ブルーアーカイブ/灰の翼   作:空素(鴉ノ刃)

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あらすじ

レイヴン復活!!

長かったブラックマーケット戦もようやく終わりが見えてきましたね


EP-47 譲れない戦いの結末

一方、セリカをレイヴンの元に行かせる為に、先生と共に残ったノノミとヒフミ。

 

二人は、先生の指揮の元、奇襲して来たゲヘナ風紀委員部隊と交戦していた。

 

[“ヒフミ!追加のペロロ人形をお願い!ノノミ、あまり前に出ず、ペロロ人形の後ろから撃つんだ!”]

 

先生がノノミが持って来たホシノの盾の裏から、二人に指示を出す。

 

「は、はい!わ、分かりました!」

 

言われた通り、ヒフミはペロロ人形をリュックから出して、遮蔽にする。

 

「了解です〜☆」

 

ヒフミの出したペロロ人形で相手の銃撃を凌ぎ、その合間に反撃の銃弾を連射する。

 

風紀委員の攻撃は二人には当たらず、風紀委員ばかりが次々と倒れて行く。

 

「クソッ!人形が邪魔だ!人形から潰せ!」

 

風紀委員の銃撃がペロロ人形に集中する。

 

その僅かな隙を先生は待っていた。

 

ノノミがフリーになる、その瞬間を。

 

[“ノノミ!一斉掃射!!”]

 

「はい!お仕置きですよ〜☆」

 

ノノミのMGの銃撃が、風紀委員を薙ぎ倒して行く。

 

ノノミの銃撃が止んだ頃には、立っている風紀委員は、一人もいなかった。

 

「こ、こんな…ふざけたヤツらに…」

 

最後の一人もそんな遺言を残し、力尽きた。

 

「や、やったんですか…?勝ったんですか…?」

 

ヒフミは信じられないとでも言うように、唖然としていた。

 

「うんうん!私たちの勝利ですよ、ヒフミちゃん☆いえ、ファウストちゃん!」

 

「まだそれ続いてたんですか!?」

 

[“何はともあれ、二人ともお疲れ様”]

 

ホシノの盾から顔を出した先生が二人を労う。

 

「いまだに信じられません。ノノミさんを信じていない訳ではないんですが、それでも、たった二人だけでゲヘナの風紀委員会を倒すことができるなんて…!」

 

ゲヘナ風紀委員会と言えば、荒くれ者が集うゲヘナで治安維持に奮闘している組織だ。

その分、荒事に強く、戦闘力も折り紙付きだ。

 

言わば、トリニティ学園に於ける、《正義実現委員会》のようなものだと思っていたヒフミは、そんな組織の部隊をただの一般生徒の普通の女の子と自認している自分が加わって二人で制圧できたことに驚きを隠せない。

 

「うんうん!先生は凄いのです!」

 

ノノミは、まるで自分のことのように誇らしげだ。

 

[“二人とも、これからのことについてなんだけど──”]

 

『先生!皆さん!』

 

今後の動向について、二人に話しかけようとした瞬間、三人のインカムからアヤネの声が届く。

 

「アヤネちゃん?どうしましたか?」

 

『レイヴンが復活しました!!』

 

そのアヤネの声は、嬉しそうに明るく弾んでいた。

 

「ほ、本当ですか!?」

 

「イヴちゃん、良かったです…本当に…」

 

ヒフミもノノミも、表情が何処となく明るくなっている。

 

[“そっか…。連絡ありがとう、アヤネ。セリカは大丈夫?”]

 

先生も、心底から安堵したような声だった。

 

『私も大丈夫よ。ちょっと危なかったけどね…』

 

聴こえて来たセリカの声は、やや疲労は感じさせるが、問題無さそうだ。

 

『便利屋の皆さんが救援に来てくれて…それでも危なかったんですけど、レイヴンが復活して危機は乗り越えました』

 

[“そっか…便利屋のみんなにもお礼を言わなきゃね…みんなが無事で良かった…”]

 

『「うんうん、おじさんも頑張った甲斐があったよ〜」』

 

インカムの声に重なるように聴こえて来たのは、ホシノの肉声だった。

 

[“ホシノ!?外の風紀委員は…?”]

 

声が聞こえてきた方を向けば、いつも通り髪を下ろしたロングヘアのホシノが歩いて来ていた。

 

傷は無く、汚れなども殆んど付いていない状態だった。

 

「それならだいじょぶ〜みんな倒して来たよ〜先生ほめて〜」

 

[“うん、お疲れ様、ホシノ。ありがとう”]

 

ホシノとしては、ちょっとしたイタズラじみた冗談のつもりだったのだが、ストレートに褒められ、少しばかり面食らう。

 

「うへぇ〜面と向かって言われると、ちょっと照れるなぁ〜。あ、そうだノノミちゃん、ヘアゴム、ありがとね、後で洗って返すよ〜」

 

「はい!別に構いません!わざわざ洗わなくても大丈夫ですよ?」

 

「まあまあそう言わずに。それより、シロコちゃんってどうなってる?アヤネちゃん」

 

ノノミから盾を受け取り、いつもの装備に戻ったホシノは、シロコの状況を求める。

 

インカムを外しているだろうレイヴンを除き、シロコだけが、今の会話に混ざって来ていない。

 

『シロコ先輩は先程まで、風紀委員会の幹部と戦っていました。ですが──』

 

*****************************

 

「嘘だろ…!こんなことってアリなの…!?」

 

レイヴンの復活を遠巻きに理解し、イオリは愕然とする。

 

「流石だね、戦友は。それでイオリ、まだやる?」

 

一方のシロコは、穏やかな笑みを浮かべ、悠然と構える。

 

「ッ!!…当たり前だろ…!私は、ゲヘナ風紀委員、斬り込み隊長…!私一人、オメオメと逃げ帰れるかよっ!!」

 

イオリは地を蹴り、シロコへと突進する。

イオリの表情は、余裕の無い、切羽詰まった表情だった。

 

「分かった。それなら、私も最後まで相手してあげる」

 

向かって来るイオリを正面からシロコは迎え撃つ。

 

「舐めるなぁッ!!」

 

突進を乗せた蹴りがシロコに迫る。

 

シロコは、イオリの蹴りを間一髪で躱した。

 

「このぉッ!!」

 

続けてイオリはスナイパーライフルの銃床を横薙ぎに振るう。

 

しかし、それもシロコは頭を下げて、掻い潜った。

 

「どうした!?何で反撃しない!?」

 

振り抜いた銃を持ち替え、シロコに銃口を向ける。

 

近距離で銃弾が発射され、シロコは咄嗟に銃を盾にして防ぐが、反動で後ろに飛ばされてしまう。

 

どうにか膝を突いて体勢を立て直し、転倒だけは逃れるが、そこへイオリが畳み掛ける。

 

シロコはしゃがみ込んだ体勢のまま、イオリの攻撃に備える。

 

イオリは途中で跳躍し、空中で身を翻して、シロコへと踵落としを見舞った。

 

シロコはその場から素早く飛び退く。

 

イオリのブーツが地面を叩き、土煙を上げる。

 

そして、それが晴れると、そこには既に銃口をシロコへと向けたイオリが立っていた。

 

「これで終わりだっ!!」

 

イオリが引き金を引く。

 

「──イオリがね」

 

その直前、イオリの足元の土埃が晴れ、そこに転がる手榴弾が露わになる。

 

「なっ──」

 

イオリが引き金を引く前にそれは爆発し、イオリは爆炎に包まれた。

 

その様子を眺めながら、シロコはゆっくりと立ち上がる

 

爆煙が晴れた先には、大の字で仰向けに横たわるイオリの姿があった。

 

「──ごめん、アコちゃん…」

 

イオリはそのまま、気を失った。

 

イオリが力尽きたのを確認し、シロコはようやく安堵の溜め息を吐く。

 

「…イヴ、後は…お願、い…」

 

それと同時に、シロコにも限界が訪れ、膝から崩れ落ちた。

 

最後の局面、シロコはイオリに攻撃しなかった訳ではない。

 

もう既に、回避に徹しなければならない程、限界だったのだ。

 

だからシロコは最後、不意を突くような形でイオリを手榴弾の爆発に巻き込むような策を取った。

 

膝を着いているのも耐え切れず、シロコは横に倒れる。

 

──その直前に、シロコの体は誰かに支えられた。

 

「お疲れ様、シロコちゃん」

 

目を開ければ、そこにはホシノの姿があった。

 

ホシノは穏やかな表情を浮かべていた。

 

「ホシノ、先輩…?」

 

「よく頑張ったね、後はもう大丈夫。きっと、イヴちゃんがどうにかしてくれるから」

 

ホシノの声を聞き、安心感に包まれたシロコは、そのまま目を閉じた。

 

完全に意識が途切れる寸前、シロコは思い出す。

 

過去の記憶。

 

初めてホシノに出会い、拾われた時の、寒い雪の日の記憶を。

 

****************************

 

シロコを抱き抱え、ホシノは立ち上がる。

 

[“ホシノ!”]

 

そこに、後続のノノミとヒフミ、先生が合流する。

 

「い、いきなり走り出したのでビックリしましたよ〜」

 

ホシノはシロコが倒れそうになった瞬間、一気に加速し、シロコが倒れるのを止めたのだった。

 

「あはは〜、ビックリさせちゃってごめんね〜」

 

振り返ったホシノは、にへら、と笑う。

 

「シロコちゃん、ボロボロですね…」

 

ホシノの腕の中で静かに眠る満身創痍のシロコを見て、ノノミが悲痛な表情を浮かべる。

 

「…そうだね、こんなになるまで…一人で良く戦ってくれたよ…」

 

「あ、相手の方は…?」

 

ヒフミの疑問に、ホシノは顎で指し示す。

 

「向こうで倒れてる。きっと、お互いギリギリの戦いだったんだろうね…」

 

[“シロコがこんなにボロボロになるなんて…きっと強い子、だったんだろうね…”]

 

倒れるイオリに思いを馳せた後、先生はホシノに振り向く。

 

[“ホシノ、良かったらシロコのこと、私が持とうか?”]

 

先生の提案に、ホシノは先生の顔を見詰めたまま、真顔で黙り込む。

 

[“ほ、ホシノ…?”]

 

先生が困惑すると、ホシノはいつも通りの緩い笑みを浮かべた。

 

「先生〜?どさくさに紛れて変なところ触っちゃダメだよ〜?」

 

そう言ってホシノは先生からシロコを遠ざける動きをする。

 

[“触らないよ!?”]

 

「あははは…うん、シロコちゃんのこと…お願いね、先生」

 

ホシノはシロコを差し出し、先生は優しく受け取る。

 

[“うん、任せて”]

 

先生は力強く頷いた。

 

「よーし!シロコちゃんも回収した事だし、次はレイヴンちゃんのところに行こーう!!」

 

身軽になったホシノは、銃を握った右腕を真上に突き出す。

 

「あはは…まるで観戦にでも行くような軽さですね…」

 

ヒフミがホシノの様子を見て、ちょっとした冗談のつもりで言う。

 

「そうだね。多分、私たちの出番は無いんじゃないかな。本当に、観戦みたいなものになると思うよ」

 

だが、それにホシノは茶化しを入れず、淡々と感想を告げる。

 

「…え?」

 

それを受け、ヒフミは唖然とした表情になる。

 

「ほら!そんなんじゃ遅れるよ!行こ行こ!」

 

意気揚々と走り出し、その後に続くように、残る三人も駆け足で進み出した。

 

「あ、待ってくださーい!」

 

「お、置いていかないでー!」

 

[“ホシノは元気だなー”]

 

その後、五人は何事も無く、セリカや便利屋の元へと合流する。

 

そして、彼らは目撃することになる。

 

覚醒したレイヴンによる、蹂躙を──。




シロコVSイオリも決着!!

次回、『レイヴンTUEEEEEEEEEEE!!』

お楽しみに!!
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