チェイス戦終了
クルセイダー登場
戦闘はチェイス戦からタワーディフェンス戦へと移行します
ゲームにもよりますがタワーディフェンス系は苦手ですね…
AC6のタワーディフェンス系ミッションも今では問題ないですが、最初はクリアするまで結構掛かっちゃいました…
『皆さん!大変です!マーケットガードの大群が、銀行正面から見て十時、十一、十二、一時、二時の方角から、この銀行に向かって来ています!!』
待機していた覆面水着団の元へ通達された報告により、一同に緊張が走る。
「えぇっ!?ちょっと何でよ!?レイヴン達を追ってた訳じゃ無いの!?」
[“そうなんだけど、レイヴンが追跡して来る軍勢に多大なダメージを与えたら、一気に現れたんだ。もしかすると、形振り構わないで全戦力でこちらを制圧するつもりなのかもしれない…”]
先生は状況を説明する為に、簡易的なマップをタブレット端末に表示し、覆面水着団に見せる。
画面上では、青く表示されたマップ上に、白の矢印、一つの白い点と五つの黄色い点、四つの紫色の点と、無数の赤い点が表示されている。
白い矢印は先生。
白い点がレイヴン、黄色い点が覆面水着団、紫の点が便利屋。
そして、赤の点が敵を表している。
「あうぅ…そ、それじゃあ、レイヴンさん達だけじゃなく、私たちも危ないんじゃないですか…?」
赤い点は、画面の上部から、まるで銀行を包み込むように迫って来ている。
「アヤネちゃん、レイヴンの様子は?」
その画面を見ながらも、冷静に動じないでいるホシノ。
『それが、レイヴンさんは大型の戦車と対峙してまして…』
確かに、タブレット上でも、白い点の側には、一回り大きめの赤い点がある。
「なるほど、手が離せない状況か。それだと、完全に挟み撃ちになっちゃう訳だ…」
ホシノはいつにも増して、真剣な表情で考え込む。
「あー!もう!どんだけ生き汚いのよっ!悪いことしてた癖に!」
「潔く負けを認めてくれれば良いんですけどね…そうは行きませんか…」
「先生、これで待機してる場合じゃなくなった。私たちもイヴの加勢に行くべき」
[“そうだね。イヴにしろ、便利屋のみんなにしろ、心配だ。みんな、加勢に行ってくれるかい?”]
「ん、むしろ全然暴れ足りない」
「もうひと暴れしてやるわよっ!」
「もちろんです!助けてあげましょう!」
「は、はい!私もお役に立てるように頑張ります!」
覆面水着団は、誰も彼もが各々の形で闘志を燃やしていた。
「んー、ちょっと待って」
流れを遮ったのは、何やら考え込んでいたホシノだった。
「ちょっと嫌な予感がするからさ、みんなで行くんじゃなく、先生の護衛に誰かしら…二人は残して行くべきだと思うんだよね」
「それでも、外で迎え撃った方が数が減る訳ですし、良いのでは?」
ホシノに異を唱えたのはノノミ。
そもそも外の敵をより多く倒せば、護衛も要らないという意見だ。
「ん〜、いや、外に行く人には申し訳無いんだけど、それでも先生の身は優先的に守りたいかな」
[“ホシノ、私だったらその辺に隠れてるから…”]
「先輩、何か気付いたの?」
普段は基本的に流されるままなホシノに違和感を覚えたシロコが理由を訊ねる。
「ん〜、気付いたというか、長年の勘というか…あはは〜」
ホシノは正確に言語化できないのか、笑ってはぐらかす。
「あたし達とそんな年変わらないのに!?」
セリカが的確なツッコミを入れる。
それはその通りだが、シロコはホシノを信じたいという願いがあった。
「私は、ホシノ先輩の勘を信じる。護衛に抜けた分は、私が頑張るから」
シロコは改めて、一同に顔を向ける。
それに対し、仕方ないという風に覆面水着団の面々は受け入れる。
「先生もそれで良いかな?」
その様子を見て、ホシノは先生にも確認を取る。
[“…分かった。二人を信じるよ”]
「それじゃあ、残ってもらうのは──」
ホシノが選んだ人選は──。
****************************
レイヴンが追加の二機の武装ヘリを撃墜する。
それに加えて、巻き込む形で自分たちを追い立てていたマーケットガードの軍勢に大ダメージを与えた。
これにより、一時は落ち着くものだと思っていた。
だが、思い通りにはいかないもので、こちらへと合流しようとしたレイヴンの前に、撃墜されたヘリの残骸を突き破って、他の戦車よりも大型の巡航戦車が現れる。
陸八魔アルは、嫌な予感を感じていた。
ここに来て、明らかに強敵であろう増援。
敵は、あの戦車だけではないと確信的に気付く。
「アルちゃん、私たちもレイヴンの加勢に──」
ムツキがレイヴンに加勢する意見を出す。
だが──。
「いいえ、ムツキ。私たちはここで待機よ」
レイヴンのような、強者故の察知能力ではない。
弱者故の、危機管理能力とでも言うべきものが、アルにその“気付き”を齎した。
「…アル、もしかして…」
カヨコが何かに気付いた風にアルに問う。
「…嫌な予感とは当たるものね。来るわよ」
足音、それに振動と共に、レイヴンが戦車と戦っている逆方向からマーケットガードが次々と姿を現す。
オートマタにドローン、戦車までもが、主要道路や裏路地から現れる。
「──みんな!“アレ”を使うわ!」
「くふふ、りょうかーい♪」
ムツキは戦闘準備完了とでも言う風に、右手に銃を構え、左手のバッグを肩に掛ける。
「ハルカ、準備は良い!?」
「はい、アル様…いつでもいけます」
普段のタドタドしさから一変、ハルカはどこか自身に満ちた様子だった。
「オーケー。私はいつでも問題ないよ」
カヨコは鋭い眼光で敵を睨み付け、銃をリロードする。
「それじゃあ、行くわよ!!」
アル、ムツキ、カヨコの三人が向かって来るマーケットガードへと銃撃する。
向こうのオートマタも負けじと、距離を詰めながら銃撃する。
三人は遮蔽や体勢を低くしたりなどでやり過ごすが、それでも完全には躱し切れず、頬や手足に赤い傷が刻まれて行く。
「あぁっ、皆さん…!」
唯一、ハルカが後ろで待機しているが、三人が傷付く様を見て、思わず顔を出す。
「ダメよハルカ!」
「ハルカちゃん、あと少しだから耐えて〜」
「ハルカ、私たちは大丈夫…」
三人は、常に移動しながらも、一定の距離以上、前には出ていかない。
「あ、あぁっ…!うぅぅぅ…!!」
ハルカはどうにか三人から目を逸らし、爆弾のスイッチを胸の中に握り締めた。
傷付く三人の姿が想起し、今も傷付いていると言う事実に顔を青ざめさせながらも遮蔽の陰から、迫り来るマーケットガードに集中する。
「あと少し…あと少し、あと少しあと少し…!!」
マーケットガードの軍勢の最前列が、一定の“ライン”を超え、ついに、その“範囲内”に収まる。
「ハルカ!今よッ!!」
傷だらけのアルが叫ぶ。
「うわぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああッ!!!!」
錯乱したように声を上げ、ハルカは爆弾のスイッチを押す。
直後、無数の爆発がマーケットガードの軍勢を巻き込む。
これが、便利屋の秘策。
元は、近付くと作動する鳴子トラップとして設置した爆弾を再利用し、ボタンによる遠隔操作で発破するステルス地雷。
この範囲に収める為に、三人はギリギリの位置で耐えていたのだ。
「はぁ…はぁ…」
ハルカはその場にヘナヘナと座り込んだ。
「全く、鳴子の割に爆発が派手過ぎよ…」
立ち昇った爆炎を眺めながら、アルは傷だらけの状態でハルカの元に近付く。
「いやぁ〜!派手派手にぶっ放したねぇ〜!ハルカちゃん!って、おとと…」
傷だらけでもムツキは元気、かと思いきや、フラつく。
それをカヨコが支える。
「ムツキ、あまりはしゃがない方が良いよ。すごい傷だらけだし」
「あっはは〜、カヨコちゃんには言われたくないかなぁ〜、お互い様だよ〜」
ムツキとカヨコは互いに肩を貸しあって支え合う。
「皆さん…わ、私が前に出なきゃいけないのに…こんなボロボロになって…すみませんすみませんすみませんすみません…!!」
三人の傷だらけの様子に、ハルカは涙目で俯く。
「ハルカにはちょっと辛い思いをさせてしまったかしらね…ごめんなさい…」
ハルカを労い、慰めるように、アルはその小さな背中を撫でる。
「そ、そんな…!アル様が謝る事じゃ…!」
「そうだよー、アルちゃん!ここはごめんなさいじゃなくて、ありがとう、って言うところだよっ!」
カヨコに支えて貰いながら、ムツキは人差し指をアルに向ける。
「ハルカも、気にするなってのは無理だろうけど、こうして無事なのはハルカがちゃんと仕事をしてくれたから。だから、あんまり自分を卑下しないで」
カヨコもハルカを宥め、穏やかな微笑みを向ける。
「そ、それもそうね…えーと、ハルカ?ありがとうね?」
「あっ!えと、その…!皆さんのお役に立てて光栄です!!」
ハルカが勢い良く頭を下げ、ひと段落、といったところで──。
爆炎の向こうからマーケットガードが姿を現す。
当然ながら、先の爆発で軍勢の全てを撃破できた訳ではない。
それでも、決して少なくない数を撃破し、ダメージは大きいハズなのだが、一向に止まる気配がない。
「あぁっ!もうっ!いい加減シツコいわねっ!!」
辛抱堪らず、アルが怒りを叫ぶ。
「もう私疲れちゃったよぉー」
そう言いつつも、ムツキはカヨコから離れ、マシンガンを手に、身構える。
「まあ、あれで全部倒せるとは思っていなかったけど」
カヨコも支え無しで立ち、ハンドガンを構える。
「み、皆さん!下がっていてください!今度は私が前に出ます!私が皆さんを守ります!!」
ショットガンを手に、ハルカは三人を庇うように前に出る。
「ハルカ…そうね、今度は──ハルカに前をお願いするわねっ!!」
三人の後ろ、所定の位置に立ったアルは、スナイパーライフルで狙いを定める。
「──じゃあ、そこに私たちも混ぜてくれるかなぁ?」
背後からの声に、便利屋68は肩越しに振り向く。
そこに立っていたのは──。
「便利屋68のみんな〜」
「皆さん!加勢に来ましたよっ!!」
ヒラヒラと手を振るホシノと、マシンガンを構え、やる気十分なノノミだった。
そして、その姿は覆面を被った、覆面水着団のピンクとクリスティーナとしてのものだった。
(な、なんか凄い人たち来ちゃったぁぁぁあああーーーー!!!)
((多分、アル{ちゃん}は気付いてないんだろうなぁ…))
(アビドスの人たち、どうして覆面なんか被ってるんだろう…)
ピンチなところにかつての敵が加勢に来てくれたという熱い展開なのに、片や覆面水着団だし、片や正体に気付いてないしで、なんか色々と台無しですね