人工呼吸器の停止に気づかず患者死亡 「スタンバイ」のまま再開せず
JA愛知厚生連・安城更生病院(愛知県安城市)で5月、慢性呼吸不全の入院患者に装着した人工呼吸器が長時間停止していたのに気づかず、患者が死亡する事故が起きていたことが、関係者への取材で分かった。機器をスタンバイ(待機)状態にした後、再開させるのを忘れたという。人工呼吸器の扱いを巡る事故は過去にも各地で起きていて、再発防止の徹底が求められる。
同病院は、朝日新聞の取材に「個別の症例について、報道機関を含む第三者に情報を提供することはできない」と文書で答えた。その上で「患者の病態悪化が生じた場合には、家族に説明し、事後の治療のみならず、患者と家族の負担を少しでも軽減できるように心情に寄り添った対応をしている」とした。
関係者や取材によると、死亡したのは80代の男性。慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)の悪化で一時、高度治療室に入ったが、治療後、一般病棟に移った。在宅療養への準備のため、在宅用の人工呼吸器(NPPV)を装着していたが、5月中旬、ショック状態で発見され、蘇生できず死亡した。
病院は病死と判断したが、9日後になって病棟スタッフから、男性がショック状態の際、人工呼吸器が停止していた可能性があると報告があったという。院内で事故調査委員会を設置して調べたところ、機器が約45分間停止していたことが分かった。男性が人工呼吸器を装着しない状態でいられるのは、最長で20分ほどだったという。
人工呼吸器の加湿器に水が無…
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- 【視点】
絶対に必要な「再発防止策」の提示がそもそも無いのが凄い。ということは、原因追求が出来ていないか「諦めている」のだろうか。「機器をスタンバイ状態にしたが、再開するのを忘れた」とあるが、重要なのは「なぜ忘れたままで見過ごされるシステムだったのか
…続きを読む