チェイス戦、第一フェーズ終了
第二フェーズに移行
本作のアルちゃんは、原作と比べて割と弱音を吐きますが、状況が状況だけに、取り繕う余裕がない感じですね…割とレイヴンに心を許してるのもあります
それでもやる時はやるのがアルちゃんだと思っています
戦車に乗ったRL持ちオートマタ達から、無数の砲撃が襲い掛かる。
その刹那、私は“歯車”の回転率を跳ね上げた。
“歯車”の回転が上がり、私の身体能力の“出力”が上昇する。
それは、膂力だけでなく、感覚──感知能力も同様だ。
五感が最大限に研ぎ澄まされる。
“猟犬の耳”と“鴉の眼”が周辺の環境から受け取る情報が、著しく増加する。
その分、瞬間的に処理する情報が増え、脳に多大な負荷が掛かるが、それはこの際、仕方がない。
まるで時が止まったかと錯覚してしまうような、緩やかだが決して余裕がない意識の中で、私は向かって来る砲弾の軌道、便利屋メンバーの位置を把握する。
皆、砲撃から逃れるべく、回避行動を取ろうとしているが、このままでは巻き込まれてしまうだろう。
だが、全員を安全な場所に移動させているような余裕は無い。
傍に寄り添ってくれる機械仕掛けの猟犬に、砲撃を潜り抜ける道は導き出して貰っている。
しかし、私だけが無事に切り抜けても意味は無い。
彼女たち便利屋も共に、この危地を乗り切らねばならない。
その結果、多少、私が負傷するとしても──。
体感時間が再び加速し、通常の速度に戻る。
それと同時に、私は地面を蹴っていた。
悠長に手で押し出している暇は無い。
多少、強引かつ乱暴になってしまうが、砲弾の直撃を受けるよりはマシと考えてもらって、私は容赦なく、浅黄を蹴り飛ばす。
「きゃあ!?」
当然、ある程度は加減する。
ある程度までは。
砲弾から逃れつつ、即座に向きを転換し、次は伊草を蹴り飛ばす。
「うわぁっ!?」
申し訳なく思いながら、爆撃を避けて鬼方へと駆け、蹴り飛ばす。
「っくッ!?」
そして最後、爆炎に炙られながらも陸八魔の元へと疾駆し、蹴り飛ばす。
「きゃあ!?」
その直後、“猟犬の耳”が私に警告を齎す。
私の逃げ場を無くすように爆炎が立ち昇り、砲弾が飛んで来る。
「ッ!!」
私はせめて直撃を避ける為に、後ろに飛び退く。
私が足を離した直後、私がいた場所に砲弾がめり込み、爆発する。
爆発の衝撃と炎が私を吹き飛ばす。
地面を転がりつつも、即座に受け身を取って体勢を立て直し、着地する。
爆撃は一旦、止んだようだ。
「ちょっと!?大丈夫!?」
そこに、多少、煤に汚れてはいるが無事な様子の陸八魔が声を掛けてくる。
「良かった、みんな無事そうで」
浅黄も鬼方も伊草も、問題なさそうだ。
「あなたが無事じゃなさそうなんだけど!?私たちを助けてくれた事には感謝するわ。でも、あなたももっと自分を大切にしなさいよね!?この作戦の要はあなたなんだから!!」
私の方は特に問題ないのだけど。
ノーダメージとは行かないが、ロケットランチャーの近距離爆発に巻き込まれて、受け身を取れている。
さすがはキヴォトス人の肉体と言ったところだろうか。
便利屋四人とも無事で、この程度で済んだのは十分にお釣りが来る。
それに、仮に何か不調を来したとしても、“歯車”を回せばある程度は挽回出来る。
とは言え、陸八魔の言う通り、マーケットガードの軍勢を迎え撃つには、私の力が無ければ便利屋には厳しいだろう。
「ごめん、以後、気を付ける」
私は素直に陸八魔の言葉を受け入れ、謝罪する。
「…そう、分かれば良いのよ。分かればね」
改めて、私は現在の状況を確認する。
いつの間にか、私たちは銀行前の大通りに繋がる主要道路に出ていた。
このまま真っ直ぐ進めば、その先に目的地の銀行がある。
「さて、後は真っ直ぐ進むだけだけど…そう簡単には行かないか…」
私たちの耳に届くのは、激しい風切音と駆動音。
私たちに続き、歩兵とドローンと戦車、そして、再び現れた二機の武装ヘリだった。
ここからが本番だ。
「みんな!走って!」
鬼方が叫び、私たちは一斉に走り出す。
そこに、ドローンと共に、二機の武装ヘリが機銃を斉射する。
「私がヘリを落とす!どうにかみんな、耐えてくれ!」
銃撃を躱し、時に遮蔽を使い、攻撃を凌ぐ。
「えぇ!?あれを堕とすって、そんなの無茶よぉ!!」
陸八魔が泣き言を漏らすが、やらなければここで倒れるだけだ。
「あっはは!良いじゃん、良いじゃん!頼りにしてるよ、レイヴン!!」
「レイヴン!私たちに手伝えることは!?」
「それなら、ヘリの周りをうろちょろしてるドローンの撃墜を頼む!」
「わ、わかりましたっ!」
「あぁっ!もう!やるわよぉ!やってやるわよっ!!」
陸八魔もやる気になったところで、私は動き出す。
遮蔽から飛び出し、ヘリの機銃の射撃を躱しつつ、距離を詰めていく。
それを邪魔するように、ヘリの周辺を飛行するドローンが射撃して来るが、それを回避したところで、一機のドローンが落ちる。
続けて、二機、三機と、便利屋の銃撃がドローンを落として行く。
「あなたは周りの事は気にせず、武装ヘリに専念しなさいっ!!」
背後で、陸八魔の声が聞こえた直後、周囲のドローンが一気に爆発で吹き飛ぶ。
しかし、その直後、戦車が向かって来る方から、無数の砲撃が飛ぶ。
それは、私の横を通過し、便利屋たちの居る場所に着弾し、爆炎を上げる。
便利屋たちは直撃は避けるが、爆発の衝撃に煽られる。
「こっちの事は気にしないで!!」
ロケットランチャー、それに加えて、戦車までもが、先程と違って開けた場所だからか、砲撃を開始する。
「あなたは、あなたの為すべきことを!!」
RLに、戦車の砲撃まで加わり、便利屋は長く耐え切れないだろう。
一刻も早く、ヘリを潰さなくてはならない。
私は“歯車”の回転率を引き上げる。
単独での武装ヘリとの戦闘時と同等まで。
身体も、頭も熱くなり、頭痛が襲い来る。
それを堪え、私はヘリの銃撃を躱し、駆ける。
私の傍に機械仕掛けの猟犬が寄り添う。
背後に、漆黒の大鴉が舞う。
頭頂の犬耳を大きく立て、目を見開き、私は地面を蹴った。
右手側の建物へと跳躍し、更にその壁を足場に、片方のヘリに詰め寄る。
ヘリの正面──その突き出した先端部に乗ると、足でフロントガラスを突き破り、ヘイローの深紅の輝きを纏った両手のSGとARを操縦席にありったけ叩き込む。
操縦者のオートマタは撃沈し、武装ヘリが制御を失う。
ヘリが墜落する前に、私は機体から飛び降りると、ヘリはそのまま道路上に落下し、戦車の行く手を遮る。
出来れば巻き込んで欲しかったのだが、そう上手くはいかない。
もう片方のヘリが、私に銃撃するが、問題なく躱す。
しかし、そこへ横からRLと戦車の砲撃が襲い掛かる。
どうやら、ヘリを撃墜させた私を優先的に排除する方針に変えたようだ。
それはある意味で正しく、また間違っている。
私を攻撃してくれるのであれば、私は心置き無く、暴れられる。
砲撃の軌道を見極める。
“歯車”が、赤熱するのではないかと思う程、回転する。
研ぎ澄まされた五感が生み出す、緩やかに時間が流れる世界で、猟犬が安全にすり抜けられる空白の道を導き出す。
脳が焼け付くような痛みを覚えるが、それをものともせず、私は地面を踏み締める。
再び加速した世界で、私は空中に身を躍らせ、砲弾と砲弾の間をする抜けるように身を捻る。
背後の爆発を受けながら、私は武装ヘリへと駆け出す。
その直後、ヘリのプロペラ部分が盛大に爆発する。
その爆発は紛れも無い、陸八魔の狙撃によるものだった。
陸八魔の狙撃を受け、逃げるようにフラフラと滞空するヘリへと跳躍する。
先程と同じように、機体のフロント部分に乗る。
先程は、操縦席の窓を破って操縦者を潰して撃墜したが、それでは下の連中を巻き込めなかった。
その点を反省し、私はどうやったら下の部隊を巻き込めるかを考えた。
その末に導き出した答えが──真っ直ぐ叩き付ける。
私はSGをヘリのプロペラを撃って破壊して動きを止めると、ヘリを足場にして真上に跳躍し、そのまま空中で宙返りをして脚を上に伸ばす。
落下の勢いを乗せて振り下ろした。
振り下ろした脚──その“深紅の光芒を纏った”ブーツの踵部分が、ヘリの板金を大きく凹ませ、その末に、脚を後方へと振り抜くと、ヘリはそのまま真下へと叩き付けられた。
逃げようとしてくれたお蔭で、真下にはちょうど、マーケットガード部隊がいた。
逃れられたオートマタもいたが。戦車も含めてその多くが、勢い良く落下するヘリの下敷きとなり、また、逃れられた者たちも、その後の爆発に巻き込まれ、吹き飛ばされた。
炎上するヘリの正面に悠然と着地する。
深紅の光芒を纏うブーツ──と言うより、両脚が落下の勢いと衝撃を和らげてくれた。
燃え上がるヘリの残骸を眺め、その奥へと視線を向ける。
今のヘリの撃墜で、三機の戦車、二十人程度のオートマタが巻き込まれたようだ。
炎の向こう側では、マーケットガード部隊が混乱状態にある。
これで、相手戦力のかなりの数を削ったが、まだ戦うつもりだろうか?
最初のアヤネの報告では、百の軍勢と言っていたが、正確な数は分からないが、少なくともその半数が壊滅した。
武装ヘリに関しては、出て来たものを優先した為、八機全部潰している。
普通に考えれば、不利と見て撤退してもおかしくない。
だが、それを判断するのは相手方の上の存在だ。
撤退するならそれで良し、向かって来るなら──全力で相手をするだけだ。
兎に角、今は便利屋の元に合流しよう。
後ろに振り向けば、そこには煤まみれで軽傷は負っているが、元気そうな便利屋の姿があった。
浅黄などは元気そうに跳ねながら手を振っている。
そちらへと合流するべく、私は駆け出した。
──その直後、“猟犬の耳”がとある音を捉える。
それは、大きな唸るような音を響かせ──否、轟かせながら、こちらへと近付いて来ていた。
それと同時に、幾つもの気配がこちらへと向かって来ているのを感じた。
どうやら、向こうも形振り構っていられないようだ。
私は素早く便利屋の元へと合流するべく駆け出そうとする。
だが、迫り来る轟音は、瞬く間に距離を縮め、燃え上がるヘリの残骸を吹き飛ばして姿を現す。
それは、戦車だった。
だが、今までの通常の戦車に比べ、幅が広く、巨大で、重厚な戦車。
後に、《
さて、チェイスが終わったかと思えば、今度は大群プラス大ボスがレイヴン達へと襲い掛かります
今度は防衛戦ですね
クルセイダーはゲームではかなり動き回って地味に厄介だった記憶があります…
こちらでも縦横無尽に動き回る予定です