ブルーアーカイブ/灰の翼   作:空素(鴉ノ刃)

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あらすじ

チェイス戦、第一フェーズ終了
第二フェーズに移行

本作のアルちゃんは、原作と比べて割と弱音を吐きますが、状況が状況だけに、取り繕う余裕がない感じですね…割とレイヴンに心を許してるのもあります
それでもやる時はやるのがアルちゃんだと思っています


EP-38 追跡と追撃、反抗と反撃

戦車に乗ったRL持ちオートマタ達から、無数の砲撃が襲い掛かる。

 

その刹那、私は“歯車”の回転率を跳ね上げた。

 

“歯車”の回転が上がり、私の身体能力の“出力”が上昇する。

それは、膂力だけでなく、感覚──感知能力も同様だ。

五感が最大限に研ぎ澄まされる。

 

“猟犬の耳”と“鴉の眼”が周辺の環境から受け取る情報が、著しく増加する。

その分、瞬間的に処理する情報が増え、脳に多大な負荷が掛かるが、それはこの際、仕方がない。

 

まるで時が止まったかと錯覚してしまうような、緩やかだが決して余裕がない意識の中で、私は向かって来る砲弾の軌道、便利屋メンバーの位置を把握する。

 

皆、砲撃から逃れるべく、回避行動を取ろうとしているが、このままでは巻き込まれてしまうだろう。

 

だが、全員を安全な場所に移動させているような余裕は無い。

 

傍に寄り添ってくれる機械仕掛けの猟犬に、砲撃を潜り抜ける道は導き出して貰っている。

しかし、私だけが無事に切り抜けても意味は無い。

彼女たち便利屋も共に、この危地を乗り切らねばならない。

 

その結果、多少、私が負傷するとしても──。

 

体感時間が再び加速し、通常の速度に戻る。

それと同時に、私は地面を蹴っていた。

 

悠長に手で押し出している暇は無い。

 

多少、強引かつ乱暴になってしまうが、砲弾の直撃を受けるよりはマシと考えてもらって、私は容赦なく、浅黄を蹴り飛ばす。

 

「きゃあ!?」

 

当然、ある程度は加減する。

ある程度までは。

 

砲弾から逃れつつ、即座に向きを転換し、次は伊草を蹴り飛ばす。

 

「うわぁっ!?」

 

申し訳なく思いながら、爆撃を避けて鬼方へと駆け、蹴り飛ばす。

 

「っくッ!?」

 

そして最後、爆炎に炙られながらも陸八魔の元へと疾駆し、蹴り飛ばす。

 

「きゃあ!?」

 

その直後、“猟犬の耳”が私に警告を齎す。

私の逃げ場を無くすように爆炎が立ち昇り、砲弾が飛んで来る。

 

「ッ!!」

 

私はせめて直撃を避ける為に、後ろに飛び退く。

私が足を離した直後、私がいた場所に砲弾がめり込み、爆発する。

 

爆発の衝撃と炎が私を吹き飛ばす。

地面を転がりつつも、即座に受け身を取って体勢を立て直し、着地する。

 

爆撃は一旦、止んだようだ。

 

「ちょっと!?大丈夫!?」

 

そこに、多少、煤に汚れてはいるが無事な様子の陸八魔が声を掛けてくる。

 

「良かった、みんな無事そうで」

 

浅黄も鬼方も伊草も、問題なさそうだ。

 

「あなたが無事じゃなさそうなんだけど!?私たちを助けてくれた事には感謝するわ。でも、あなたももっと自分を大切にしなさいよね!?この作戦の要はあなたなんだから!!」

 

私の方は特に問題ないのだけど。

ノーダメージとは行かないが、ロケットランチャーの近距離爆発に巻き込まれて、受け身を取れている。

さすがはキヴォトス人の肉体と言ったところだろうか。

 

便利屋四人とも無事で、この程度で済んだのは十分にお釣りが来る。

それに、仮に何か不調を来したとしても、“歯車”を回せばある程度は挽回出来る。

 

とは言え、陸八魔の言う通り、マーケットガードの軍勢を迎え撃つには、私の力が無ければ便利屋には厳しいだろう。

 

「ごめん、以後、気を付ける」

 

私は素直に陸八魔の言葉を受け入れ、謝罪する。

 

「…そう、分かれば良いのよ。分かればね」

 

改めて、私は現在の状況を確認する。

 

いつの間にか、私たちは銀行前の大通りに繋がる主要道路に出ていた。

このまま真っ直ぐ進めば、その先に目的地の銀行がある。

 

「さて、後は真っ直ぐ進むだけだけど…そう簡単には行かないか…」

 

私たちの耳に届くのは、激しい風切音と駆動音。

 

私たちに続き、歩兵とドローンと戦車、そして、再び現れた二機の武装ヘリだった。

ここからが本番だ。

 

「みんな!走って!」

 

鬼方が叫び、私たちは一斉に走り出す。

そこに、ドローンと共に、二機の武装ヘリが機銃を斉射する。

 

「私がヘリを落とす!どうにかみんな、耐えてくれ!」

 

銃撃を躱し、時に遮蔽を使い、攻撃を凌ぐ。

 

「えぇ!?あれを堕とすって、そんなの無茶よぉ!!」

 

陸八魔が泣き言を漏らすが、やらなければここで倒れるだけだ。

 

「あっはは!良いじゃん、良いじゃん!頼りにしてるよ、レイヴン!!」

 

「レイヴン!私たちに手伝えることは!?」

 

「それなら、ヘリの周りをうろちょろしてるドローンの撃墜を頼む!」

 

「わ、わかりましたっ!」

 

「あぁっ!もう!やるわよぉ!やってやるわよっ!!」

 

陸八魔もやる気になったところで、私は動き出す。

遮蔽から飛び出し、ヘリの機銃の射撃を躱しつつ、距離を詰めていく。

 

それを邪魔するように、ヘリの周辺を飛行するドローンが射撃して来るが、それを回避したところで、一機のドローンが落ちる。

続けて、二機、三機と、便利屋の銃撃がドローンを落として行く。

 

「あなたは周りの事は気にせず、武装ヘリに専念しなさいっ!!」

 

背後で、陸八魔の声が聞こえた直後、周囲のドローンが一気に爆発で吹き飛ぶ。

 

しかし、その直後、戦車が向かって来る方から、無数の砲撃が飛ぶ。

 

それは、私の横を通過し、便利屋たちの居る場所に着弾し、爆炎を上げる。

便利屋たちは直撃は避けるが、爆発の衝撃に煽られる。

 

「こっちの事は気にしないで!!」

 

ロケットランチャー、それに加えて、戦車までもが、先程と違って開けた場所だからか、砲撃を開始する。

 

「あなたは、あなたの為すべきことを!!」

 

RLに、戦車の砲撃まで加わり、便利屋は長く耐え切れないだろう。

 

一刻も早く、ヘリを潰さなくてはならない。

 

私は“歯車”の回転率を引き上げる。

単独での武装ヘリとの戦闘時と同等まで。

 

身体も、頭も熱くなり、頭痛が襲い来る。

それを堪え、私はヘリの銃撃を躱し、駆ける。

 

私の傍に機械仕掛けの猟犬が寄り添う。

背後に、漆黒の大鴉が舞う。

 

頭頂の犬耳を大きく立て、目を見開き、私は地面を蹴った。

右手側の建物へと跳躍し、更にその壁を足場に、片方のヘリに詰め寄る。

 

ヘリの正面──その突き出した先端部に乗ると、足でフロントガラスを突き破り、ヘイローの深紅の輝きを纏った両手のSGとARを操縦席にありったけ叩き込む。

 

操縦者のオートマタは撃沈し、武装ヘリが制御を失う。

 

ヘリが墜落する前に、私は機体から飛び降りると、ヘリはそのまま道路上に落下し、戦車の行く手を遮る。

出来れば巻き込んで欲しかったのだが、そう上手くはいかない。

 

もう片方のヘリが、私に銃撃するが、問題なく躱す。

しかし、そこへ横からRLと戦車の砲撃が襲い掛かる。

どうやら、ヘリを撃墜させた私を優先的に排除する方針に変えたようだ。

 

それはある意味で正しく、また間違っている。

私を攻撃してくれるのであれば、私は心置き無く、暴れられる。

 

砲撃の軌道を見極める。

“歯車”が、赤熱するのではないかと思う程、回転する。

研ぎ澄まされた五感が生み出す、緩やかに時間が流れる世界で、猟犬が安全にすり抜けられる空白の道を導き出す。

脳が焼け付くような痛みを覚えるが、それをものともせず、私は地面を踏み締める。

 

再び加速した世界で、私は空中に身を躍らせ、砲弾と砲弾の間をする抜けるように身を捻る。

背後の爆発を受けながら、私は武装ヘリへと駆け出す。

 

その直後、ヘリのプロペラ部分が盛大に爆発する。

 

その爆発は紛れも無い、陸八魔の狙撃によるものだった。

 

陸八魔の狙撃を受け、逃げるようにフラフラと滞空するヘリへと跳躍する。

先程と同じように、機体のフロント部分に乗る。

 

先程は、操縦席の窓を破って操縦者を潰して撃墜したが、それでは下の連中を巻き込めなかった。

その点を反省し、私はどうやったら下の部隊を巻き込めるかを考えた。

 

その末に導き出した答えが──真っ直ぐ叩き付ける。

 

私はSGをヘリのプロペラを撃って破壊して動きを止めると、ヘリを足場にして真上に跳躍し、そのまま空中で宙返りをして脚を上に伸ばす。

 

落下の勢いを乗せて振り下ろした。

振り下ろした脚──その“深紅の光芒を纏った”ブーツの踵部分が、ヘリの板金を大きく凹ませ、その末に、脚を後方へと振り抜くと、ヘリはそのまま真下へと叩き付けられた。

 

逃げようとしてくれたお蔭で、真下にはちょうど、マーケットガード部隊がいた。

逃れられたオートマタもいたが。戦車も含めてその多くが、勢い良く落下するヘリの下敷きとなり、また、逃れられた者たちも、その後の爆発に巻き込まれ、吹き飛ばされた。

 

炎上するヘリの正面に悠然と着地する。

深紅の光芒を纏うブーツ──と言うより、両脚が落下の勢いと衝撃を和らげてくれた。

 

燃え上がるヘリの残骸を眺め、その奥へと視線を向ける。

今のヘリの撃墜で、三機の戦車、二十人程度のオートマタが巻き込まれたようだ。

 

炎の向こう側では、マーケットガード部隊が混乱状態にある。

これで、相手戦力のかなりの数を削ったが、まだ戦うつもりだろうか?

 

最初のアヤネの報告では、百の軍勢と言っていたが、正確な数は分からないが、少なくともその半数が壊滅した。

武装ヘリに関しては、出て来たものを優先した為、八機全部潰している。

普通に考えれば、不利と見て撤退してもおかしくない。

 

だが、それを判断するのは相手方の上の存在だ。

撤退するならそれで良し、向かって来るなら──全力で相手をするだけだ。

 

兎に角、今は便利屋の元に合流しよう。

後ろに振り向けば、そこには煤まみれで軽傷は負っているが、元気そうな便利屋の姿があった。

 

浅黄などは元気そうに跳ねながら手を振っている。

 

そちらへと合流するべく、私は駆け出した。

 

──その直後、“猟犬の耳”がとある音を捉える。

 

それは、大きな唸るような音を響かせ──否、轟かせながら、こちらへと近付いて来ていた。

 

それと同時に、幾つもの気配がこちらへと向かって来ているのを感じた。

 

どうやら、向こうも形振り構っていられないようだ。

 

私は素早く便利屋の元へと合流するべく駆け出そうとする。

 

だが、迫り来る轟音は、瞬く間に距離を縮め、燃え上がるヘリの残骸を吹き飛ばして姿を現す。

 

それは、戦車だった。

だが、今までの通常の戦車に比べ、幅が広く、巨大で、重厚な戦車。

 

後に、《十字軍(クルセイダー)》という名を知る、巡航戦車が私の前に立ち塞がるのだった。




さて、チェイスが終わったかと思えば、今度は大群プラス大ボスがレイヴン達へと襲い掛かります

今度は防衛戦ですね

クルセイダーはゲームではかなり動き回って地味に厄介だった記憶があります…

こちらでも縦横無尽に動き回る予定です
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