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職場の「エース人材」もいつかは衰えて「用済み」になるという辛い宿命

残念ながら日本代表はベスト16止まりでしたが、ワールドカップはいよいよベスト8が出揃いました。

今日の未明にベスト8進出を決める最後の試合、ポルトガル対スイスの試合があり、長年ポルトガルの大エースとして君臨してきたクリスティアーノ・ロナウド選手が14ぶりに先発落ちして控えに回ったのですが、代わりに出場した21歳の若手選手がハットトリックを達成するなど大活躍してチームはスイスに6対1で大勝しました。(ロナウド選手は後半に少しだけ出場)

ポルトガルが得点するたびにベンチにいるロナウド選手にカメラが向けられるのですが、味方の活躍には笑顔で喜びを表すものの、私にはどこか寂しげな気持ちも込められていると感じました。

まるで「(オレが居なくてもチームは強いので)これでオレの時代も終わりか・・・」と言わんばかりの表情です。

本人の心の中はもちろんわかりませんが、試合が終わったあとに一人で静かにピッチを去ったという報道もあるので、おそらく「チームが勝った喜び」と「もはや自分が用済みになった現実」との葛藤で心の底から喜べなかったのかもしれません。

この行動は様々な憶測を呼んでいるので中には「自分のことしか考えていない」とか「大人げない」と批判する人もいますが、個人的にはむしろロナウド選手の心中を察すると胸が痛くなります。

どんなに凄いアスリートでもいつかは世代交代の波に呑まれるので仕方ないことですが、これは仕事をしている人にも同じことが言えると考えています。

よくプレイヤーから管理職に昇進したいならメンバーを育てて自分が居なくても成果を出せるチームをつくれと言われますが、理屈としては全くその通りであっても、プレイヤーとして圧倒的な成果を上げてきた「エース人材」にとっては結構辛い話だったりします。

というのも「エース人材」はプレイヤーとして高い成果を上げてきたことが自分のアイデンティティであることが多いので、自分が居なくても勝てるチームをつくれというのは「自分のアイデンティティを捨てろ」と言っているのと一緒です。

そしてその葛藤を乗り越えた人だけが上位役職者に昇進することができるのですが、そうでない人にとっては受け入れ難いことなので、結局は優秀なプレイヤーとして留まることを選んでしまいます。

しかし、仕事を取り巻く環境は変わっていくのでどんなに優秀なプレイヤーでも自分のやり方が通用したいときがやってきます。まるでアスリートが年齢を重ねることで衰えるように。

そうなると「かつてのエース人材」もいずれは「ただの人」になり、場合によっては「お荷物」「老害」になってしまいます。

アスリートなら「引退」できますが、ビジネスパーソンだとそうはいかないので長い期間「お荷物」「老害」になってしまう可能性もあります。

これは本人が悪いというより、「エース」だからこその宿命かもしれません。

もし最初から「普通のプレイヤー」であればプレイヤーとしての自分のアイデンティティにはそれほど執着せずに済みますが、「エース」は人一番成果を出すことに執着しているからこそ「エース」なので、そこを捨てるのは常人よりもはるかに難しいことだと思います。

というわけで、職場にすごい「エース人材」が居る場合は早いうちから「引き際」を考えてあげると良いでしょう。もし自分自身が「エース人材」であるなら、今のうちから「自分が必要とされなくなる日」が来ることを覚悟したほうが良いかもしれません・・・

クリスティアーノ・ロナウド選手にはぜひ決勝まで進んで最後に大活躍してほしいと願っております。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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ダイバーシティ、人材育成、異文化などを中心に、仕事で「人」を観察して感じたことを発信しております。人間が引き起こす悩ましい問題をどうにかするのが私の仕事です。更新は不定期です。 元マクドナルドの店長。中華民国(台湾)籍、日本在住45年以上、大相撲が大好き
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