ポンコツカヤちゃん
セリカ行方不明
果たしてアビドスは、セリカは、どうなるんだ!?
セリカが行方不明。
その連絡を私はシロコから受けた。
先生にはアヤネから朝早くに連絡したらしい。
[“私はセリカを助けに行く。イヴはどうする?”]
先生はいつにも増して、覚悟が決まった表情だ。
だが、私の腹積りはもう決まっている。
『イヴ、セリカが昨日の夜から行方不明なんだ。何か知らない?』
『ごめん、私は何も』
『そっか。じゃあ、私からイヴにお願いがある』
『私たちはセリカを助けたい。だから、私たちを圧倒したその力、今度は私たちを助ける為に貸して欲しい』
以上のやり取りをモモトークで経て、私は答えを出す。
「私も行くよ、先生」
簡潔に、返事を返す。
[“…!イヴ、ありがとう!!”]
「早く行こう。救助依頼は、時間との勝負だ」
このヒリ付くような感覚。
久し振りだ。
このキヴォトスに来てから、新しい肉体となり、また、ここでの戦いは命のやり取りと言う意味では薄い。
アビドス制圧の為の襲撃の際も、無力化を視野に入れたものだった。
だが、今回は恐らく、セリカの身が危ない。
セリカの命に関わる問題だろう。
その根拠は、私の後ろに久々に姿を見せている大ガラスだ。
私に戦いの中での死を望み、殺戮を求める“災厄の翼”。
こいつは何処か嬉しそうに、楽しそうに、私の周囲を舞っている。
そして、下手をすると、セリカの危機には、何者かの企み、謀略が絡んでいる。
その連中は恐らく、手段を選ばない。
平然と、容赦なく、手札を切ってくるだろう。
そうなれば、命を掛けた戦いとなるだろう。
このキヴォトスでの安寧の数日で、少しだけ錆び付いた歯車を回す時が来るかもしれない。
そうなれば、私は再び、牙を剥くことになるだろう。
かつて、ルビコンで数多の敵を屠った“死の猟犬”として。
その後、アビドスへの道中にて、最悪の現状に追い討ちを掛けるように、対策委員会が再び襲撃を受けているとの報せが届くのだった。
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アビドス生徒会は、校門前で、ある集団と向かい合っていた。
「“昨日振り”ね、アビドスの皆さん?」
その集団は、多くの傭兵を付き従えた便利屋68だった。
アルは若干、笑みを引き攣らせながらも、あくまで余裕と言った表情を浮かべている。
「どうして…!?昨日、一緒に楽しくお喋りしたのに…!?」
アヤネが納得いかないという風に悔しそうな表情を浮かべる。
イヴは知らされていなかったが、実は昨日のモモトークのやり取りの裏で、先生と対策委員会は、彼女たちと顔を合わせていた。
適当な雑談を交わして意気投合し、その場は別れたが、まさか、その翌日に、こうして弱り目に祟り目を見せられるとは思いもしなかっただろう。
「あっはは♪その節はどーも♪でも、それはそれ、これはこれ♪」
銀髪サイドテールの少女──ムツキが一歩前に出て銃を構える。
「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!恩知らずでごめんなさいっ!!」
その後ろでは、黒髪の少女──ハルカが慌てふためいている。
「…ま、こっちも仕事だからさ。でも、昨日のよしみもあるし、抵抗せず大人しく捕まってくれれば悪いようにはしないよ」
黒が交ざった白髪ポニーテールの少女──カヨコも同じく、臨戦体勢を取る。
「…こんな時に…!!」
ノノミが小さく言葉を漏らす。
「どうやら、戦わなきゃいけないみたいだね…」
ホシノは大盾と散弾銃を手に、前に出る。
「…本当に、戦わないといけないの…?」
シロコは、昨日打ち解けたアルへと、切なげな視線を向ける。
その瞬間、アルの脳裏には、昨日の何気ない雑談の様子、打ち解けた会話の内容が溢れる。
アルは一瞬戸惑い、怯むが、記憶を振り払い、勢いで誤魔化す。
「私たちは便利屋68!!金さえ貰えば何でもする!アウトローな何でも屋よ!昨日の友は今日の敵!仕事の為なら、お金の為なら、私はあなた達にでも銃を向ける事を躊躇わないッ!!」
片手で持った狙撃銃の銃口をシロコへと向ける。
「さぁ!あなた達を討たせてもらうわ!アビドス対策委員会!!」
そのまま、シロコへと向けた銃の引き金を引く。
放たれた銃弾を躱したシロコは、銃を抱え、低い姿勢で地面を踏みしめる。
「そう…なら、私たちも全力であなた達を潰す!!」
シロコは目を見開き、地面を蹴って、弾かれたようにアルへと突進する。
イヴとの戦闘で身に付けた滑空するような突進で、ひと息に距離を詰める。
だが、そこにハルカが割り込む。
「ッ!!」
ハルカは先程の錯乱っぷりは何処へやら。
その目は座り、虚ろな瞳は危うさを感じさせる。
その手のSGの銃口は、躊躇いなくシロコへと向けられ、容赦なく、引き金を引く。
「させないよ」
静かに、ホシノが大盾を携えてシロコを庇い、ハルカの散弾を大盾で受ける。
ハルカが打った直後、その手のSGを大盾で弾き上げ、ガラ空きになった腹部に銃口を突き付ける。
「あっはは♪ハルカちゃんにばっかりかまけてて良いのかなぁ〜?」
ホシノが銃の引き金を引くより先に、ムツキが無数の地雷をばら撒く。
だが、地雷なら踏まない限りは──。
「踏まなきゃ大丈夫って思ったでしょ?で・も♪私の地雷は特別製でぇ〜近くに居る人を感知して爆発するんだぁ♪」
ハッタリ──。
そうに違いない。
そう思う反面、その通りである可能性も捨てきれない。
ホシノは銃を引き、大盾を翳す。
「シロコちゃん!私の陰に!」
その直後、ムツキが放った地雷がホシノの周辺の地面に落ち、爆炎を上げる。
あのまま攻撃していれば、自分諸共、シロコも爆発に巻き込まれていた。
「ハルカ、前に出過ぎ。傭兵も居るんだから、あんまり前に出ないで」
ムツキの爆撃に巻き込まれないように、カヨコがハルカの襟元を掴み、引っ張っていた。
「ごっ、ごめんなさい!」
ハルカがムツキとカヨコに頭を下げる中、アルが傭兵へと指示を出す。
「さぁ!私の雇った傭兵たち!アビドスに一斉射撃よ!!」
「へーへー、まあ、貰う給料の分は働きますよっと」
傭兵軍団が前に出て、一斉に銃を構える。
「させませんよぉ〜!!」
だが、それより早く、ノノミがマシンガンを掃射する。
数人の傭兵が巻き込まれ、倒れる。
だが、多くの傭兵は遮蔽を使い、難を逃れる。
「…あの子、ちょっと厄介だね。下手すると社長が財産を賭けて折角雇った傭兵が一気に倒されかねない」
それを眺めていたカヨコが、ノノミの掃射が終わったタイミングで飛び出し、その手のHGの銃口を向ける。
引き金が引かれ、銃弾が発射され、ノノミに迫る。
「わぁッ!?」
ノノミの頬を銃弾が掠める。
回避成功──に思われたが。
「!?」
ノノミは、カヨコと目が合っていた。
「ッ!!」
カヨコの瞳が妖しく光り、体も動かなければ、声も出せない。
「先ずは一人」
冷静に、冷徹に、スコープを覗き込み、アルは硬直したノノミへと銃口を向け、引き金を引く。
「させないよっ!!」
だが、ノノミを守るようにホシノが割り込む。
アルの放った銃弾は、ホシノの大盾に弾かれる。
「あっはは!だったら纏めて吹っ飛ばしちゃえ♪」
すると、ムツキがカバンのようなものを取り出し、それを遠心力を乗せて投げる。
「!!ノノミちゃん!伏せてッ!!」
嫌な予感を感じ取ったホシノが叫ぶ。
その直後、盛大な火柱が連続で立ち昇った。
「ねーねー、アルちゃん、そう言えばさぁ、アビドスの子たち、一人足りなくない?黒猫ちゃん」
一仕事終えた風に、ムツキは緊張感の無い様子でアルに話し掛ける。
「そう言えば…確かにそうね…でも、何処かに潜んでいる感じもしないし…」
アルは違和感を覚えたが、今は目の前に集中することにする。
今は何より、依頼の達成こそが最優先事項だ。
「ッ!っく!!」
爆炎に包まれる二人を目にし、いても立ってもいられなくなったシロコが便利屋68へと突っ込む。
「傭兵部隊!発射!」
無数の弾丸が、雨のようにシロコへと殺到する。
シロコはそれを見極め、躱しながら突進する。
それでも、完全に躱し切れるはずも無く、頬を顔を体中を弾丸が掠める。
それでも尚、突っ込もうとするシロコ。
──その足元で、突然、電子音が鳴る。
シロコは爆発に吹き飛ばされる。
「あ、私の仕掛けた爆弾ですね。
爆風と銃弾から逃れるように転がり込んだ遮蔽物の先で、シロコは再び、電子音──爆弾の起動音を耳にする。
「あぅッ!?」
再び吹き飛ばされるシロコ。
「あいつだ!あいつを狙え!!」
傭兵部隊のリーダーらしき人物が、銃撃をシロコへと集中させる。
吹き飛ばされたシロコは受け身を取って転がり、どうにか立ち上がるが、銃弾が肩と膝を打ち、シロコは思わず膝を突く。
明確な隙ができ、シロコの視線の先には、片手で狙撃銃を向けるアルの姿があった。
「今度こそ終わり。チェックメイトよ」
アルの狙撃銃が火を噴き、弾丸が射出される。
それは、真っ直ぐシロコの額へと向かって行き──。
突如として現れた何者かがシロコを庇うように飛び出し、銃床で銃弾を受ける。
アルの狙撃を受けた銃床は大きく跳ね上がり、追加の爆発で砕け散った。
だが、その人物とシロコは、爆風には晒されたものの、爆炎の影響はほぼほぼ受けなかった。
シロコは目の前の背中を見詰める。
爆風で黒のロングコートの裾を激しく靡かせる人物。
白の長髪を揺らし、振り返ったその顔は、シロコが知っている人物だった。
「──待たせたな、戦友」
渡鳥イヴ。
かつては敵対し、だが、今では頼もしい味方となった傭兵が、そこには立っていた
泣きっ面に蜂、救助作戦中に予想外の襲撃
はい、そう言う訳で、セリカ救出イベントをどうしようか考えた結果、便利屋68の襲撃と重ねることにしました
でも、味方にレイヴンが居るんだし、問題ないよなぁ!
そして、レイヴンはレイヴンで、何やら強化フラグの気配が…
どうなる!?アルちゃん!?
\ナンデワタシダケェー⁉︎/