戦力増強カタカタヘルメット団VS連携上方修正アビドス対策委員会
現状、アビドス優勢
両者睨み合いが続く中、突如として動き出したのは対策委員会。
四人の元に、突如、ドローンが現れる。
それは砂狼のものとは違い、爆撃はせず、それぞれに銃のマガジンを落下させる。
それを受け取ったのを合図に、四人が動き出す。
「うおぉぉぉおおおおおおおおおおおお!!」
小鳥遊が気を引くように声を上げ、真っ直ぐ正面から突っ込む。
身の丈を超えるような大盾を持っているにも関わらず、小鳥遊はそれを感じさせない速度で戦車部隊へと疾走する。
その左右に控えるように、或いは、小鳥遊を弾除けにして黒見と砂狼が追従する。
負けじと戦車部隊が砲撃するが、小鳥遊の防御は揺るがない。
それどころか、小鳥遊は大盾を構え、疾走した状態で砲弾を受けながらも、その合間の間隙を縫うように散弾をぶっ放す。
小鳥遊の散弾は貫通性能が高いのか、戦車の装甲を削って行く。
更に、その弾丸は数人の歩兵にも直撃し、その兵士は立ったまま気絶する。
そこへ黒見の狙撃、砂狼の手榴弾が追い討ちを掛ける。
爆発には耐性があるのか、手榴弾の爆発で戦車は大したダメージは見受けられないが、人はそうも言ってられない。
狙撃を受け、爆発に巻き込まれ、散々と言った様子だ。
距離も詰められ、近距離では砲撃も当たらない。
「ノノミちゃん!今だよっ!!」
小鳥遊の後ろに追随していた黒見と砂狼が散開し、小鳥遊はその場で大盾を体に被せるようにしゃがみ込む。
そうして三人の奥から姿を現したのは、ベージュの長髪にお団子結びのナイスボディの少女──十六夜ノノミ。
「お任せくださいっ!!」
先程は前に他三人が居たから見えなかったが、ホントだ。
ありゃデカい。
正面の戦車部隊へと、臆することなくマシンガンを掃射する。
雨のように襲い掛かる弾丸が、戦車の装甲を削り取って行く。
十六夜の掃射が終わった頃には、見るも無惨な戦車部隊があった。
大破まではしていないが、小破から中破程度にはダメージを追っている。
──だが、ここまでは既定路線だ。
正面の戦車がキャタピラを唸らせ、十六夜へと突進する。
「ッ!?」
「ノノミちゃん!!」
咄嗟に小鳥遊が横方向へと突き飛ばし、十六夜を轢くはずだった戦車を大盾で受ける。
だが、幾ら腕力があると言っても、戦車の質量を受け止められる程の力が出せるはずも無く、小鳥遊はそのまま地面を滑り、校舎の壁に叩き付けられる。
「「「「ホシノ先輩!!!」」」」」
後輩達の悲痛な叫びが響く。
だが、ヘルメット団は容赦無く畳み掛ける。
二台の戦車が左右に分かれ、後輩三人の逃げ場を遮る。
「ったく、随分と手間掛けさせてくれやがったなぁアビドスぅ〜。想定よりもボロッボロにしてくれやがってよぉ〜」
戦車のスピーカーからリーダーの声が響く。
リーダーはどれかの戦車に乗っているはずだ。
それにしても、まるで三下のような口調だ。
最後に、四台目の戦車が最後の逃げ道を塞ぎ、三人の生徒を完全に包囲する。
「だが、そう来なくちゃ面白くない!壁が高い程、それを乗り越える達成感はデカいからなぁ〜!?あ〜っひゃっひゃっひゃっひゃ〜!!」
この三下芝居はいつまで続くのだろうか。
戦車の間の隙間には、残っていた歩兵が銃を構えて待ち構える。
戦車の砲台が三人を向く。
「まあ、それもこれで終いだ。大人しく出て行くんだな」
頼りの先輩が落ち、更に敵に包囲されるという危機的状況に、生徒たちの顔が絶望に染まる。
──ただ、一人を除いて。
砂狼シロコ。
[“みんな!聴こえる!?”]
彼女らのインカムからノイズ混じりに声が聞こえる。
「「“先生”!?」」
十六夜と黒見が驚愕の声を上げる。
[“その状況を切り抜ける方法を思い付いた!私の指示に従って!”]
「ん、さすがは“先生”。頼りになる」
“先生”。
事前情報では生徒だけが所属している学校だったはずだ。
と言うか、このキヴォトスでは生徒が学校を取り仕切っているはず。
“先生”…一体何者だ…?
どうやら前線に出張って来るような感じはないが…。
インカムの声は“指示”と言っていた。
ならば、司令塔か?
「あぁ〜?“先生”だぁ〜?何を寝惚けた事を──」
その瞬間、校舎の壁を突き破っていた戦車が跳ね上がった。
一度、二度、三度、と跳ねた戦車は、立て続けに斉射を受け、爆発四散した。
あんな芸当ができる者など一人しかいない。
「げほっ、げほっ!いやぁ〜若くないんだから無茶するもんじゃないねぇ〜」
爆煙の中から現れたのは、煤に塗れてはいるが、ダメージを感じさせない様子の小鳥遊だった。
「この…バケモノがぁっ…!!」
戦車からリーダーの悔しそうな声が響く。
やられたように見せかけて戦車の真下に潜り込み、装甲に覆われていない真下から散弾を連射し、窮地から逃れたのだろう。
「「「ホシノ先輩!!!」」」
[“ホシノ!無事だったんだね!!”]
後輩三人が歓喜の声を上げる。
小鳥遊は後輩たちに優しく微笑みかけると、不敵な笑みを浮かべ、残る戦車に振り向いた。
「さぁ、反撃開始だよっ!!」
アビドスが動き出す。
「撃て!撃て撃て撃てぇ!!」
残った三台の戦車が一斉に砲撃する。
だが、小鳥遊が盾となって守り、後ろに爆炎も爆風も一切、通さない。
[“アヤネ!今だよ!”]
何処からともなくドローンが現れ、アビドスの前衛四人に何かを落とす。
それはゼリー飲料のようだ。
「ありがとう!」
「うん、これこれ〜」
すかさずそれを四人が素早く飲むと、活力が戻っているように見える。
「くそぉっ!!回復なんぞ…してんじゃねぇ!!歩兵部隊!一斉掃射ァ!!」
こちらの歩兵部隊も残り数少ない。
残る歩兵が一斉に射撃する。
だが、アビドスの周囲には校舎を突き破った時の瓦礫や戦車の装甲などの遮蔽が転がっている。
四人の内、黒見と砂狼は遮蔽で凌ぎ、十六夜を小鳥遊が守る。
銃撃は誰一人として有効打を与える事が出来ずに途切れる。
[“ホシノ!今だよ!!”]
「言われなくてもぉ!!みんな!私が耐えている内にやっちゃって!!」
小鳥遊が先程見せた、防御体勢全力突進散弾連射で戦車へと突っ込む。
「くそっ!砲撃ぃ!!」
残る三門の砲台が小鳥遊へと砲弾を撃ち込むが、その勢いを一切、削ぐ事も出来ず、逆に散弾によって装甲が削られて行く。
[“畳み掛けるよ!セリカ!シロコ!”]
「分かってるわよ!」
「ん、任せて」
その一方で、リーダーがホシノに気を取られている隙に、黒見の狙撃、砂狼のドローン爆撃が残っていた歩兵を蹴散らす。
「ッ!?あたしは…あたしはァ!!負けられないんだよぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおッ!!!」
魂の咆哮。
[“ノノミ!これでラスト!!”]
「はい!お任せ下さい☆お仕置きですよぉ〜!!」
十六夜のマシンガンによる掃射。
それが残っていた戦車をスクラップにして行く。
弾丸が止んだ頃には、黒煙を上らせ、爆散寸前の戦車だったモノだけが残った。
作戦、失敗だ。
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[“みんな、お疲れ様”]
「お、終わったの…?勝ったの?」
「皆さん!!ご無事で良かったです!!」
「アヤネちゃんもお疲れ様〜♧」
「あはは〜、おじさん久々に動き過ぎて疲れちゃった〜」
「ん、みんな無事で良かった。先生も、指示ありがとう」
[“私は大したことはしてないよ。みんなの力だよ”]
「そんなことない。先生の指揮が私たちを絶望から立ち上がらせてくれた。それは、先生の力」
[“そっか、ありがとう”]
「ん…!」
「…ッ…クソッ!」
「あ!あなたがカタカタヘルメット団のリーダーさんですね!?」
「あんた!よくもやってくれたわねぇ!!」
「ごめん…ごめん…ッ!あたし達だけで、勝ちたかったのに…クソッ!クソォッ!!」
「あれ〜?聞こえてないのかなぁ?」
[“確かに…。ちょっと様子が変だね。どうしたんだろう?”]
「何か彼らだけの事情があるんでしょうか?」
「…ん?」
「どうしたのシロコちゃん?おや?」
「…!ぁ…レイヴン!」
「リーダー、お疲れ様。ここからは私に任せて」
信じられるか?
この子、主人公なんだぜ…?
まるでラスボスのような登場シーンだなぁ…
さぁ、ここからは、621の仕事の時間だ。