ブルーアーカイブ/灰の翼   作:空素(鴉ノ刃)

19 / 160
レイヴンVS便利屋68の戦いが…始まる…!!

レイヴンの異質な強さをしっかり描けているでしょうか?
心配だ…
少しでも感じ取って頂けたなら…素敵だ…

ブリートゥは特に関係ありません


EP-18 無双の猟犬

シロコを銃弾から守る為に使った散弾銃は使えなくなった。

 

だが、この身で受ける訳にもいかず、そして、その判断は正しかった。

銃撃だけに留まらず、炸裂する爆発までまともに受ければ、幾ら頑丈なキヴォトス人の肉体であったとしても、大ダメージだっただろう。

 

必要な犠牲として割り切る。

だが、これで攻撃手段が一つ、無くなってしまった。

何処かで武器を調達する必要があるだろう。

 

さて、そろそろ現実と向き合おう。

 

 

 

 

 

 

 

ラスティの真似をして颯爽と登場したは良いものの、だんだんと恥ずかしくなって来た。

やっぱりこれは、ラスティが言うからカッコイイのであって、私には似合わない。

 

そもそも戦友って…シロコとはまだ一緒に戦ってないのに、いきなり戦友呼ばわりは違うだろう。

シロコだって困惑──。

 

しているだろうと思い、振り向いた先で、シロコは目を輝かせていた。

 

あれ…?

 

「戦、友…?」

 

シロコが私の戯言を反芻する。

 

「あ、その、ごめん…今のは──」

 

慌てて取り消そうと言い訳を言おうと必死に頭を回転させる。

 

「ん、私はイヴの戦友…!」

 

だが、シロコは嬉しそうに、私の言葉を受け入れてくれた。

まあ、シロコが良いなら、それで良いか。

 

ひと段落つき、私はもう一つの現実へと目を向ける。

 

アビドスと敵対する襲撃者。

既に襲撃者についての情報は、先生がここに来るまでに特定していた。

 

便利屋68、並びに、フリーの傭兵集団。

便利屋68は、《ゲヘナ学園》所属となっている生徒なのだそうだが、それ以上は傭兵業に近しい荒事も引き受ける何でも屋だという事しか分かっていない。

 

これ以上の事は、実際に戦って探っていくしかない。

 

「…あなたは誰かしら?アビドス関係者?」

 

便利屋のリーダー、陸八魔アルが怪訝に質問を投げかける。

 

「私はシャーレ直属特務戦闘員 レイヴン。アビドスの依頼を受け、助力に来た」

 

私の自己紹介を受け、陸八魔の表情が険しくなる。

 

「…そう。でも、あなた一人が出て来たところで、大勢は変わらないわ。痛い目を見たくなければ、離れて見ていることね」

 

確かに、現状を見れば、後ろのシロコは満身創痍、少し離れたところにいるホシノとノノミも爆発にでも巻き込まれたのか煤に汚れ、前線で戦えるのは私一人だけだ。

 

一方、向こうは何人かの傭兵が地面に転がっているが、まだまだ部隊と呼べる程の人数は残っており、また便利屋68も健在だ。

 

その状況を鑑みて、冷静に結論を出す。

 

「──私一人でこの場にいる全員を撃破する程度のことは出来る」

 

そう言い切り、向こうが何か言うより先に、後ろのシロコに小声で伝える。

 

「裏に先生が待ってる。他の三人と一緒にセリカ回収に行って。場所は先生が特定してる」

 

ここまでの道中、先生が運転する自動車の中で、先生は何らかのタブレット端末に音声認識でセリカの居場所を導き出した。

 

「でも、それじゃイヴが…」

 

立ち上がりながらも、シロコが私の身を案じる。

私はシロコを安心させる為に、笑みを浮かべる。

 

「大丈夫。私の強さはシロコが良く知ってるでしょ?ここは任せて先に行って。セリカを助けてあげて、戦友」

 

私がそう言うと、シロコは耳をピンと跳ね上げる。

 

「…分かった…!ここはお願い!戦友!」

 

そう言うとシロコは銃を手に、学校の裏手へと向かう。

私はホシノにも目配せをし、他二人と共に着いていくように促す。

 

「わわっ!逃げられちゃうよ!?アルちゃん!」

 

ホシノとノノミがシロコの後を追い、途中でアヤネも合流し、学校の裏手へと向かう。

 

「ッ!逃がすもんですか!傭兵部隊──」

 

傭兵部隊に銃撃で妨害させようという魂胆なのだろう。

 

させるものか。

 

私は大胆不敵に、敵陣のど真ん中へと突っ込む。

 

地面を蹴り、アサルトブーストの如く、滑空し、唯一の武器であるARを斉射する。

 

傭兵が銃撃するよりも早く沈黙させ、私は敵陣のど真ん中に飛び込む。

 

「な、何だコイツは!?」

 

「自分から突っ込んで来るなんて正気じゃない!」

 

「とんでもなく速いし強い!化け物か!?」

 

敵陣は半ば混乱状態。

特に、雇われ傭兵は顕著だ。

 

良い調子だ。

このまま確実に数を減らす。

 

近場の傭兵の一人に蹴りを見舞う。

 

蹴られた傭兵は、まるでACに蹴られたMTのように吹っ飛んでいった。

 

「ッ!相手は一人よ!包囲して、畳み掛けなさい!」

 

陸八魔が指示を飛ばし、言われた通りに傭兵が動き出す。

 

だが遅い。

 

ステップで距離を詰め、蹴りを叩き込む。

 

二人目が撃沈する。

 

やはり、傭兵は数は多いがそれほど耐久力は高くない。

 

そうなると問題は──便利屋の連中。

 

傭兵連中に紛れ、伊草が距離を詰めて来る。

 

それだけじゃない。

 

少し離れたところから、鬼方がこちらの背後を取るように動いているのが見える。

 

浅黄も十分に距離を取り、いつでも銃撃できる立ち位置だ。

 

そして、陸八魔もまた、こちらから距離を取り、狙撃のタイミングを窺っている。

 

少しでも隙を晒せば、先程、私の銃をオシャカにしてくれた銃撃が飛んで来るだろう。

 

そうなれば、伊草のSG、鬼方と浅黄の銃撃で動きを止められ、陸八魔の狙撃で仕留められる。

完璧な布陣と言って良い。

 

かなりの修羅場を乗り越えて来たのだろう。

個々人の練度の高さも然る事ながら、連携力も高い。

 

なるほど。

 

これならば、相手にとって不足は無い。

私の中の、錆び付いた“歯車”を回しても良いかもしれない。

戦う為ではない。

 

かつて、ルビコンで鍛え上げた、“殺し”の歯車を。

 

動き出す。

 

私の中で、眠りについていた猟犬が目を覚まし、立ち上がる。

 

それは、多くの者に死を齎す機械仕掛けの猟犬。

 

“死の猟犬”が、獲物を求め、牙を剥く──。

 

****************************

 

陸八魔アルは、この時、勝利を確信、とまではいかなくとも、自身が優勢であると思っていた。

 

相手は他勢に無勢。

 

それなりに戦えるようだが、このまま圧殺するように無力化できるハズだと。

 

とにかく今は、この場を鎮め、早くアビドスの連中を追わなければいけないと。

 

だが、アルは気付いていなかった。

 

自身が追い詰めていたのが何なのか。

 

角のある羊程度に認識している相手が、数々の獲物を屠り、食らって来た猟犬だとは思いもしていなかった。

 

だからこそ、“猟犬”が目覚めた瞬間、アルは動揺してしまった。

 

驚きと恐怖を隠せなかった。

 

****************************

 

距離を詰め、SGの銃口を突き付けてきた伊草の銃の銃身を踏み付ける。

 

伊草は驚愕と動揺と共に、前のめりにバランスを崩す。

その側頭部にARの銃口を突き付け、引き金を引く。

 

伊草の小柄な体が横方向に吹っ飛ぶ。

 

それは、この場にいる他の人間からは、一瞬の出来事だっただろう。

傭兵たちも、鬼方も、浅黄も、そして遠くの陸八魔も、呆然としている。

 

時間にして一秒にも満たない硬直。

だが、私にとってはその時間で十分だった。

 

近くの傭兵の手元から銃を奪い、用済みの傭兵を蹴り飛ばす。

 

奪った銃は、サブマシンガンだった。

それを円を描くように掃射し、周囲の傭兵を薙ぎ倒す。

 

残る傭兵は六人。

 

硬直から解けたであろう、鬼方が私へと銃弾を放つ。

 

それを“鴉の眼”で弾道を見極め、首を傾げて躱す。

 

だが、鬼方へと視線を戻した瞬間、私は脳を直接殴られたような衝撃を受け、動きが止まる。

 

「動きが止まった!今だ!」

 

周囲で銃が構えられる音を“猟犬の耳”が捉える。

 

それだけではない。

 

「うわぁぁぁぁああああああああああああ!!!」

 

先程、側頭部を撃って吹っ飛ばした伊草が、背後から錯乱したように突っ込んで来る。

 

どうやら、かなり頑丈らしい。

 

「死んでください死んでください死んでください死んでください!!!」

 

硬直するSGが乱射される。

 

「ッ!!」

 

私は傭兵のSMGを盾代わりにして、伊草の散弾を受ける。

完全に無傷とは行かず、コートの上から掠り傷が増えて行く。

その上、傭兵のSMGが破壊される。

 

私のではないので別に問題は無いが、不憫に思える。

 

そして、伊草の攻撃はやり過ごしたが、続けて周囲の銃口から火が噴く。

 

だが、こちらはそれほど脅威では無い。

 

SGと違って範囲が狭い、SMGやARばかりだ。

 

狙いは私の上半身より上である為、体勢を低くすれば躱せる。

 

銃撃が止み、私は起き上がる。

 

そして──。

 

「くふっ…ふふふふ…ふははハハハ…アッハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」

 

私は耐え切れず、笑い出してしまった。

強化人間でない、しっかりとした機能を持つ肉体になったからか、笑うことができるようになった。

戦いの中で、昂った感情に歯止めが効かず、それが笑いとなって噴き出した。

 

「どうして…なんで笑っていられるんだ…?この状況で…?」

 

傭兵も便利屋も、突然笑い出した私を前に、あり得ないものを見るような視線を向けていた。

気分が昂ったのだから仕方ない。

それに──。

 

「ごめんなさい。気分が昂ってしまって。でも、敢えて言うなら、こんな状況だからこそ。追い詰められたからこそ、笑うんだ」

 

それを聞いた傭兵たちは、全員、得体の知れない恐ろしいものを見るかのように顔を引き攣らせる。

 

「わ、私はこの依頼を降りる!報酬も要らない!!」

 

一人の傭兵が宣言し、逃げ出す。

 

「えっ!?はぁッ!?」

 

遠くの陸八魔が困惑の声を上げる。

 

「こんなバケモノが居るなんて聞いてない!!」

 

続けて、二人、三人と抜けて行く。

 

「なっ、ちょっ、待ちなさい!あんた達!!」

 

陸八魔が引き留めるが聞く耳を持つ者は現れず。

 

「受けるんじゃなかった!こんな依頼!!」

 

雇われ傭兵たちは蜘蛛の子を散らすように、逃げていった。

 

まあ、シロコ達を追わないのであれば、これ以上追いかける必要もないだろう。

 

「そ、そんなぁ…」

 

陸八魔はその場にヘナヘナと座り込むのだった。

 




雇った傭兵の皆さんも逃げ出し、これからのアルちゃんの運命や如何に!?

傭兵の皆さん、ご愁傷様です。

アルちゃんに雇われたばっかりに…
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。