しぶといパワーローダーくん
今回で流石に決着が付くはずです!!
錆び付いた“殺しの歯車”が、ギャリギャリと音を立てながら、こびり付いた錆を削り落として行く。
後方宙返りで振るわれた腕を躱し、空中にいる為、衝撃も振動も食らわない。
更に、私は空中で体勢を整え、両腕を叩き付けて隙を晒すパワーローダーへとカウンターの左手のSG、その散弾を浴びせる。
SGの反動も上手く利用して地面に着地し、すかさず右手のARを右下から左上へと斜めに銃弾が駆け抜けるように掃射、その間、左手のSGとSRを切り替える。
ARの掃射の反動で振り上げられた右腕の下を通すように左手のSRを構え、狙いを定め、発射する。
放たれた弾丸がパワーローダーの胴体の装甲を凹ませる。
『…わぁお、とんでもない動きするねぇー…』
そう言いながらも、私に続いて、パワーローダーの脚部に近距離からSGの連射を浴びせるホシノ。
貫通性能の高い銃弾が、パワーローダーの脚部装甲を削っていく。
『何よアレ!?人間の動きじゃないわよ!?』
セリカが狼狽しながらも、中距離からパワーローダーの背面へとARで狙い撃つ。
人間じゃないは褒め言葉として受け取っておく。
『常に驚かされっぱなしですね〜☆』
ノノミが遠距離からパワーローダーの脚部へとMGを斉射する。
ホシノのダメージも相まって、パワーローダーが膝を突く。
『ん、私たちも負けてられない…!!』
そこへ畳み掛けるように、シロコが手榴弾を投擲し、爆発したところへ
ARの銃撃を叩き込む。
再び、パワーローダーは負荷限界へと陥り、両手を地面に突く。
『パワーローダー、再び負荷限界!チャンスです!!』
『[“みんな!これで決めよう!!”]』
無防備なパワーローダーへと、全員が最後の猛攻を仕掛ける。
『おりゃりゃりゃりゃりゃ〜!!』
ホシノのSG、その連射が機体全体の装甲を抉る。
『これでお終いですっ!!』
ノノミのMGの斉射が、装甲の上から機体を穿つ。
『これでトドメよっ!!』
セリカのARの銃撃が、脆くなった装甲の隙間を狙い撃つ。
『イヴ、最後は任せた…!!』
シロコの手榴弾が脆くなった装甲を更に砕く。
「──分かった」
シロコの頼みに私は頷き、地面を踏み締め、力強く蹴った。
滑空するようにパワーローダーへと突進し、その勢いを乗せた渾身の蹴りを叩き込んだ。
パワーローダーは大きく仰け反り、タタラを踏んで後ろに退がると、肩や手足から小さな爆炎を迸らせた後、眩く光を放ち、巨体を包み込むような爆炎と共に爆散した。
爆発が収まると、後には燃え上がる黒焦げたスクラップだけが残っていた。
『──パワーローダー、大破しました!私たちの勝利です!!』
アヤネの勝利宣言が高らかに響き渡った。
****************************
その後、私たちは疲れた体に気合いを入れ、基地の内部を探った。
基地の内部は電源も落とされ、もぬけの殻だった。
PMC理事は完全に姿をくらまし、私たちは不安を抱えながらも、アヤネが運転する車に乗り、アビドス高校へと帰還した。
帰還した頃には、既に日は落ちていた。
当然だが、既に便利屋68は撤退しており、後にはボロボロになった校庭と校舎だけが残った。
この惨状を引き起こした要因の一人として、私はもう少しだけアビドスに協力しなければいけない。
先生は今回の事を連邦生徒会に報告すると告げた。
逃げたカイザーPMC理事を指名手配を出し、捕縛されれば、一先ず一件落着と落ち着くだろう。
未だ、予断も油断も許されないが、今日のところは解散となる。
先生が生徒たちを家に送ると言う事で、私も誘われるが、野暮用があると断る。
晩御飯までには帰って来るのよーなんて先生の言葉を受け流しつつみんなを見送り、私は目的の場所へと向かう。
おおよその位置は覚えていた為、特に迷うことも無く、荒野を駆け抜け、“その場所”へと辿り着いた。
カタカタヘルメット団アジト。
「そこのお前!止まれ!!」
入口の団員に銃を向けられ、引き止められる。
私は抵抗の意思を見せず、両手を上げる。
「ん…?アレ、お前──レイヴンか!?」
私の正体に気付いた団員は、それまでの警戒した様子が打って変わり、親しげに肩を組んで来た。
その団員に案内され、アジトの中を練り歩く。
途中、何度も懐かしの団員とすれ違い、声を掛けられ、挨拶を交わす。
「レイちゃーん!おひさー!あっ、今はイヴちゃんなんだっけ!元気そうで良かった〜!」
そうしている内に、ドンドンと連れが多くなって行き、目的地に辿り着いた頃には大所帯となっていた。
「リーダー!レイヴン──イヴが帰って来てくれましたぜ!!」
私は、ヘルメット団のリーダーがいると言う、拠点としている廃墟の一室に迎え入れられる。
「イヴ…!?──随分と、早い里帰りだったな」
振り返った赤ヘルメットのリーダーは、相変わらず優しげな声で話しかけてくれた。
「ちょっと、近くに寄ったから。ついでにと思って」
「はっ、その割には、随分とボロボロな様子じゃないか。相変わらず、荒事に巻き込まれてるようだな」
頭の上から爪先まで、埃と煤を被り、傷付いた様子に、リーダーは呆れた様子で、だが、嬉しそうに溜め息を吐く。
「ほら!お前らは持ち場に戻れ!シッシ!!」
私の取り巻きだった団員を追い出し、部屋には私とリーダーだけが残る。
そこで、私はリーダーを一目見た時から気になっていたことを訊ねる。
「リーダー…その包帯は?」
リーダーは手足に状態を巻いていた。
「あー…これはあれだ。階段から落っこちて…」
気まずい無言の時間が流れる。
「…お前が気にすることじゃない」
私も無理に聞き出すつもりは無い。
リーダーが言いたくないならそれで。
「リーダー、折角のイヴの気遣いを無下にするのは如何かと思いますよ?」
そこで部屋に入って来たのは、他の団員に比べて言葉遣いが丁寧な団員。
黒のヘルメットと制服を身に付けてはいるが、スカートはロングであり、その所作は丁寧だ。
「私は気にしてないから大丈夫」
「ほら、こうやって気を遣われて、良心が痛まないんですか?」
リーダーに助け舟を出すが、それが返って裏目に出る。
「寧ろ、巻き込むと良心が痛むから黙ってんだろうが!!」
「イヴちゃんは知りたい?知りたくない?正直に」
手を握られ、ヘルメット越しに真っ直ぐ見詰められ、私は観念する。
「……知りたい、かも…」
リーダーは私にとって恩人であり、その身に危機が迫っているのであれば、その降りかかる火の粉を振り払いたいとは思う。
「はぁ〜、ったくしょうがねぇ…便利屋68って知ってるか?」
「それなら今日戦った」
「それはそれは…」
「…それなら話は早い。確証は無いが、恐らくカイザーが用済みになったあたしらを始末する為に便利屋をけしかけたのさ。んで、ご覧の有り様だ」
リーダーの話を聞き、私は納得した。
リーダーが怪我をしている理由もそうだが、その理由を話さなかったことについても。
「言っておくが、報復しようとか馬鹿な事を考えんじゃねぇぞ。これはあたしらの自業自得でもある。仕事を失敗した当然の報いだ」
分かっている。
嫌と言うほどに。
うんざりするが、傭兵業に於いては、良くある話だ。
仕方ないとさえ思う。
「大丈夫。彼女たちはただ受けた仕事を
「分かってるなら良い。…あー!なんか湿っぽい雰囲気になっちまったなー!ここは一つ、アビドス砂漠に眠るとされる巨大怪獣の話でも──」
「それはそれで気になるけど、それとは別に、リーダー、ちょっと私からも話しておきたいことがある」
私はリーダーに、アビドス対策委員会と共に、カイザーPMCと敵対し、戦った事を話した。
「はっはっは!そいつはザマァねぇなァ、あいつら!イヴ!良くやった!お蔭でこっちの溜飲も下がるってモンよ!!ひゃー!」
「リーダー、笑い過ぎですよ。ですが、なるほど。それでそんなボロボロの状態だったのね」
「はぁー、傑作だ。だが、そうだな…奴らの頭が姿をくらましたとなれば、あたしらも念の為、用心しておくに越した事はないかもな」
「と言いますと?」
「追い詰められたネズミは、天敵の猫にすら歯向かう、って事だ」
****************************
「おのれぇ!何者なのだ!あのレイヴンとか言うヤツは!?私の軍隊も、パワーローダーさえも!クソッ!!奴さえ居なければ、アビドスなど取るに足らん存在だと言うのに!それにシャーレの先生まで!お蔭で私はお尋ね者だ!!このままで、こんなところで終わるものか…!!」
「──お困りのようですね。私が、あなたの望む力を授けましょう」
「!?誰だ!何者だ!貴様は!」
「私のことは…そうですね、《ルナシー》とでも呼んでください」
パワーローダーくんを倒せてひと段落…
かと思いきや、色々とフラグが乱立していますね
はてさて、どうなることでしょう…