ブルーアーカイブ/灰の翼   作:空素(鴉ノ刃)

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あらすじ

シロコVSイオリ
おじさん、本気モード?

アニメのイオリ戦、凄かったですね
思わず見惚れちゃいました…戦いに
動き回るから銀髪ツインテが羽みたいにフワフワしてるのが良いですね
折角なので、参考にさせて頂きました


EP-43 背水の窮地

ゲヘナ風紀委員の銀髪の少女と対峙するシロコは、今更だが、相手がただの生徒ではないと言うことに気付いていた。

 

こちらのアサルトライフルによる銃撃を華麗な身のこなしで躱し、合間を縫って狙撃を繰り出す。

それを躱せば、銀髪ツインテールを靡かせて突っ込んでくる。

武器はスナイパーライフルだと言うのに、本人は近接上等と言わんばかりの近接ファイターだった。

 

シロコへと肉薄した銀髪少女は、鋭い棘が並んだSRの銃床で殴り付けてくる。

 

シロコはその側面を同じく、ARの銃床で打ち、払い除けると、二人は互いに距離を取り、同時に銃口を向け合う。

 

「あなた、ただの風紀委員じゃないね?」

 

銃口を向けたまま、鋭い視線を向け、シロコは問う。

 

「そう言えば、自己紹介がまだだったな。私はゲヘナ学園二年、風紀委員会斬り込み隊長、銀鏡イオリだ」

 

片手で銃を向けたまま、イオリは左腕の腕章を強調する。

 

そして、会話はここで終わりとでも言うように、SRの引き金を引く。

弾丸が発射され、シロコに迫る。

 

「斬り込み隊長…なるほど、強い訳だね」

 

だが、それをシロコは涼しい顔で首を傾げるだけの動作で躱す。

躱してすぐに地面を蹴り、イオリへと突進し、蹴りを繰り出す。

 

イオリは後方宙返りで飛び退き、シロコの蹴りを回避する。

そこから着地してすぐに体勢を立て直し、狙いを付け、狙撃する。

 

シロコは咄嗟に銃で銃弾を受ける。

 

だが、目の前からイオリが消えていた。

 

シロコの耳が跳ねる。

 

「上っ!」

 

顔を上げれば、高々と跳躍したイオリが空中で身を翻し、脚を振り上げていた。

 

──踵落とし。

 

シロコは咄嗟に後ろに飛び退く。

直後、シロコの立っていた位置にイオリの脚が振り下ろされ、地面を凹ませる。

 

着地直後に、シロコがARの銃撃を見舞う。

 

イオリは横に滑りながら身を捻り、シロコの銃撃を躱しつつ、余裕そうな笑みを浮かべたまま反撃の狙撃を繰り出す。

 

「ふふっ…!」

 

シロコは頭を下げて銃弾を躱し、尚も銃撃を続けるが、イオリは銃撃を躱しつつ、シロコへと距離を詰める。

 

「む…」

 

イオリがシロコへと回し蹴りを繰り出す。

対してシロコは銃で受け流し、即座に反撃のARの銃撃を見舞う。

 

だが、イオリが瞬く間に背面に回り込む。

SRの銃床で振り向いたシロコの腹部を狙うが、シロコはそれを読んで身を逸らして躱す。

 

ならばと、イオリは銃を横振りで振るうが、シロコは背面宙返りで飛び退く。

それと同時に、イオリの足元に手榴弾が転がる。

 

「ッ!!」

 

イオリは爆煙に包まれるが、シロコは油断なく身構える。

 

「ふぅ〜ん、やるじゃん」

 

黒煙の中から、SRを肩に担ぎ、悠然とイオリが姿を現す。

多少、制服が煤けているが、どうやら直撃はしなかったようだ。

 

「そっちこそ。一人を相手にここまで追い込まれたのは──レイヴン以来」

 

しかも、レイヴンの時は、こちらは五人がかりだった。

それでも全滅まで追い込まれた。

 

レイヴンに勝つことが出来たのは、先生の説得と、レイヴンが話を聞いてくれるような人間性があったお蔭だ。

話を聞かずに、戦いを優先されていたら、間違いなくアビドスは先生を含めて全滅し、今頃は──。

 

それに、あの時のレイヴンは何だかんだ本気では無かった。

 

最初に戦った時や、その後、パワーローダー戦の時などに感じた圧力が弱まっていた。

 

尚、もう一戦、シロコが追い詰められた便利屋68戦は、複数人が相手だった為、無効とする。

 

「…それはそうと、良いのか?向こうの心配はしなくて」

 

そう言ってイオリは顎をしゃくり、ある方向を指し示す。

 

「レイヴンのこと?それなら問題ない」

 

シロコは穏やかな表情を浮かべ、口元に笑みを結ぶ。

 

「…仲間のこと、心配じゃないのか?」

 

イオリの表情がやや不機嫌そうに険しさを帯びる。

 

「私の戦友は強いから。心配はいらない」

 

シロコが自信たっぷりに言い放つと、イオリは眉根を寄せる。

 

「はぁ〜、せっかく気を遣ってあげたのに、私たちも随分と舐められたものだな」

 

後半に行くに連れ、イオリの声は低く、威圧的になる。

だが、シロコには効かず、変わらぬ表情のまま首を横に振った。

 

「ううん、舐めてない。レイヴンには、誰も勝てない。私を含めて、ね」

 

そこには、僅かばかりの悔しさが滲んではいたが、それ以上の全幅の信頼があった。

 

「…その言葉、後悔するなよ」

 

それは、撤回することになっても自分は知らない、というイオリなりの気遣いの警告だった。

 

「それともう一個。私に勝てるのは、ホシノ先輩と、レイヴンだけ」

 

だが、シロコはイオリの警告に対して、無自覚に煽り、仇で返した。

それを受け、イオリは俯き、体を震わせる。

それは、怒りから来る震えだった。

 

「…もう引き返せないぞ。今更、金を積んでも、泣いて謝っても、絶対にやめないからなぁっ!!」

 

怒りで顔を赤く染め、イオリが咆える。

 

「ん、望むところ」

 

だが、シロコは変わらずの涼しい顔で流すのだった。

 

*****************************

 

私へと集中し、殺到する銃弾。

 

それを私は、勢い良く横に跳んで躱すと、追従してきた銃撃を空中で身を捻って乗り越えるように避け、着地と同時に風紀委員の前列へと飛び掛かり、回し蹴りを叩き込む。

 

二人程を巻き込み、ダウンさせるが、そこへ左右から銃口が向く。

 

咄嗟の股割りで体勢を低くして銃撃を躱しつつ相打ちさせ、立ち上がると同時に、左手のSGと右手のARを斉射する。

 

どちらも攻撃時にヘイローの光芒で強化済みであり、単発だが近距離であれば広範囲高威力の散弾と、広範囲を薙ぎ払う銃撃が風紀委員を薙ぎ倒して行く。

 

「怯むなッ!相手は一人だ!回避されないように広範囲にばら撒け!」

 

私の銃撃を逃れた風紀委員、十人分の銃撃が、弾幕となって私に殺到する。

 

実際のところ、私に対して、弾幕攻撃は有効だ。

回避するにしても、人ひとり分の隙間が無ければ、すり抜けることは出来ないのだから。

 

加えて、幾ら頑丈なキヴォトス人の肉体でも、私はホシノのように、至近距離でSGを食らって無傷で済むような耐久力は持ち合わせていない。

そういう意味では、私は何か判断を誤り、一撃を食らって動きが止まったら終わりだ。

 

だが、それならそれで、やりようはある。

 

私は前方を薙ぎ払うようにARを掃射しつつ、身を捻って飛び退き、着地と同時に離れた距離から再びARを薙ぎ払う。

 

以前、編み出した、薙ぎ払い飛び退き回避だ。

 

以前はカウンターに用いたが、今度は距離を離す為に使用してみた。

 

これの良いところは、最初の薙ぎ払いも然る事ながら、飛び退きに反応し、慌てて距離を詰めて来た相手に対し、着地時の薙ぎ払い銃撃が刺さる事だ。

 

私は着地と同時に、左手のSGを素早くリロードした後にSRに切り替え、狙い撃つ。

銃声が轟き、向かって来ていた風紀委員の一人を沈める。

 

他の風紀委員の銃撃が飛んで来る中、SRをSGに持ち替え、前傾低姿勢で銃撃を潜り抜けて行く。

今度は前線の人数が減っている為、回避出来る隙間があった。

 

それでも、すぐに後方で待機している部隊から補充されることだろう。

今の内に、素早くこの部隊を潰す。

 

距離を詰めた私はまず、すぐ左の風紀委員の腹部に銃床を突き立てて動きを止める。

 

右の風紀委員が銃口を私に向けるが、それは読めている為、引き金を引くよりも早く蹴りを叩き込み、その奥にいた委員諸共吹き飛ばす。

 

蹴り飛ばした風紀委員は三人ほどを巻き込み、建物の壁に激突した。

 

本当なら手榴弾があれば更に追撃できたのだが、無い物をねだっても仕方がない。

 

私は一旦、左手のSGをコートのベルトに納める。

腹を抑えてうずくまる風紀委員の顔を左手で掴んで握力で締め付ける。

風紀委員は私の腕を引き剥がそうとするが、私は更に“歯車”を回して“出力”を上げ、力を込める。

 

「ッ!貴様!仲間を離せ──」

 

私に銃口を向けるが、顔を掴んでいる風紀委員を突き付けると、一瞬の迷いが生じる。

 

その隙に、右手のARをコートのベルトに納め、空いた手でその風紀委員の首を掴む。

“歯車”を回して、風紀委員の体を持ち上げて首を締め上げる。

 

左手で顔を右手で首を掴んで二人の風紀委員を締め上げると、先程蹴り飛ばした風紀委員に巻き込まれながらも起き上がろうとしていた風紀委員へと遠心力を乗せて連続で投げ付けた。

 

そこへ、追加の部隊が合流する。

銃撃が襲い掛かり、私は一旦、回避しつつ後退して遮蔽に隠れる。

 

両手が空き、弾薬を消費しているSRとARをリロードしてから、左手にSG、右手にARを持つ。

 

そして、“猟犬の耳”で周囲を把握する。

 

なるほど、次は随分と数が多い。

一筋縄では行かなそうだ。

 

などと考えていると、何かが足元に転がって来た。

 

手榴弾と気付くと同時に、私は遮蔽から飛び出した。

 

「出て来たぞ!一斉射撃!!」

 

風紀委員の密な弾幕が私に殺到する。

掠り傷を追いつつも、それらを咄嗟に回避する。

 

だが、そこで“猟犬の耳”が危機を感知する。

 

猟犬の導きに従うままに首を傾げると、無数の銃弾が頭の横を掠める。

 

なるほど、狙撃か。

 

中距離からの銃撃、遠距離からの狙撃、遮蔽に隠れれば、手榴弾による爆撃、隙が無い。

 

と思えば、手榴弾がこちらへと飛んで来る。

 

こちらが銃撃で手一杯だと思って、更なる追撃の為に投げたんだろうが、それは悪手だ。

 

私は銃弾が飛び交う中、掠り傷を作りながらも前に出て、飛んで来た手榴弾を銃床で打ち返す。

 

前線の射撃が止み、風紀委員は蜘蛛の子を散らすように逃げ惑い、何人かが逃げ遅れて爆風に吹き飛ばされる。

 

それでも、身の安全を確認次第、私へと銃撃を再開する。

 

先程のような密な弾幕ではないが、部隊が散らばった状況を利用し、四方八方から私へと銃撃が殺到する。

それに加えて、変わらず遠距離から狙撃も襲って来る。

正直、狙撃は“猟犬の耳”が警告してくれる為、回避そのものは容易いのだが、気が休まらない。

 

銃撃に関しても、常に全方位から同時に襲って来る訳ではなく、隙間はある。

だが、その隙間を通ろうとする時に限って、タイミング良く、狙撃が飛んで来る。

 

──否、タイミングが良いのではない。

 

間違いなく、狙って来ている。

 

そして、それは狙撃手だけの判断では無い。

 

何者かが──この襲撃を画策し、今も尚、戦線の指揮を取っている者が、まるで私の戦い方を知っているかのように、タイミングを合わせて来ている。

私の呼吸に重ねて来ている。

 

──ならば、こちらはそれを上回れば良いだけだ。

 

“歯車”を回す。

それは、“殺しの歯車”。

ルビコンで培い、磨き上げ、しかし今は錆び付いている“闘争の歯車”だ。

 

ギャリギャリと音を立て、“歯車”の錆が削れ、白銀が覗く。

回転率を上げ、熱を持つほど、“歯車”を回し、“出力”を上げる。

 

“出力”は肉体の膂力であり、戦闘の技量であり、闘争の意思でもある。

 

それらを引っくるめて、“歯車”で引き上げる。

 

激しい頭痛と、脳が焼け付くような熱が襲って来るが、今はそんなものは関係ない。

 

銃撃を潜り抜け、狙撃を躱し、跳躍する。

空中の私へ、尚も狙撃による銃弾が襲い掛かるが、空中で身を捻り、躱す。

空中回避後の無理な姿勢から、右手の銃をSRに持ち替え、前線の風紀委員の一人を狙い撃つ。

 

反動を利用して体勢を立て直しつつ着地するが、そこに無数の手榴弾が投げ込まれる。

咄嗟に前に飛び、背後で複数の爆発が発生し、その爆風を受け、吹き飛ばされる。

どうにか体幹を制御し、体勢を整えて受け身を取る。

 

だが、そこへ重ねるように無数の狙撃が迫る。

 

完全にこちらの動き、呼吸、タイミングを把握されている。

この戦闘の指揮官は、私の戦いをかなり細部まで繰り返し学習し、復習し、対策を重ねたのだろう。

 

私にとって、何が致命的になり得るか、どんな攻撃が有効的に発揮されるかを研究したに違いない。

 

だが、それは先程までの話だ。

 

身体が熱い。

左の視界が白熱するように白む。

だが、その他の感覚は周囲の環境、状況を捉え、掌握している。

問題ない。

 

クイックブーストの要領で横に飛んで躱し、近くの風紀委員の集団へと滑るようなステップで距離を詰め、SGを見舞う。

 

ばら撒かれた散弾が何人もの風紀委員を巻き込み、吹き飛ばす。

 

それでも周囲の風紀委員は──いや、だからこそ攻撃を続ける。

散っていった*1仲間たちの犠牲*2を無駄にしない為に、銃撃の手を休めない。

 

周囲から襲い来る銃撃を姿勢を低くして躱した後、そこから真紅の光芒を纏うARで薙ぎ払い飛び退き回避を行い、風紀委員を薙ぎ倒しつつ距離を取る。

 

そこへ、再び狙撃による銃弾が飛んで来るが、もう見切っている。

 

回避する為に、脚に力を込める。

 

──その直後、視界が揺らぐ。

 

突然の平衡感覚の欠如──眩暈。

耳鳴り、嘔吐感、今までの熱とは真逆の寒気、それに加えて、意識が遠退く。

 

左眼の視界が真っ赤に染まり、頬を何かが伝う感覚がある。

 

涙?いや、これは恐らく──。

 

どうにか体幹を掴み、銃弾の回避を試みるが、肩に受けてしまい、その衝撃で動きが止まる。

 

やられた。

 

まさか、このタイミングで、力の代償が襲って来るとは。

 

足元に手榴弾が転がって来る。

どうにか力を振り絞り、飛び退く。

だが、爆風に煽られ、体幹制御もままならず、地面を転がる。

尚も私は地面を掴み、体勢を立て直し、起き上がろうとする。

 

認めざるを得ない。

 

キヴォトス人の肉体に変異し、まだ完全な力を出せていないなどという言い訳は通用しない。

土壇場で、体調不良だったから、などという言い訳も通用しない。

 

その隙を容赦無く突いた相手──ゲヘナ風紀委員会は、見事と言う他ない。

 

周囲の部隊はもちろんの事、その指揮官も、例え前線で戦う者ではないとしても、その卓越した支援・指揮能力は、私を追い詰めるに足り得る、会心の完成度であると。

 

この相手は間違いなく、私にとって、“強者”であった。

 

私は耳鳴りと揺らぐ感覚の中、どうにかフラつきながらも立ち上がる。

 

立ち上がった私を風紀委員の包囲網から放たれる無数の銃弾が打ち付ける。

 

私はその場に膝を突き、動きを止め、項垂れる。

 

頬を伝う液体が地面に滴り落ちる。

アスファルトを赤黒く染め上げたそれは、間違いなく血液だった。

 

そして、私の意識は、暗闇へと堕ちていった。

*1
死んでない

*2
気絶しているだけ




シロコはレイヴン戦、PMC特殊部隊戦、パワーローダー戦を経て、原作よりもレベルアップしています
なので、単独でもイオリと拮抗した戦いが出来るようになっています
戦いの結末は果たして…

そしてレイヴンについてですが、思いの外、追い詰められてピンチですが、彼女はもう、“強化人間”ではないんですよね
そして、大いなる力には代償を伴う、ってのがこの状況のヒントですね!
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