ブルーアーカイブ/灰の翼   作:空素(鴉ノ刃)

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カイザーPMC特殊部隊のイメージはLC/HC機体です
ちょっとエクドロモイも入ってるかも?

取り敢えずちょっと強めの兵士って感じですね


EP-21 謀略と罠

シロコが特殊部隊の襲撃を受けたのと同時刻。

 

ホシノとノノミは、オートマタを全滅させていた。

 

「おの…れ…」

 

最後のオートマタが、ノノミの通常銃撃を受けて倒れる。

 

「ふぅ〜、これでお終いですね☆」

 

マシンガンを下げ、額の汗を拭う。

 

「うへぇ〜、とんだ大仕事だったねぇ〜。おじさんもクタクタだよぉ〜」

 

そう言いながらも、ホシノはほとんど汗をかいていなかった。

 

『[“二人とも、お疲れ様!片付いたところに申し訳ないんだけど、実は──”]』

 

「うん、聞いてたよ。今はシロコちゃんが大変みたいだね」

 

シロコは戦闘に集中している為、会話には混ざれない。

 

「行きましょう!シロコちゃんを助けなくては!!」

 

ノノミも気合いを入れ直し、心を決める。

 

「それじゃあ先生、シロコちゃんのところに──」

 

そこまで言いかけて、ホシノの言葉が途切れる。

 

『ホシノ先輩?どうかしましたか?』

 

不審に思ったアヤネが問い掛ける。

 

「地面が揺れてる…これは──」

 

ホシノは足元から振動を感じていた。

 

「それに、この音はもしかして──」

 

幾つもの駆動音に、数えるのも億劫になるような足音。

それは、基地の中から聞こえて来る。

 

そして、基地を囲う障壁のゲートが開き、無数の戦車と、それと共に武装したオートマタが姿を現す。

その様は正しく、軍隊と呼ぶに相応しい規模だった。

 

***************************

 

一方、カイザーPMC特殊部隊の黒いオートマタと対峙するシロコ。

 

「貴様、アビドスの生徒だな?わざわざ捕まりに来るとはバカな奴らだ」

 

特殊部隊と言うだけあって、隙が少ない。

常に、一定の距離から、サブマシンガンによる銃撃でシロコを追い詰める。

こちらの攻撃も、壁やコンテナを遮蔽にして防がれる。

 

「ん、捕まえられるものなら捕まえてみるといい」

 

強い。

普通の兵士とは比べ物にならない練度に、シロコは舌を巻く。

 

「減らず口を…!」

 

だが、向こうの攻撃も、シロコには当たらない。

以前のシロコであれば、容易く撃破されていただろう。

 

だが、イヴとの戦闘経験が、シロコを大きく成長させていた。

 

シロコは、様子見から、攻撃へと移る。

遮蔽から飛び出し、床を踏み締め、蹴る。

 

地面スレスレを滑空するように駆け抜け、一気に距離を詰める。

黒のオートマタがSMGの射撃でシロコを狙う。

だが、シロコは僅かに身を捻って直撃を避け、掠り傷に留める。

 

「ッ!?」

 

ひと息に距離を詰められ、黒のオートマタから余裕が消え失せる。

 

シロコがそこへアサルトライフルの銃撃を浴びせる。

 

「くっ…おぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおッ!!」

 

黒のオートマタが、SMGを乱射する。

だが、それはシロコを捉え切れない。

 

更に畳み掛けるように蹴りを繰り出すが、シロコは敢えてギリギリまで引き付け、紙一重で躱す。

 

「バカな…特殊部隊の私に、付いてくる、だと…!?」

 

そして、脚が伸び切った黒のオートマタの腹部に銃口を突き付け、引き金を引く。

 

黒のオートマタは銃撃の衝撃で吹っ飛ぶ。

だが、装甲のお陰と言うべきか、それだけでは倒れない。

 

受け身を取り、素早く銃口を向ける。

 

だが、それは銃ごと蹴りで払い除けられ、鋭い蹴りが黒のオートマタを吹き飛ばし、壁に叩き付ける。

 

黒のオートマタは地面に座り込み、沈黙する。

 

シロコは銃を背負い、先へと進もうとする。

 

しかし──。

 

「報告を受けて応援に来てみたが…どうやらヤツはやられたようだな」

 

「ふん、アビドス生徒風情にやられるとは…恥知らずめ…」

 

そこに新たに二体の特殊部隊オートマタが姿を現した。

 

***************************

 

追加で現れたカイザーPMCの軍隊。

 

それがホシノとノノミの前面に展開する。

 

「ノノミちゃん!私の後ろに!」

 

ホシノが大盾を構え、ホシノを庇う。

 

そして、カイザーの軍隊はすぐには攻撃して来ず、代わりに他のオートマタとは違い、体格の良いロボットが姿を現す。

 

「これはこれは、アビドス廃校対策委員会の皆様、ごきげんよう。こんな僻地に何用かな?」

 

わざととぼけているだろう様子のロボットに、ホシノは内心で苛立つ。

 

「ここにセリカちゃん…ウチの大事な後輩が居るのは分かってる。返してくれない?」

 

「そちらの生徒さんですか?はてさて、何のことやら。さっぱり分かりませんな」

 

困ったようにロボットは肩を竦める。

分かりやすい程の芝居、煽りだ。

 

「ッ!!とぼけないでください!あなた達がセリカちゃんを誘拐したんでしょう!?」

 

ロボットの態度に、ついに我慢の限界が訪れたノノミが声を荒げる。

 

「ノノミちゃん、落ち着いて」

 

「ですが!!」

 

「大丈夫だから」

 

前に出ようとするノノミを制止させ、宥める。

 

「困りましたねぇ。襲撃に、多くの従業員が負傷、その上、誘拐、監禁の冤罪とは…良いのですか?あなた方の学校の借金は、我々カイザーが担当しているのですよ?この度の暴挙の賠償として、借金の利子を引き上げることも私には容易いのです」

 

分かりやすい、弱みを握ったことでの揺さぶり。

 

「…脅しのつもり?」

 

努めて冷静に、落ち着いて訊ねる。

 

「脅しなんてとんでもない。事実です。ですが、そうですねぇ…ここで皆さん、大人しく捕まって下さるのでしたら、利子の引き上げは無しとしても良いです」

 

「…」

 

「さぁ、どうします?ここで大人しく捕まるか、それとも、暴利同然の借金返済に苦しむか…選ばせてあげましょう!!」

 

「ホントに…捕まったら、今回のことを許してくれるの?」

 

「ええ、もちろんです。ですからさぁ、お二人とも、こちらに──」

 

「だったら、──答えはNOだよ」

 

「何…!?」

 

その直後、ホシノから見て左方向から激しい音が響き渡る。

 

「何事だ!?」

 

「て、敵襲です!」

 

「バカな!?小鳥遊ホシノ以外にアビドスに危険な生徒など──」

 

音が聞こえた方向には、大きく装甲ごと車体がひしゃげ、黒煙を上げる戦車の姿があった。

周囲の兵士が戦車から離れ、銃を構える。

 

黒煙を上げる戦車の上に、襲撃者が姿を現す。

 

漆黒のコートに身を包み、白髪を靡かせる姿。

 

「イヴちゃん!」

 

「うへ〜、ナイスタイミングだね〜イヴちゃん」

 

「ごめん、先生のところに行って状況を聞いてたら遅れた」

 

カイザーの軍団と対峙してから、ヤケに先生が大人しいと思ったら、そんな事情があったのか、とホシノは納得する。

 

イヴの顔には、対策委員会のメンバーが付けているものと同じ、インカムがあった。

 

「ここからは私も加わる」

 

宣言し、イヴ──レイヴンは銃を構えた。

 

****************************

 

便利屋の元を立ち去った私は、全速力で砂漠を駆け抜けた。

 

目的地であるカイザーPMCの場所は、事前に先生からのモモトークで受けていた。

 

その方角へと、アサルトブーストよろしく、地面を蹴って滑空しながら近付き、先ずは先生の元に行き、先行する対策委員会の現状を聞く。

 

その時に、また状況説明の為に来てもらうのは忍びないからとインカムを受け取り、現地で状況を確認した後、カイザー軍団に突っ込んだ、と言った風な経緯だ。

 

「貴様…何者だ!?」

 

カイザー軍団のトップと思われるロボットが私の正体を聞き出そうとする。

 

「私はただの傭兵、レイヴン」

 

わざわざ連邦生徒会所属である事やシャーレ専属であることは明かす必要はないと考え、簡潔に答える。

 

「傭兵だと!?そうか、貴様が便利屋を足止めして、こやつらを逃したのか!!」

 

「…それ、便利屋68の襲撃が自分達の仕業であるって暴露してるけど大丈夫?」

 

ホシノが的確に突っ込む。

 

「はっ!今更、貴様らに知られたところで痛くも痒くも無い!そうだとも!アビドスへの二度に渡る襲撃も、生徒の誘拐も、この《カイザーPMC理事》の私が画策したものだ!!そして、それを知ったところで貴様らは何も出来ない!貴様らアビドス対策委員会は、ここで終わりだ!!」

 

カイザーPMC理事が手を前に伸ばす。

 

それに合わせ、軍隊が銃を構える。

 

「うへ〜、ついに正体現しちゃったよ〜」

 

気の抜けた声を上げながらも、ホシノは大盾とSGを構える。

 

その後ろでは、ノノミもMGを手に、様子を窺っている。

 

「ホシノ、私が突っ込んで連中を混乱させる。ノノミと一緒にあぶれた奴から叩いてくれ。先生、二人を導いてあげて」

 

インカムから自身の方針を簡潔に伝える。

 

「うへ〜、相変わらず無茶するなぁ、イヴちゃんは〜」

 

「任せてください、イヴちゃん!先生、よろしくお願いします!」

 

[“わかった!イヴ、くれぐれも無茶はしないで!”]

 

それを聞き届けた私は戦車の上から動き出す。

 

ついに動き出した私に、オートマタが銃撃を仕掛けるが、戦車から戦車へと飛び乗り、躱す。

 

さて、これほどの大勢の敵を相手にするのは、ルビコンでの《レッドガン部隊迎撃》以来か。

 

便利屋相手には不完全燃焼だった。

 

お前たちは私を満たし切れるか?

 

犬耳がピンと立ち、普段はジト目の双眸を見開く。

 

聴覚、嗅覚、視覚、触覚、あらゆる感覚が鋭く研ぎ澄まされていく。

 

ヘイローが眩く輝き、その赤い光の粒子が右手のARに纏わり付く。

 

機械仕掛けの猟犬と、赤眼の大鴉が、私の傍に寄り添う。

 

私の中の錆び付いた歯車が、錆を削り落としながら回る。

 

──さぁ、行こうか。




ついにイヴが合流

そして、便利屋の時には肩透かしを食らったレイヴンが、ついにカイザーの軍隊を前に、“今の”本気を出します

はい、まだまだレイヴンの歯車は錆び付いたままです

これはその錆落としです
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