ブルーアーカイブ/灰の翼   作:空素(鴉ノ刃)

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あらすじ

パワーローダーくん必死の反撃
対策委員会ピンチ!?

パワーローダーくん、一応、登場が60Lv帯なので、強敵の部類ではあると思うんですよ…


EP-25 反転攻勢の逆襲

火柱の隙間を駆け抜ける。

 

その中で、私の中に迷いが生じる。

 

このままパワーローダーを攻撃するべきか、それとも、爆撃に巻き込まれた対策委員会のフォローに回るべきか。

 

このまま攻撃すれば、パワーローダーを負荷限界に陥らせ、動きを止め、大ダメージを与えるチャンスが生まれる。

だが、私一人では、装甲の厚いパワーローダーを削り切るには火力が乏しい。

 

逆に、対策委員会のフォローに回れば、あと少しでパワーローダーに限界を迎えさせられる負荷が回復してしまう。

 

炎に挟まれた中での、ほんの僅かな逡巡。

 

その直後、インカムから声が届く。

 

『[“イヴ!みんなを信じて!!”]』

 

先生の声。

具体的な内容が一切含まれない、曖昧過ぎる言葉。

 

だが、その言葉が耳に届いた私は決心する。

 

地面を蹴り、真っ直ぐパワーローダーへと突進する。

ミサイルを発射したばかりのパワーローダーの胴体部目掛け、直前で地面を踏み締め上空へと舞い上がるような蹴り──いわゆるサマーソルトを叩き込む。

 

繊細な体重移動によって突進の勢いを乗せたサマーソルトは、パワーローダーを僅かに浮き上がらせる。

 

そして、そのままパワーローダーは負荷限界を迎え、地面に膝を突く。

衝撃の蓄積による負荷限界──《スタッガー》。

それが、パワーローダーの動きを止め、隙を晒させる。

 

「今だ!みんな!」

 

私が叫んだのとほぼ同時に、パワーローダーの左右、後方から銃弾が襲い掛かる。

 

『うへぇ〜ミサイルを撃ってきた時はどうなる事かと思ったけど、ギリギリどうにかなって良かったよ〜』

 

煤と砂に塗れたホシノが、パワーローダーへと接敵し、SGを連射する。

 

『はい!ホシノ先輩が守ってくれたお蔭でどうにかなりましたぁ!』

 

同じように煤と砂を被ったノノミが、MGの掃射を叩き込む。

パワーローダーの向かって右側の装甲が深々と削られて行く。

 

『シロコ先輩が引っ張ってくれたお蔭でこっちは無事よ!!』

 

左側から、煤に汚れたセリカがパワーローダーを狙い撃つ。

 

『ん、イヴの攻撃に比べれば全然遅い』

 

余裕の表情ながらも、その頬は黒く汚れているシロコが手榴弾と共にARを斉射する。

パワーローダーの左側及び背面の装甲が傷付き、歪む。

 

更にそこへ、私も畳み掛ける。

 

左手のSRで銃弾を撃ち込み、反動で後ろに下がったところで、地面を蹴って突進で肉薄し、蹴りを叩き込む。

矢継ぎ早にヘイローが輝き、右手のARが光芒を纏う。

至近距離から、パワーローダーの正面装甲に銃身が焼け付く程の弾丸を食らわせる。

威力を増した銃弾が正面の装甲を傷付け、歪めていく。

 

私たちの猛攻により、パワーローダーは全身がボロボロではあるが、未だに動く。

 

『コイツ、どんだけタフなのよっ!?』

 

『うへぇ〜、あれだけ攻撃してまだ動くのぉ〜?』

 

セリカは驚愕し、ホシノは引き攣った笑みを浮かべている。

 

その一方で。

 

『なんのっ!まだまだ動くと言うなら、動かなくなるまで攻撃するだけですっ!!』

 

『ん、寧ろ、このくらい強くなきゃ張り合いがない』

 

やる気に満ち溢れているのはノノミとシロコ。

 

『やれやれ、若い子たちには、おじさん付いていけないよ〜』

 

『気持ちは分かるけどホシノ先輩だって対して歳変わらないでしょ…』

 

まだまだ元気な二人に、呆れた様子のホシノとセリカ。

 

『皆さん!今から物資をお届けしますっ!順に受け取ってくださいっ!』

 

アヤネがサポートを開始する。

 

『イヴ、渡したいものがある。途中で合流したい』

 

「?了解、そちらに向かう」

 

シロコが渡したいもの…。

何だろう?

 

シロコの元へ向かう途中、インカムから先生の声が聞こえる。

 

『[“イヴ、君がパワーローダーに引き起こした現象は、もしかしてあのロボットの姿勢制御を銃撃や爆撃の衝撃で狂わせたのかな?”]』

 

流石は先生。

一回目にしただけで理解してくれるとは。

 

「うん。大体その認識で問題ない」

 

『[“そうか。それなら、うん。行けるね”]』

 

何か作戦を思い付いたようだ。

 

パワーローダーはミサイルも使ったばかりであり、ガトリングもまだオーバーヒートで使えないのか、遠距離攻撃をして来ない。

 

ついでに、ホシノが気を引いてくれていた。

パワーローダーはホシノを踏み付けたり、腕で殴ろうとするが、小柄な上に意外とすばしっこいホシノを捉えられない。

 

アヤネの補給を受け取ったシロコとアヤネの元へ、滑空突進で一気に近付く。

 

「シロコ、さっき言ってた渡したいモノって?」

 

そう言うと、シロコは背中に背負った銃を渡してくれた。

 

「これ。PMCの基地の地下倉庫にあったやつ。私を助けてくれた時にイヴの銃、壊れちゃったでしょ?そのお返し」

 

アビドス高校での便利屋68迎撃時の事だ。

私はシロコの絶体絶命の状況を打開するべく、陸八魔の狙撃を散弾銃の銃床で受け、その結果、銃は無惨に爆散した。

 

「…ありがとう、シロコ」

 

私は左手のSRを背中に納め、シロコから貰い受けた新たな銃を左手に持つ。

 

「あんた達、準備は良い?来るわよっ!」

 

セリカの声に反応し、パワーローダーへと視線を向ければ、冷却が終わったであろうガトリングを構える姿が映った。

 

私は咄嗟に右手のARを後方へと放り投げ、コートの内側からアヤネが届けてくれた手榴弾を取り出し、ピンを抜いてパワーローダーのガトリングの右手へと放る。

爆炎がガトリングの右腕を包むが、尚も怯まず、パワーローダーは私へと弾丸を斉射する。

 

私はそれを後方宙返りで一旦躱し、弾幕の薄い後方へと逃れる。

 

着地したところに、尚も銃弾は届くが、それを“鴉の眼”で見切って掠り傷で済ませつつ、先程放ったARをキャッチする。

 

『相変わらず曲芸じみたことをするわね、アンタ…』

 

『ん、さすがは私の戦友、イヴ』

 

『だからその戦友って何なの!?』

 

そんなやり取りをしながらも、対策委員会の面々は常にパワーローダーに銃撃を浴びせ続け、負荷を蓄積させ続ける。

 

『[“みんな!準備は良いかな!?作戦、と言うには、かなりごり押しだけど、思い付いた方法を伝えるね!”]』

 

状況が整ったところで、先生の策が伝えられる。

 

『[“パワーローダーは恐らく、二足歩行という高度な制御を中央の分厚い胴体部分の内部で行っているはず!”]』

『[“そこに衝撃を蓄積させて制御を崩したのが、さっきの大ダウンだ!”]』

『[“そこで、同じように衝撃を蓄積させ続ければ、またあの状態を引き起こせて、今度こそ倒せると思う!”]』

『[“でも、正面からは分厚い装甲に阻まれて、またさっきみたいに時間が掛かってしまう。そこで、次の作戦だよ!”]』

『[“ホシノ、ノノミ!二人はパワーローダーの脚部を中心に攻撃して欲しい!大ダウンに必要なのは衝撃による負荷の蓄積ではあるんだけど、脚への攻撃で制御システムへの負荷を増やす!”]』

『[“セリカとシロコの二人は、そのまま胴体部分に攻撃!装甲に対しては、二人の銃や手榴弾によるダメージは低いんだけど、内部への衝撃という意味では、かなり効果的だと思う!”]』

『[特に、背面!背中側は、前面に比べて装甲が薄いはず!そこが狙い目だよ!]』

 

なるほど。

要は、衝撃による負荷の蓄積に加えて、脚部へのダメージで直接的な転倒を狙うという事なのだろう。

転倒には至らずとも、姿勢制御を司ってるシステムには多大な負荷がかかる。

 

それならば、先程よりも早い段階で、負荷限界に出来ると考えたのだろう。

 

「作戦は把握した。それなら私は、それぞれの支援と、気を引く。もう二度とミサイルを撃たせないつもりで行こう」

 

ここからが私の踏ん張りどころだ。

 

パワーローダーの攻撃を躱しつつ、常に気を引き、それでいて周りのみんなが攻撃しやすいように立ち回らねばいけない。

 

──問題ない。

 

“真紅に波打つ円環(ヘイロー)”が輝き、“猟犬の耳”を立ち上がらせ、“鴉の眼”を見開く。

両手の銃が紅く煌めく光芒を纏う。

 

地面を踏み締め、力強く蹴り、滑空するように突進する。

その最中に、ARの掃射を浴びせる。

ARは先生の説明中にリロード済みだ。

 

私の銃撃を受け、パワーローダーが反応する。

私はその振り向いたところへ、勢いを乗せた蹴りを踵から叩き込んだ。

 

そして、セリカとシロコに対して、パワーローダーが背中を向けるようにステップ移動するが、私を振り払うように左右の腕を振り回す。

 

それを後ろに飛び退きつつ回避し、追撃に左手の銃を放つ。

それはショットガンであり、ばら撒かれた銃弾は、紅い光を帯びてパワーローダーの装甲を抉るように削った。

 

どうやらシロコが持ってきてくれたSGは貫通性能に優れるようだ。

良い仕事をしてくれる。

 

パワーローダーの背後で爆発が起きる。

どうやら、シロコの手榴弾のようだ。

 

更に、シロコとセリカのものと思われる銃撃がパワーローダーに叩き込まれる。

 

左右からはノノミのMGの斉射と、ホシノの連射がパワーローダーの脚部を揺るがす。

 

更にそこへ、私は右手の銃を腰に納めつつ、手榴弾を投擲する。

爆発する様子を見ながら、私は再び銃を手に取り、リロードする。

 

相変わらずパワーローダーの気を引くことには成功しているようで、パワーローダーが私に向かって大きく振り上げた両腕を叩き付けようとする。

腕の直撃を避けても、余波や振動で吹き飛ばされる可能性もある。

 

だが、私は敢えてギリギリまで引き付ける。

いつでも回避ができるように、両足を意識し、ギリギリのタイミングを見極める。

 

私の裡で、“歯車”が回る──。




思いの外、耐えるパワーローダーくん

これでも一応、当たれば痛い筈なんですよ…
当たれば…

もうちょっとだけ続くんじゃ
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