ブルーアーカイブ/灰の翼   作:空素(鴉ノ刃)

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あらすじ

覆面水着団、始動!!

覆面水着団に加えて、便利屋とレイヴンというオーバーキルも良いところな戦力ですが、当然、それに見合った困難が彼らを待ち受けています

ところで、私は“彼ら”という単語を多用しがちなのですが、どうやら調べたところ男女どちらにも対応しているそうなので、今後も“彼女ら”ではなく“彼ら”で使っていきたいと思います
語感もそっちの方が言いやすいですし

以上、どうでも良い報告でした


EP-34 ブラックマーケット闇銀行襲撃

とある高層ビルの一室。

 

街を見下ろせるような高層階の部屋で、その人物は優雅に寛いでいた。

 

その男──否、ロボットは、カイザーコーポレーションを代表する最高責任者。

 

「プレジデント、どうやら銀行襲撃が始まった模様です」

 

そこへ、傍付きと思われる部下が報告する。

 

「そうか、始まったか」

 

報告を受けた男──プレジデントと呼ばれたロボットは、座っていた椅子から立ち上がり、窓際へと移動し、街を見下ろす。

 

「さて、シャーレよ、その“番犬”よ。舞台は整えた。君たちはどれだけ足掻くことができる?君たちの力、是非とも見せてもらおうか」

 

そう言うと、プレジデントは低い笑い声を漏らす。

 

「可能であれば、君たちには、銀行の制圧を成功させつつ、マーケットガードと共倒れになってもらいたいものだ。協働の仲間諸共、ね」

 

窓に背を向け、プレジデントは部下に向き直る。

 

「“彼女”の要求に対する準備は?」

 

「はっ、既に完了しております。目的地に潜伏し、後はタイミングを見計らい、実行に移すだけとなっております」

 

「そうか。ふふ…それにしても、“彼女”も随分と大胆な謀略を決めたものだ。一歩間違えば、自身が大逆の罪人となると言うのに…」

 

「──シャーレの先生を誘拐しようなどと、企むとはな」

 

*****************************

 

ブラックマーケット、闇銀行内部。

 

アビドス対策委員会、もとい、覆面水着団と銀行内に配備されていたマーケットガードとの銃撃戦が勃発していた。

 

「シロ──ブルーちゃん!私が前に出る!援護よろしく!」

 

「ん、了解、ホシ──ピンク先輩」

 

マーケットガードの弾幕に向かって、大盾を構えたホシノが突っ込む。

同時に、大盾の横からショットガンの銃口を覗かせ、散弾を連射する。

 

ホシノのSGで怯んだところへ、シロコが手榴弾を投擲する。

派手な爆発が起き、マーケットガードが吹き飛ぶ。

 

その様子を先生はタブレット端末──その中の《アロナ》の力でハッキングしたカメラの映像で確認していた。

 

『[“セリ──レッド!生き残りに追撃を!ブルー、ピンク!その調子でガンガン奥に進んで!取りこぼしはこっちの二人が受け持つ!”]』

 

「了解!行くわよっ!」

 

セリカの銃撃が、シロコの爆撃で残っていたマーケットガードを沈黙させる。

 

「オッケー、任せて〜」

 

そのまま、先頭にホシノ、その後ろにシロコとセリカという形で三人は銀行の奥へと進んで行く。

 

「ん、了解。このまま侵攻する」

 

一方、ロビーでは、ノノミとヒフミが残り、取りこぼしのマーケットガードを相手取っていた。

 

「クリスティーナ、行きま〜す☆ファウストさん!頑張りましょう!」

 

ノノミのマシンガンの掃射が、マーケットガードを薙ぎ払う。

 

「えっ?えぇっ!?ファウストってもしかして私の事ですかぁ!?うわぁ〜ん!助けてください!ペロロ様!!」

 

自分に向かって来るマーケットガードをアサルトライフルを撃って迎撃する涙目のヒフミ。

するとヒフミは、背中のリュックからペロロの人形を取り出し、それが巨大化する。

その巨大化時に範囲内にいたマーケットガードが吹き飛ばされた。

 

「え、えぇ…どうやったんですか?今の…」

 

それを見たノノミは困惑の表情を浮かべた。

 

[“…ふぅ、取り敢えず、今のところは順調だね…”]

 

先生は、ロビーの端、ひっくり返った椅子の裏に隠れた状態で指揮を取っていた。

 

ノノミとヒフミは、そこを守るように位置取っている。

 

『そうですね…でも先生、私、何か嫌な予感がします…』

 

その声を発したのは先生が持つタブレット端末。

その中のアロナだった。

 

[“…そっか。アロナがそう言うなら、気を抜いてはいられないね…”]

 

『すみません、不安にさせてしまって。私もどう言ったら良いか分からなくて』

 

[“ううん、良いよ。大丈夫。不安なんて、みんなそんなものだよ。それを払拭するのが、私の役目だからね”]

 

『先生…はい!私も出来る限りサポートしますっ!あ、ホシノさん達が階段に到達しましたね!』

 

先生のタブレットの画面には、無数の監視カメラの映像が映っており、その中で、生徒が映るものが表示されるようにアロナは画面を整理していた。

 

『あーあー、こちらピンク〜。先生、階段に到達したけど、先に地下から地下行こうと思うんだけど、それで良いかなぁ〜』

 

[“うん、最上階に行ってから戻って地下に行くのは手間だからね。先に近い方から優先しよう”]

 

『了解〜。二人とも、それじゃ地下二階金庫を目指してゴーゴー!』

 

[“よし、こっちはひとまず大丈夫かな。アヤ──イエロー、外の状況はどうかな?”]

 

『あっ、先生!はい、外なんですが、どうやら、レイヴンが雇ったのは便利屋68の皆さんのようで、一緒に迎撃を頑張っています!』

 

[“そっか、わかった。ありがとう。引き続き、オペレーター頑張ってね”]

 

イヴが雇ったのが便利屋である事は先生も薄々、勘付いていた。

何せ、彼女たちの拠点を調べるようにイヴに頼まれたのが他でもない先生だからだ。

実際には、先生自身の力ではなく、アロナによるハッキングなのだが。

 

『はいっ!任せてください!』

 

便利屋の彼女たちなら、頼もしいことこの上ない。

面識があるのは柴関ラーメンでの一回切りだが、その後、彼女たちの襲撃を迎え撃ったイヴがかなりボロボロの姿だったことから、実力も折り紙付きだ。

だからこそ、イヴは便利屋を頼ったのだろう。

 

[“アロナ、銀行内部の映像には私が目を光らせておく。アロナには、外を確認して貰いたいんだけど良いかな?”]

 

とは言え、何が起こるか分からない。

外にも目を配っておくのも、万が一に備えて、悪くないだろう。

 

『はい!お任せください!アロナはこの、《シッテムの箱》の優秀なメインOSなので、マルチタスクはお手のものです!』

 

[“それは頼もしい。よろしく頼むよ。何かあったら教えて欲しい”]

 

『はい!わかりました!!』

 

****************************

 

アヤネの連絡を受け、向かって来るマーケットガードに先んじて、私は奇襲を仕掛けるべく、ブラックマーケットの街中を駆け抜けていた。

 

連中の気配は既に、“猟犬の耳”で捕捉している。

徐々に気配が近付き、そして、私は目視で敵を確認する。

 

マーケットガードの部隊。

整然と並び、街中を走って来ている。

 

アヤネの報告にあった通り、通常の銃器を持ったオートマタに加え、ロケットランチャー持ち、より大柄な体格で大盾を持つオートマタがいた。

 

数はそれぞれ6:2:2の計10体。

この程度であれば、歯車を回す必要も無い。

 

そして、正面から堂々と突っ込む必要もない。

これは試合でも決闘でもなく、殺し合いだ。

 

向こうは、こちらが生徒だろうと関係無く、殺そうとして来る筈だ。

幾ら頑丈なキヴォトス人であっても、血が流れる以上は死ぬこともあるだろう。

 

ならば、こちらは一切の容赦無く、蹂躙する。

 

奴らに教えてやる。

お前たちは狩る側ではなく、狩られる側なのだと。

 

私は建物の裏を回り、奴らの背後に回り込む。

 

地面を踏み締め、力強く蹴り、地面スレスレを滑空するように突進する。

背中を向けているランチャー持ちオートマタ二体を勢いを乗せた蹴りで纏めて吹き飛ばす。

 

吹き飛んだランチャー持ちは他の銃器持ちと大盾持ちに激突する。

 

そこで漸く、連中は私の襲撃に気付く。

 

「てっ、敵しゅ──」

 

それを言うより早く、私は左手のSGを近距離でぶっ放す。

 

単発だが、故にその一発に殺傷力が存分に込められている。

散弾は再び複数の銃器持ちオートマタを巻き込み、怯ませ、或いは破壊する。

 

だが、大柄な大盾持ちはそれを堪え、大盾で私を殴り付けようとして来る。

 

ただ飛び退いて回避するのも良いが、それでは面白くない。

 

私は以前から考え、思い描いていたものを行動に起こす。

 

それは、回避と攻撃を同時に可能とするカウンター技。

 

右手のARを素早く薙ぎ払うように掃射しつつ、身を翻して後方に飛び退き、空中では引き金から手を離し、着地と同時に再び引き金を引き、中距離からARを薙ぎ払う。

 

言うなれば、薙ぎ払い飛び退き回避、だろうか。

 

欠点としては、やはり気軽には使えないことがまず一つ挙げられる。

カウンター攻撃である以上は、初見でも分かりやすい攻撃に対してではなければ、差し込む事は至難だ。

 

二つ目は、攻撃力と言う点に於いて、普通に攻撃した方が火力が出る。

 

わざわざこの技を多用する必要はない。

 

カウンターの他には、攻撃の後に距離を取りたい場合にも使えそうではある。

 

あくまでも、回避のついでにダメージを与えられて便利、程度に考え、火力に期待するものではない。

 

とは言え、まだまだポテンシャルは感じる。

今後、発展させて行っても悪くないだろう。

 

さて、そんな考えを巡らせている内に、私は左手のSGを腰に納め、背中のSRに素早く切り替えると、残っている大盾持ちの一体に狙撃する。

 

それは防がれ、反撃にSMGを撃たれるが、それは読めていた。

防御の後の攻撃は定石だ。

 

だからこそ、私は地面を蹴り、前方宙返りで銃撃を飛び越えると、側に着地し、そのまま前に転がって即座に離れる。

 

直後、私の背後で爆発が起き、巻き込まれた大盾持ちが膝を突く。

すれ違い様に足元に転がした手榴弾の爆発だ。

 

もう一体は巻き込まれながらもどうにか堪え、私に銃撃を浴びせるが、それを私は“鴉の眼”で見切り、同時に、大盾持ちの弱点を見付ける。

 

私は比較的健在の大盾持ちへと一気に距離を詰めると、大盾持ちに蹴りを見舞う。

この大盾持ちは銃撃中で防御は出来ない。

 

腹部にマトモに私の蹴りを食らった大盾持ちは動きを止める。

 

負荷限界──スタッガー。

 

この大盾持ちは、最初、私が蹴り飛ばしたオートマタを背中に直撃し、その後もSGやら手榴弾の爆発に巻き込まれ、負荷が蓄積していたのを私の“眼”は見逃さなかった。

 

スタッガー状態のオートマタへ至近距離からSGを浴びせ、撃破する。

 

残る一体が、その場で大盾を地面に突き立てて防御体勢を取る。

 

これならば攻撃出来ないだろう、そう言われた気がした私は、軽々と跳躍してオートマタの頭上を取ると、慌てて大盾を上に向けようとしたオートマタへ銃口を向け──。

 

反対の手で手榴弾を落とした。

 

オートマタは爆炎に呑まれ、力尽きた。

 

崩れ落ちるオートマタを尻目に、元の場所へと戻る。

 

──その瞬間、私の“耳”が捉えたのは、多数の気配。

 

その直後、インカムからアヤネの声が届く。

 

『レイヴン!大変です!そちらに先程とは比べ物にならない数のマーケットガードが向かっています!数は──優に100を超えています!!』




今回も様々な思惑が混ざり合って混沌とした様相を呈しています

そして、ACに於いて、「騙して悪いが」は基本ですよね!作者知ってます!

尚、レイヴンに対してそんなことをすればどうなるかは…これ以上の説明は不要ですね?
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