ブルーアーカイブ/灰の翼   作:空素(鴉ノ刃)

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あらすじ

レイヴンに便利屋合流!

タイトル通り、街中でのチェイス戦です

向かって来る敵から走って逃げながら、攻撃もして総HPや敵の数を削りつつ、足止めするといった風なイメージです


EP-37 ブラックマーケット街の追跡戦

私は、便利屋が現れて以降、“歯車”の回転率を落とす。

 

あくまで落とすだけで、回し続けはする。

回転率が落ちたことで身体中の熱が引いて行き、頭痛も収まる。

 

とりあえずは落ち着いた状態で、私は便利屋と共に、ブラックマーケットの街中を走っていた。

 

当然、背後からは相変わらず、マーケットガードの部隊が追って来ている。

オートマタにドローン、戦車が私たちの後を追って走って来ていた。

その数は、数えるのも億劫になる程だ。

 

私は兎も角、便利屋の面々には厳しい状況だろう。

 

何か、咄嗟の不意打ちでも出来れば、足止めくらいは出来そうなんだが。

 

時折、私が手榴弾、浅黄が地雷、伊草が爆弾を投げて牽制するが、戦車やシールド持ちのオートマタが前に出て爆発を防ぐ。

 

それでも無傷ではないが、数が数だけに厳しいものがある。

 

「レイヴン!この後どうするのよ!?このままじゃ追い付かれはしないでしょうけど、銀行に着いちゃうわよ!?」

 

陸八魔が走りながら白眼で私に今後について訴えかける。

合流しに来た割にはノープランなのか、と半ば呆れるが、無理もない。

 

今回ばかりは、相手が相手なのだ。

 

オートマタやドローン、戦車にしても、単体であれば、私はもちろん、便利屋の面々でも相手にはならないだろう。

 

だが、数は力だ。

暴力だ。

生半可な数ならばどうと言うことはないが、流石に百ともなれば話が変わって来る。

 

「銀行と言えばアルちゃん、アレは?」

 

走りながら、横で浅黄が何やら意味深な問いかけを陸八魔に投げる。

 

「え…?アレ?…あぁ!アレね!あー…でもアレってどうなのかしら…ハルカ?どう?」

 

今度は陸八魔が伊草に話を振る。

 

「…そっ、そうですね、少なくとも、大盾持ちくらいなら…吹き飛ばせると思います…」

 

何のことかと首を傾げていると、陸八魔が私に勢い良く振り向く。

 

「レイヴン!正直に言って、あなたの力であの部隊を全滅させられる可能性はどのくらい!?」

 

陸八魔の質問を受け、私は後ろから迫り来る軍隊を改めて確認する。

先程は数えるのが面倒になって投げたが、ざっと見た感じだとおおよそ五十〜六十の歩兵に、ドローンが四〜五十程度、戦車は十台程と言ったところか。

 

“歯車”の回転ありきであれば──。

 

「何も無ければ90%、殲滅できる」

 

100%、と断言しなかったのは、既に先程までの戦闘で“歯車の”回転による負荷が私自身にかなり蓄積しているからだ。

 

これ以上、先程と同じか、それ以上の回転率で“歯車”を回して戦闘を行った場合、何が起こるか分からない。

 

それを踏まえての、90%。

 

「…自信があるのか無いのか分からないね…」

 

鬼方が呆れたように溜め息を吐く。

 

「…それなら、私たちの援護も加われば100%間違いないわね!?」

 

それはその通りだが、私は良い加減、先程のやり取りの疑問を解消したかった。

 

「それで、便利屋のみんなは何を企んでいるんだ?」

 

「私は事情を知ってるだけで無関係だよ」

 

「え、えへへ…」

 

「くふふ♪」

 

「ふふっ、聞きなさい!レイヴン!あの連中に一泡吹かせる方法が私たちにはあるのよ!」

 

私は、陸八魔の言う“一泡吹かせる方法”を聞いた。

 

****************************

 

「これで、終わりよっ!」

 

セリカが放った銃弾が、金庫の鍵を破壊し、扉が開く。

中から無数の札束が流れ出るが、今は拾っている場合ではない。

 

「先生、銀行最上階の金庫の破壊、完了したよ」

 

ホシノがその様子を確認し、先生に報告する。

 

『[“うん、分かった。みんな、一先ずお疲れ様”]』

 

制圧を完了したセリカ、シロコ、ホシノの三人は、すぐさま部屋を後にする。

先生たちの元へ合流するべく、一階に向かって走り出す。

ここに来るまでに、道中のマーケットガードは全て鎮圧しており、スムーズに戻ることができる。

 

『寧ろ、これからが本番ですねっ!!』

 

インカムの向こうで、ノノミが気合いを入れる。

 

「ん、イヴと合流して、百の軍勢を迎え撃つ…!」

 

シロコは静かに闘志を燃やしていた。

 

『あうぅ〜すごく緊張します〜』

 

相変わらずヒフミは弱気だが、逃げ出すような雰囲気はもう無い。

 

『それについて、皆さんちょっとよろしいでしょうか』

 

やや緊張した口調で、アヤネが口を挟む。

 

『ドローンで見ていたのですが、レイヴンが仰ってた百の軍勢が、どうやらこちらに向かって来ているみたいなんです!』

 

『そりゃ、向こうの目的はこの場所の確保だろうし、ここに来るのは何も変じゃ──って、まさか、レイヴンがやられたってこと!?』

 

レイヴンとの最後の通話では、逃げる時間を稼ぐ為に自らが軍勢を引き止めると言っていた。

軍勢が向かって来ていると言うことは、レイヴンでさえ引き止められなかった、という事だとアヤネは思い至る。

 

『あ、それについてはご安心ください。レイヴンは無事で、寧ろ、マーケットガードの武装ヘリを全機撃墜させ、それに巻き込む形で多くの数を減らす大立ち回りでした…』

 

暫しの沈黙。

 

『…レイヴンさんって…そんなにヤバい人なんですか…?』

 

ヒフミがあからさまに怯えて震えた声を漏らす。

 

「…いやぁ〜さすがのおじさんもこれにはドン引きだねぇ〜」

 

「…私は今、あいつが味方でいてくれて本当に良かったと心の底から思ったわ」

 

セリカの声は、今までに無い程、低く沈んでいた。

 

「…ん、さすがは戦友なだけある。私も負けていられない」

 

さすがのシロコもこれには動揺が隠せず、僅かに声が震えていた。

 

「これは負けてて良いのよ!シロコ先輩!」

 

『あはは…えーと、そのレイヴンなのですが、今は便利屋68の皆さんと応戦しながら、こちらに向かって来ています!!』

 

『どうしましょう?レイヴンちゃん達に加勢するべきなんでしょうか?』

 

「これは便利屋に戦友ポジションを奪われるピンチ!すぐ行かなくちゃ!」

 

「シロコ先輩!張り合うところはそこで良いの!?」

 

「ん!大事なこと!」

 

『[“…いや、みんな。ちょっと待って欲しい”]』

 

「先生?どったの〜?」

 

『[“レイヴンは今、恐らく私たちが居ない体で動いているはず。そして、あの軍勢を前に、諦めずに便利屋のみんなと立ち向かっているってことは、逃げながらも何かを狙っている──つまり策があるんだと思う”]』

 

『なるほど、それなら、取り敢えず様子を見て、合流のタイミングを窺った方が良さそうですかね』

 

『[“うん。とりあえず、レイヴンに通信が届かない以上、下手に動いて作戦を失敗させる訳にはいかない。今はすぐにでも合流出来るように準備だけしておいて、待機しよう”]』

 

『分かりました。それでは、これからの作戦を整理します。先ず、金庫破壊部隊の三人は、そのまま速やかに一階まで移動して制圧部隊本隊と合流、そのままいつでも戦闘に移れるように待機してください。私と先生で、レイヴン及び便利屋68の迎撃部隊の動向を把握し、マーケットガード部隊への対応を確認します。迎撃部隊が正面切っての戦闘、または危機的状況を確認した場合にのみ、先生の判断で彼らに合流・加勢するとします!』

 

****************************

 

私たちは、迫り来るマーケットガード部隊を迎撃しながら、“目的地”へと向かっていた。

それは、陸八魔が提案した、“連中に一泡吹かせる方法”に基いたものだ。

 

その間にも、連中に少しでもダメージを与え、数を減らす為に、投擲攻撃ができる私と浅黄の爆発物、ついでに一緒に伊草の爆発物も雑に置き、発破する。

 

無数のドローンが空から迫り、私たちに銃撃を繰り出す。

 

私たちはそれを走りながら回避、或いは遮蔽を利用して凌ぐと、陸八魔と鬼方が反撃の狙撃を見舞う。

陸八魔のスナイパーライフルによる狙撃が一機のドローンを撃ち抜いたかと思えば、その直後、爆発が起き、周囲のドローンが巻き込まれる。

その生き残りを鬼方がハンドガンで確実に撃墜していく。

 

私も回避の合間に、アサルトライフルによる銃撃と、SRによる狙撃を挟み、厄介なドローンを潰して行く。

 

「ひゅ〜♪爆弾投げて、回避しながら攻撃なんて、流石はレイヴン、器用なことするじゃ〜ん。アルちゃん、これは負けてられないよぉ〜?」

 

「あんな芸当、普通できる訳無いでしょ!?回避するので手一杯よ!!」

 

そう言う割には、割と鮮やかにドローンの攻撃を躱し、華麗に狙撃していた気がする。

 

「レイヴンの曲芸は兎も角、そのお蔭か、向こうも一旦は手を引いたみたいだね」

 

このままでは全てのドローンを撃墜されると危惧したのだろう。

部隊に先んじて私たちの元へ飛んで来て攻撃していたドローンは、私たちの反撃の後、一定の距離から近付いて来ないようになった。

 

「で、ですが、こちらもかなり消耗させられています…わ、私の爆弾の在庫も少なくなってきました…」

 

「私もこれ以上はバカスカ使えそうにはないかな〜」

 

伊草と浅黄の爆発物も、私の手榴弾も、無限にある訳ではない。

軍勢の進行を遅らせるべくばら撒いていた爆発物の残りも着実に減って来ていた。

 

「分かったわ。なら一旦、ここは回避と移動に専念──」

 

陸八魔が言い終えるより早く、何かに気付く。

気になった私も振り返れば、その先には、戦車の屋根に乗ったオートマタの姿があった。

問題なのは、そのオートマタが、ロケットランチャー持ちだったことだ。

 

「こっちの攻撃が止むのを待ってたってこと…!?」

 

鬼方の表情に焦りが見える。

その視線の先で、RLが火を噴く。

 

「に、にっげろ〜!!」

 

私たちは走る速度を上げる。

それでも、RLの速度には及ばない。

私自身は、突進や跳躍時など、一時的に銃弾に匹敵する速度で動けることはあるが、あくまでも瞬間的速度であり、恒常的に出せるものではない。

 

しかも、RL持ちのオートマタは一体だけではない。

 

他のRL持ちオートマタも、この状況を好機と見て便乗し、戦車の上に乗って、私たちへと砲撃する。

無数の砲弾が、私たちへと殺到する。

 

私たちの周囲で無数の爆発が起こり、幾つもの爆炎が火柱となって立ち昇った。




と言うわけで、チェイス戦、第一フェーズでした

話は変わりますが、ムツキのEXスキルって一回使ったら使えなくなりそうですよね…

個人的に無限弾薬や無限爆弾よりも無限バッグの方がどうなってるのか気になる…
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