レイヴン改め渡鳥イヴ爆誕
今回は原作でも大人気のあの子達が登場します
ヘルメット団アジトへと帰って行く装甲車の団体。
戦車は全て大破し、メンバーはすし詰め状態で装甲車に乗っている。
その中で、リーダーは戦闘を進む装甲車の助手席で悠々としていた。
「そうですか…あの子は──レイちゃんはあそこに残りましたか」
リーダーは自身の相談役である団員に、事の顛末を伝えた。
団員は、納得したように穏やかな表情で運転を続ける。
「イヴ、な。文句は無いだろ?」
「えぇ。いつもやらかしているリーダーにしては、今回は良くやったと褒めてあげます」
「何様なんだよ!?」
「…あの子はまだ、この世界で普通の生活を享受できる。変えられない過去があるとしても、いえ、だからこそ、イヴはこのキヴォトスでやり直すことができる。リーダーの名付けも、彼女が過去の重荷を下ろす一助となった事でしょう」
リーダーが最初、イヴの名前を考えようと思ったのは、ほんの出来心からだった。
レイヴンという呼び名は、団員の中では、レイちゃんなどと呼ぶ者もいたが、コードネームのようで扱い辛いと感じたからだ。
最初は、彼女が喜んでくれれば良い程度の考えだった。
しかし、今回の仕事で、彼女が戦いの最中、先生に告白した過去の罪を聞いたリーダーは、そこ名前に、祈りを込めた。
彼女がこの地で、過去を清算し、新しい一歩を踏み出せるようにと。
「…でも、きっと、そのしがらみはイヴに着いて回る。イヴが背負う十字架は、あたし如きが理解できるような軽いものじゃないだろう」
だが、その道は決して生優しいものではないだろう。
彼女が往く道は、茨の道すらも生温い、一歩踏み外せば、二度と戻れない深淵へと落ちるような、ヒビ割れた隘路だ。
「それでも、あの子は過去から未来へと目を向けることができるようになったはずです。リーダーはリーダーなりに、あの子の救いになったはずです」
彼女の道を少しでも歩きやすく舗装してあげられたことを願う。
「…だと良いがな…」
「まあ、ちょっと寂しいですけどね…」
「きっと帰って来るさ…」
ひと段落つき、リーダーは車の外へと視線を向ける。
すっかり日が傾き、周囲は赤く染まっている。
ヘルメット団の装甲車の群れは、赤く染まった廃墟の街を進んで行く。
「…ん?」
隣の運転している団員が怪訝な声を漏らす。
「どうした?」
「いえ、ちょっと進行方向に人が…」
リーダーが視線を前に向ければ、荒野へと続くヒビ割れた道路の真ん中に、小柄な紫がかった黒髪の少女がまるで立ち塞がるように立っていた。
団員がクラクションを鳴らしてみるが、動く気配は無い。
「おいアンタ!危ねぇから端に除けてろ!」
窓を開け、リーダーが声を掛けると、その少女が驚いたように肩を跳ね上げる。
「あ、その、えと…あなた達がカタカタヘルメット団の皆さんですか?」
おずおずと自信なさげに、だが、完全にこちらの言葉を無視している。
少なくとも、一般人ではない。
それに、目立つ制服を身に付けていることから、何処かの学園の生徒である事が分かる。
少なくとも、アビドス高校の生徒でない事は明らかだ。
「その制服、《ゲヘナ学園》の者だな?あたしらがカタカタヘルメット団だとして、だったら何だ?」
先程とは違い、リーダーは低いドスの効いた声で返す。
「あ、やっぱりそうだったんですね!良かった。じゃあ、皆さんには──ここで死んでもらいます」
少女は嬉しそうに、無邪気な笑顔を浮かべる。
その直後、リーダーが乗ってる装甲車の後方で爆発が起きる。
「ッ!?こいつ、何処かの雇われかッ!?」
すぐに銃を手に取り、隣の団員へと指示を出す。
「ヤツを轢いてやれ!」
「分かりました!!」
運転手の団員がアクセルを踏む。
それと同時に、再度、爆発。
それはリーダーが乗っている装甲車を巻き込み、下からの衝撃は装甲車を突き上げ、転倒させる。
「くっそ…!おい、大丈夫か!?」
運転席側が下向きになり、リーダーは団員の上に被さる形になる。
「リーダー!行ってください!この相手にはリーダーの指揮が必要です!」
「ッ…ああ!!」
リーダーは銃を携え、頭上の扉を開き、転倒した装甲車から脱出する。
リーダーの目に飛び込んで来たのは、凄惨な光景だった。
他の装甲車も転倒、或いは完全にひっくり返り、黒煙と炎を巻き上げている。
その下敷きになり、伸びている団員の姿がある。
銃声が響き渡る。
その方向へと視線を向ければ、先程、装甲車の前に立ちはだかった少女が、応戦する団員たちを至近距離からショットガンの連射で纏めて吹き飛ばす姿があった。
「ッ!くそっ!おい!無事なやつはいるか!居るならこっちに──」
再度、銃声が轟く。
だが、先程の銃声とは違い、それは重く、深い。
聞こえた方向も、黒髪の少女からではない。
リーダーの背後。
そこには、夕日に照らされ、空に向かって銃を向けている気怠げな少女の姿があった。
黒髪の少女の仲間であろう、二人目の襲撃者。
黒のメッシュが交じった白髪であり、夕陽に照らされながらも、尚目立つ真紅の双眸が妖しく光り、リーダーを射抜く。
その瞬間、怒りに満ちていた肉体から嘘のように力が抜け、強張る。
血の気が引いたように怖気立ち、青ざめる。
白髪の少女に、身も凍るような恐怖を覚える。
「あっはは!そーれぇ!!」
まるで凍り付いてしまったかのように動かないリーダーの耳に、明るく弾む少女の声が届く。
三人目の襲撃者。
声に釣られ、辛うじて振り返った視界の端に、小柄な銀髪の少女が映る。
そして、その直後、今までの比ではない衝撃と火柱の爆発が起こり、装甲車ごとリーダーを吹き飛ばす。
「がぁッ!!」
リーダーは装甲車から投げ出され、地面を転がる。
だが、それと同時に、体の硬直が消えていることに気付く。
「クソッ!!やられっぱなしで堪るか──」
銃を手に、駆け出そうとした瞬間、何処からともなく、銃声と共に側頭部に衝撃が走る。
撃たれたと気付いた頃には、リーダーは地面に倒れていた。
その視界に、ヒールを履いた細く白い脚が映り込む。
それを追いかけるように、リーダーはぼやける視界で顔を上げる。
夕日に照らされ、背を向ける四人の姿が目に入る。
黒髪の少女、白髪の少女、銀髪の少女、そして、背の高い、赤髪を揺らす大人びた少女。
「テメェら一体…何モンだ…!?」
霞む視界の中、力を振り絞り、その背中を睨み付け、掠れた声を絞り出す。
リーダー格であろう、赤髪の少女が肩越しに顔を向ける。
「ふふ…そうね。冥土の土産に教えてあげる」
「──私たちは《便利屋
夕陽よりもより鮮やかな琥珀色の瞳が妖しく光る。
それを言い残し、赤髪の少女は上着を揺らし、仲間たちと共に歩き出す。
カタカタヘルメット団を襲撃し、瞬く間に壊滅させた少女たち──《便利屋68》が、立ち去って行く。
後には、壊滅状態のカタカタヘルメット団だけが残る。
装甲車は全て大破し、炎上し、そこら中に力尽きた団員が転がる。
リーダーは便利屋68の背中をずっと睨み続けていたが、やがて振り絞っていた力が底を突き、地面に顔を臥せる。
意識が遠退く中、悔しさと無力感が満ち満ちる。
ちくしょう。
何か変わったと思っていた。
イヴを救って、変われたと思っていた。
けど、それはただの思い込みだった。
そりゃそうか、あたしらも好き勝手して来たもんな。
今までのツケが、今になって返って来ただけか。
でもイヴ、もしお前がこの場に居たら──。
・・・いや、違うな。
お前が、この場に居なくて良かった。
あたしらの因縁に、巻き込まずに済んで良かった。
それを最後に、リーダーは意識を手放した。
太陽が沈み、夜の帳が降りる。
宵闇の中、燃える装甲車の炎だけが、煌々と輝いていた。
という訳で、便利屋68登場!
納得の登場シーンを描けて大満足です!
カリスマ溢れる描写にアルちゃんもきっとご満悦でしょう!
その為に、ヘルメット団の皆さんには犠牲になって貰いました。
こうしてキャラを立たせて愛着が湧いたヘルメット団がこうしてやられると、違う印象になりますね
許さんぞ陸八魔アル
\ナ、ナンデスッテー⁉︎/
因みに、ハルカちゃんの殺す発言はいつものやつで、別に本当に殺した訳ではありません
ご安心ください