を危険足らしめているわけではありません。この物質は、全ての毒性のある化学物質を同じ重量で比較した場合、恐らく最も強い毒性を示すと思われます。

この物質は急性、慢性の両方で影響を及ぼします。つまり、あなたを今死に至らしめることも、後で死に至らしめることもできるわけです。この物質は1971年に、有機金属化合物分野の開拓者である……そう、お察しの通りドイツ出身の研究員であるエリック・クラウス氏によって初めて生成されました。

クラウス氏についてですが、かれは実験中に誤って大量の塩素を吸引し、37歳の若さで亡くなりました。しかし、その事故の前に、このジメチルカドミウムの発見についてのレポートを残していました。

あなたがこの物質を吸引すると、それは即座に血流に入り込み、まるで専属運転手のように体中に毒性の強いカドミウムを行き渡らせます。それは体内の血流をとても効果的に利用し、即座に、肺、腎臓、肝臓等の血流に関係する臓器に影響を及ぼします。またそれは細胞の中の原子から電子を引き剥がす化合物を生成します。

もしあなたがジメチルカドミウムに触れてから数時間たってもまだ生きていられたのなら、望みを捨てないでください。しかし、この物質はとても発癌性が強く、後々あなたは癌に蝕まれることになるでしょう。

この物質はとても強力なため、大気中に立方メートルあたり数百万分の1グラム浮遊しているだけで法的な安全基準に触れてしまいます。では、もしあなたがたこの物質をこぼしてしまった場合、どのように対処すれば良いのでしょうか? 水を使えば良いのでしょうか?

いいえ、これは水にも反応します。水中では高熱を発し、可燃性の高い水素ガスを生成します。つまり爆発してしまうのです。では、拭き取れば良いのでしょうか?

摩擦によってそれは発火する可能性があります。では、それが分解されるまで待つのが良いのでしょうか? 確かにそれは時間の経過に伴い変化します。しかし、表面に生成されるのは摩擦に反応して爆発しやすい過酸化ジメチルカドミウムです。従ってあなたはすり足でその場を離れなければなりません。

世界一臭い・チオアセトン

化学物質はどれも人をムカムカさせるような、金属を思わせる悪臭を放つものですが、次に挙げる化学物質、チオアセトンのそれは群を抜いています。この物資は爆発しませんし、発火もしません。また発癌性もありません。リストにある他の化学物質に比べたらフワフワした可愛いウサギちゃんのようなものです。

もっとも、そのフワフワした可愛いウサギちゃんが、あなたが想像できないような凄まじい臭いを放つのですが。

そうです。チオアセトンは臭い化学物質の大賞を取れるでしょう。この物資はチオール、つまり炭素原子が硫化水素と結びついてできた有機化合物です。それらはどれも強烈な臭いを発します。

スカンクの放屁は、相手の涙を溢れさすために2種類の異なったチオールを使用しています。また、ほとんどの化合物を含んだ硫黄は腐肉から発せられます。それが、私たちがその臭いを上手にかぎ分けるようになれること望み、しかもその臭いが心地よくない理由なのです。

しかし、悪臭ということになれば、強烈さの面でも、食欲を減退させる面でも、先のチオアセトンにかなうものはいません。

あなたは、この物質がほんの一滴たらされただけで、0.5キロメートル離れた地点から瞬時にそれをかぎ分けることができます。1960年代、ある実験室の棚からこの物質を入れた小瓶が転落するという事故が起きました。そのときは、200メートル離れた建物にいた人々が、その悪臭のせいで嘔吐したそうです。

そして、チオアセトンの静かなる、かつ凄まじい悪臭の威力を物語る格好の事故が1989年、ドイツのフライブルクで起きました。伝えられるところによると、その日、ある石鹸工場で化学者がトリチオアセトンという香料として使用される大きな分子を扱っていたそうです。

しかし、彼がその分子を分解し、チオアセトンが生成された途端、工場の従業員は次々に具合が悪くなり、工場周辺で嘔吐するケースが続出しました。そして、遂にはその工場のある市から全住民が非難する事態に至ったのです。

チオアセトン、そしてチオールに関してはまだまだ研究される余地が沢山あります。ただ、当たり前と言えば当たり前ですが、その研究に意欲的に取り組もうという研究者はあまりいません。

人類が生み出した最も危険な酸・フルオモアンチモン酸

そして最後に、世界最強の腐食剤の登場です。人類が生み出した最も危険な酸、それがフルオモアンチモン酸です。この物質なくしてこの危険化学物質リストは完成しません。

酸を酸足らしめているもの、それは陽子を近くの分子に与えることができるという特性です。そしてその陽子は電子を失った水素原子です。この過程はプロトン化と呼ばれるもので、酸の強度はそれがいかに活発に陽子を他の分子に寄与するかで決定されます。

希釈されていないお酢、つまり酢酸のような弱い酸は他の分子の“プロトン化”をあまり活発には行いません。実際、ほとんどの場合、何の動きも見せません。

しかし、硫酸のような強い酸は、陽子を、それこそ春休みのビーチバレーのように勢いよく放出します。先ほど、物質Nの解説の際、フッ素の凄まじさについてお話ししましたが、このフルオモアンチモン酸は硫酸の約1京倍強力なのです。この分子は絶えず飛び回るすきをうかがっているのです。

一旦それが水素原子を失うと、フッ素の残りの原子と他の元素、アンチモンは周りの全てを崩壊させます。近くの分子から電子を奪い取り、後には有機物の残骸のみが残されます。

特筆すべきは、フッ素は特にカルシウムと結合しやすいため、一旦、皮膚や筋肉の脂質で構成された有機組織を通り抜けると、フッ素はあなたの骨を溶かしてしまいます。フルオモアンチモン酸を保管する唯一の方法はテフロン加工された容器の使用です。

ところで、テフロンはフッ化炭素結合によって結合しており、有機化学物質の中で最も強固な単結合を誇ります。その強度のため十分な実験が行えず、この物質についてまだあまり多くのことは解明されていません。

注射器やスライドを使おうにも、それらが綿菓子であるかのようにガラスを侵食してしまうのです。有毒ガスを吸い込むためのフュームフードを設置することもできません。すぐに侵食されてしまうからです。残念ながら、現時点で私達ができることは、遠くからそれを眺めるだけなのです。

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「週刊少年ジャンプ」を超えると宣言した日 「ジャンプ+」が受け継いだ“新連載推し”の文化 [1/2]

【3行要約】
・デジタル化で伝統メディアが苦戦する中、出版社やラジオ局の変革が急務となっています。
・集英社「少年ジャンプ+」編集長の籾山悠太氏とニッポン放送の冨山雄一氏が対談し、デジタル時代における新作重視の戦略を語りました。
・両者の共通点から、メディア企業は既存ブランドを活かしつつ新コンテンツ創出に注力すべきことが示されています。

前回の記事はこちら

『ゲルゲットショッキングセンター』を聴いていた中学生時代

入江美寿々氏(以下、入江):籾山さんは、ラジオの世界に対して何か思いとか、「こういうふうに見ていた!」というところはありますか?

籾山悠太氏(以下、籾山):僕は不勉強で、ラジオをこれまでたくさん聞いてきたわけじゃないんですけども。中学生ぐらいの時に『新世紀エヴァンゲリオン』がすごく流行っていて、エヴァンゲリオンの特集をすごいやっている『ゲルゲットショッキングセンター』というラジオ番組があったんですよね。

冨山雄一氏(以下、冨山):ニッポン放送の夜にやっていた番組ですよね。

籾山:それをよく聴いていました。当時、クラスでも『エヴァンゲリオン』の話はするんですけど、今みたいにSNSやインターネットもほとんどなかった時代だし、友だちもそんなに多くなかったので、クラスの中では話し足りないというか。もちろん会話ができるわけじゃないですけど、当時はラジオでエヴァの話題をたくさん聴いていて、その時一番「ラジオを聴いていたなぁ」という思い出があって。

そのあと、インターネットやスマートフォンが世の中に普及する中で、YouTubeも出てきて、出版と一緒で「ラジオって世の中にちゃんと残っていくのかな?」と思ったことはありました。今は編集部の後輩もラジオとか、Podcastとか、本当に音声のものをすごく聴いていて、その話題がたくさん出てきます。

そのタイミングで冨山さんの本もタイトルに『今、ラジオ全盛期。』と「全盛期」って書いていますし、めちゃくちゃラジオが盛り上がっているんだなと思って。なんで盛り上がっているのかとか、どうやってラジオがここまで来たのかというのを僕も聞きたいなと思って、今日は楽しみにして来ました。

出版社におけるデジタル部署の立ち位置

冨山:ありがとうございます。僕も今回『王者の挑戦 「少年ジャンプ+」の10年戦記』を読ませていただきました。聞きたいことがいろいろあるので、どんどん聞いていっちゃうんですけど(笑)。

僕の会社にもデジタルの部署があるのですが、やはりラジオ局なので、基本的にはラジオを作るのがメインなので、制作部とか編成部とか、営業部とかが、なんとなく会社のメインとしてあります。そういうところでいうと、2010年から今に至るまでの、出版社の中のデジタル部署って、どういう立ち位置なのかなと思って。

籾山:僕が移った2010年のタイミングでは、部署に何人ぐらいいたのかな? 正確な数字はちょっと覚えていないんですけど、10人はいなかったんじゃないかなと思います。当時はスマートフォンではなくて、ガラケー向けに1コマずつ携帯に漫画が表示されるような漫画を売っていました。

もちろん売上も大きかったんですが、ただ、僕は編集部にいる時に、正直に言うとそこまで意識をしていなくて。ガラケーで漫画も読みにくいし「そういうことをやっている部署があるなぁ」というぐらいだったんですね。しかも僕自身が、デジタルにあまり強くないというか(笑)。

冨山:あ、そうなんですね。

籾山:パソコンが苦手ということもあって、異動した時も「いやぁ、ちょっと……。どうしようかな?」みたいな(笑)。「困ったなぁ」みたいな感じでしたね、最初は。

「ジャンプLIVE」から「ジャンプ+」への転換

冨山:「ジャンプ+」の前に、先に「ジャンプLIVE」の立ち上げがあるじゃないですか。あれは、どういう中身だったんですか?

籾山:そうですね。「ジャンプLIVE」という、増刊としてお試しでやったものがあるんですけど。最終目標は「ジャンプ+」と一緒で、『週刊少年ジャンプ』のような、新しい漫画がどんどん生まれる場所にしたいということで、漫画アプリをスタートしたんですが、今の「ジャンプ+」とはちょっと内容が違いました。

まず1つ大きく違うのが、スマホならではの「紙の雑誌ではできないものがあったほうがいいんじゃないかな?」ということで、動画とか、グラビアとかミニゲームとか、漫画以外のコンテンツをたくさん配信しました。もう1つ、有料だったというのも「ジャンプ+」とは違うんですけども。そういうものが「ジャンプLIVE」でした。

冨山:それは、あまりうまくいかなかった感じなんですか?

籾山:そうなんです、はい。もちろんいろいろな作家さんにも協力していただいていて、人気はあったんですけども、「週刊少年ジャンプ」のようなものになりそうかというと「ちょっと物足りないかな?」みたいな感じがして、途中から作戦変更をして、それで「ジャンプ+」になった感じですね。

雑誌作りとアプリ運営に必要な2つの視点

冨山:ディレクターだと、もうその目の前の番組に集中すればいいというのがあると思うんですけど。たぶん今の籾山さんのお立場だと、アプリの中をどうやって使うかというところで、作品を作る脳みそと違う脳みそがある感じがしているんですけど。仕事の仕方ってどうなっているんですか?

籾山:確かに少し違うところはあるなぁとは思います。ただ、最終的にゼロイチで人気漫画を生みたいという意味では一緒です。

これは紙の雑誌もそうだと僕は思っているんですが、漫画家さんと、より漫画が魅力的になるように打ち合わせを重ねて、作家さんをサポートしながら漫画を生むという、漫画編集者としての仕事と、『週刊少年ジャンプ』なり、「ジャンプ+」なりの雑誌を編集する仕事。雑誌があってこそ、人気漫画も生まれやすくなりますし、人気漫画があってこそ、雑誌も活性化するので、それぞれちょっと違いますが、絡み合っているというか。最終的には目標も一緒なので、両方大事だなと思いながら、やっていますね。

入江:冨山さんが手書きで質問メモを書いてきてくださっているんですよね。

冨山:そうなんですよ(笑)。

入江:どうぞ、どうぞ。

競合が増える中で貫く“新作重視”の思想

冨山:あと、本の中に書かれていましたが、その10年ぐらいの中で、やはりどんどん競合の漫画アプリがたくさん出てきて。課金システムがあったほうが稼げるので、ポイント制にするか、ライフ制にするかみたいなところで、単純に雑誌じゃなくて、競合他社があることについては、どういうふうに考えていたんですか?

籾山:そうですね。おっしゃるとおり、LINEマンガさんとか、ピッコマさんとか、いろいろな漫画アプリが増えていく中で全体が盛り上がってスマホで漫画をたくさん読む人が増える、「場所が増えるのはうれしいな」とは思っていたんですが、一方で、周りの方はよく一括りに「漫画アプリ」とよくおっしゃっていたんですけど、僕はけっこう差があるなと思っていました。

「ジャンプ+」に近い漫画アプリは、あまり少ないというか。「ジャンプ+」しかないんじゃないかなみたいな(笑)。そう思っているところもあります。先ほど申し上げたように、本当に新作を生むということを目標にしているという。

「ジャンプ+」は、最新話は無料ですし、連載中の作品は、初回1回は全話無料で読めるんですね。それは『SPY×FAMILY』でも『怪獣8号』でも同じです。なので「そのアプリだけで利益、売上を求めるぞ!」というのもあまりなかったりします。ユーザー数、雑誌も部数とかが大事だと思うんですが、必ずしもその数字だけを追っていないんですね。

例えば『DRAGON BALL』とか、『幽☆遊☆白書』とか、『SLAM DUNK』とか、過去の名作をどんどん配信していけば、読者もいっぱいアプリを使ってくれると思いますが、それはしないようにしています。本当に新作を推すという、そういう思想を思い切ってやっているところは、けっこう少ないなと思っていて、漫画アプリはたくさんあるんですが、実は「ジャンプ+」っぽいのは1個しかないような気がしています。

入江:新しい作品を生んでいく場所というのが、もう固定でブレないものってことなんですね。

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