セリカ救出依頼達成
不穏なフラグ乱立
ようやく対策委員会編も中盤といったところでしょうか…
『キヴォトス生徒の皆さん、おはようございます!《クロノススクール》報道部所属、アイドルレポーターの《川流シノン》です!』
『私は今、連邦生徒会所属、シャーレのオフィス前に来ています!』
『先日、カイザーグループ系列企業、カイザーPMCの理事が生徒誘拐及び違法銃火器所持・取扱の疑いで、連邦生徒会から直々に指名手配が出されました!』
『これを受けて、D.U.内でも、《ヴァルキューレ警察学校》の生徒さんが警備を強め、厳戒態勢なのは、皆さんご存知の通りでしょう』
『また、カイザーグループ本社は、今回の事件について、“PMC理事の暴挙は、本社の意向とは無関係の独断であり、遺憾の意を表明すると共に、元理事の捕縛に出来得る限りの協力をする”との声明を発表しています!いやぁ〜これが世に言うトカゲの尻尾切りなんでしょうか?怖いですね〜』
『それはさておき、話を戻しますと、これらの悪事が暴かれたのは、なんと、こちらのシャーレからの報告だったとの情報を掴み、私はこうして、関係者或いは先生本人に取材し、詳しい情報を皆様にお届けするべく、シャーレ前に来ています!』
『あっ!ちょうど誰か出て来ましたね!黒い服装をした白髪の生徒さんです!関係者の方でしょうか!?早速、話を聞いてみたいと思います!あの〜、すみません。私、クロノス報道部の──えっ、ちょっ、なんで急に銃なんか取り出すんですか、やめっ』
〜映像が一部乱れました。しばらくお待ちください〜
『…えー…シャーレ突撃取材ですが、急遽内容を変更し、《まちカドねこちゃん》のコーナーに移りたいと思います…』
『お陰様で大人気のこちらのコーナー!まずは届いたお便りを紹介させていただきます!えー、PN.猫好きヘビーメタルさんから頂きました!“いつも楽しみに拝見させて頂いております。私は最近、アビドス自治区に良く行くのですが、そこの猫たちが日向で日向ぼっこをしている姿がとても可愛くて──”』
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マスコミを撃退し、私はシャーレの事務室へと戻る。
[“えと、どうだった?あと、なんか銃声がしたんだけど…”]
「先生は気にしなくて良い。野次馬が群れてたから空砲で追っ払っただけ」
実際には空砲どころか直撃させたが、まあ、それは良いとして。
昨日、ヘルメット団のアジトへ顔を出した後、私は何事もなくシャーレへと帰還した。
すっかりシャーレのオフィスが拠点として馴染んで来ているが、様々な施設を併設するこの場所は、私からしても勝手が良い。
居住施設としてだけではなく、射撃訓練場や弾薬・手榴弾を購入することができるコンビニがあり、また仕事が仕事だけに、即座に対応できる。
と言っても、このシャーレ専属傭兵*1になってからは依頼という依頼は、先日のシロコからのセリカ救出応援くらいしか実績は無いのだが。
今の私の服装は、特に堅苦しい制服を着る必要も無いので、私服であるヘルメット団に居る時に貰った服装だ。
『それでは、イヴさんも戻ってきたところで、先程の話の続きですね』
聞こえて来たのは、アヤネの声だ。
私と先生は今、スピーカーモードで対策委員会と通話していた。
内容は、《カイザーコーポレーション本社》直々に、シャーレ宛で届いた依頼についてだ。
依頼内容は以下の通り。
“これは、カイザーコーポレーション本社からシャーレ並びに直属特務戦闘員レイヴンに対する直々の依頼です。
先日、傘下組織であるカイザーPMCによる生徒誘拐事件を発端に、PMC理事の様々な暴挙が晒されました。
その中には、現キヴォトスにおいて違法として定められている銃火器や兵器の所持、売買等の犯罪もありました。
それにつきましては、良く、PMC理事の非行を暴いてくれたと我らがプレジデントもお喜びになっています。
ですが、PMC理事は行方をくらまし、指名手配は出されているものの、未だ逮捕には至っておりません。
また同じような愚行を元理事が犯す前に、未然に捕縛しなければなりません。
これはその足掛かりとなる、重要な依頼です。
本題に入ります。
こちらの調査で、カイザーPMCはカイザーローンと結託し、資金をブラックマーケットの闇銀行に流していた事が判明しました。
闇銀行に流した資金を軍資金とし、あらゆる違法な武器を取引していたようです。
これは、由々しき事態です。
PMC理事の捕縛に協力すると言った手前、これを見過ごす事は出来ません。
カイザーローンには、こちらの方で相応の対処をいたします。
シャーレには、ブラックマーケットの闇銀行を襲撃し、制圧していただきたい。
マーケットガードによる抵抗が予想されますが、その規模は不明瞭であり、最悪のケースを想定して動くべきでしょう。
どうか入念な準備の上で、依頼に臨んでください。
制圧できるのであれば、手段は問いません。
協働を頼むのも良いでしょう。
内容は以上です。
色良い返事を期待しております。”
この依頼を先生が見付け、共に確認した。
先生は内容を知って、対策委員会にこの事を相談したいと言った。
それは、私への命令ではなく、お願い。
私としては、協働以外にあまり関係者を増やしたくは無かったのだが、話を聞くと、対策委員会が背負う借金は、カイザーローンに対してのものだと言う。
つまり、彼女が長年、必死になって返済し続けた金は、ブラックマーケットに流れ、PMCの軍資金となっていた、と言う事だ。
それならば、と私は割り切り、対策委員会への相談を容認した。
『…許せない…!あいつら…私たちが必死に稼いだお金を使って、ヘルメット団や便利屋を雇って、私たちを襲撃させてたって事!?』
通話の向こうでセリカの怒声と共に、机を叩く音が届く。
私とヘルメット団がアビドス襲撃の際に使った兵器や武器も、対策委員会が稼いで返済に充てた資金が元だったのかもしれない。
『何よそんなの…私たちがあいつらの犯罪を助長してたようなものじゃない…!』
対策委員会は、犯罪資金を提供し続けていたということになる。
それは、彼女たちからしてみれば、受け入れられることではないだろう。
セリカが取り乱すのも無理はない。
[“セリカ、今は取り敢えず、落ち着いて”]
『…ごめん…』
「…先生は兎も角、私がみんなに聞きたいのは、この内容を知って、どうするか、ということ。このまま私に任せるか、それとも、私と協働するか」
裏切りのような衝撃的事実を知り、傷心中のところを急かすようで申し訳なく思うが、こちらにも準備のための時間がある。
早めに決断を出して貰い、動き出さねばならない。
『…ねぇ、ホシノ先輩。ここは“アレ”の出番だと思うんだけど』
『ん?“アレ”?──あぁ!“アレ”かぁ!!』
『そうですね!確かに“アレ”なら!』
何やら思い付いた…と言うより、企んでいる様子のシロコ、ホシノ、ノノミの三人。
『ん…?あ゙。“アレ”って…まさか…!?』
[“あー…確かに『アレ』の使いどころだね…”]
『あははは…』
それを聞いたセリカとアヤネ、先生は何やら困惑している。
「みんな、一体、何の話をしてるの?」
『そっか。イヴは知らないんだった。その時のお楽しみって事で。楽しみにしてて、戦友』
通話の向こうで、何やらシロコが悪戯っぽく笑っている。
「と、とりあえず、みんな参加ってことで良いんだよね…?」
私は珍しく戸惑いながら、対策委員会に最終確認を取る。
何を企んでいるのは分からないが、少なくとも、私を害するようなものではないだろう。
・・・ないはずだ。
『うん〜、全員参加で〜。どうせなら、面白おかしくいかなきゃね〜』
そのホシノのセリフを聞いた時、私は何となく、ルビコンでのRaD製製品のモットー、“殺しの道具だからこそ何か笑える必要がある”を思い出した。
関連性は不明瞭だし、どう考えても物騒なのだが、似たようなニュアンスを感じ取ったのだろう。
私はこの時点で、嫌な予感を感じていたのかもしれない。
そして、その予感は的中することになる。
シャーレに舞い込んだ依頼はまさかのカイザーコーポレーションがクライアントでした
敵の敵が味方になる展開は頼もしいなぁ!(白目)
対策委員会に秘策あり!?
アレって一体なんなんだろうなー(すっとぼけ)
準備編はもうちょっと続きます