ブルーアーカイブ/灰の翼   作:空素(鴉ノ刃)

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あらすじ

ポンコツ
即落ち2コマ


EP-7 決戦の前日、そして決意

着替えを含めて、衣服を貰った私はその後、夕食やシャワーを浴びながら、考えた。

 

考えに考え抜いた。

 

彼女は、リーダーが困っていたら助けてあげてと言った。

しかし、恐らくリーダーは私の前ではそんな姿は見せないだろう。

 

このままでは何も出来ずに、様々な恩も返せずに、彼女たちの元を去ることになる。

それでは、このままではいけない。

 

それに、今日も夢を見た。

 

昨日と同じように、例のカラスが現れ、またグチグチと嫌味を聞かされた。

ここまで何度も何度も出て来てしつこいと、流石の私も怒りを覚えて来る。

 

人型ではなかったのは気になるが、この際どうでもいい。

そう、どうでも良いのだ。

 

私はただ、彼女に、彼女たちに報いたい。

 

私は、ウォルターにも、カーラにも良くしてもらったのに、何も返せなかった。

 

エアとラスティ、ミシガンには、恩を仇で返した。

例え、彼らがそう思っていなくても、その事実は変わらない。

 

それらと同じような過ちを繰り返したくない。

だから、私は、私に今出来る最大限の恩返しをしたい。

 

そうして導き出した“答え”──“選択”が、彼女らの大仕事を手伝うというものだった。

 

きっと、いや、必ず、彼女は反対して来るだろう。

だが、私にも譲れないものがある。

退けない理由がある。

 

「リーダー、私にも仕事を手伝わせて欲しい」

 

そう言うとリーダーは唖然とした表情で固まった。

近くに居た団員は、呆れたように溜め息を吐いていた。

 

「…レイヴン、気持ちは嬉しいけど、それはちょっと…」

 

リーダーは私を宥めるように、諭すように穏やかに拒否する。

 

だが、こちらも素直に肯定できない。

 

「リーダーが気にすることじゃない。私はただ、恩返しをしたいだけ」

 

「気にするっての!あのなぁ!もしお前さんがあたしらと一緒にいるところを学校の生徒に見られたら、この先、このキヴォトスで生き辛くなっちまうんだよ!」

 

「リーダーが私の事を思ってくれるのは嬉しい。でも、私も為すべき事がある。それで生き辛くなったとしても、それが私が選んだものの代償なら受け入れるだけ」

 

一歩も引かない体勢の私に、リーダーはそれまでの勢いが抜ける。

 

「…リーダー、レイちゃん、覚悟ガンギマリみたいですよぉ〜?」

 

「んん〜!くっそ〜何か手は無いか手は!?」

 

リーダーも土壇場で踏ん張っている。

仕方ない。

ここは最終手段を使おう。

 

「それともリーダー」

「──私とは、一緒に仕事したくないの?」

 

****************************

 

あろうことか、レイヴンは、恥ずかしそうに、或いは泣き出しそうに頬を染め、瞳を潤ませながら、俯き加減で上目遣いであたしに訴えて来た。

 

あたしに雷が落ちたかのような衝撃が走る。

今日は快晴だというのに、晴天の霹靂とはまさにこの事。

 

あたしにはソッチのケはないが、このあざと可愛さは反則だ。

普段は無表情だからこそ、突然、明確に感情を露わにさせられると、そのギャップに比例して破壊力が増す。

 

あたしは大きく仰け反った体勢で硬直し、そのまま崩れ落ちた。

 

****************************

 

リーダーへの効果は抜群だ。

いわゆる嘘泣きであり、一昨日の夜に車の中で痛い思いをして涙目になった経験が活きた。

 

人は涙に弱い。

カーラだったかエアが前にそんなことを言っていた気がする。

 

目元の涙をこっそりと拭う。

私の泣き落としで崩れ落ちたリーダーは、生まれたての子鹿のように震えながら立ち上がると、私の肩に手を置いた。

 

「…そこまでして恩を返したいレイヴンの気持ちは良く分かった…。それでもやっぱり、これはあたしらの仕事だ…前線に出すことはできない…あたしらにも、あたしらなりのプライドがあるからね…」

 

今にも倒れそうだと言うのに強情なリーダーだ。

こうなったら当日、後ろから尾けて無理矢理にでも──。

 

「──だから、レイヴンはあたしらが万が一、やられた時の切り札として、最終兵器として連れて行く。それじゃダメか?」

 

今度は私が不意打ちを食らう番だった。

リーダーは真っ直ぐ私の顔を見詰める。

 

ヘルメットの奥、真摯な瞳と目が合った気がした。

 

そんなことを言われたら、引き下がるしかない。

上手く乗せられたような気もするが、悪い気はしない。

リーダーの提案を甘んじて受け入れよう。

 

「…わかった。ちゃんと手伝わせてね」

 

取り敢えず、今はこれで納得しよう。

リーダーもきっと、私の想いを汲んでくれるはず──。

 

「さぁて?それはどうかなぁ?向こうが大したことなかったらあたしらだけで終わらせちゃうかもなぁ?」

 

リーダーは先程までの絶不調は何処へやら。

明後日の方向に向きながら口笛を吹く。

 

・・・やっぱり強引にでも突撃してしまおうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、一応、仕事に同行するということで、私はカタカタヘルメット団が受けた依頼について説明を受けた。

 

「──と、言う訳で、まとめるとあたしらの目標は、《アビドス自治区》、《アビドス高等学校》の制圧及び主要戦力の撃退、捕縛だ」

 

大まかな内容を説明して貰い、情報を噛み砕く。

元はキヴォトス有数のマンモス学校だったらしいが、周辺の砂漠化の原因となった砂嵐の影響によって厳しい環境になり、色々と改善しようとしたが人が離れて行き、現在では莫大な借金と広大な砂漠だけが残った。

そんな中、辛うじて校舎と学園都市という体裁を繋ぎ止めているのが今の生徒だと言う。

 

何とも不遇と言うか、同情の余地がある境遇に気の毒に思うが、そんな私情は依頼の遂行には不要だ。

今回の仕事には一切、関係無い。

力無き者は奪われる。

それが摂理だ。

 

「はい」

 

「はい、レイヴン君」

 

手を上げた私をリーダーが指名する。

 

「主要戦力の詳細はありますか」

 

リーダーの説明では、アビドス高校の生徒であり、油断ならない相手であり、制圧の障害になる為、撃退・捕縛する必要があるという情報だけであり、より具体的な情報を求めた。

 

「ふっふっふ…良い質問だレイヴン君」

 

リーダーはすっかり教員気取りだ。

まあ、私もそれに乗っているんだけど。

 

「アビドス高校の生徒は五人!その中でも前線に出張り、戦闘することになると思われる相手は四人!」

 

生徒の数は少ないと聞いていたが、まさか一桁台だとは思わなかった。

 

「五人?全校生徒で?」

 

私の疑問に、リーダーは大袈裟に人差し指を振る。

なんだコイツ。

 

「おっとレイヴン君、たかが五人と侮るなかれ。腹立たしい限りだが、彼らは五人でその全員が精鋭!ちょっかいをかけた団員が何度、敗走させられたことか…」

 

リーダーは芝居掛かった言動で涙を流し、拳を握り締める。

 

「それはちょっかいをかけた方が悪いと思う…」

 

「正論で返すなー!えー、こほん。話を戻すぞ。まず、一人目が《奥空アヤネ》。特徴は赤縁メガネ。アビドス高校一年。危険度は低い。変わらず後方支援だろう。前線に出て来ることはまず無い。とは言え、状況分析能力に長け、的確に前線のメンバーを支援する」

 

「補給部隊か。なるほど。その子以外がさっき言ってた四人の前線部隊ということね」

 

「ああ。危険度順に説明する。奥空と同じ一年、《黒見セリカ》。特徴は猫耳黒髪ツインテール。武器はARで、ポジショニングは中距離。基本的に前衛でも前に出て来ることは少ない。狙撃には注意だが。一年と言うこともあって、戦闘経験も他の連中に比べて少ないから狙い目だな。危険度はDってところか」

 

「それでも負けたと」

 

「うぐぅ!?つ、続けるぞ。ここからは二年生だ。《十六夜ノノミ》、特徴はベージュ色の長髪で右だか左に団子結び。あとデカい。何がとは言わんが。見たら分かる。とんでもない弾力装甲に違いない。武器はMGで、ポジションは遠距離。後衛アタッカーってところか。マシンガンを掃射されたらかなり厄介だ。出来るだけ乱戦に持ち込みたいところだ。危険度はC。アレはJ…いや、Kくらいあるぞ絶対!」

 

「何の話をしてるの…?」

 

「お前さんも見れば分かるさ。次は同じく二年の《砂狼シロコ》。特徴は、お前さんみたいな犬…いや、狼か?まあ犬科の耳と、銀…灰色の髪、首元の青いマフラーだな。武器はARで、ポジションは中距離。黒見よりも積極的な中距離アタッカー。しかも、状況次第では銃撃を掻い潜って接近して来て、蹴りをお見舞いして来る。弾丸を躱したなんて話も聞いたな。更に、手榴弾は投げるわ、ドローンでの爆撃までやって来やがる。かなり戦闘手段が幅広くて隙が無い。危険度はB…には収まらん、Aだな」

 

「…へぇ、それは楽しそうだね…」

 

「くれぐれも楽しみを引き延ばす為に戦いを長引かせようとかすんなよ〜?」

 

「わかってる。大丈夫、仕事はしっかりこなす」

 

「まあ、お前さんの出番は無いかもしれないけどな。最後は三年、《小鳥遊ホシノ》。特徴は、他の面子よりも小柄で、ピンクの長髪とオッドアイ。戦闘に関してだが…こいつは別格だ」

 

「…」

 

「他の連中…砂狼も含めてだが、そいつらはまだどうにかなる。人海戦術と戦車とかの兵器を駆使すれば、勝ちの目は見える。だが、小鳥遊ホシノは別だ。アイツの大盾の防御は大砲の砲撃すら耐え、小柄な体格を活かして死角に回り込み、至近距離からの散弾斉射。こいつが、戦車や装甲車があっても、今回の仕事で成功の兆しが見えない要因だ」

 

「…」

 

「アイツは底が知れない。だが、コイツが連中の最後の牙城だ。こいつさえどうにかなれば、後はどうとでもなる。っと、言い忘れてたが、武器はSG、ポジションは近距離。大盾によるタンクが役割。だが、攻撃も侮れない。危険度は堂々のS。以上が、アビドス高校の主力戦力だ。何か質問あるか?さっきから黙りこくってるが」

 

「…いや、大丈夫。何か思い出したらその時に聞く」

 

「明日の作戦直前とかやめろよ?それじゃあ今日のところは解散!明日に備えて休め!」




ホシノの本気が本編で見たい…
ブチ切れて昔の言動が出ちゃうホシノが見たい…
ガンギマリの目で敵を圧倒するホシノが見たい…

次回はついにアビドス高校との戦闘!?まで行けるか…!?
アビドスと敵対するようなSSってウチ以外にありますかね
普通に結構ありそう

だってしょうがないじゃない!アビドスと戦いたかったんだもん!!
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